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運動と食欲と勉強と寝る事が子供の仕事です 2

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 畑を耕し、雑草を抜いて、間引きをしたり、畝を直したりとそういや幸治はあの三バカと同じ学年なんだよなと今更ながらに気付いて一樹と草刈りからの枝の打ち落しを教えている景色を眺めていた。園田達が卒業した翌年の陸斗達の学年は俺が口を挟む隙すらない自主性の集団だったので放置していたためにすっかりその後何て忘れていたが……
 畑を出て柵の向こうで樹によじ登りながら枝打ちをする田舎の子供の逞しさを柵越しに眺めながら
「そういや宿題ちゃんとやってるか?」
 声を掛ければ今頃何を言ってるのと言うように俺を見ながら
「もう終わらせました」
「さすが」
 なんて褒めておく。高校の三年の夏休みの宿題の物量に疑問を覚えるが
「陸斗さんから大学に行くなら学んでおいた方がいいよって大学で使う教科書を譲って貰ったり入試に必要な実技を聞いて親父に教えてもらったりしてます」
「おう、準備万端だな」
「はい……」
 なんて返事はある物の何か陰りがあるのでどうしたのかと思えば、木からぴょんと降りてきた一樹が
「こいつ浩太さんがフランスで仕事した時の動画でバーナード・エルソンを知ってフランスの建築学に憧れてるんですよ」
 思わぬ暴露。なんで言うのと言う様にあたふたしてる姿がまだまだ可愛いなあと笑いながら
「浩太さん知ってるのか?」
 聞けば首を横にフルフルと振って
「家の経済的には無理ですよ」
 そんな苦笑い。
「それに学ぶ場所があればどこでも変わらないし。今学ばなくてもお金を貯めて行くと言う手もありますから」
 堅実な考えに感心してしまう。
「それにいきなりフランスの学校に行かなくてもバーナード・エルソンの建築物を見学に行くのも勉強ですから」
「そう言ってネットでフランス語勉強したり旅行代金溜めたりしてるくせに。綾人さんに甘えたらってそそのかしてみたんだけどさこいつ自力で行くって聞かないんです」
「そそのかしたのか?」
「すぐに人に頼るのか気になって」
 なるほど。さすが坊主の子供、精神的な成長半端ない。
「園田先輩にもすぐそうやって頼るようじゃ綾っちに見放されるからその前に聞けって注意受けたのもありますが」
「綾っち言うな。っていうか園田慕われてるなあ」
「なんだかんだ一番身近な兄貴でしたので」
 一樹の評価に笑ってしまう。園田よ、後輩に好かれてるなと仲が良すぎて笑えてしまったので
「だったら高校卒業して大学受かったらフランスの城に招待してやる。浩太さんの仕事した所見せてやるから頑張れよ」
「え?マジ?!良いの?!」
 まったくの予想外と言う様に喜ぶ幸治に
「一樹もまだ来た事なかったよな。一緒に来れる様に親を説得してこい。陸斗に面倒見させるつもりだし山田と下田にもいい勉強になるから声を掛けるか」
 五人揃えば不安は薄らぐだろうと連絡を入れておけば直ぐに連れてってください。パスポート取りに行ってきますと言う返事。今度の春も賑やかだなとこうやって後輩達を招待できるのもこれで最後になるのかなと思っていれば
「でしたら俺もコッツウォルズのストーンウォールを見たいです!
 折角ヨーロッパまで行くのなら是非みたいです!他にも見てみたい建築物がありまして」
 言いながらスマホを取り出してさすがにWi-Fi届かないぞと言いたかったけど見せてくれたのはスマホのスクショで
 イギリス経由でコッツウォルズと駅の間で見れる建築物を調べてまとめた物なんです!」
 その熱意の昼に家に戻ったら俺に写真を送れと伝えて届いたその写真の山を見れば脱帽だ。ちゃんと電車のルートから回れる所の中には俺の大学先の町もあり、本当に調べた事の証明には叶えてあげたいなぁと思いつつも詰め込み過ぎで時間が足りなくて笑うしかなかった。

 そして次の日。

「長谷川さんおはようございます!若手の労力連れてきました!」
「おう、先生の教え子さんだってな。相変わらず面倒見が良い」
 何て笑う長谷川工務店と圭斗達が集まったのは国道沿いの竹林。もう放置竹林何て呼ばせないそれなりに交通の邪魔にはならなくなった場所だと思っている。
「昼までせいぜいこき使ってやってください」
 虫よけスプレーを全身ぶっかけ長そで長ズボン、そしてネット付きの麦わら帽子に軍手と言う全身防備をさせられて何をするのかと思うも
「じゃあ、高校生達は切った竹をあの機械の側まで運んでほしい」
 機械を扱えと言われるのではないかと思ってちょっと怖がっていたようだがただ運ぶだけの簡単なお仕事だと判れば任せてくださいといい返事。すまんな。本当は一番地味で過酷な仕事なんだと誰もが悪いねと思いながらも笑顔で頑張れよとエールを送る人でなしの集団がここに居た。
「じゃあ、俺他の用事を済ませて来るので、宮下、弁当予約しておいてくれ。帰りに取に行ってくるから」
「じゃあ十一時三十分受取時間にするね」
「スペシャルコンビ丼におかずのチキン南蛮付けといて」
「はーい。もう注文しちゃうからメニュー決まったら教えてね!」
 既にメニュー表も用意してあり、竹を伐採する時の恒例のお楽しみなっている。俺が高額メニューを頼んでいるので皆さんその金額を目安に容赦なく注文をしてくれる。弁当二つ三つもあったりするが、そこは気を使って俺の金額からあまりはずれない程度で押さえてくれているから心行くまで食べてくれるようになるべく高額になる様にこっちも気を使っている。
 飲み物も足りる様に水とお茶などをケースで事前に宮下に用意させているので問題ないのを確認してから
「じゃあ陸斗、高校生達頼むな」
「綾人よ、そこは先生に頼むんじゃないのか?」
 一応引率の自覚はあるらしい。
「綾っち相変わらず忙しいんだね」
 いつの間にか園芸部も高校生の連中に感化されて俺の事を綾っ地と言う様になっていた。
「綾っち言うな。まあ、ここは縁起でもないからな」
 言えば圭斗がどこからかやってきて、その手にはうごうごと動く黒い物体を掴んでいた。
「まぁ、急ぐな。それよりも竹チップのベットで育ったカブトムシの丸々と成長した所をしっかりと目に焼き付けて行けよ」
「見せるな!
 カブトムシ何てゴキに角が生えたのと変わらんだろ!!!」
「さすがにそれはカブトムシに対して失礼だぞ」
「幼虫何てウコの餌にしてやる!」
 思わず全力で叫ぶも高校生達は
「カブトムシだ!」
「すげー!大漁だ!」
「カブトムシ取り放題って夢だよな!」
と言って下田に案内されてカブトムシを捕まえていた。竹チップを捨てた所を掘り返せば気持ち悪いほどいると言うのに捕まえに行く意味わからねーと俺は車に乗ってこれから会う約束をしている沢村さんと樋口さんの待つ喫茶店へと逃げ込むのだった。



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