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公爵様、本当に婚約者だったのですね……
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最初はすぐには理解できなくても理解しようと飲みこめる年齢でもあるのだから一言言ってくれればと言えばビクトール様は目を伏せて
「本当に申し訳ない。
お前を見ると幼い頃のお前をつい思い出してしまい、なんというか庇護欲?
守ってやらないとなって思うんだ……」
「幼い頃って……」
「五歳くらい?」
「ビッキー、さすがにそれは酷いですわよ」
トゥリエル嬢からの抗議に済まないと頭を下げるも苦笑でその場を濁す。
「一応表向きにはバスクが熱望した恋愛結婚だと言えるし、他人の婚約者を王家が横から掻っ攫うと言う醜聞も悪い。
お互いまだ成人前だからもし何かあって婚約を解消するとしても問題も無いし公表する義務もない。
ただ正式に婚約を交わした相手がいる、幼いからまだ発表は避けている。
都合のいい言い訳が出来たわけだ」
「ならなんでバスクはキュラーと婚約をしたんだ?」
アルベルト様は小さな砂糖菓子を口に運んで話しを聞く姿はどこまでもないようにそぐわない優雅さを持っていた。
「単にフランの行方が分からなくなったからだ。
書類上は一家焼死と言う事になってるからな。
ベルトラン公爵家としても公表してないとは言え一度は婚約をしたバスクだ。
今度こそ幸せになってもらいたいとベルトラン公爵家に迎え入れる令嬢を探していた所、学園で知り合ったキュラーを奥方が気に入り婚約となった」
「だけど肝心の性格が合わなくて俺は見合いの段階ですぐに断ったのだが」
「バスク様、見合いってちゃんと知ってるじゃないですか」
「……」
上げ足取りになるけどバラを持ってプロポーズされた後の裏庭の一件で知らぬ存ぜぬでとぼけて見せたバスクではあったが立派な大人なのだ。
当然知らないわけがなく、自ら墓穴を掘った形になったがそっと視線をそらせて俺のツッコミを聞いちゃいないと言わんばかりに砂糖菓子をぼりぼりと嗜み始めた。
まぁ、今更別にいいけどねとビクトール様に視線を戻せば頭が痛そうな顔で眉間を指で押さえていた。
「けどトゥリエル家はキュラーの我が儘に婚約したと公表をしてしまった。
マナー違反以前に名誉損害だと言うのに未だキュラーは婚約者を名乗り、既に周囲にはそれが定着している。
抵抗するのはバスクのみと言う状況だ」
「まぁ、キュラーは顔立ちも頭も良いからな。
公爵家の妻を十分に務めるから誰もがそう思ったのだろう」
見た目に寄らずこの人凄いんだとドリルだけじゃない事に感心してしまう。
「実際俺達だってフランを見つけるまでキュラー以上はそうそう居ないぞと思ってたし年齢も年齢だ。
いい加減諦めろと思った所で魔導院の就職の面接にフランが来た。
見覚えのある顔立ちにまさかと思ってフランの面接順位を一番最後に遅らし暗くなった室内にランプを付ければずっと探していた王家の瞳を持つ子供をやっと見つけた」
ビクトール様は俺の長い前髪をかき分けて誰の目にもよく見える様に、銀の月のように冴え冴えとした瞳を皆に披露した。
月明かりのない室内で他のランプの明かりを弱め、フランの側に一つだけランプを持って立つシメオンを不安げに見上げればそっと長い前髪を置いた指先でかき分け、みんなによく見える様にしてくれた。
「本当に申し訳ない。
お前を見ると幼い頃のお前をつい思い出してしまい、なんというか庇護欲?
守ってやらないとなって思うんだ……」
「幼い頃って……」
「五歳くらい?」
「ビッキー、さすがにそれは酷いですわよ」
トゥリエル嬢からの抗議に済まないと頭を下げるも苦笑でその場を濁す。
「一応表向きにはバスクが熱望した恋愛結婚だと言えるし、他人の婚約者を王家が横から掻っ攫うと言う醜聞も悪い。
お互いまだ成人前だからもし何かあって婚約を解消するとしても問題も無いし公表する義務もない。
ただ正式に婚約を交わした相手がいる、幼いからまだ発表は避けている。
都合のいい言い訳が出来たわけだ」
「ならなんでバスクはキュラーと婚約をしたんだ?」
アルベルト様は小さな砂糖菓子を口に運んで話しを聞く姿はどこまでもないようにそぐわない優雅さを持っていた。
「単にフランの行方が分からなくなったからだ。
書類上は一家焼死と言う事になってるからな。
ベルトラン公爵家としても公表してないとは言え一度は婚約をしたバスクだ。
今度こそ幸せになってもらいたいとベルトラン公爵家に迎え入れる令嬢を探していた所、学園で知り合ったキュラーを奥方が気に入り婚約となった」
「だけど肝心の性格が合わなくて俺は見合いの段階ですぐに断ったのだが」
「バスク様、見合いってちゃんと知ってるじゃないですか」
「……」
上げ足取りになるけどバラを持ってプロポーズされた後の裏庭の一件で知らぬ存ぜぬでとぼけて見せたバスクではあったが立派な大人なのだ。
当然知らないわけがなく、自ら墓穴を掘った形になったがそっと視線をそらせて俺のツッコミを聞いちゃいないと言わんばかりに砂糖菓子をぼりぼりと嗜み始めた。
まぁ、今更別にいいけどねとビクトール様に視線を戻せば頭が痛そうな顔で眉間を指で押さえていた。
「けどトゥリエル家はキュラーの我が儘に婚約したと公表をしてしまった。
マナー違反以前に名誉損害だと言うのに未だキュラーは婚約者を名乗り、既に周囲にはそれが定着している。
抵抗するのはバスクのみと言う状況だ」
「まぁ、キュラーは顔立ちも頭も良いからな。
公爵家の妻を十分に務めるから誰もがそう思ったのだろう」
見た目に寄らずこの人凄いんだとドリルだけじゃない事に感心してしまう。
「実際俺達だってフランを見つけるまでキュラー以上はそうそう居ないぞと思ってたし年齢も年齢だ。
いい加減諦めろと思った所で魔導院の就職の面接にフランが来た。
見覚えのある顔立ちにまさかと思ってフランの面接順位を一番最後に遅らし暗くなった室内にランプを付ければずっと探していた王家の瞳を持つ子供をやっと見つけた」
ビクトール様は俺の長い前髪をかき分けて誰の目にもよく見える様に、銀の月のように冴え冴えとした瞳を皆に披露した。
月明かりのない室内で他のランプの明かりを弱め、フランの側に一つだけランプを持って立つシメオンを不安げに見上げればそっと長い前髪を置いた指先でかき分け、みんなによく見える様にしてくれた。
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