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ジャックするって言うけど俺達ただ巻き込まれた系だよねと大声で叫びたい 5
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控室に戻れば部屋を片付けていた圭斗たちがいて
「あいさつ回りはもういいのですか?」
「うん。二度と会う事はないから大丈夫」
俺は俺の直感を信じていい顔で言い切った。二度とテレビに出る事はないだろう。
むしろ何かの理由でこの番組も流れればいい!
そんな呪いをかけながら綺麗に片付けてくれた控室を出る。その前にディレクターの人と挨拶を交わしたけど主に多紀さん達との挨拶。
ほんと俺達っておまけだなーと宮下と一緒に笑いながらテレビ局を後にして、エントランスで応援に来てくれた皆様方と挨拶を交わす。
「本当に今日は驚かせていただいてありがとうございました。おかげで何が起きたかわからないうちに終わってかなりほっとしました」
緊張なんて多紀さんと対面した時点ですべて吹っ飛んだ。
瀬野さんの本気と言うか
「このメンツを集めたら一回の収録の予算がオーバーしちゃうよー?」
波留さんのドヤ顔にはそりゃそうですねとあの時の撮影スタッフがほとんどチーム多紀の皆さんだったのだから、テレビ局も番組側もよく許可したなと呆れるしかない。まあ、すぐそばで本来のスタッフの皆様が待機していたのでスムーズな交代もできて問題なくその後の撮影が出来て何よりと思う。
後日神回と言われる放送回だったらしいが、あいにくこの番組は深山では電波が届かないので俺が知るのは放送後となる。
だけどその後意外な来客があった。
テレビ局のエントランスで皆さんと別れて一歩出た所で
「吉野様、お久しぶりです」
一度だけ会った見覚えのある人がいた。
「綾人誰?」
「ええと……」
誰だっけと思ったけどビシッとスーツを着た襟についた会社のバッチで思い出した。
「お久しぶりです。直接会うのは十年ぶりですか?」
「覚えていて頂いて光栄です」
久しぶりの握手での挨拶。
周囲は何事かと思ってまた集まって来たけどあえて何も言わずに見守っていてくれた。
「ですが珍しいですね」
会いに来るなんてと言わずにいるもちゃんと察してくれてか
「こちらでの足取りが珍しく判りましたので。なかなか会えない方ですのでお会いしたいと」
誰がとは言わない。だけどこの人が来るって事はつまりはそうだろう。
「ですが、食事も終えて帰るだけですので」
「でしたらお茶を一杯ほどのお時間を頂ければ。宿泊先まできちんとお送りします」
なんて気配りは多分瀬野さんが一枚絡んでいるのだろう。
「でしたらこちらも一度ご挨拶させて頂ければと思いましたので」
あの家の案件をさりげなくお願いしている方だから。本来こちらから挨拶をしなくてはいけないのだろうが、善意でしてくれている事にあえて何も声を出さなかったけど会いたいと言うのなら応えるのが筋だろう。
くるりと宮下と圭斗を見て
「悪い。ちょっと用事が出来たから行ってくる。終わったら爺さんの家に戻るから遅かったら先に寝てて」
そんな感じで何か言われる前にお迎えの黒塗りベンツに案内されるまま乗り込んで……
「で、あの人誰なんだ?」
「そうだよ。人には知らない人についていっちゃダメだって口癖のくせのように言っておいて自分は知らない人について行くってどういう事?」
爺さんの家まで送ってもらって玄関入ってのお帰りもなく第一声の圭斗と宮下。
その後ろでは飯田さんとか蓮司とか多紀さん、波留さん、その上自宅マンションから近いからかチョリまで居た。
ていうか
「靴ぐらい脱がさせてください」
とりあえずこの暑い季節に靴の中の熱から解放されたくて脱げばそのまま客間まで連れてこられた。
「じゃあ説明しろ。茶だけって言う話なのに酒の匂いしやがって」
なぜかオコの圭斗さん。お前はどこのかーちゃんかと思うもその謎の迫力に飯田さんが苦笑しながらお疲れさまでしたと言うように麦茶を出してくれた。もちろん人数分。
俺はどう言おうかと思ったけど
「前に株を購入し過ぎたって話しした事あったっけ?」
言えば全員が知らないと言った所でいきなりしくじった事を理解した。そういえばこの話知っているのは沢村さんと樋口さんと先生だったっけと一瞬冷や汗を流しながらも素知らぬ顔をして
「一度うちにまで挨拶に来てくれたんだけど株式総会とかいちいち遠すぎて出ないから代わりに手紙のやり取りはしてたんだ。お盆とかにはお線香くれたりする間柄だけど……」
「綾人の所に来る荷物の多さにどれかなんてわからないよ」
うちの荷物受け取り担当の宮下の言葉に会社とは全く関係ない名前だからそうだろうと心の中で頷きながら
「今までずっとそれだけの交流だったからね。せっかく遭遇できるチャンスだからって一度顔を合わせておこうと思って」
「なんで?」
そこは多紀さんが全く悪気のない顔で鋭く突っ込んでくれた事でほんと良く見てるよなと苦虫を潰しながら
「この家、売却するにあたり少し待ってもらっているんだけど、その協力をしてもらっているんだ。わがまま言ってる自覚からご挨拶に」
実際はお茶一杯ではなくお酒を何杯か頂く事になった。
絶対お高い奴と見せてくれたラベルは爺さんに教育してもらった想像通りのお高い奴。
飲んだ事ないだろうと言う顔をしていたので先手を打つように
「爺さんが好きだった銘柄ですね!よく飲ませていただきました!」
美味しいですよねーなんて笑ってその場を濁したけど、お茶一杯と言ってお呼ばれされたのにこれだけ酒臭くなって戻ってくれば圭斗さんがオコなのは仕方がないだろう。
こんなにも心配する顔が並んでいるし、蓮司もさっきから部屋の隅でいろいろと連絡を取り合ってる所を見るとここに居ない皆さんに報告をしているのだろう。想像以上にマメだなと感心しながら
「だけどほんと大丈夫なんだよね?」
「うん。ほんと顔合わせだけだから。
向こうは動画で俺の顔を知ってるけど俺は久しぶりだからね。十年会ってないから思い出せなかったけど社名のバッチをつけてくれたから顔と名前が一致出来たから大丈夫」
「ふーん」
なんてどこか冷めた飯田さんのお返事にやっぱり飯田さん達の知らない人についていったのがご立腹なのだろう。だけど俺にだって付き合いと言うものはあると言うようにそこは無視だ。
「それでお話は済んだの?」
心配そうな波留さんの声に
「まあ、八月中に決着つけるって前もって約束したことを再確認した程度だよ」
「綾人君の中でもう段取りは出来ているんだ?」
多紀さんの疑問。
「段取りは出来てるけど、段取り以前にそれ以外の選択ができない所まで来てるからね。俺じゃなく向こうが。出来なくてももう必要性がなくなったからやる事は変わらないし、それが約束だし」
爺さんとの思いでだけしかない家に愛着のなさを言えば多紀さんは難しい顔をするけどその前に
「麦茶お替りください」
空っぽになったグラスを飯田さんに差し出せば宮下が手を付けてない自分のグラスと交換してくれた。
「お水じゃなくって大丈夫ですか?」
「これぐらいなら寝れば何とかなるし」
なんて言いながらもテーブルに頭を横たえてしまえば
「こら、こんな所で寝るな」
「むーりー」
寝ないように奮闘する圭斗の背後で宮下が押し入れから布団を取り出してきてくれれば吸い込まれるように転がってしまう。
幸せ~って言うかこれなんか本日二度目のような?
んなのいちいち気にしないと言うように波留さんから枕を貰い、チョリさんが肌掛けをかけてくれたのでくるんと丸まりながら寝心地の良い体勢を整える眠る前のルーティンを行えば一瞬で意識はシャットダウンしてくれた。
「あいさつ回りはもういいのですか?」
「うん。二度と会う事はないから大丈夫」
俺は俺の直感を信じていい顔で言い切った。二度とテレビに出る事はないだろう。
むしろ何かの理由でこの番組も流れればいい!
そんな呪いをかけながら綺麗に片付けてくれた控室を出る。その前にディレクターの人と挨拶を交わしたけど主に多紀さん達との挨拶。
ほんと俺達っておまけだなーと宮下と一緒に笑いながらテレビ局を後にして、エントランスで応援に来てくれた皆様方と挨拶を交わす。
「本当に今日は驚かせていただいてありがとうございました。おかげで何が起きたかわからないうちに終わってかなりほっとしました」
緊張なんて多紀さんと対面した時点ですべて吹っ飛んだ。
瀬野さんの本気と言うか
「このメンツを集めたら一回の収録の予算がオーバーしちゃうよー?」
波留さんのドヤ顔にはそりゃそうですねとあの時の撮影スタッフがほとんどチーム多紀の皆さんだったのだから、テレビ局も番組側もよく許可したなと呆れるしかない。まあ、すぐそばで本来のスタッフの皆様が待機していたのでスムーズな交代もできて問題なくその後の撮影が出来て何よりと思う。
後日神回と言われる放送回だったらしいが、あいにくこの番組は深山では電波が届かないので俺が知るのは放送後となる。
だけどその後意外な来客があった。
テレビ局のエントランスで皆さんと別れて一歩出た所で
「吉野様、お久しぶりです」
一度だけ会った見覚えのある人がいた。
「綾人誰?」
「ええと……」
誰だっけと思ったけどビシッとスーツを着た襟についた会社のバッチで思い出した。
「お久しぶりです。直接会うのは十年ぶりですか?」
「覚えていて頂いて光栄です」
久しぶりの握手での挨拶。
周囲は何事かと思ってまた集まって来たけどあえて何も言わずに見守っていてくれた。
「ですが珍しいですね」
会いに来るなんてと言わずにいるもちゃんと察してくれてか
「こちらでの足取りが珍しく判りましたので。なかなか会えない方ですのでお会いしたいと」
誰がとは言わない。だけどこの人が来るって事はつまりはそうだろう。
「ですが、食事も終えて帰るだけですので」
「でしたらお茶を一杯ほどのお時間を頂ければ。宿泊先まできちんとお送りします」
なんて気配りは多分瀬野さんが一枚絡んでいるのだろう。
「でしたらこちらも一度ご挨拶させて頂ければと思いましたので」
あの家の案件をさりげなくお願いしている方だから。本来こちらから挨拶をしなくてはいけないのだろうが、善意でしてくれている事にあえて何も声を出さなかったけど会いたいと言うのなら応えるのが筋だろう。
くるりと宮下と圭斗を見て
「悪い。ちょっと用事が出来たから行ってくる。終わったら爺さんの家に戻るから遅かったら先に寝てて」
そんな感じで何か言われる前にお迎えの黒塗りベンツに案内されるまま乗り込んで……
「で、あの人誰なんだ?」
「そうだよ。人には知らない人についていっちゃダメだって口癖のくせのように言っておいて自分は知らない人について行くってどういう事?」
爺さんの家まで送ってもらって玄関入ってのお帰りもなく第一声の圭斗と宮下。
その後ろでは飯田さんとか蓮司とか多紀さん、波留さん、その上自宅マンションから近いからかチョリまで居た。
ていうか
「靴ぐらい脱がさせてください」
とりあえずこの暑い季節に靴の中の熱から解放されたくて脱げばそのまま客間まで連れてこられた。
「じゃあ説明しろ。茶だけって言う話なのに酒の匂いしやがって」
なぜかオコの圭斗さん。お前はどこのかーちゃんかと思うもその謎の迫力に飯田さんが苦笑しながらお疲れさまでしたと言うように麦茶を出してくれた。もちろん人数分。
俺はどう言おうかと思ったけど
「前に株を購入し過ぎたって話しした事あったっけ?」
言えば全員が知らないと言った所でいきなりしくじった事を理解した。そういえばこの話知っているのは沢村さんと樋口さんと先生だったっけと一瞬冷や汗を流しながらも素知らぬ顔をして
「一度うちにまで挨拶に来てくれたんだけど株式総会とかいちいち遠すぎて出ないから代わりに手紙のやり取りはしてたんだ。お盆とかにはお線香くれたりする間柄だけど……」
「綾人の所に来る荷物の多さにどれかなんてわからないよ」
うちの荷物受け取り担当の宮下の言葉に会社とは全く関係ない名前だからそうだろうと心の中で頷きながら
「今までずっとそれだけの交流だったからね。せっかく遭遇できるチャンスだからって一度顔を合わせておこうと思って」
「なんで?」
そこは多紀さんが全く悪気のない顔で鋭く突っ込んでくれた事でほんと良く見てるよなと苦虫を潰しながら
「この家、売却するにあたり少し待ってもらっているんだけど、その協力をしてもらっているんだ。わがまま言ってる自覚からご挨拶に」
実際はお茶一杯ではなくお酒を何杯か頂く事になった。
絶対お高い奴と見せてくれたラベルは爺さんに教育してもらった想像通りのお高い奴。
飲んだ事ないだろうと言う顔をしていたので先手を打つように
「爺さんが好きだった銘柄ですね!よく飲ませていただきました!」
美味しいですよねーなんて笑ってその場を濁したけど、お茶一杯と言ってお呼ばれされたのにこれだけ酒臭くなって戻ってくれば圭斗さんがオコなのは仕方がないだろう。
こんなにも心配する顔が並んでいるし、蓮司もさっきから部屋の隅でいろいろと連絡を取り合ってる所を見るとここに居ない皆さんに報告をしているのだろう。想像以上にマメだなと感心しながら
「だけどほんと大丈夫なんだよね?」
「うん。ほんと顔合わせだけだから。
向こうは動画で俺の顔を知ってるけど俺は久しぶりだからね。十年会ってないから思い出せなかったけど社名のバッチをつけてくれたから顔と名前が一致出来たから大丈夫」
「ふーん」
なんてどこか冷めた飯田さんのお返事にやっぱり飯田さん達の知らない人についていったのがご立腹なのだろう。だけど俺にだって付き合いと言うものはあると言うようにそこは無視だ。
「それでお話は済んだの?」
心配そうな波留さんの声に
「まあ、八月中に決着つけるって前もって約束したことを再確認した程度だよ」
「綾人君の中でもう段取りは出来ているんだ?」
多紀さんの疑問。
「段取りは出来てるけど、段取り以前にそれ以外の選択ができない所まで来てるからね。俺じゃなく向こうが。出来なくてももう必要性がなくなったからやる事は変わらないし、それが約束だし」
爺さんとの思いでだけしかない家に愛着のなさを言えば多紀さんは難しい顔をするけどその前に
「麦茶お替りください」
空っぽになったグラスを飯田さんに差し出せば宮下が手を付けてない自分のグラスと交換してくれた。
「お水じゃなくって大丈夫ですか?」
「これぐらいなら寝れば何とかなるし」
なんて言いながらもテーブルに頭を横たえてしまえば
「こら、こんな所で寝るな」
「むーりー」
寝ないように奮闘する圭斗の背後で宮下が押し入れから布団を取り出してきてくれれば吸い込まれるように転がってしまう。
幸せ~って言うかこれなんか本日二度目のような?
んなのいちいち気にしないと言うように波留さんから枕を貰い、チョリさんが肌掛けをかけてくれたのでくるんと丸まりながら寝心地の良い体勢を整える眠る前のルーティンを行えば一瞬で意識はシャットダウンしてくれた。
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