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朱に交われば赤くなると言う元の朱は誰ぞと問えば白い目で見られる理不尽知ってるか? 2

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 テストを終えて一足先にフランスの城へと向かった。
 仕方がない。皆様追加の課題を貰ったりご実家に帰ったりとそれなりに予定を持っているのでこの三週間ほどしかないイースター休暇は次の学期、進級に向けて修正して行かなくてはいけない大切な時期なのに追加課題を貰うなんて初めてだろう皆さまに正直遊んでる余裕あるのかよと思う綾人だったが、そこはもう成人なので自己責任と生暖かい目で見て置いた。
 ともあれ無時追加課題を済ませて案内通りフランスの片田舎までやって来た同級生達はポカンと城を見上げていたのを綾人は満足げに眺めるのだった。
「よく来た。まってたぞー」
「アヤト、ここって……」
 お城ですよね?とあわあわしながら確認を取ろうとするジェレミーに誰も答えられずにいたけど
「綾っちー、バイト仲間来たのー?」
「綾っちー、部屋の掃除終わったよー」
「綾人さん、オリオールが皆さんが到着なさったらお茶にしましょうって言ってます」
「水野、植田、綾っち言うな。
 飯田さんありがとうございます。すぐに向かいますので紹介させていただきますって伝えてください」
「はい分りました。
 陸斗君、テーブルのセッティングに行きましょうか」
「はい!みんなも頑張ってるので先行きますね!」
 飯田さんを置いて駆けだした陸斗の後姿を見送りながら山の家と変わらない懐かしい光景を眺め癒される。
 ポカンとする七人組に
「綾人、彼らは一体何なんだ?」
 見慣れた同郷の顔立ちに叶野が小首を傾げれば
「ああ、留学する前に面倒見ていた後輩達だよ。
 俺が住んでる地元の子で最初の二人が無事就職したからお祝いに招待したんだ。残りの奴らは英語の勉強、そして飯田さんはこれから働く間ご飯を作ってくれるオリオールのお弟子さんで、今回彼らの引率をしてくれる人だ。俺が雇うバイトとしては彼らの方が先輩なんだ。彼らに失礼のないように頼むぞ」
「うん。まあ、当然だ」
 などと偉そうに叶野は言う。まあ、確かに叶野の実家は戦後の高度成長期に合わせる様に大企業とも言うべく成功した家柄なので偉そうな態度を取るのは仕方がないと言う物だろう。
 まあ、それもケリーのような家柄から見れば成り上がりと言うらしいが、その点家の歴史だけならケリーの家よりも長い永遠の庶民な我が家はどういうべきなのかと考えてしまう。いや、だから中央から見たら地方の家が……なんて笑われるオチになるのだろうと今更ながらに物語と重ねて理解して納得するのだが今の時代となればだから何なんだと言う物だろう。通信設備さえ整えてあれば手に入らない物はないし、学びたい物も学べる。情報だって大概の事は拾えるし、ジャ●プも水曜日にならないと入荷しないけどネットなら当日に読む事が出来るので関係ない。
 さすがに発売日から遅れると言うショックは未だに忘れられないけどね。そんな所に田舎感を感じていたけど生活に不便はないとは言えなかったけど最低限は問題なく過ごせたので今では特に不便は感じていない。病院や歯医者が遠いのがネックで宅配や郵便が冬季お休みとかかなり痛い位で……
 負けない。
 くすんと突如泣きだした俺に一同ぎょっとするけどそこは無視をして
 「とりあえず先に紹介しよう。荷物はその後部屋に案内するから片付けると良い」
 なんて圭斗達が来れなかった代わりに引率で来てくれた飯田さんの作るおやつを楽しみにスキップする俺にどん引きする一同だがそれもおやつを頂くまでの一瞬。
「アヤト彼はいったい何者なんなんだ?!
 こんなにおいしいなんてロンドンのティールームでも食べた事ないぞ!」
 興奮するウィリスやクリフォードは感動しながら、アレックスはひたすら食べまくり、ジェレミーは感動しながらも手と口が止まる事は無かった。ケリーも美しい所作で一口一口堪能する様に、でも取り分けるトレーの上は山盛りだし、叶野も同様に一心不乱と言うように食べ続け、柊に至ってはこのバターはどちらの物でしょう。クリームもよく知る味とは違うしと研究に入り出すあたり真面目だなあと呆れて置く。
 だけどだ。
「綾っち酷い!グラタンパイ独り占めするなんて一口分けてください!」
「綾っち言う奴にグラタンパイがわけてもらえると思うな!」
 植田との攻防は誰も気にしてくれもしない。それどころか
「一口パイで良ければ焼けましたから植田君はこちらをどうぞ。そして綾人さんはそちらを食べ終えるまで手出し禁止です」
「飯田さん何をおっしゃってるんですか!うちの竈で焼かれたグラタンと関する物は総て俺の物に決まってるでしょ!」
「綾人さん、少し落ち着きましょうね」
「綾っちのグラタン好きが留学と共に重症化してるってどういう事……」
 綾人の隙をついて獲得した焼きたてのグラタンパイを熱にも負けずに頬張る水野の意見に飯田もこめかみを押さえているものの
「決まってるじゃないか。
 カオルが毎週食事を食べさせていたのに留学したら食べれないと嘆いていたぞ」
 オリオールが焼きたてのチェリーパイを持って来てテーブルの真ん中に置けば誰もがオリオールに視線を向ける。
「いろいろな付き合いでこの城にも月に一度は足を運んでくれてるが、それでもアヤトの舌を育てたのはカオルだからな。師の私よりもカオルの味を求めるのは当然だろ」
 私の方が美味いと言うのにと憤慨するオリオールだったが、飯田はこれ以上とないくらいの褒め言葉に顔を真っ赤にしてしまう。
 上には上がいるし、ここには尊敬する師もいる。
 だけど焦がれ求める味が飯田の料理だと聞かされて悦ばない料理人が何所にいる!
「綾人さん、何とか青山を言いくるめてまめに足を運びますね」
「いえ、青山さんを怒らせたくないのでそこはちゃんと我慢できますので」
 なんとなくそんなお断りだが飯田は青山をどう説得するべきか目的と手段が迷走しだしているのをオリオールは笑っていたが
「それよりもそろそろ腹も落ち着いたから自己紹介しよう」
 本日は営業日ではない物の暫く城に滞在する為に顔を見せに来てくれたリヴェットとオラスが和やかに笑いながら話しを進めてくれた為にようやくお互いの名前を知る事となった。


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