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公爵様、寝起きに傍らにいるのは心臓に悪いです
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「お前フランに無理させすぎ。
声が大きくてかき消すのが大変だったぞ」
むっつりとした顔でやってきた義父のビクトールに
「悪いな。
だけどあんなかわいい顔で見つめられて我慢するなんて無理だしお前がお膳立てしてくれたから盛り上がったんだろ?」
すやすやと胸の中で眠るフランは一応服は着せたが、その間一度も目を覚ます事無くなすがままの様子にバスクはこんなにも無防備になるなんてと逆に不安になってしまっていた。
「とはいえ婚前のうちの子にナニをしてくれるって話しだ」
「いや、なんか急に今まで何でそんなにも毛嫌いされてたんだろうって言うのが不思議なくらいに甘えちゃってくれて、どんな手品を使ったんだよ魔道士殿」
聞けばほんの少し肩をすくめて
「お前の真剣な部分を見せてやっただけだ。
あいつは元から剣には興味がないと言うか興味があれど手の届かない存在だからな。
諦めてたものをあんなにも力強く振り回しているのを見てもう釘づけだった。
気分転換にはいいだろうとは思ったが、こんな効果があるなんて想像もしなかったぞ」
「そういやシメオンから体調を崩していると聞いたが?」
「まぁ、この分なら問題ないな。
だからお前は休暇の日位時間があればうちに来い。
忙しけりゃ仕事帰りにうちに寄れ」
「義父様からやっとお許しが出たか」
「総てはフランの為だ。
あいつが寂しがらないようにちゃんとかまってやれよ」
「土産探しも楽しみだな。
昼間の間ぐらい外に連れ出してもいいだろ?」
「まずはベルトラン家への訪問からだ。
お前の郊外の家なら自然も豊かで人目を気にせずに遊べる」
「その時には最大限の注意をするさ」
言いながらも鼻の下を伸ばせた締まりのない顔に帰るぞと言いながらフランに身体を冷やさないように魔導院のマントをかぶせる。
よほど疲弊したのか可哀想な事に家についても眠ったままでシメオンに綺麗にさせて着替えさせてベットに放り込めばそのまま朝を迎えても目を覚まさなくって……
昼近くまで深く眠った我が子は城にいたはずなのに、夕方だったはずなのにとかわいらしいパニックに陥っていたのをバスクとシメオンと共に見守っていた。
「おはよう、俺の奥さん」
可愛いお寝坊さんだねと頭にちゅっとキスしていた。
暫くぽやぽやと頭が揺れていたが、やがて傍らに座るバスクを見付けたと思ったらまたベットの中に戻って行ってしまった。
どうしたんだと毛布を捲れば顔を真っ赤にしたフランがいて俺はシメオンに視線を送って部屋を出る事にした。
「三十分後に朝食を持って来るから着替えなさい。
風呂も使えるようにしてあるぞ」
廊下で待機していたアリサにも命じてその短い僅かな時間を二人きりにしてやる。
なるようになるとは言った物だが
「これはこれで寂しいと思わないかシメオン?」
「それが娘を嫁がせる父の心境でございましょう」
子供も居なければ結婚もしていないシメオンに何を言ってると思うもシメオンはこのカドレニー付きの執事だ。
母が父を迎え入れた時の心境なのかと考えていれば
「これでフラン様の事は心配ありません。
次はご自身の番ですぞ?」
「だな。
母が守ったこのカドレニーを俺が守る番だな」
言えば書斎に入った瞬間溜息が零れた。
机の上にはいくつもの山になった釣鐘書。
そして真実を疑わなくてはいけない姿絵まで添えられて天井を見上げる。
「他は任されましたのでビクトール様の主なお仕事は主にこちらをお願いします。
こちらすべて大奥様と大旦那様の推薦になります」
そう言って俺を一人この部屋に置いて去って行ってしまったシメオンの鬼ぶりに俺はひっそりと涙を流して適当に家柄と年齢、そしてなぜかついてるアピールポイントを読みながら適当に振り分けるのだった……
声が大きくてかき消すのが大変だったぞ」
むっつりとした顔でやってきた義父のビクトールに
「悪いな。
だけどあんなかわいい顔で見つめられて我慢するなんて無理だしお前がお膳立てしてくれたから盛り上がったんだろ?」
すやすやと胸の中で眠るフランは一応服は着せたが、その間一度も目を覚ます事無くなすがままの様子にバスクはこんなにも無防備になるなんてと逆に不安になってしまっていた。
「とはいえ婚前のうちの子にナニをしてくれるって話しだ」
「いや、なんか急に今まで何でそんなにも毛嫌いされてたんだろうって言うのが不思議なくらいに甘えちゃってくれて、どんな手品を使ったんだよ魔道士殿」
聞けばほんの少し肩をすくめて
「お前の真剣な部分を見せてやっただけだ。
あいつは元から剣には興味がないと言うか興味があれど手の届かない存在だからな。
諦めてたものをあんなにも力強く振り回しているのを見てもう釘づけだった。
気分転換にはいいだろうとは思ったが、こんな効果があるなんて想像もしなかったぞ」
「そういやシメオンから体調を崩していると聞いたが?」
「まぁ、この分なら問題ないな。
だからお前は休暇の日位時間があればうちに来い。
忙しけりゃ仕事帰りにうちに寄れ」
「義父様からやっとお許しが出たか」
「総てはフランの為だ。
あいつが寂しがらないようにちゃんとかまってやれよ」
「土産探しも楽しみだな。
昼間の間ぐらい外に連れ出してもいいだろ?」
「まずはベルトラン家への訪問からだ。
お前の郊外の家なら自然も豊かで人目を気にせずに遊べる」
「その時には最大限の注意をするさ」
言いながらも鼻の下を伸ばせた締まりのない顔に帰るぞと言いながらフランに身体を冷やさないように魔導院のマントをかぶせる。
よほど疲弊したのか可哀想な事に家についても眠ったままでシメオンに綺麗にさせて着替えさせてベットに放り込めばそのまま朝を迎えても目を覚まさなくって……
昼近くまで深く眠った我が子は城にいたはずなのに、夕方だったはずなのにとかわいらしいパニックに陥っていたのをバスクとシメオンと共に見守っていた。
「おはよう、俺の奥さん」
可愛いお寝坊さんだねと頭にちゅっとキスしていた。
暫くぽやぽやと頭が揺れていたが、やがて傍らに座るバスクを見付けたと思ったらまたベットの中に戻って行ってしまった。
どうしたんだと毛布を捲れば顔を真っ赤にしたフランがいて俺はシメオンに視線を送って部屋を出る事にした。
「三十分後に朝食を持って来るから着替えなさい。
風呂も使えるようにしてあるぞ」
廊下で待機していたアリサにも命じてその短い僅かな時間を二人きりにしてやる。
なるようになるとは言った物だが
「これはこれで寂しいと思わないかシメオン?」
「それが娘を嫁がせる父の心境でございましょう」
子供も居なければ結婚もしていないシメオンに何を言ってると思うもシメオンはこのカドレニー付きの執事だ。
母が父を迎え入れた時の心境なのかと考えていれば
「これでフラン様の事は心配ありません。
次はご自身の番ですぞ?」
「だな。
母が守ったこのカドレニーを俺が守る番だな」
言えば書斎に入った瞬間溜息が零れた。
机の上にはいくつもの山になった釣鐘書。
そして真実を疑わなくてはいけない姿絵まで添えられて天井を見上げる。
「他は任されましたのでビクトール様の主なお仕事は主にこちらをお願いします。
こちらすべて大奥様と大旦那様の推薦になります」
そう言って俺を一人この部屋に置いて去って行ってしまったシメオンの鬼ぶりに俺はひっそりと涙を流して適当に家柄と年齢、そしてなぜかついてるアピールポイントを読みながら適当に振り分けるのだった……
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