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維持する努力が一番難しく思います 1
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判っているが飯田さんと先生は仲がよろしくない。
判っていたとはいえフランスの時にちょーめんどくさかった(主に先生が)のでお互い何かのルールがあるようなので飛び火を貰わないようにつっこまないようにしていた俺は飯田さんのポテトグラタンを食べながら至福の時を過ごしていた。
山葡萄?
瓶に詰めて冷蔵庫に入れておいてください。
瓶に入らない?
タッパーに詰めて冷凍庫に入れておいてください。
飯田さんの扱いぞんざいすぎない?
今は仕方がないよ。
だって今はスーパー神との対話の時間。
誰だ頭悪そうと言う奴は。
森羅万象ただの人の子は神の下ではすべからく無知なガキに決まっている。
なので、俺は堂々と竈オーブンで焼かれたポテトグラタンを心行くまま食べていた。
カリッと焼けた表面のチーズのさっくり感を楽しんだ後、その下でトロリととろけるチーズ層と言う二種類を楽しみながらベシャメルソース、いわゆるホワイトソースを堪能する。もうここで半分神の御許に召されていると言うのにポテトと言う魅惑の食材が隠されているのだ。
いや、相変わらず美しいロゼッタを咲かせる造形にもうっとりしてしまう。
だが今はその夢見心地な気分も半減してしまうのは目の前に先生がそれはそれはぶっさいくな顔で俺を睨んでいるからだ。
俺は仕方がなくカトラリーを置いた。
ちなみに飯田さんがいつだったかの誕生日に青山さんがくれた物を運んでくれたがそれを基本愛用している。
青山さんがくれる物なら絶対いい物だ。
その証拠に口当たりがいいんだよ。
さすが国産食器メーカー。カトラリーまでこの心遣い、百均のカトラリーじゃなくってフォークとスプーンが使えなくなりました。
そんな所で罠が発生。
あまりの使い心地の良さに折角だから揃えようかと思った所で食器メーカーのサイトで通販をしようとした所でお値段を見てびっくり。
「やだ、このスプーン一本でお肉買えちゃうじゃないの」
しかも牛肉を。
カトラリーなんてお値段気にした事なかったけどさすがにビビって買えなかった。
まあ、後日その事を素直に御礼と共に言えば
「自分で買うには躊躇うけど、貰ってうれしい物ってそう言う物なんだよ」
いくら山のようにスプーンとフォークがあってもやっぱり敏感な口の中に入れる食器はそれなりにお値段を出した物が良いと言うのが嫌でも判ってしまった。
たとえ高級すぎて箱に入れたまま倉庫に放置している物が山になってあるとしてもだ。
来てもらった時にお土産で頂いたケーキを一緒に食べた時のフォークに対しての指摘かと思ったけど、そこは年長者のアドバイスを勉強させてもらうだけ。
なんせあの時買えなかったカトラリーを今の財力なら俺は買える!
そうして贅沢にも31ピースセットを購入。
一人暮らしなのにね、なんてことは言わない。
何で素数かと思ったがバターナイフがあれば仕方がない納得の数字。
それ以来俺はずっとこれを使っているが、高校生ズにはもったいないので離れに持って行ったスプーンとフォークを使わせている。
何気に青山さんに発見されて笑っていただけて何よりだけど、そのおかげで至高の料理を頂けるのなら納得のお買い物だ。
だけど目の前には先生の顔。
「あのさ、人が折角幸せな気分でポテトグラタン食べてるのに何で邪魔するの」
「気にしなくていいんだよー。
別にシェフだけが裏山の秘密を教えてもらったからってふてくされてるわけじゃないんだしー」
飯田さんがいるのにここにいる理由を理解すれば納得…… したくない。
ただ一言。
メンドクセー……
「別に秘密じゃない場所で、ただ道のりが危険だからあまり人に教えたくないだけ。
ジイちゃんが山の動物が下に行かないようにって育てた山葡萄を少し頂く程度の場所だから人が行く場所じゃないの」
「でもシェフは連れてったんだろー?
つか、お前のじーさんなんでそんな所に山葡萄の葡萄棚何てそんなフロンティアに作ったんだよ」
「フロンティアって、一応うちの山なんだけど……
まあ、いいか。大体あってるしね」
何か納得いかない物のそんな先生のツッコミなんてめんどくさいから気にせずに
「ほら、うち昔ジイちゃんの代まで林業やってただろ?
その時に木を切った後植樹するんだけど、杉ばかりじゃ山の動物の食べ物が無くなるからって時々二度と行きたくない場所には木の実が生る木を植えて放置する事にしてるんだって。
だけどここって美味しい物とか、特に甘い物なんて縁がないだろ?
バアちゃんの為にたまたま手に入れた山葡萄の苗を植えてみたらしいんだ。
だけど山葡萄の植樹は初めてだから上手く育つか判らないからって、こっそり植えてみたらしいんだけど結果を見れば上手にできたから調子乗って本格的に育てたらしいんだ。
そんでもって、小さい時一時ここに居た時に教えてもらって美味しいって喜んだらジジバカがさく裂して農園かってぐらいになったんだ」
「二度と行きたくない場所に?」
「あんな難所を乗り越えて?」
先生も飯田さんも驚く様に聞くが俺も溜息を零し
「小学生低学年にあんな場所を連れて行くジイちゃんも酷いけど、ああやって作ってくれた葡萄棚が本当に綺麗だったからすごいって言わずにはいられなかったんだよ」
こんな事になるとは思わなかったんだから仕方がないだろうと言うも
「よし!明日晴れたら山葡萄見に行くぞ!」
先生が決意したと言う様に立ちあがり、俺と飯田さんは単純だなぁと生暖かい目で見ながら
「明日は霧が出て雨になる予定だよ」
残念でしたと言うも
「だったら雨が止んでからだな」
先生そんなポジティブなキャラじゃないだろうと突っ込みたかったけどとりあえず鬱陶しいので無視して俺はまた神との対話に戻る事にした。
そして翌日。
「嘘だろう……」
「良い天気、ですねー……」
霧からの雨の予定は何だったんだと言う天気予報と前線の配置はすっかり一晩で様変わりして雲一つない晴天が広がっていた。
さすがにこれには飯田さんも言葉を失って空を見上げていたが、謎のやる気を発揮した先生によって一人一台草刈り機とデンノコを手渡されて強制的に出発させられる事になった。
判っていたとはいえフランスの時にちょーめんどくさかった(主に先生が)のでお互い何かのルールがあるようなので飛び火を貰わないようにつっこまないようにしていた俺は飯田さんのポテトグラタンを食べながら至福の時を過ごしていた。
山葡萄?
瓶に詰めて冷蔵庫に入れておいてください。
瓶に入らない?
タッパーに詰めて冷凍庫に入れておいてください。
飯田さんの扱いぞんざいすぎない?
今は仕方がないよ。
だって今はスーパー神との対話の時間。
誰だ頭悪そうと言う奴は。
森羅万象ただの人の子は神の下ではすべからく無知なガキに決まっている。
なので、俺は堂々と竈オーブンで焼かれたポテトグラタンを心行くまま食べていた。
カリッと焼けた表面のチーズのさっくり感を楽しんだ後、その下でトロリととろけるチーズ層と言う二種類を楽しみながらベシャメルソース、いわゆるホワイトソースを堪能する。もうここで半分神の御許に召されていると言うのにポテトと言う魅惑の食材が隠されているのだ。
いや、相変わらず美しいロゼッタを咲かせる造形にもうっとりしてしまう。
だが今はその夢見心地な気分も半減してしまうのは目の前に先生がそれはそれはぶっさいくな顔で俺を睨んでいるからだ。
俺は仕方がなくカトラリーを置いた。
ちなみに飯田さんがいつだったかの誕生日に青山さんがくれた物を運んでくれたがそれを基本愛用している。
青山さんがくれる物なら絶対いい物だ。
その証拠に口当たりがいいんだよ。
さすが国産食器メーカー。カトラリーまでこの心遣い、百均のカトラリーじゃなくってフォークとスプーンが使えなくなりました。
そんな所で罠が発生。
あまりの使い心地の良さに折角だから揃えようかと思った所で食器メーカーのサイトで通販をしようとした所でお値段を見てびっくり。
「やだ、このスプーン一本でお肉買えちゃうじゃないの」
しかも牛肉を。
カトラリーなんてお値段気にした事なかったけどさすがにビビって買えなかった。
まあ、後日その事を素直に御礼と共に言えば
「自分で買うには躊躇うけど、貰ってうれしい物ってそう言う物なんだよ」
いくら山のようにスプーンとフォークがあってもやっぱり敏感な口の中に入れる食器はそれなりにお値段を出した物が良いと言うのが嫌でも判ってしまった。
たとえ高級すぎて箱に入れたまま倉庫に放置している物が山になってあるとしてもだ。
来てもらった時にお土産で頂いたケーキを一緒に食べた時のフォークに対しての指摘かと思ったけど、そこは年長者のアドバイスを勉強させてもらうだけ。
なんせあの時買えなかったカトラリーを今の財力なら俺は買える!
そうして贅沢にも31ピースセットを購入。
一人暮らしなのにね、なんてことは言わない。
何で素数かと思ったがバターナイフがあれば仕方がない納得の数字。
それ以来俺はずっとこれを使っているが、高校生ズにはもったいないので離れに持って行ったスプーンとフォークを使わせている。
何気に青山さんに発見されて笑っていただけて何よりだけど、そのおかげで至高の料理を頂けるのなら納得のお買い物だ。
だけど目の前には先生の顔。
「あのさ、人が折角幸せな気分でポテトグラタン食べてるのに何で邪魔するの」
「気にしなくていいんだよー。
別にシェフだけが裏山の秘密を教えてもらったからってふてくされてるわけじゃないんだしー」
飯田さんがいるのにここにいる理由を理解すれば納得…… したくない。
ただ一言。
メンドクセー……
「別に秘密じゃない場所で、ただ道のりが危険だからあまり人に教えたくないだけ。
ジイちゃんが山の動物が下に行かないようにって育てた山葡萄を少し頂く程度の場所だから人が行く場所じゃないの」
「でもシェフは連れてったんだろー?
つか、お前のじーさんなんでそんな所に山葡萄の葡萄棚何てそんなフロンティアに作ったんだよ」
「フロンティアって、一応うちの山なんだけど……
まあ、いいか。大体あってるしね」
何か納得いかない物のそんな先生のツッコミなんてめんどくさいから気にせずに
「ほら、うち昔ジイちゃんの代まで林業やってただろ?
その時に木を切った後植樹するんだけど、杉ばかりじゃ山の動物の食べ物が無くなるからって時々二度と行きたくない場所には木の実が生る木を植えて放置する事にしてるんだって。
だけどここって美味しい物とか、特に甘い物なんて縁がないだろ?
バアちゃんの為にたまたま手に入れた山葡萄の苗を植えてみたらしいんだ。
だけど山葡萄の植樹は初めてだから上手く育つか判らないからって、こっそり植えてみたらしいんだけど結果を見れば上手にできたから調子乗って本格的に育てたらしいんだ。
そんでもって、小さい時一時ここに居た時に教えてもらって美味しいって喜んだらジジバカがさく裂して農園かってぐらいになったんだ」
「二度と行きたくない場所に?」
「あんな難所を乗り越えて?」
先生も飯田さんも驚く様に聞くが俺も溜息を零し
「小学生低学年にあんな場所を連れて行くジイちゃんも酷いけど、ああやって作ってくれた葡萄棚が本当に綺麗だったからすごいって言わずにはいられなかったんだよ」
こんな事になるとは思わなかったんだから仕方がないだろうと言うも
「よし!明日晴れたら山葡萄見に行くぞ!」
先生が決意したと言う様に立ちあがり、俺と飯田さんは単純だなぁと生暖かい目で見ながら
「明日は霧が出て雨になる予定だよ」
残念でしたと言うも
「だったら雨が止んでからだな」
先生そんなポジティブなキャラじゃないだろうと突っ込みたかったけどとりあえず鬱陶しいので無視して俺はまた神との対話に戻る事にした。
そして翌日。
「嘘だろう……」
「良い天気、ですねー……」
霧からの雨の予定は何だったんだと言う天気予報と前線の配置はすっかり一晩で様変わりして雲一つない晴天が広がっていた。
さすがにこれには飯田さんも言葉を失って空を見上げていたが、謎のやる気を発揮した先生によって一人一台草刈り機とデンノコを手渡されて強制的に出発させられる事になった。
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