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時間の流れにしみじみと……するにはまだ早い 6
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十年前だったらきっと俺は親族と言うトラウマにストレスから逃げ出すのがお約束だっただろう。
少なからず夏樹と陽菜と文通と言うメッセージのやり取りと言うトレーニングで年に一度ぐらいは会えるようになった。
もうね、駿河湾の側とは言わないがお魚の美味しい地域に住んでいるので頑張って会う様にしたら意外と会えるじゃんと言う耐性が出来た。
最も俺の視界にはお魚しかないので二人の話しは耳を素通りして、俺はひたすら魚の美味しさを絶賛していた記憶しかない。お互い生存報告と一応イギリス土産を渡すと言う儀式を何度か繰り返した所で案外大丈夫な事に気が付いたのだった。
随分かかったがとりあえず吐く事は無くなってお魚を満喫できるようになった事はかなり大きかった。
漁港近くの定食屋に行くと深海魚も食べれるなんて、面白すぎだろうと年に一度は年に数度となった事は言うまでもない。魚うまー。
そんなぬるすぎる修行でも親族が帰ると聞かされても寒気と吐き気を催す事はなく、冷静な俺が夏樹の話を聞いていた。
「いつごろ来ると思う?」
もし来ると言うのなら出迎えなければいけない。
脳裏の奥底で沸いた言葉を押し込むように真剣な声で聞けば
「多分明日じゃないか?
なんかすごく焦ってたようだったから……」
深刻そうな声にはそうかと言って
「こっちは元吉野の職人の人達にヘルプ頼む事にするよ」
「まあそれが無難だね。俺も一応明日陽菜の顔を見てから行くから……」
「大丈夫だ。それより陽菜の側に居てやれ。あと仕事先の人とも話しをして助けてもらう様に頭下げて来い」
「言われなくてもちゃんとお願いしてくる」
落ち着いた理性的な声に俺は笑い
「さすが旦那。妻の事は守れるようになったか」
何てからかえば
「なんだかんだ言って助けてもらってるからな」
疑問を覚える程度に声が柔らかくて首をかしげる。
「まぁ、陽菜なら良い奥さんしてそうだし……」
疑問は隠すようにぶつけて油断する様に褒め称えれば
「実際いい奥さんって言うかかなりがんばってくれて……」
なんて言葉を濁す。
いや、待て。お前ら従兄妹同士だ。結婚できるけど……え? 待って……
動揺しつつもからかう言葉が止まらない。
「じゃあ、そろそろ記念に結婚写真でも撮りに行けば? 向こうにも有名な神社あっただろ。富士山の頂上にもある神社が確かあったよな。そこでも良いし、そういや自衛隊の結婚式ってあったよな。制服着てさ。ああいうのだったら俺も参加させてもらいたいかも。お祝は期待しても良いぞ?」
もう内心動揺する自分自身に言葉が止まらないと言う様に余計な事を言ってしまえば
「まぁ、その、だ。
軽蔑されるかもしれないけど……陽菜とはそう言うのも良いなって話しはしてる」
盛大に照れながらの報告に頭の中は真っ白だ。
「ただ、結婚する前にきちんと社会経験積んで綾人から借りてるお金をしっかり返して、それから結婚資金溜めてって具合になってるからもう少し時間かかると思うけど……」
「いや、俺が渡した金額を御祝いって事にチャラにするから。少しでも早く陽菜を安心させてやるべきじゃないか?」
きっと俺はテンパってるのだろう。
陽菜がやっと社会に出て人生を楽しめるようになったと言う事を忘れてまるで自分と同じ年齢だったと言う錯覚に急げ急げと焦らせてしまうも夏樹はおかしそうに笑い出し
「それはなしだ。陽菜は本当に綾人に感謝してるから。
せめて学費だけは自分で支払わせてくれって……
ほら一応夫婦だから学生時代のバイト代もしっかり溜めれてるから。もう少し陽菜の頑張りを見守っててくれ」
「お、おう……
余計な事かもしれないけど無理はするなよ?」
「ああ、もちろん」
何時の間にこんな穏やかな話し方をするようになったのだろう夏樹に動揺しながらも通話を切った。
叔父達がやって来るなんて事を思い出したのはそれから暫くしてからの硬直がとかれた後。
だけど俺は余程動揺していたのだろう。
落ち着くようにと何故か食器棚を動かしてまでの大掃除を始めるのだった……
少なからず夏樹と陽菜と文通と言うメッセージのやり取りと言うトレーニングで年に一度ぐらいは会えるようになった。
もうね、駿河湾の側とは言わないがお魚の美味しい地域に住んでいるので頑張って会う様にしたら意外と会えるじゃんと言う耐性が出来た。
最も俺の視界にはお魚しかないので二人の話しは耳を素通りして、俺はひたすら魚の美味しさを絶賛していた記憶しかない。お互い生存報告と一応イギリス土産を渡すと言う儀式を何度か繰り返した所で案外大丈夫な事に気が付いたのだった。
随分かかったがとりあえず吐く事は無くなってお魚を満喫できるようになった事はかなり大きかった。
漁港近くの定食屋に行くと深海魚も食べれるなんて、面白すぎだろうと年に一度は年に数度となった事は言うまでもない。魚うまー。
そんなぬるすぎる修行でも親族が帰ると聞かされても寒気と吐き気を催す事はなく、冷静な俺が夏樹の話を聞いていた。
「いつごろ来ると思う?」
もし来ると言うのなら出迎えなければいけない。
脳裏の奥底で沸いた言葉を押し込むように真剣な声で聞けば
「多分明日じゃないか?
なんかすごく焦ってたようだったから……」
深刻そうな声にはそうかと言って
「こっちは元吉野の職人の人達にヘルプ頼む事にするよ」
「まあそれが無難だね。俺も一応明日陽菜の顔を見てから行くから……」
「大丈夫だ。それより陽菜の側に居てやれ。あと仕事先の人とも話しをして助けてもらう様に頭下げて来い」
「言われなくてもちゃんとお願いしてくる」
落ち着いた理性的な声に俺は笑い
「さすが旦那。妻の事は守れるようになったか」
何てからかえば
「なんだかんだ言って助けてもらってるからな」
疑問を覚える程度に声が柔らかくて首をかしげる。
「まぁ、陽菜なら良い奥さんしてそうだし……」
疑問は隠すようにぶつけて油断する様に褒め称えれば
「実際いい奥さんって言うかかなりがんばってくれて……」
なんて言葉を濁す。
いや、待て。お前ら従兄妹同士だ。結婚できるけど……え? 待って……
動揺しつつもからかう言葉が止まらない。
「じゃあ、そろそろ記念に結婚写真でも撮りに行けば? 向こうにも有名な神社あっただろ。富士山の頂上にもある神社が確かあったよな。そこでも良いし、そういや自衛隊の結婚式ってあったよな。制服着てさ。ああいうのだったら俺も参加させてもらいたいかも。お祝は期待しても良いぞ?」
もう内心動揺する自分自身に言葉が止まらないと言う様に余計な事を言ってしまえば
「まぁ、その、だ。
軽蔑されるかもしれないけど……陽菜とはそう言うのも良いなって話しはしてる」
盛大に照れながらの報告に頭の中は真っ白だ。
「ただ、結婚する前にきちんと社会経験積んで綾人から借りてるお金をしっかり返して、それから結婚資金溜めてって具合になってるからもう少し時間かかると思うけど……」
「いや、俺が渡した金額を御祝いって事にチャラにするから。少しでも早く陽菜を安心させてやるべきじゃないか?」
きっと俺はテンパってるのだろう。
陽菜がやっと社会に出て人生を楽しめるようになったと言う事を忘れてまるで自分と同じ年齢だったと言う錯覚に急げ急げと焦らせてしまうも夏樹はおかしそうに笑い出し
「それはなしだ。陽菜は本当に綾人に感謝してるから。
せめて学費だけは自分で支払わせてくれって……
ほら一応夫婦だから学生時代のバイト代もしっかり溜めれてるから。もう少し陽菜の頑張りを見守っててくれ」
「お、おう……
余計な事かもしれないけど無理はするなよ?」
「ああ、もちろん」
何時の間にこんな穏やかな話し方をするようになったのだろう夏樹に動揺しながらも通話を切った。
叔父達がやって来るなんて事を思い出したのはそれから暫くしてからの硬直がとかれた後。
だけど俺は余程動揺していたのだろう。
落ち着くようにと何故か食器棚を動かしてまでの大掃除を始めるのだった……
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