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公爵様、貴方の婚約者を野放しにしないでください
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ジェルの目的の為に打ち込んだ勉強と情熱は話を聞いているだけでも心から尊敬できるが、それが俺に向けられた物だと重すぎる。
「本当なら俺がちゃんと社交界にデビューしてから働いたお金で先輩を迎えに行きたかったのですが、先輩の友人は問題外ですがあのクソ公爵に先輩を譲るつもりは一切ありませんからね!」
笑顔で可愛く言われても全くかわいく思えない所か逃げ腰になるのはアイーダの背後に隠れていたはずなのにまたもや一歩横にずれたアイーダのおかげで腰に手を回されてがっちりとホールドされてしまっているからだろう。
「お返事は早ければ早い方が嬉しいですが、やっぱり俺が稼いだお金で先輩を迎えたいので一年で十分です。
次の春には挙式できるように準備してますからね」
「返事はお断りしただろ!」
「断られても何度だってしますよ」
「それよりも一年って言ってるけどもう一年切ってるわよ?
って事は既にお金も溜めてるのね」
「当然ですアイーダ先輩!
お給料は全額溜めて在るし、先輩をお迎えする為の侯爵家の財政も領地の財政も見直して立て直してますが春には十分成果が表れてるでしょう!
ですが母が勝手に隠して持ち出した由緒ある指輪を奪い返し先輩に贈りましたがああなってしまい改めて考えたのです。
今俺の精一杯の指輪を贈る方が気持ちが伝わると思って、先輩受け取ってください」
するりと左手薬指に銀色の小さな透明な石の付いた指輪を付けられてしまった。
反射的に抜こうとするも
「ぬ、抜けない……」
「はい。前回の時に簡単に抜けてしまったのでちゃんと微調整しておきました」
はめる時は問題なく、でも抜く時には抜けない指輪の謎に俺は指が真っ赤になるのもお構いなく取ろうとするも外れもしない。
「うそだろ?」
「へへへ、いつかあの指輪にも負けない立派な指輪を贈らせてくださいね」
「そんなの要ら……!」
「その話キュラール・トゥリエル確かに聞きましてよ!」
パーンと音を立てて扉を開けてずかずかと入ってきたのは公爵様の婚約者のドリルさん。本日も見事なドリルを荒ぶらせると周囲の人に迷惑かかりますよと思う前に背後の護衛の顔面が直撃を喰らって鼻血を吹いていた。
「ええ聞きましてよ!最初から聞かせていただきましてよ!ジェラール・タウレル!
貴方が社交界のデビューを前に侯爵家を継いだと聞いた時は耳を疑いましたがそのような出来事があっては当然、寧ろその歳で行動に移した事をこのキュラール・トゥリエルしかと聞きましてよ!」
ハンカチを目元に当てて化粧が崩れない程度の涙を吸い取る仕種をさすがだと誉めるべきかと思ってしまうくらい演劇派な嘘泣きだった。
「フラン・フライレ!
貴方はこのように健気な後輩を支える権利を与えましょう」
「は?」
「敵ばかりの貴族社会!貴方に会う事だけを支えに過ごした学園時代!
このような健気なジェラール・タウレルが心休まる場所は家庭の場のみ!
だったら、ならばこそ貴方が家庭で彼の心を拠り所となるべきですわ!」
「意味わからん」
どんな本の影響だ?と言わんばかりにくるりと回りながらの演説は演劇じみた身振り手振りも合わせてつい眺めてしまえば目の前をブンと音を立てて金属的な輝きを持つドリルが通り過ぎた。あぶねぇ……
逃げ腰になる俺にトゥリエル嬢は俺の顔を両手ではさみ
「前も思いましたが貴方は男にしておくにはもったいないくらい悔しいほど可愛らしく思います」
女性に顔を両手で包まれてそう言われて嬉しく思わない男性はいないはずなのに、猛禽類のように睨み上げられるも褒められてるのかけなされてるのかわからない言葉にこの人はただ素直じゃないだけのこじらせタイプだと思うようにしておいた。
「本当なら俺がちゃんと社交界にデビューしてから働いたお金で先輩を迎えに行きたかったのですが、先輩の友人は問題外ですがあのクソ公爵に先輩を譲るつもりは一切ありませんからね!」
笑顔で可愛く言われても全くかわいく思えない所か逃げ腰になるのはアイーダの背後に隠れていたはずなのにまたもや一歩横にずれたアイーダのおかげで腰に手を回されてがっちりとホールドされてしまっているからだろう。
「お返事は早ければ早い方が嬉しいですが、やっぱり俺が稼いだお金で先輩を迎えたいので一年で十分です。
次の春には挙式できるように準備してますからね」
「返事はお断りしただろ!」
「断られても何度だってしますよ」
「それよりも一年って言ってるけどもう一年切ってるわよ?
って事は既にお金も溜めてるのね」
「当然ですアイーダ先輩!
お給料は全額溜めて在るし、先輩をお迎えする為の侯爵家の財政も領地の財政も見直して立て直してますが春には十分成果が表れてるでしょう!
ですが母が勝手に隠して持ち出した由緒ある指輪を奪い返し先輩に贈りましたがああなってしまい改めて考えたのです。
今俺の精一杯の指輪を贈る方が気持ちが伝わると思って、先輩受け取ってください」
するりと左手薬指に銀色の小さな透明な石の付いた指輪を付けられてしまった。
反射的に抜こうとするも
「ぬ、抜けない……」
「はい。前回の時に簡単に抜けてしまったのでちゃんと微調整しておきました」
はめる時は問題なく、でも抜く時には抜けない指輪の謎に俺は指が真っ赤になるのもお構いなく取ろうとするも外れもしない。
「うそだろ?」
「へへへ、いつかあの指輪にも負けない立派な指輪を贈らせてくださいね」
「そんなの要ら……!」
「その話キュラール・トゥリエル確かに聞きましてよ!」
パーンと音を立てて扉を開けてずかずかと入ってきたのは公爵様の婚約者のドリルさん。本日も見事なドリルを荒ぶらせると周囲の人に迷惑かかりますよと思う前に背後の護衛の顔面が直撃を喰らって鼻血を吹いていた。
「ええ聞きましてよ!最初から聞かせていただきましてよ!ジェラール・タウレル!
貴方が社交界のデビューを前に侯爵家を継いだと聞いた時は耳を疑いましたがそのような出来事があっては当然、寧ろその歳で行動に移した事をこのキュラール・トゥリエルしかと聞きましてよ!」
ハンカチを目元に当てて化粧が崩れない程度の涙を吸い取る仕種をさすがだと誉めるべきかと思ってしまうくらい演劇派な嘘泣きだった。
「フラン・フライレ!
貴方はこのように健気な後輩を支える権利を与えましょう」
「は?」
「敵ばかりの貴族社会!貴方に会う事だけを支えに過ごした学園時代!
このような健気なジェラール・タウレルが心休まる場所は家庭の場のみ!
だったら、ならばこそ貴方が家庭で彼の心を拠り所となるべきですわ!」
「意味わからん」
どんな本の影響だ?と言わんばかりにくるりと回りながらの演説は演劇じみた身振り手振りも合わせてつい眺めてしまえば目の前をブンと音を立てて金属的な輝きを持つドリルが通り過ぎた。あぶねぇ……
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「前も思いましたが貴方は男にしておくにはもったいないくらい悔しいほど可愛らしく思います」
女性に顔を両手で包まれてそう言われて嬉しく思わない男性はいないはずなのに、猛禽類のように睨み上げられるも褒められてるのかけなされてるのかわからない言葉にこの人はただ素直じゃないだけのこじらせタイプだと思うようにしておいた。
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