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公爵様、可愛い花嫁さんってどんなものなのですか?
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プディングとカットフルーツを食べて砂糖を入れてないさっぱりとした紅茶を一口貰った。
それからディナーだからと臙脂に黒い刺繍の施されたサーコートを着せてもらって食堂へと向かう。
シメオンに案内されて扉を開けてもらえばどうやら俺が最後だったようで全員が席について待っていてくれた。
「遅くなって申し訳ありません」
思わずと言う様に急ぎ足で向かうも
「そのような些細なこと気にしなくて結構ですわ」
何故かトゥリエル嬢がそこにおいでになっていた。
そしてよく似た金の髪の人と隣に座る束になったドリルは既に九尾のしっぽの様で年齢の頃から見れば一目で両親だと見抜ける血の濃さに思わず感心をしてしまった。
そしてその正面にジェル、更にバスク様がいて見知らぬ人。
何か見覚えのあるようなないような、誰だっけと思いながらビクトール様を見上げればただただ苦笑するだけ。
そんな中シメオンはビクトール様の隣、見知らぬ人の正面に俺に席に着くようにと案内するもその前に
「本日は私の身勝手な行動で大変皆様にご迷惑おかけしました。
申し訳ありません。
そして、再びこのような私をこのカドレニーのお屋敷に迎え入れて戴けたことありがとうございます」
子供じゃないんだ。
感謝と謝罪はきちんとしなくてはいけない。
貴族であれど悪いと思えば頭を下げて、嬉しいと思ったのなら感謝を述べなくてはならない。
暮し始めた頃何から何までしてくれるシメオンに何度も頭を下げて感謝すれば怒られてしまうも、人として頭を下げる時、感謝を伝える時はしなくてはいけないと教えられた。
まだ区別が判りきらない俺だけど、この場はとにかくものすごく迷惑をかけた事だけは自信を持って言えるので俺は後から怒られ様がなんだろうが心配して集まってくれただろう方達に頭を下げるのは当然だとシメオンに習った謝罪の仕方を披露するのだった。
「もうお前の気持ちは分かった、謝罪は受け入れよう。
さあ、みんな随分と腹を空かせている」
早く座れと言わんばかりにシメオンに視線を送る尊大な態度の人は誰だろう、バスク様より上座なので上位の貴族だなと考えておく。
席に着けばグラスに俺は果汁だけど大人組はシャンパンを注いでもらっていた。
「今日はフランの為に集まってもらいありがとう。
軽度の怪我はあれど無事戻って来た事を皆に報告する」
言えばグラスを持ち上げて食事が始まった。
コクリ、誰もが一口しか飲まずに進まない食事に誰もがカトラリーが宙を泳ぐ。
その空気を壊すように
「フラン、まずはお前の正面に座る人を紹介する前にお前の名前を正しく伝えておこう。
昨夜も聞いたかもしれないが、改めて全部を話そう。
まずはお前の名前はフェランディエーレ・オリオール・バレンスエと言う今は亡きバレンスエ公爵家の最後の一人だ」
貴族と言うのはなんとなく察していたが、公爵家とか一度で覚えられない名前とか、驚きよりも後でシメオンに教えてもらおうと頭の片隅にメモをして置いた。
「そして正面の彼の父親がフランの父親といとこ同士でな、近くに住んでいた事もありフランの幼い頃にも交流があった。
彼は今日は代理できている。
名前はアルベルト・ヴェラ・モリエンテス。
モリエンテス王国第一王子なんて世間では呼ばれている」
さすがに想像してなくってサラダのゼリー寄せを食べようとした手が止まってしまった。
ぎこちない動きで第一王子を見れば、彼は面白そうな目と満足げな笑みで俺を見ていて、俺はまさかこんな所にと言う様に顔を真っ青にしてしまい、給仕をしてくれるシメオンの袖を思わず引っ張ってしまう。
「はい、恐れ多くもモリエンテス第一王子になられます」
耳打ちするように教えてもらうも、そんな雲の上の遥か遠くの存在の方が同じテーブルを囲んで食事をしているのが信じられないと言う様に不敬にも目を見開いて言葉も無く口を開けて見つめていれば
「お前には「初めまして」何だろうが俺にとっては「久しぶり」と言いたいんだ。
ビッキーから先日父たちに話をした所で俺にも話が下りてきて初めて知った。
こんな近くにいたなんて嬉しくて、だけど屋敷を飛びだしたと聞いて城を抜け出してきた。
お前は覚えてないだろう。
一度お前を失った悲しみは計り知れなく、しかも骸すらなかったのだ。
希望と絶望の中の喪失は苦しく、お前が生きてると信じた希望に縋って忘れずにいたが……
話は聞いた。随分と苦労したんだな。
でも俺は無事生きて会えたことを心より喜んでいる。
お帰りフェラン」
眩しい物を見るように目を細め至上の物に出会えたそんな喜びに満ちた顔は席を立ちあがり、テーブルを回って俺のすぐ隣に立つ。
慌てて俺も立てばモリエンテス第一王子はすっと片膝をつく様にしゃがみ
「もう二度と離ればなれになりたくない。
私を一人にしないでおくれ」
「モリエンテス王子……」
「どうか昔のようにアルベルトと」
「ですが……」
「そして幼い頃約束したように迎えに来たよ」
「?」
「私の可愛い花嫁さん」
お前もか!!!
すぐ後ろでガラスの砕ける音が響いたのは当然の出来事だった……
それからディナーだからと臙脂に黒い刺繍の施されたサーコートを着せてもらって食堂へと向かう。
シメオンに案内されて扉を開けてもらえばどうやら俺が最後だったようで全員が席について待っていてくれた。
「遅くなって申し訳ありません」
思わずと言う様に急ぎ足で向かうも
「そのような些細なこと気にしなくて結構ですわ」
何故かトゥリエル嬢がそこにおいでになっていた。
そしてよく似た金の髪の人と隣に座る束になったドリルは既に九尾のしっぽの様で年齢の頃から見れば一目で両親だと見抜ける血の濃さに思わず感心をしてしまった。
そしてその正面にジェル、更にバスク様がいて見知らぬ人。
何か見覚えのあるようなないような、誰だっけと思いながらビクトール様を見上げればただただ苦笑するだけ。
そんな中シメオンはビクトール様の隣、見知らぬ人の正面に俺に席に着くようにと案内するもその前に
「本日は私の身勝手な行動で大変皆様にご迷惑おかけしました。
申し訳ありません。
そして、再びこのような私をこのカドレニーのお屋敷に迎え入れて戴けたことありがとうございます」
子供じゃないんだ。
感謝と謝罪はきちんとしなくてはいけない。
貴族であれど悪いと思えば頭を下げて、嬉しいと思ったのなら感謝を述べなくてはならない。
暮し始めた頃何から何までしてくれるシメオンに何度も頭を下げて感謝すれば怒られてしまうも、人として頭を下げる時、感謝を伝える時はしなくてはいけないと教えられた。
まだ区別が判りきらない俺だけど、この場はとにかくものすごく迷惑をかけた事だけは自信を持って言えるので俺は後から怒られ様がなんだろうが心配して集まってくれただろう方達に頭を下げるのは当然だとシメオンに習った謝罪の仕方を披露するのだった。
「もうお前の気持ちは分かった、謝罪は受け入れよう。
さあ、みんな随分と腹を空かせている」
早く座れと言わんばかりにシメオンに視線を送る尊大な態度の人は誰だろう、バスク様より上座なので上位の貴族だなと考えておく。
席に着けばグラスに俺は果汁だけど大人組はシャンパンを注いでもらっていた。
「今日はフランの為に集まってもらいありがとう。
軽度の怪我はあれど無事戻って来た事を皆に報告する」
言えばグラスを持ち上げて食事が始まった。
コクリ、誰もが一口しか飲まずに進まない食事に誰もがカトラリーが宙を泳ぐ。
その空気を壊すように
「フラン、まずはお前の正面に座る人を紹介する前にお前の名前を正しく伝えておこう。
昨夜も聞いたかもしれないが、改めて全部を話そう。
まずはお前の名前はフェランディエーレ・オリオール・バレンスエと言う今は亡きバレンスエ公爵家の最後の一人だ」
貴族と言うのはなんとなく察していたが、公爵家とか一度で覚えられない名前とか、驚きよりも後でシメオンに教えてもらおうと頭の片隅にメモをして置いた。
「そして正面の彼の父親がフランの父親といとこ同士でな、近くに住んでいた事もありフランの幼い頃にも交流があった。
彼は今日は代理できている。
名前はアルベルト・ヴェラ・モリエンテス。
モリエンテス王国第一王子なんて世間では呼ばれている」
さすがに想像してなくってサラダのゼリー寄せを食べようとした手が止まってしまった。
ぎこちない動きで第一王子を見れば、彼は面白そうな目と満足げな笑みで俺を見ていて、俺はまさかこんな所にと言う様に顔を真っ青にしてしまい、給仕をしてくれるシメオンの袖を思わず引っ張ってしまう。
「はい、恐れ多くもモリエンテス第一王子になられます」
耳打ちするように教えてもらうも、そんな雲の上の遥か遠くの存在の方が同じテーブルを囲んで食事をしているのが信じられないと言う様に不敬にも目を見開いて言葉も無く口を開けて見つめていれば
「お前には「初めまして」何だろうが俺にとっては「久しぶり」と言いたいんだ。
ビッキーから先日父たちに話をした所で俺にも話が下りてきて初めて知った。
こんな近くにいたなんて嬉しくて、だけど屋敷を飛びだしたと聞いて城を抜け出してきた。
お前は覚えてないだろう。
一度お前を失った悲しみは計り知れなく、しかも骸すらなかったのだ。
希望と絶望の中の喪失は苦しく、お前が生きてると信じた希望に縋って忘れずにいたが……
話は聞いた。随分と苦労したんだな。
でも俺は無事生きて会えたことを心より喜んでいる。
お帰りフェラン」
眩しい物を見るように目を細め至上の物に出会えたそんな喜びに満ちた顔は席を立ちあがり、テーブルを回って俺のすぐ隣に立つ。
慌てて俺も立てばモリエンテス第一王子はすっと片膝をつく様にしゃがみ
「もう二度と離ればなれになりたくない。
私を一人にしないでおくれ」
「モリエンテス王子……」
「どうか昔のようにアルベルトと」
「ですが……」
「そして幼い頃約束したように迎えに来たよ」
「?」
「私の可愛い花嫁さん」
お前もか!!!
すぐ後ろでガラスの砕ける音が響いたのは当然の出来事だった……
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