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気合を入れてまずは一歩 7
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あれから恐ろしく早く時が流れてあっという間に宮下と香奈の結婚式の日になった。本当にあっという間だなと雪が舞う中コツコツ家の補修しながら作り上げた家は本日賑やかを通り越えた大騒ぎとなっていた。
家作りに手を貸してくれた人達と宮下家の人達に何人かの友人達。
大人数だけど田の字型の部屋を全部開放すれば全然余裕があるくらいに納まって田舎凄いと羨ましがってもらえた。
宮下の親戚の人達も篠田と言う名前に最初こそ嫌そうな顔をしていた物の香奈の花嫁姿と楚々とした儚げな佇まい。あの血まみれ事件を思えばよくぞ擬装した物だと褒め称える所だろう。更に周囲が布団を着て歩くような花嫁衣装にあれこれ気を使う気配りに緊張からも笑顔で感謝を述べるその姿勢に警戒は雪解けの如くどんどん解けて行く。
朝から花嫁の実家を出て歩いて花婿の待つ新居へと向かう道のりは観光客に写真を撮られたり、外人さんにも大うけだった。
おまけにこの街で幅を利かす人達が同行しているのだ。
花嫁と花嫁の家族、そして仲人の長沢さん夫妻が揃い、そのすぐ側には内田さん蒼さん園芸部と言った職場仲間、長谷川一派と言った武闘派、ではなく街の顔なじみが揃いに揃って街中を練り歩いているのだ。
通りすがりの顔なじみの人も玄関の前に出ておめでとうとお祝いに手を振ってくれたりしてくれる温かい空気にみんなも幸せな顔を隠せないでいた。
新居の近くは長閑な田んぼや畑、俺が管理しきれてない空地や草原とかあったりする中を通る道を大きな和傘で日陰を作って貰うこの行列に近所の子供達も付いて来て大きな集団になっていた。
さすがに敷地内に入る所でありがとうございましたとお菓子を配りながら頭を下げて解散とした物の、俺は宮下と一緒に香奈が無事辿り着くのを待っていて、姿を見た所でまずはと言うようにほっとした。
後はもう時代劇で見るように上座に二人並んで座り、お酒に口をつければ大矢さんが用意してくれたお料理に舌包みを打ちながら飲めや騒げの大宴会。
うん、これ何時もと変んないね。
なんて夜まで続いた大宴会は飯田さんによって全滅させられたところでやっとお開きになった。
強いとは思ってたけどこれほどまでとはと正直思いもしなかった。
酒豪チームの長谷川さん達も全滅、大工チームも全滅。
もうね、無双ってこう言う事かと俺は日ごろの反省と共に一切お酒に口をつけなかったからシラフでひたすら潰されていく光景を眺める一番のはずれくじを引いていたと思うし、あとで多紀さんを筆頭とした撮影班が編集してくれた飯田さんのまとめはさすが気配りのプロフェッショナル。コップが空にならない気配り、そして料理が空になる前に追加する一流なタイミング、そしてお酒が入ってご陽気を通り過ぎていく人を確実に強制的な休憩に持ち込むテクニック。
編集していた飯田さんファンの多紀さんもどん引きにはならなく喜々として目を輝かせていたのは言うまでもない。
女衆は働き者で、こちらのお世話をしながらも台所で楽しく女子会で盛り上がっていたし、香奈も呑まれる前に宮下のおばさんにそっちに連れてってもらったので酔っ払いに絡まれる事無く問題はなかった。
寧ろ瑞々しいフルーツをふんだんに使ったケーキや色鮮やかなフレンチを囲んだお食事は楽しそうで、大矢さんには悪いがちょっと羨ましかった。
因みにチーム後輩達は麓の交通整備が終わった後大矢さんの所と連携して空いた食器が壊れる前に運び出したりとお手伝いに駆り出されていた。
空気の読める働き者だと感心するもしっかりバイト代をせしめる社会人。腹は立つ物の高齢化社会のこの街でありがたい若者と言う年齢は自分達の価値をちゃんと理解しているので悔しいが認めざるを得ない労働力。なんせ少しの距離とは言え家と側に車が乗りこめない状態の本日の宮下家の為に車道まで往復するのは若きマンパワー。良くやってくれたよとつつがなくお開きを迎えたこの田舎の結婚式に俺は解散と同時に麓の家へと戻るのだった。
そこでここで待機してもらっている人と向かい合う。
「お待たせしました。
無事香奈と宮下の結婚式も終わって先ほど解散となりました」
三人の女性を眺めながらこの家にやって来たのは俺と長沢さん、鉄治さんの三人で少しだけ参加してこっそり抜けた長沢さんと入れ替わる様に席を立った先生の待つ家でその女性達と向かい合っていた。
「気に入らない事は判ってたつもりですが、何でこんな事をしたんですか……」
そこには一枚の白無垢の花嫁衣装が飾られていた。
いや、白無垢だったはずの物。
黒い墨を肩や袖から裾に向かって流されて、墨を吸い取った花嫁衣装は見るも無残にも切り刻まれていた。
家作りに手を貸してくれた人達と宮下家の人達に何人かの友人達。
大人数だけど田の字型の部屋を全部開放すれば全然余裕があるくらいに納まって田舎凄いと羨ましがってもらえた。
宮下の親戚の人達も篠田と言う名前に最初こそ嫌そうな顔をしていた物の香奈の花嫁姿と楚々とした儚げな佇まい。あの血まみれ事件を思えばよくぞ擬装した物だと褒め称える所だろう。更に周囲が布団を着て歩くような花嫁衣装にあれこれ気を使う気配りに緊張からも笑顔で感謝を述べるその姿勢に警戒は雪解けの如くどんどん解けて行く。
朝から花嫁の実家を出て歩いて花婿の待つ新居へと向かう道のりは観光客に写真を撮られたり、外人さんにも大うけだった。
おまけにこの街で幅を利かす人達が同行しているのだ。
花嫁と花嫁の家族、そして仲人の長沢さん夫妻が揃い、そのすぐ側には内田さん蒼さん園芸部と言った職場仲間、長谷川一派と言った武闘派、ではなく街の顔なじみが揃いに揃って街中を練り歩いているのだ。
通りすがりの顔なじみの人も玄関の前に出ておめでとうとお祝いに手を振ってくれたりしてくれる温かい空気にみんなも幸せな顔を隠せないでいた。
新居の近くは長閑な田んぼや畑、俺が管理しきれてない空地や草原とかあったりする中を通る道を大きな和傘で日陰を作って貰うこの行列に近所の子供達も付いて来て大きな集団になっていた。
さすがに敷地内に入る所でありがとうございましたとお菓子を配りながら頭を下げて解散とした物の、俺は宮下と一緒に香奈が無事辿り着くのを待っていて、姿を見た所でまずはと言うようにほっとした。
後はもう時代劇で見るように上座に二人並んで座り、お酒に口をつければ大矢さんが用意してくれたお料理に舌包みを打ちながら飲めや騒げの大宴会。
うん、これ何時もと変んないね。
なんて夜まで続いた大宴会は飯田さんによって全滅させられたところでやっとお開きになった。
強いとは思ってたけどこれほどまでとはと正直思いもしなかった。
酒豪チームの長谷川さん達も全滅、大工チームも全滅。
もうね、無双ってこう言う事かと俺は日ごろの反省と共に一切お酒に口をつけなかったからシラフでひたすら潰されていく光景を眺める一番のはずれくじを引いていたと思うし、あとで多紀さんを筆頭とした撮影班が編集してくれた飯田さんのまとめはさすが気配りのプロフェッショナル。コップが空にならない気配り、そして料理が空になる前に追加する一流なタイミング、そしてお酒が入ってご陽気を通り過ぎていく人を確実に強制的な休憩に持ち込むテクニック。
編集していた飯田さんファンの多紀さんもどん引きにはならなく喜々として目を輝かせていたのは言うまでもない。
女衆は働き者で、こちらのお世話をしながらも台所で楽しく女子会で盛り上がっていたし、香奈も呑まれる前に宮下のおばさんにそっちに連れてってもらったので酔っ払いに絡まれる事無く問題はなかった。
寧ろ瑞々しいフルーツをふんだんに使ったケーキや色鮮やかなフレンチを囲んだお食事は楽しそうで、大矢さんには悪いがちょっと羨ましかった。
因みにチーム後輩達は麓の交通整備が終わった後大矢さんの所と連携して空いた食器が壊れる前に運び出したりとお手伝いに駆り出されていた。
空気の読める働き者だと感心するもしっかりバイト代をせしめる社会人。腹は立つ物の高齢化社会のこの街でありがたい若者と言う年齢は自分達の価値をちゃんと理解しているので悔しいが認めざるを得ない労働力。なんせ少しの距離とは言え家と側に車が乗りこめない状態の本日の宮下家の為に車道まで往復するのは若きマンパワー。良くやってくれたよとつつがなくお開きを迎えたこの田舎の結婚式に俺は解散と同時に麓の家へと戻るのだった。
そこでここで待機してもらっている人と向かい合う。
「お待たせしました。
無事香奈と宮下の結婚式も終わって先ほど解散となりました」
三人の女性を眺めながらこの家にやって来たのは俺と長沢さん、鉄治さんの三人で少しだけ参加してこっそり抜けた長沢さんと入れ替わる様に席を立った先生の待つ家でその女性達と向かい合っていた。
「気に入らない事は判ってたつもりですが、何でこんな事をしたんですか……」
そこには一枚の白無垢の花嫁衣装が飾られていた。
いや、白無垢だったはずの物。
黒い墨を肩や袖から裾に向かって流されて、墨を吸い取った花嫁衣装は見るも無残にも切り刻まれていた。
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