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冬場は雪から家を守る為に動かずにいれば冬眠と言われるなんて知らないと思ったら大間違いだ! 2
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クリスマス寒波と言う言葉がある様にこの頃は丁度天気が荒れる。
ただでさえ荒れたら敷地内でも迷子になるので宮下は勿論大和さんも来ない。
それどころかウコハウスさえ辿り着くのに危うい。
主に雪を掻きわけていかないといけない、小屋に入るのに雪をかき分けなければいけない。とはいえ餌は十分用意してあるけど水が汚れるので最低一日一回は変えなくてはいけない。水遊びする奴はこの季節居ないとはいえ、水を綺麗にして使おうなんて考えのない烏骨鶏なので藁や羽が混ざっている。だいぶ減らしたとは言えそれでも数は多い。
「今年のクリスマスチキンに使ってもなお余る」
何で冬場に向かって増やすかなと大和さんを少しだけ恨みながら今度街に行く時は猟友会の所に持って行こうと決めた。
ここの所これが最低限の運動。
さすがにこの吹雪の中に圭斗に雪かきに来てとは言えないのでまた温かな自室にこもってコツコツとプログラムを組み立てていく。
離れは竈ストーブに火を入れておけば家全体が温まって屋根の雪も勝手に落ちていく仕組み。人もいないのに火をたくのももったいないが、家の為と思えば当然の投資だと思う。
さすがに母屋は広いのでそこまで燃費良く家を温められないけど、それでも土間のロケットストーブをつけっぱなしにしておけば部屋からトイレに行くあいだが冷えなくてよろしいと止められないでいる。いや、止めたら土間に置いてるペットボトルが凍るから止められないんだけどね。
またウォーターサーバー買おうかな。暖かくなったら始めるかと今はやたらと買い込まれたペットボトルの水をロケットストーブに薬缶を置いて温めているので問題ないだろう。地味にゴミになるから嫌なんだよなーと思いながらも買ってしまった物は仕方がない。なんて使っているけど。
そんな感じで一週間を過ごしていた。
もちろん五右衛門風呂はさすがに使っていない。離れに火をくべに行く時五右衛門風呂にも火を入れておく。黙ってると凍るからね。さすがに釜の為にも凍らせないようにしたいから。となると普段のお風呂は家風呂となるが
「そういやいつ風呂に入ったっけ……」
多分ここが清潔好き飯田さんのオコ原因もプラスされていると思う。
ちょうどお風呂が沸き上がるアラームもなったので
「綾人さん、風呂に行って身ぎれいになってからご飯を食べましょう」
確かに怒るわけだと自分の匂いはあまり気にならないと言う様に匂いを嗅いでみたら結構臭かった。
自分が臭い、今まで気付かなかった事が奇跡だ。
いや、ほんと俺
「何やってたんだろう」
「目的を真っ直ぐしか見えてなかった証拠です。
これは綾人さんの悪い癖ですよ。なんてったって命に係わる」
「反省します」
「まぁ、これが初めてじゃないから俺は信じませんけどね」
飯田さんや先生が週に一度は見にくる理由に俺はどれだけ成長してないんだと何だか泣けてきた。
それからゆっくりとお風呂に浸かって柔らかく泡立つまで何度か頭や体を洗い、どれだけ剃らなくても産毛しか生えてこない無精ひげともおさらばし、ドライヤーでふわっふわになるくらい髪をしっかりと乾かして綺麗な服に着替えた所で洗濯機もまわす。枕カバーや布団カバーもついでに洗う理由はあの致命的な匂いが原因だ。
お風呂に入ってからベットに入る理由を改めて大切だと思いながら食卓に着けば飯田さんが雪にも負けずに竈オーブンからポテトグラタンを取り出して来てくれた。
頭の上には雪が積もって無かったんで
「止んでました?」
「ええ、空は綺麗に晴れ渡ってますよ」
良いもの見ましたと言うようなのほほんとした顔だが足元はひざ下まで雪がこびりついている。朝に竈オーブンに火を入れに行く為に雪かきをしたとは言え相変わらず積り方が酷いなとロケットストーブの前で雪を叩き落としている様子を眺めながら囲炉裏の傍でポテトグラタンを口に運ぶ。
「最っ高!」
「それは俺が雪まみれと言うスパイスも合わさってですか?」
「何をおっしゃる飯田様。ン十万かけて竈オーブン作った甲斐があったスパイスです!」
飯田さん苦笑い。
使用頻度から言うとコスパの悪いキッチンだけど、それ以上に満たしてくれるお料理に元は取れたと俺は思っている。
「おいしいですぅぅぅ」
うっとりとベシャメルソースの絡まったポテトを口へと運ぶ。
チーズの蕩け具合と言い、ポテトとソースの対比と言い
「まさに黄金比!」
「ありがとうございます」
さも当然と言わんばかりに頭を下げる飯田さんの余裕っぷり、何度見ても様になる。何度食べても変わらぬ美味しさに俺は半分魂がぬきかけた状態で咀嚼して飲み込んだ後の余韻を楽しんでいた。
飯田さんはそんな俺をツマミに牛タンステーキを囲炉裏で焼きながらビールを楽しんでいた。
やだ、ちょっとそれもおいしそう……
だけど今はポテトグラタンがあるので食べ終わったら貰おうと思う。
何かあの食べ方の勢いだと残ってないような気もするけどこんなにも沢山作ってくれたので良しとしよう。
騙されてるような気もするけどポテトグラタンに勝てる物なんてないんだから別に気にしないもんね。
「おいすうぃ~」
「明日のおやつに見にグラタンパイも作ってあるので楽しんでくださいね」
「あ、明日までまてるかな?」
「他の美味しい物も食べましょう」
しょうがないなと言う目ではなく栄養よく食べましょうと語る目にさっと視線を外して真剣にポテトグラタンの対話をする事にする。
何がポイントとなってグラタンパイを取り上げられるかなんて判らないからね。お犬様のご機嫌を損ねないように無心でポテトグラタンに集中する。途中横から出される煮物もポテトグラタンを食べ終わって余韻を楽しんだ後ご飯と一緒に食べる。
これもこれで美味し。
〆の料理として最高!とみそ汁も啜る。シンプルにわかめと豆腐の組み合わせ。いつも野菜を食べないと、肉も消費しないとと具だくさんの味噌汁派の俺の味噌汁なのでこう言うシンプルな物は食生活に余裕のあるメニューなんだと改めて思う。
まあ……
「大和さんから食料の補給をお願いされましたが本当に冷蔵庫の中身綾人さんの畑の物と猟で取れた物以外ないのですね!」
シンプルにならざるを得ない状況だった。
まあ、いざとなれば米と野菜と肉があれば何とかなるだろう。
こればあちゃんの言葉。
田んぼやってた時に一年分のお米を確保していたからそう言えるんだよなと今はないので冷蔵庫の中にお米を確保してある分だけしかないので冬場は米だけは大丈夫。精米してない状態なのでウコハウスの作業場の方に何十年物の精米機があるから精米すればいいだけだけど、普段の無洗米のお米の便利さを思えば春が待ち遠しい物だ。
なんせ古い精米機だから時々炊き上がると石が混ざっててあのがりっとした食感にご飯を食べるのが怖くなる瞬間。上島家のお米美味しいけどこればかりは我が家の精米機の性能の問題なので文句は言えない。お客様が居る間は購入したお米を使っているが、飯田さんはもうお客様とは言えないので上島家のハラハラドキドキこの白色大丈夫?のお米で召し上がっている。
曰く
「美味しいんですけどね」
「そう。美味しいんだけど、ね……」
何度かあたっているので少し垂れ耳だらりんしっぽのお犬様にその気持ちよくわかるよと同情はして
「今年精米機買い直そうかな」
「美味しいお米買ってきますね」
「どうせなら業務用に仕様。石抜って機能あるの絶対だよね!」
「ですね!」
それがたとえスーパーで売ってるお米の精米機の性能でなくともだ。
そうして食後は精米機購入のページをああだこうだと眺めながら無時雪が解けてトラックが家までたどり着ける頃我が家にやってくる事になり、何故か猟友会を始め皆さんご自宅に持っているはずなのに糠を置いて行く代わりにお使いに来るようになった。
色々な場所で見かける精米機料金取られるからね。
石問題はどの家庭でも悩みの種だったのねといらない分の糠を置いてってくれるのなら勝手に使ってねと言う条件で。
精米を始めると自然に集まるウコ達と言う光景は我が家の平和の象徴です。
ただでさえ荒れたら敷地内でも迷子になるので宮下は勿論大和さんも来ない。
それどころかウコハウスさえ辿り着くのに危うい。
主に雪を掻きわけていかないといけない、小屋に入るのに雪をかき分けなければいけない。とはいえ餌は十分用意してあるけど水が汚れるので最低一日一回は変えなくてはいけない。水遊びする奴はこの季節居ないとはいえ、水を綺麗にして使おうなんて考えのない烏骨鶏なので藁や羽が混ざっている。だいぶ減らしたとは言えそれでも数は多い。
「今年のクリスマスチキンに使ってもなお余る」
何で冬場に向かって増やすかなと大和さんを少しだけ恨みながら今度街に行く時は猟友会の所に持って行こうと決めた。
ここの所これが最低限の運動。
さすがにこの吹雪の中に圭斗に雪かきに来てとは言えないのでまた温かな自室にこもってコツコツとプログラムを組み立てていく。
離れは竈ストーブに火を入れておけば家全体が温まって屋根の雪も勝手に落ちていく仕組み。人もいないのに火をたくのももったいないが、家の為と思えば当然の投資だと思う。
さすがに母屋は広いのでそこまで燃費良く家を温められないけど、それでも土間のロケットストーブをつけっぱなしにしておけば部屋からトイレに行くあいだが冷えなくてよろしいと止められないでいる。いや、止めたら土間に置いてるペットボトルが凍るから止められないんだけどね。
またウォーターサーバー買おうかな。暖かくなったら始めるかと今はやたらと買い込まれたペットボトルの水をロケットストーブに薬缶を置いて温めているので問題ないだろう。地味にゴミになるから嫌なんだよなーと思いながらも買ってしまった物は仕方がない。なんて使っているけど。
そんな感じで一週間を過ごしていた。
もちろん五右衛門風呂はさすがに使っていない。離れに火をくべに行く時五右衛門風呂にも火を入れておく。黙ってると凍るからね。さすがに釜の為にも凍らせないようにしたいから。となると普段のお風呂は家風呂となるが
「そういやいつ風呂に入ったっけ……」
多分ここが清潔好き飯田さんのオコ原因もプラスされていると思う。
ちょうどお風呂が沸き上がるアラームもなったので
「綾人さん、風呂に行って身ぎれいになってからご飯を食べましょう」
確かに怒るわけだと自分の匂いはあまり気にならないと言う様に匂いを嗅いでみたら結構臭かった。
自分が臭い、今まで気付かなかった事が奇跡だ。
いや、ほんと俺
「何やってたんだろう」
「目的を真っ直ぐしか見えてなかった証拠です。
これは綾人さんの悪い癖ですよ。なんてったって命に係わる」
「反省します」
「まぁ、これが初めてじゃないから俺は信じませんけどね」
飯田さんや先生が週に一度は見にくる理由に俺はどれだけ成長してないんだと何だか泣けてきた。
それからゆっくりとお風呂に浸かって柔らかく泡立つまで何度か頭や体を洗い、どれだけ剃らなくても産毛しか生えてこない無精ひげともおさらばし、ドライヤーでふわっふわになるくらい髪をしっかりと乾かして綺麗な服に着替えた所で洗濯機もまわす。枕カバーや布団カバーもついでに洗う理由はあの致命的な匂いが原因だ。
お風呂に入ってからベットに入る理由を改めて大切だと思いながら食卓に着けば飯田さんが雪にも負けずに竈オーブンからポテトグラタンを取り出して来てくれた。
頭の上には雪が積もって無かったんで
「止んでました?」
「ええ、空は綺麗に晴れ渡ってますよ」
良いもの見ましたと言うようなのほほんとした顔だが足元はひざ下まで雪がこびりついている。朝に竈オーブンに火を入れに行く為に雪かきをしたとは言え相変わらず積り方が酷いなとロケットストーブの前で雪を叩き落としている様子を眺めながら囲炉裏の傍でポテトグラタンを口に運ぶ。
「最っ高!」
「それは俺が雪まみれと言うスパイスも合わさってですか?」
「何をおっしゃる飯田様。ン十万かけて竈オーブン作った甲斐があったスパイスです!」
飯田さん苦笑い。
使用頻度から言うとコスパの悪いキッチンだけど、それ以上に満たしてくれるお料理に元は取れたと俺は思っている。
「おいしいですぅぅぅ」
うっとりとベシャメルソースの絡まったポテトを口へと運ぶ。
チーズの蕩け具合と言い、ポテトとソースの対比と言い
「まさに黄金比!」
「ありがとうございます」
さも当然と言わんばかりに頭を下げる飯田さんの余裕っぷり、何度見ても様になる。何度食べても変わらぬ美味しさに俺は半分魂がぬきかけた状態で咀嚼して飲み込んだ後の余韻を楽しんでいた。
飯田さんはそんな俺をツマミに牛タンステーキを囲炉裏で焼きながらビールを楽しんでいた。
やだ、ちょっとそれもおいしそう……
だけど今はポテトグラタンがあるので食べ終わったら貰おうと思う。
何かあの食べ方の勢いだと残ってないような気もするけどこんなにも沢山作ってくれたので良しとしよう。
騙されてるような気もするけどポテトグラタンに勝てる物なんてないんだから別に気にしないもんね。
「おいすうぃ~」
「明日のおやつに見にグラタンパイも作ってあるので楽しんでくださいね」
「あ、明日までまてるかな?」
「他の美味しい物も食べましょう」
しょうがないなと言う目ではなく栄養よく食べましょうと語る目にさっと視線を外して真剣にポテトグラタンの対話をする事にする。
何がポイントとなってグラタンパイを取り上げられるかなんて判らないからね。お犬様のご機嫌を損ねないように無心でポテトグラタンに集中する。途中横から出される煮物もポテトグラタンを食べ終わって余韻を楽しんだ後ご飯と一緒に食べる。
これもこれで美味し。
〆の料理として最高!とみそ汁も啜る。シンプルにわかめと豆腐の組み合わせ。いつも野菜を食べないと、肉も消費しないとと具だくさんの味噌汁派の俺の味噌汁なのでこう言うシンプルな物は食生活に余裕のあるメニューなんだと改めて思う。
まあ……
「大和さんから食料の補給をお願いされましたが本当に冷蔵庫の中身綾人さんの畑の物と猟で取れた物以外ないのですね!」
シンプルにならざるを得ない状況だった。
まあ、いざとなれば米と野菜と肉があれば何とかなるだろう。
こればあちゃんの言葉。
田んぼやってた時に一年分のお米を確保していたからそう言えるんだよなと今はないので冷蔵庫の中にお米を確保してある分だけしかないので冬場は米だけは大丈夫。精米してない状態なのでウコハウスの作業場の方に何十年物の精米機があるから精米すればいいだけだけど、普段の無洗米のお米の便利さを思えば春が待ち遠しい物だ。
なんせ古い精米機だから時々炊き上がると石が混ざっててあのがりっとした食感にご飯を食べるのが怖くなる瞬間。上島家のお米美味しいけどこればかりは我が家の精米機の性能の問題なので文句は言えない。お客様が居る間は購入したお米を使っているが、飯田さんはもうお客様とは言えないので上島家のハラハラドキドキこの白色大丈夫?のお米で召し上がっている。
曰く
「美味しいんですけどね」
「そう。美味しいんだけど、ね……」
何度かあたっているので少し垂れ耳だらりんしっぽのお犬様にその気持ちよくわかるよと同情はして
「今年精米機買い直そうかな」
「美味しいお米買ってきますね」
「どうせなら業務用に仕様。石抜って機能あるの絶対だよね!」
「ですね!」
それがたとえスーパーで売ってるお米の精米機の性能でなくともだ。
そうして食後は精米機購入のページをああだこうだと眺めながら無時雪が解けてトラックが家までたどり着ける頃我が家にやってくる事になり、何故か猟友会を始め皆さんご自宅に持っているはずなのに糠を置いて行く代わりにお使いに来るようになった。
色々な場所で見かける精米機料金取られるからね。
石問題はどの家庭でも悩みの種だったのねといらない分の糠を置いてってくれるのなら勝手に使ってねと言う条件で。
精米を始めると自然に集まるウコ達と言う光景は我が家の平和の象徴です。
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