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袖擦り合った縁はどこまで許すべきかなんて考えてはいけない 1

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大変申し訳ありません。
作業の不手際で同じ話しを複数登録してしまいました。
本来非公開にすればいい所を削除して整理してしまい、嬉しいはずの読者様のブックマークまで消えてしまいました。
毎日通っていただいた読者様に大変ご迷惑おかけしまして申し訳ありません。
今は情けないやらで呆然としている状態で、今後ともよろしくお願いしますとは言えなくて、本当に申し訳なさすぎです。
 
コツコツと続けて終わりも見えたこの状況で本当にご迷惑をかけて大変失礼しました。
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 春の終わり、初夏と言う季節。
 まだ春の名残の強い深山から都会へと呼び出された綾人はうだるような暑さに山に帰りたいと願いつつも広い和室の中で汗を流す事無く上座に座る顔なじみと向かい合っていた。
「いつも思うのもあれですが、地上で会うのはなんか違和感ありますね」
「そう思うのも仕方がないだろ。
 お前さんは前ほど飛行機に乗らなくなったのだからな」
「それでも年に何度かフランスやイギリス辺りに出掛けますよ。
 今年も既に二回行ってきましたし二回目もついこの間帰って来たばかりですしその時にもお会いしたじゃありませんか」
 どうせ呼び出すのならフランスから帰って来た時にそのまま呼んでよ。一度帰ってこれだけに来るのって面倒なんだよ?俺の行動ぐらい把握してるんでしょと湯呑に写り込む俺にめんどくさい話になったなと自分を慰めていた。

 東京経由での渡仏は春の雪解けの季節と世間一般が夏を迎える前には足を運んでいる。あと秋と冬前にも足を運んでいるが今は割愛。
 夏は山の手入れが忙しくて一週間も留守にすれば緑の侵略に犯される大事故が発生する、というのは大げさだけど。
 あの広い山をほぼ一人で管理するとなればどこかの道が封じられるのは毎年の事。
 長谷川さんに解決してもらうと言う技を見つけた所でお金を積んで頭を下げる事を決断した。
 いや、普通に依頼してお支払いをすると言うだけの事だけど。
 おかげで多少家を離れても問題なくなったし、任せても安全な所はお願いすると言う事も俺も覚えたし、決して安い賃金ではない物のキッチリと仕上げてくれる腕は年々上げて行くのを見て何よりですと褒め称えて誤魔化す事にしている。
 家の周りの木々は実桜さんと園芸部によって完全管理されているけど、宮下の家からうちに上がってくる道のりと脇の木々の管理、そして下の畑に飛び地の管理。
「もううちは吉野の使用人でいいと思うんだがの」
 長谷川の親分よいっちゃんもすっかり老いてしまったけど背筋はまだまだピンとしてるし、息子の健太郎さんにビシバシと指示を飛ばすまだまだ現役のお爺ちゃんは俺が頼りに行くたびに好々爺とした顔でこう言った話の流れに変って行く。
 俺が長沢さんと内田さんを頼っているのが羨ましいと言う顔なのだが、仕事の内容としてはいい勝負だろと思っている。
 なんせ実行しているのは工務店の人達なのだから本当に申し訳なさに燃料高騰していくこの世の中でちゃんと修正した料金表でのお支払いをこちらがお願いしないと危うい関係になりそうなので、そこは健太郎さんときっちり話す事にしている。
 おかげで最近では宮下に引っ付いて京都旅行もするようになったし、フランスの行き帰りの際にはただの交通機関の乗り換えポイントにせず東京に少し滞在して青山さん達に甘えたり、沢村さんの息子さんの事務所で税金関係のお仕事もするようにした。
 さらに増えた動画の視聴者さまから頂く手紙やプレゼントの管理をお願いをする小さな会社を立ち上げてその管理をお願いする様にしてあるのでその打ち合わせもさせていただいている。
 とは言え一つの倉庫の中に手作りキットの小屋と言う事務所を作り、荷物の仕分けをしてもらう単純作業だけど。力仕事だけど信頼する人からの紹介の方にお願いしているのでお任せしっぱなしで申し訳なく思ってるくらいだ。
 その方は浩太さんの元嫁。香さん。
 家のお金をちょろまかした人なんて全然信頼できないじゃんと考えたけど、雅治が家を出て娘と二人きりの生活になり、その娘も今は社会人となって独立してしまい、ぽっかりと胸に穴が開いてしまったように何もできなくなってしまったと言う。
 浩太さんが慌てて様子を向かいに行けば食事もまともに取れなくてやせ衰えていた所を無事保護されると言う、近所に住むご両親も気付かずにいた事件に泣きながら家に帰ってらっしゃいと説得していたと言う。
 だけど優秀な姉に対するコンプレックスは今だ深く持っているようで、頑なに拒絶する様子の話しを聞いてだったらと言う様に仕事と居場所を与えて監視する、ではなく管理すると言う様に目の届く所に置く事に決めた。
 もともと動画の視聴者様からのプレゼント問題はこう言った業者にお願いしていたけど、一向に減らないプレゼントや借りる敷地面積が年々大きくなっていく事を考えればちょうど良いタイミングとみての提案をしてみた。
 倉庫の中には業務用冷蔵庫と冷凍庫を置いて青山さんに管理をお願いしている。食品は主に青山さんの知り合いの子供食堂の所に寄付させてもらったり、ボランティア団体へ寄付させてもらったりしている。
 申し訳ないと思いつつ手作りの物はアレルギーチェックが出来ないので廃棄させてもらっている。命の問題になるのでこればかりはもったいないと思いつつも口にしないように青山さんとお互い注意を重ねている。
 時々その中から青山さんが香さんにおすそ分けをしていたりする。
 これは俺からのお願いで……
「こうやって俺と交流を持つ事で一人きりの世界だと思っている事を少しずつ壊していければって思ってるんですよ。そして交流の中でちょっといい事もあったりする事も思い出して貰えればいいんです」
 最初こそあまりいい顔はしなかった青山さんだったが、このこじつけの言い訳に仕方がないとその内容は青山さんが吟味する事で今のところ問題なく続いている。
 この話を聞いた息子の雅治と幸治も休日には手伝う様になり、あの事件での兄弟のわだかまりは取り払われたわけではないが少しずつ会話を重ねてお互いの近況とLIMEの連絡先を交換するくらいには修復しているらしい。
 
 そんな事もありだんだん東京の滞在時間も長くなってきたなと言う所での今回の呼び出し。
 絶対ろくな話しじゃないよなと内心敬遠する様に茶菓子も頂く。虎屋の羊羹うまー。
 些細な幸せに目の前の現実を逃避する綾人だった。
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