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予想外は本当に無防備な想定外で俺を巻き込むなと言いたいけど何故あとヨロで済ますと怒りながらも付き合う俺素敵だと思う 4
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そこからはチョリと多紀さんの感想となった。
チョリさんはあの楽譜を初めてもらった時のこらえきれない衝動とか、練習中何度壁に向かって物を投げつけたとか、あの日の演奏後の喪失感とか久しく忘れていた感覚だけにたとえ有名になりすぎて一度は挑戦した事ある曲でもこうやって形を変えれば難易度も上がり、まだまだ未熟だと問われる事もあると言う。この場にはそれなりに音楽に詳しい人間しか居なかったけど第一線で働く売れっ子に言わせるとはマイヤーってほんと凄いんだな。ご飯をたかりに来る気の良いお爺さんじゃないんだなと綾人の中で評価は爆上がりとなっている。もともと芝生を刈ってご飯を食べると言うギブ&テイクの関係だと思っていたのに改めてすごい人と付き合ってたんだなあと近すぎてわかりにくくなった関係を改めて修正しなくてはと思いながら多紀さんの話に耳を傾けていた。
「ほんとね、綾人君が人使い荒いのは知ってたけどまさか噂の『フランスまでちょっと来い』って言うのを自分の耳で聞くとは思わなかったよ」
ザーサイで紹興酒をちびりと舐めながら幸せそうに話を始めた。
「ちょっと動画を撮って欲しいんだけどって言ってさ、いったい僕を何なんだと思ってるのかって聞きたかったけど話しを聞いたらあのマイヤー・ランドルートが綾人君の城の大広間完成お披露目で指揮を執るからハンディカメラで撮るんじゃなくって記念にちゃんとしたので記録してほしいっていってさ。これはただ事じゃないぞって瀬野を説得したらセッティングに一日、撮影一日、撤去に一日って実質二日の時間しかくれなかったんだ。勿論移動時間は別だけど、綾人君も瀬野と話をしてくれて渡航費とか全部綾人君持ちだったのには後から聞かされて驚いたけど。
撮影機材の手配とかをオリヴィエの事務所の所長さん達に協力を仰いで僕達は自分のカメラだけ持って綾人君のお城でお世話になるだけだったから意外と時間に余裕あったのは助かったよ」
何せ撮影場所と寝泊りする場所は同じ城内。ご飯も疲れて食欲がない所だけどオリオールと飯田の体に優しいご飯はアシスタント含めこんな仕事ならいつでも来ますと言う始末。
「それに何より綾人君の留学先での生活ぶりが見れてほっとしたんだよね。
友人関係とか城に関る人達との交流とか、ロードとの年齢を超えた友情とか、拾ったオリヴィエの健やかな成長とか。
綾人君の人が分ってその中に僕もいる。そう思ったら感動で泣けて来てね」
思い出してか感涙と涙を流す横で綾人は従業員を呼んでお気に召したのか点心と皮蛋を頼み、すぐに運ばれた皮蛋を多紀さんの前に差し出すのだった。何気に酷いなと蓮司は思いながらも問題なく紹興酒のつまみで食べて行く多紀に綾人はちっと舌打ちをしながらツバメの巣の蟹のみそあんかけの煮込み料理を追加する本日一番の高額メニューを容赦なく頼むのだった。
一応波瑠さんが連れて来てくれたとは言え食後のデザートを頂く前にトイレに行って先にここまでのお支払いを済ませておく。ここから発生する追加料金を波瑠さんにお願いする程度には甘える事を覚えた綾人は食後に甘めのスパークリングワインを注文してまだ食べるのと言う茉希の驚きの視線なんて軽く無視をする。そしてレジで聞かされた料金に驚く波瑠に年下なのに気を使うなと怒られながらもレジで販売していた桂花陳酒を追加してまったくもーと呆れられながらも今度こそ差しで飲む時は素直に奢られなさいよと言う約束を取り付けてさせた所で満足してもらうのだった。
二次会は……と言う所でチョリさんが多紀さんと波瑠さんを回収してくれておなかいっぱいお酒もいっぱいという様に茉希と慧も帰って行った。
それから俺と蓮司はふらりと歩いてある店の裏側に辿り着き
「青山さん、お水下さい」
「綾人君、楽しかったのは判ったけどね。蓮司君も連れて来てくれてありがとう」
青山さんは苦笑紛れに上がりなさいと言ってくれて青山さんの仕事部屋へと案内してくれた。
高遠さん曰く店の冷蔵庫より貴重な美味しい物が入ってると言わしめる冷蔵庫から良く冷えた水のペットボトルを一本ずつもらいほっと息を零す。
エアコンで管理された室内、だけど湿度は調整されていてさらっとした空気だけど乾燥はしてなく心地が良い。火照った体が冷やされて眠気を誘う物の
「綾人さんも蓮司君も今日は楽しかったですか?」
飯田さんがほのかな甘い香りを連れて来てくれた。
ほんのりと出汁を効かせた何も入ってないおかゆを差し出してくれて体を温める様にゆっくりと頂いて
「うん。慧と茉希にも会えたし瀬野さんの指示で波瑠さんとチョリさんと多紀さんと一緒にご飯食べれ美味しかったー。ちなみに中華ね」
蓮司は一瞬穏やかな顔をしていた飯田の顔が引きつったのを確かに見たがそっと視線を反らせて見ていないふりをした。
「考えたらツバメの巣食べたの初めてだけど正直蟹のみそあんかけの味が強くてよく判らなかったな」
美味しかったけど言った物のと言ったがそれだけで飯田はどこの店の料理か理解して顔を青ざめる。あれは一品だけでコースメニューが頼める高額だったはずなのにと誘った波瑠さんはさぞかし驚いただろうと思っていたが
「飯田さん、俺が食べてみたかったんだから波瑠さんに出させる真似はさせないよ」
ですよねー、なんて言葉はサービスマンのプロとして言わないが顔に出ていたかと思い口元を隠してしまう。それを見て
「そんなにも高額料理だったのか?!」
と今更ながら驚く蓮司だったが
「安心してください。うちにはそれ以上の料理はいくらでもあるのでカードの上限額を取っ払ってお越しください」
開き直った飯田は一本百万するワインありますよとセールストークをする物の寧ろ味が分らないのに呑んだら怒られると蓮司は涙目だった。綾人はその意見には大いに頷き、一度そのクラスのワインを開けたら最後。青山はそのお客を容赦なくそのレベルのお客様としてもてなす準備をするのだろう。
そしてこの店はその青山に選ばれた客のみ通される事が許された[Mon chateau]だ。
その程度の金額でビビる客はいないし寧ろその特別を求める人がこの城の主になる為の特別な場所。入手も簡単でもないし購入する客も滅多に居ないワインを管理するだけでも大変なのにその満足感を満たす為に用意された一品を取りそろえるのが青山の仕事。綾人はその特別を満たす為に来るたびにレアなワインを求めて三分の一程を残してバックヤードで皆さんに振舞うと言う事を繰り返しているがそこは蓮司に知る必要のないこの店のパトロンとしての仕事だと思っている。
本日はそんな店で従業員用のトイレを借りたりクールダウンをしたりして少し休憩をさせていただき飯田さんが仕事が終わるのを待って失礼させてもらうのだった。ほんとお金にならないお客様で御免なさいと青山さんに謝り、飲み過ぎて顔色の悪かった蓮司も何とかすっきりとまでは言わないが落ち着いた所でタクシーを呼んで帰させるのだった。
そして俺も飯田の明日からの休日と共に山奥の家まで送ってもらう事になるのだがその別れ際の僅かな時間。
「青山さん、人に甘えれるっていいですね」
大広間のお披露目を準備する間綾人がした事は請求書の支払いとお客様を迎えて挨拶をするだけだった。その他はほとんど周囲の人達がしてくれて綾人もゲストの一員と言う様に楽しむ事が出来た。ほとんどオリヴィエの事務所の所長さんの采配だが俺との間にエドガーが入ってくれたとは言えトラブルもなく最後まで終えたのだから大成功と言うのだろう。
「そうだね。綾人君は出会った頃から賢い子だったから年齢の割には甘えるの下手だったからね。薫に我が儘言う姿を見て安心したぐらいだから」
年相応な顔も出来るんだと言う言葉は飲み込み
「飯田さんは良くも悪くもお兄ちゃんだからね。歳下のあしらい方も知っているし兄としての我慢も知ってるからついってね?」
「それは薫に聞かせれないな」
「いえ、もう面と向かって言ってるので問題ないっす」
何を今更と言うように言えば青山さんは苦笑して、だから人が良さそうな顔をして扱いが難しい兄を子供時代に戻したような薫と上手く付き合えるのかと少しだけ羨ましく思ってる間に薫が一度家に帰ってから出かけてきますと言って綾人に変な事を吹きこまれないようにと逃げる様に家へと向かい、久しぶりに帰る事の出来る綾人と何処か浮かれた甥の姿を見送った。
チョリさんはあの楽譜を初めてもらった時のこらえきれない衝動とか、練習中何度壁に向かって物を投げつけたとか、あの日の演奏後の喪失感とか久しく忘れていた感覚だけにたとえ有名になりすぎて一度は挑戦した事ある曲でもこうやって形を変えれば難易度も上がり、まだまだ未熟だと問われる事もあると言う。この場にはそれなりに音楽に詳しい人間しか居なかったけど第一線で働く売れっ子に言わせるとはマイヤーってほんと凄いんだな。ご飯をたかりに来る気の良いお爺さんじゃないんだなと綾人の中で評価は爆上がりとなっている。もともと芝生を刈ってご飯を食べると言うギブ&テイクの関係だと思っていたのに改めてすごい人と付き合ってたんだなあと近すぎてわかりにくくなった関係を改めて修正しなくてはと思いながら多紀さんの話に耳を傾けていた。
「ほんとね、綾人君が人使い荒いのは知ってたけどまさか噂の『フランスまでちょっと来い』って言うのを自分の耳で聞くとは思わなかったよ」
ザーサイで紹興酒をちびりと舐めながら幸せそうに話を始めた。
「ちょっと動画を撮って欲しいんだけどって言ってさ、いったい僕を何なんだと思ってるのかって聞きたかったけど話しを聞いたらあのマイヤー・ランドルートが綾人君の城の大広間完成お披露目で指揮を執るからハンディカメラで撮るんじゃなくって記念にちゃんとしたので記録してほしいっていってさ。これはただ事じゃないぞって瀬野を説得したらセッティングに一日、撮影一日、撤去に一日って実質二日の時間しかくれなかったんだ。勿論移動時間は別だけど、綾人君も瀬野と話をしてくれて渡航費とか全部綾人君持ちだったのには後から聞かされて驚いたけど。
撮影機材の手配とかをオリヴィエの事務所の所長さん達に協力を仰いで僕達は自分のカメラだけ持って綾人君のお城でお世話になるだけだったから意外と時間に余裕あったのは助かったよ」
何せ撮影場所と寝泊りする場所は同じ城内。ご飯も疲れて食欲がない所だけどオリオールと飯田の体に優しいご飯はアシスタント含めこんな仕事ならいつでも来ますと言う始末。
「それに何より綾人君の留学先での生活ぶりが見れてほっとしたんだよね。
友人関係とか城に関る人達との交流とか、ロードとの年齢を超えた友情とか、拾ったオリヴィエの健やかな成長とか。
綾人君の人が分ってその中に僕もいる。そう思ったら感動で泣けて来てね」
思い出してか感涙と涙を流す横で綾人は従業員を呼んでお気に召したのか点心と皮蛋を頼み、すぐに運ばれた皮蛋を多紀さんの前に差し出すのだった。何気に酷いなと蓮司は思いながらも問題なく紹興酒のつまみで食べて行く多紀に綾人はちっと舌打ちをしながらツバメの巣の蟹のみそあんかけの煮込み料理を追加する本日一番の高額メニューを容赦なく頼むのだった。
一応波瑠さんが連れて来てくれたとは言え食後のデザートを頂く前にトイレに行って先にここまでのお支払いを済ませておく。ここから発生する追加料金を波瑠さんにお願いする程度には甘える事を覚えた綾人は食後に甘めのスパークリングワインを注文してまだ食べるのと言う茉希の驚きの視線なんて軽く無視をする。そしてレジで聞かされた料金に驚く波瑠に年下なのに気を使うなと怒られながらもレジで販売していた桂花陳酒を追加してまったくもーと呆れられながらも今度こそ差しで飲む時は素直に奢られなさいよと言う約束を取り付けてさせた所で満足してもらうのだった。
二次会は……と言う所でチョリさんが多紀さんと波瑠さんを回収してくれておなかいっぱいお酒もいっぱいという様に茉希と慧も帰って行った。
それから俺と蓮司はふらりと歩いてある店の裏側に辿り着き
「青山さん、お水下さい」
「綾人君、楽しかったのは判ったけどね。蓮司君も連れて来てくれてありがとう」
青山さんは苦笑紛れに上がりなさいと言ってくれて青山さんの仕事部屋へと案内してくれた。
高遠さん曰く店の冷蔵庫より貴重な美味しい物が入ってると言わしめる冷蔵庫から良く冷えた水のペットボトルを一本ずつもらいほっと息を零す。
エアコンで管理された室内、だけど湿度は調整されていてさらっとした空気だけど乾燥はしてなく心地が良い。火照った体が冷やされて眠気を誘う物の
「綾人さんも蓮司君も今日は楽しかったですか?」
飯田さんがほのかな甘い香りを連れて来てくれた。
ほんのりと出汁を効かせた何も入ってないおかゆを差し出してくれて体を温める様にゆっくりと頂いて
「うん。慧と茉希にも会えたし瀬野さんの指示で波瑠さんとチョリさんと多紀さんと一緒にご飯食べれ美味しかったー。ちなみに中華ね」
蓮司は一瞬穏やかな顔をしていた飯田の顔が引きつったのを確かに見たがそっと視線を反らせて見ていないふりをした。
「考えたらツバメの巣食べたの初めてだけど正直蟹のみそあんかけの味が強くてよく判らなかったな」
美味しかったけど言った物のと言ったがそれだけで飯田はどこの店の料理か理解して顔を青ざめる。あれは一品だけでコースメニューが頼める高額だったはずなのにと誘った波瑠さんはさぞかし驚いただろうと思っていたが
「飯田さん、俺が食べてみたかったんだから波瑠さんに出させる真似はさせないよ」
ですよねー、なんて言葉はサービスマンのプロとして言わないが顔に出ていたかと思い口元を隠してしまう。それを見て
「そんなにも高額料理だったのか?!」
と今更ながら驚く蓮司だったが
「安心してください。うちにはそれ以上の料理はいくらでもあるのでカードの上限額を取っ払ってお越しください」
開き直った飯田は一本百万するワインありますよとセールストークをする物の寧ろ味が分らないのに呑んだら怒られると蓮司は涙目だった。綾人はその意見には大いに頷き、一度そのクラスのワインを開けたら最後。青山はそのお客を容赦なくそのレベルのお客様としてもてなす準備をするのだろう。
そしてこの店はその青山に選ばれた客のみ通される事が許された[Mon chateau]だ。
その程度の金額でビビる客はいないし寧ろその特別を求める人がこの城の主になる為の特別な場所。入手も簡単でもないし購入する客も滅多に居ないワインを管理するだけでも大変なのにその満足感を満たす為に用意された一品を取りそろえるのが青山の仕事。綾人はその特別を満たす為に来るたびにレアなワインを求めて三分の一程を残してバックヤードで皆さんに振舞うと言う事を繰り返しているがそこは蓮司に知る必要のないこの店のパトロンとしての仕事だと思っている。
本日はそんな店で従業員用のトイレを借りたりクールダウンをしたりして少し休憩をさせていただき飯田さんが仕事が終わるのを待って失礼させてもらうのだった。ほんとお金にならないお客様で御免なさいと青山さんに謝り、飲み過ぎて顔色の悪かった蓮司も何とかすっきりとまでは言わないが落ち着いた所でタクシーを呼んで帰させるのだった。
そして俺も飯田の明日からの休日と共に山奥の家まで送ってもらう事になるのだがその別れ際の僅かな時間。
「青山さん、人に甘えれるっていいですね」
大広間のお披露目を準備する間綾人がした事は請求書の支払いとお客様を迎えて挨拶をするだけだった。その他はほとんど周囲の人達がしてくれて綾人もゲストの一員と言う様に楽しむ事が出来た。ほとんどオリヴィエの事務所の所長さんの采配だが俺との間にエドガーが入ってくれたとは言えトラブルもなく最後まで終えたのだから大成功と言うのだろう。
「そうだね。綾人君は出会った頃から賢い子だったから年齢の割には甘えるの下手だったからね。薫に我が儘言う姿を見て安心したぐらいだから」
年相応な顔も出来るんだと言う言葉は飲み込み
「飯田さんは良くも悪くもお兄ちゃんだからね。歳下のあしらい方も知っているし兄としての我慢も知ってるからついってね?」
「それは薫に聞かせれないな」
「いえ、もう面と向かって言ってるので問題ないっす」
何を今更と言うように言えば青山さんは苦笑して、だから人が良さそうな顔をして扱いが難しい兄を子供時代に戻したような薫と上手く付き合えるのかと少しだけ羨ましく思ってる間に薫が一度家に帰ってから出かけてきますと言って綾人に変な事を吹きこまれないようにと逃げる様に家へと向かい、久しぶりに帰る事の出来る綾人と何処か浮かれた甥の姿を見送った。
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