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駆けぬく季節は何時も全力前進 1
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飛行機はイギリスに向かって直行コースを選んだ。
フランス経由を考えていたが
『綾人ごめん。
今演奏仲間の別荘にマイヤーと一緒にお邪魔してるんだ』
「別荘!金持ちそうな響きが聞こえてきた!」
『いや、綾人だって十分お金持ちだと思うよ?』
「目の肥えたオリヴィエにそう言ってもらえるのは光栄だ。
だったら一度イギリスに行ってから頼まれてたお土産を届けに行くよ」
『ありがとう!大吟醸飲みたい!』
「楽しみにするが良いと言いたいが美味い物がいつまでも残ってるといいな?」
『綾人のいじわる!!!』
そんな電話でのやり取りの通り、桐箱に入った日本酒が一番の大荷物となった。
土産コーナーで買ったので機内に持ち込みとなったが一升瓶を二本も買ったから重い事重い事……
その上トランクに入らない傘もあって随分と厳しいチェックを受ける事になったがそこは逆に傘を広げられてビューティフルとかファンタスティックとかプリティとか言われる始末。
そんな羞恥を潜り抜けて何とか辿り着いた大学に通う為のアパート。
さすがにこの日は誰も来なくてスイッチが切れた様にぱったりとベットに倒れ込む様に眠り、目が覚めた所で外に食料の買い出しついでにご飯を食べた所でおまけの衝動買い。
アンティークショップで蓄音機を見つけてしまったのだ。
お値段は安定しているのか相場があるのか知ってる値段と変わらない高級品は博物館にあってもおかしくない物。
「こんな物が普通に売ってるんだ」
驚きに声を出せば店主の老人は
「中々に良い音を出すぞ」
何てハンドルを回して古いクラッシックのレコードを聞かせてくれた。
ぽっ、ぽっ、と針が飛び、クリアとは言い難い音だがそれでもどこか愛おしく思う音。大きな花開くホーンに耳を傾けるのは亡き主人の声に耳を傾ける犬の気持ちが分るように再現をしてしまう。
プッ、プッ、と途切れる音はやがてスロウなメロディになって行き、やがて止まってしまった。
「スプリングモーターがだいぶいかれてるからな」
「まぁ、ゼンマイですからね。無理はさせれませんね」
炭素鋼の板バネを幾ら丁寧にメンテナンスをしても経年劣化で壊れてしまえば修理するしかないのだがそれがまた小さな箱に押し込められているだけに怪我をする可能性があるので購入もとに修理をお願いするのだが
「もうこれのメーカーはなかったですね」
「なに、直してくれる技術者がいればいい。ロンドンの古い時計の修理店だがそこのオーナーがこう言うのが得意でな。少し前に閉店したがまだ現役で働いているそうだから購入してくれるのなら紹介するぞ」
どこかで聞いた話だぞ?
だけど本当に治るのかと言う好奇心と言うか、構造に興味がわいて
「紹介を頼む」
ブラックカードを取り出して修理代を稼ぐためにも交渉をするのだった。
「世間ってホントに狭いなー」
「ああ、アヤト。またこんなビンテージを……
父さん、直りそう?」
「また手のかかりそうなのを拾って来たな」
想像通りエマーソン修理工房に足を運んだところでケリーと再会をした。
届けられた荷物の現状確認をする目的で来たのだが既にとかれた荷物にケリーの父親と仲間の職人に囲まれて持ち主の俺が近づけない事態。
「炭素鋼の板バネは交換した方がいいな」
「油が固まって引っ付いてるぞ」
「ゼンマイも歯が欠けて、こりゃオーバーホールしないと無理だぞ」
「ホーンも穴が開いてるし、よくこんなものを買ったな」
すごくディスられているが俺はにっこりと笑みを浮かべ
「直してくれる凄腕の職人が居ると聞いたので」
これ以上と無い笑みと期待に満ちた瞳を向ければそこは職人の矜持と言うか意地と言う物だろう。
「当然、これぐらい直すの何てわけがない」
「ああ、こんな骨董品、昔は毎日直してたぞ」
「どれ、早速工場に持って行くぞ!」
お爺ちゃん達を転がすのって簡単だな……
綾人は口には出さないけどその後ろ姿を見送り
「あ、ケリー、これお土産」
前にウィルに買ったお土産の切子をウィルの家で羨ましそうな目で見ていたのを思い出してのチョイス。
切子は結構好評で俺の渡英の手荷物のほとんどがこう言った割れ物注意な物だったので気が気じゃなく、無時壊れずに渡せた事にホッとしたのは言うまでもない。
フランス経由を考えていたが
『綾人ごめん。
今演奏仲間の別荘にマイヤーと一緒にお邪魔してるんだ』
「別荘!金持ちそうな響きが聞こえてきた!」
『いや、綾人だって十分お金持ちだと思うよ?』
「目の肥えたオリヴィエにそう言ってもらえるのは光栄だ。
だったら一度イギリスに行ってから頼まれてたお土産を届けに行くよ」
『ありがとう!大吟醸飲みたい!』
「楽しみにするが良いと言いたいが美味い物がいつまでも残ってるといいな?」
『綾人のいじわる!!!』
そんな電話でのやり取りの通り、桐箱に入った日本酒が一番の大荷物となった。
土産コーナーで買ったので機内に持ち込みとなったが一升瓶を二本も買ったから重い事重い事……
その上トランクに入らない傘もあって随分と厳しいチェックを受ける事になったがそこは逆に傘を広げられてビューティフルとかファンタスティックとかプリティとか言われる始末。
そんな羞恥を潜り抜けて何とか辿り着いた大学に通う為のアパート。
さすがにこの日は誰も来なくてスイッチが切れた様にぱったりとベットに倒れ込む様に眠り、目が覚めた所で外に食料の買い出しついでにご飯を食べた所でおまけの衝動買い。
アンティークショップで蓄音機を見つけてしまったのだ。
お値段は安定しているのか相場があるのか知ってる値段と変わらない高級品は博物館にあってもおかしくない物。
「こんな物が普通に売ってるんだ」
驚きに声を出せば店主の老人は
「中々に良い音を出すぞ」
何てハンドルを回して古いクラッシックのレコードを聞かせてくれた。
ぽっ、ぽっ、と針が飛び、クリアとは言い難い音だがそれでもどこか愛おしく思う音。大きな花開くホーンに耳を傾けるのは亡き主人の声に耳を傾ける犬の気持ちが分るように再現をしてしまう。
プッ、プッ、と途切れる音はやがてスロウなメロディになって行き、やがて止まってしまった。
「スプリングモーターがだいぶいかれてるからな」
「まぁ、ゼンマイですからね。無理はさせれませんね」
炭素鋼の板バネを幾ら丁寧にメンテナンスをしても経年劣化で壊れてしまえば修理するしかないのだがそれがまた小さな箱に押し込められているだけに怪我をする可能性があるので購入もとに修理をお願いするのだが
「もうこれのメーカーはなかったですね」
「なに、直してくれる技術者がいればいい。ロンドンの古い時計の修理店だがそこのオーナーがこう言うのが得意でな。少し前に閉店したがまだ現役で働いているそうだから購入してくれるのなら紹介するぞ」
どこかで聞いた話だぞ?
だけど本当に治るのかと言う好奇心と言うか、構造に興味がわいて
「紹介を頼む」
ブラックカードを取り出して修理代を稼ぐためにも交渉をするのだった。
「世間ってホントに狭いなー」
「ああ、アヤト。またこんなビンテージを……
父さん、直りそう?」
「また手のかかりそうなのを拾って来たな」
想像通りエマーソン修理工房に足を運んだところでケリーと再会をした。
届けられた荷物の現状確認をする目的で来たのだが既にとかれた荷物にケリーの父親と仲間の職人に囲まれて持ち主の俺が近づけない事態。
「炭素鋼の板バネは交換した方がいいな」
「油が固まって引っ付いてるぞ」
「ゼンマイも歯が欠けて、こりゃオーバーホールしないと無理だぞ」
「ホーンも穴が開いてるし、よくこんなものを買ったな」
すごくディスられているが俺はにっこりと笑みを浮かべ
「直してくれる凄腕の職人が居ると聞いたので」
これ以上と無い笑みと期待に満ちた瞳を向ければそこは職人の矜持と言うか意地と言う物だろう。
「当然、これぐらい直すの何てわけがない」
「ああ、こんな骨董品、昔は毎日直してたぞ」
「どれ、早速工場に持って行くぞ!」
お爺ちゃん達を転がすのって簡単だな……
綾人は口には出さないけどその後ろ姿を見送り
「あ、ケリー、これお土産」
前にウィルに買ったお土産の切子をウィルの家で羨ましそうな目で見ていたのを思い出してのチョイス。
切子は結構好評で俺の渡英の手荷物のほとんどがこう言った割れ物注意な物だったので気が気じゃなく、無時壊れずに渡せた事にホッとしたのは言うまでもない。
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