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山にお帰り 6
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「そんでもって何の撮影なんです?」
「予告編の撮影だよ。
まずは第一弾ってね」
何てペラペラの薄いシナリオを見せてくれたのでありがたくパラパラと見させてもらう。
前作で完成した家の前で撮った記念写真(確かに撮ったな)から始まる物語は宮下の就職から圭斗の会社の設立、父との別れなど……
「かなりぶっこんできたな」
「普通はね。気付いてないようだけどこんなにも短期間で発生するイベントじゃないのよ」
「一番のハプニングは多紀さんが熊を連れて来たって奴だよね」
「あ、それ今回あるんだよー?
見せてあげれないけどちゃんと頂いた台本にのってるから映画楽しみにしててねー?
飯田君役の人ライセンス取りに行かせて実際銃にも触ってるらしいよ。本番どうなるか私は知らないけど」
「時系列ばらばらですね。
いや、そうじゃなくって普通に銃刀法に関るから小道具に決まってるでしょ」
「そうなの?やっぱりよくわかんないから私もライセンス取ろうかしら?
因みに熊襲撃は終わりの方に持って行くらしいよ?」
「なんでそうなる……」
波瑠さんらしいと思わず笑ってしまう。
そこで堀さんの大きな声が聞こえた。
「みんな注目!」
思わずその大きな声に視線を向けてしまうのが悲しい習性で、さりげなく今回の予告編第一弾の台本を奪われてしまったけど一度もう目を通したので俺には必要ない。
その合間にも堀さんの後ろに多紀さんがゆっくりとやってきて
「えー、撮影は既に朝から初めて今更だけどみんな『僕達が山と共に生きていく為に必要な事』第二弾にも付き合ってくれてありがとう!」
わーっとぱちぱちと歓声と拍手が沸き上がり、この広いとは言い切れない倉庫の中で反響して賑やかさが何倍にもなる。
何この茶番。
そしてお願いだからタイトル変更してよとセンスを疑わずにはいられない。
何やら多紀さんが朗々と挨拶をしているものの波瑠さんが俺の背中を押して多紀さんの隣に連れてこられたのも一瞬の出来事で逃げそびれて多紀さんの隣に並んでいた。
「前回はイギリスに留学していてみんなに紹介が出来なかったけど、彼がこの映画のモチーフとなった人物の綾人君だ!
綾人君一言挨拶を頂戴!」
何てペットボトルをマイクがわりに渡して来る辺り結構いい関係なんだなと感心をしつつ
「初めまして!そして久しぶりの方もお元気そうで何よりです!
動画で公開している事とは言えいろいろネタにされてる吉野綾人と申します!
皆さんなんで多紀さんを止めてくれなかったんですか!」
「いや、多紀を止めるのなんて無理だから」
俺の悲痛な叫びに笑いながら答えたのはなぜか瀬野さんだった。
何この顔触れと思うも俺の叫びに波瑠さんと蓮司が笑えばもうここは俺を弄るだけの場となってしまっていた。
「クソッ、これがアウェーの洗礼か?!」
「綾人君わけのわからない事言ってないでもう少し挨拶してよ」
波瑠さんに諦めようと言われた物のこんな事諦められないと言うように顔をあげれて
「実際の俺の山での生活はこんなイージーモードな生活ではありません。
寧ろ映画のような美しく正しい生活も出来ないし、自然は総てを一瞬で奪って行くほど残酷です。
そこの所を一作目では綺麗なまでにさっぱりと無視した青臭い青春映画でネタになった俺としては蕁麻疹出るほどの拒絶反応が出ましたが、それと同レベルで先生達も昭和臭漂う仕上がりに俺は満足して最後まで見る事が出来ました!」
言えば先生役の人はガッツポーズをしていて、蓮司はともかく慧はブーイングするのがやけに可愛らしかった。
「とりあえず素人の俺からは何も言えないので皆さん怪我には注意して撮影してください。
そして第三弾が発生しないように皆さん全力で阻止してください!」
「あははははー!綾人君無理だって!
多紀さん既に第三弾目に向けて台本書いてるんだよwww」
何て暴露。
思わず頭を抱えながら
「瀬野さん!何とか止めてください!」
「うーん、俺としては綾人君にうちの事務所に入ってもらいたいんだけど?」
「俺の年収こえる給料出してくれるのなら考えますよ?」
「うん。ごめん。うちの役者さん所かスタッフにもお給料出せなくなるから聞かなかった事にして?」
速攻でその話をなくした交渉に何故か蓮司が拍手をしてくれた。
俺にではなく、賢明な判断だと瀬野さんを褒め称えたのだろう。
「動画を撮っているのに映画に関しては素人です。
動画では素材として活動してますが、役者と言う分野は未知の領域です。
皆さん既に知っていると思いますが、今回の配役には全員オリジナルとなる人がいます。その人達は狭い町で誰もが顔なじみと言う場所で暮しています。
多紀さんとも約束した事ですが実際に居る人を使ってのフィクションの映画ですが、知る人がいれば当然すぐにばれてしまうほどの狭い世界ですので撮影後も役者として節度ある行動をどうぞお願いします」
そう言って挨拶を終えるように深く頭を下げる。
一作目から何も問題なくここまで来たが、これからがどうなるかなんて誰も想像つかない。なので大切な人達がトラブルに巻き込まれないようにと再度お願いをすれば、判ったよと言う様に拍手を貰えて少し気持ちが軽くなった。
「予告編の撮影だよ。
まずは第一弾ってね」
何てペラペラの薄いシナリオを見せてくれたのでありがたくパラパラと見させてもらう。
前作で完成した家の前で撮った記念写真(確かに撮ったな)から始まる物語は宮下の就職から圭斗の会社の設立、父との別れなど……
「かなりぶっこんできたな」
「普通はね。気付いてないようだけどこんなにも短期間で発生するイベントじゃないのよ」
「一番のハプニングは多紀さんが熊を連れて来たって奴だよね」
「あ、それ今回あるんだよー?
見せてあげれないけどちゃんと頂いた台本にのってるから映画楽しみにしててねー?
飯田君役の人ライセンス取りに行かせて実際銃にも触ってるらしいよ。本番どうなるか私は知らないけど」
「時系列ばらばらですね。
いや、そうじゃなくって普通に銃刀法に関るから小道具に決まってるでしょ」
「そうなの?やっぱりよくわかんないから私もライセンス取ろうかしら?
因みに熊襲撃は終わりの方に持って行くらしいよ?」
「なんでそうなる……」
波瑠さんらしいと思わず笑ってしまう。
そこで堀さんの大きな声が聞こえた。
「みんな注目!」
思わずその大きな声に視線を向けてしまうのが悲しい習性で、さりげなく今回の予告編第一弾の台本を奪われてしまったけど一度もう目を通したので俺には必要ない。
その合間にも堀さんの後ろに多紀さんがゆっくりとやってきて
「えー、撮影は既に朝から初めて今更だけどみんな『僕達が山と共に生きていく為に必要な事』第二弾にも付き合ってくれてありがとう!」
わーっとぱちぱちと歓声と拍手が沸き上がり、この広いとは言い切れない倉庫の中で反響して賑やかさが何倍にもなる。
何この茶番。
そしてお願いだからタイトル変更してよとセンスを疑わずにはいられない。
何やら多紀さんが朗々と挨拶をしているものの波瑠さんが俺の背中を押して多紀さんの隣に連れてこられたのも一瞬の出来事で逃げそびれて多紀さんの隣に並んでいた。
「前回はイギリスに留学していてみんなに紹介が出来なかったけど、彼がこの映画のモチーフとなった人物の綾人君だ!
綾人君一言挨拶を頂戴!」
何てペットボトルをマイクがわりに渡して来る辺り結構いい関係なんだなと感心をしつつ
「初めまして!そして久しぶりの方もお元気そうで何よりです!
動画で公開している事とは言えいろいろネタにされてる吉野綾人と申します!
皆さんなんで多紀さんを止めてくれなかったんですか!」
「いや、多紀を止めるのなんて無理だから」
俺の悲痛な叫びに笑いながら答えたのはなぜか瀬野さんだった。
何この顔触れと思うも俺の叫びに波瑠さんと蓮司が笑えばもうここは俺を弄るだけの場となってしまっていた。
「クソッ、これがアウェーの洗礼か?!」
「綾人君わけのわからない事言ってないでもう少し挨拶してよ」
波瑠さんに諦めようと言われた物のこんな事諦められないと言うように顔をあげれて
「実際の俺の山での生活はこんなイージーモードな生活ではありません。
寧ろ映画のような美しく正しい生活も出来ないし、自然は総てを一瞬で奪って行くほど残酷です。
そこの所を一作目では綺麗なまでにさっぱりと無視した青臭い青春映画でネタになった俺としては蕁麻疹出るほどの拒絶反応が出ましたが、それと同レベルで先生達も昭和臭漂う仕上がりに俺は満足して最後まで見る事が出来ました!」
言えば先生役の人はガッツポーズをしていて、蓮司はともかく慧はブーイングするのがやけに可愛らしかった。
「とりあえず素人の俺からは何も言えないので皆さん怪我には注意して撮影してください。
そして第三弾が発生しないように皆さん全力で阻止してください!」
「あははははー!綾人君無理だって!
多紀さん既に第三弾目に向けて台本書いてるんだよwww」
何て暴露。
思わず頭を抱えながら
「瀬野さん!何とか止めてください!」
「うーん、俺としては綾人君にうちの事務所に入ってもらいたいんだけど?」
「俺の年収こえる給料出してくれるのなら考えますよ?」
「うん。ごめん。うちの役者さん所かスタッフにもお給料出せなくなるから聞かなかった事にして?」
速攻でその話をなくした交渉に何故か蓮司が拍手をしてくれた。
俺にではなく、賢明な判断だと瀬野さんを褒め称えたのだろう。
「動画を撮っているのに映画に関しては素人です。
動画では素材として活動してますが、役者と言う分野は未知の領域です。
皆さん既に知っていると思いますが、今回の配役には全員オリジナルとなる人がいます。その人達は狭い町で誰もが顔なじみと言う場所で暮しています。
多紀さんとも約束した事ですが実際に居る人を使ってのフィクションの映画ですが、知る人がいれば当然すぐにばれてしまうほどの狭い世界ですので撮影後も役者として節度ある行動をどうぞお願いします」
そう言って挨拶を終えるように深く頭を下げる。
一作目から何も問題なくここまで来たが、これからがどうなるかなんて誰も想像つかない。なので大切な人達がトラブルに巻き込まれないようにと再度お願いをすれば、判ったよと言う様に拍手を貰えて少し気持ちが軽くなった。
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