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めぐる季節の足跡と 4
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到着した時間はしっかりと夜のとばりの下りた暗い時間だった。
僅か数か月なのに懐かしいと思う景色、そして空気。
既に雪は降っていたようで道端に寄せられた雪が寒さを思い出させる中、路面はぬれてないので今日は天気が良かったのだろうと、逆に吹き抜けて行く突き刺すような風の冷たさに温かい電車から降りた体が寒さに震える。
込み合う改札口を人の流れに従う様に出れば
「綾人お帰り」
「お帰り、待ってたよ」
圭斗と宮下が改札口の正面で待っていた。
すぐ側には幸田さんもお帰りと客待ちのタクシーの中から手を振ってくれていた。
「ただいま。迎えに来てくれてありがとう」
幸田さんに手を振りながらどうせ駅前で待っているのだろうと思ってイギリス土産のお菓子を奥さんと一緒にどうぞと渡す間に宮下が重いトランクを車に乗せてくれた。
「とりあえず俺の家でいいか?」
「うん。先生にもお土産あるし、この季節に山の上までみんなに来いって言えないからね」
なんて言いながら車に乗った所で直ぐに圭斗の家へとやって来た。
ガラリと引き戸を開ければ待ち構えたかのような岡野夫妻。
「お帰りなさい!」
「綾人さんお帰りなさいッす!」
「ただいまー!
凛ちゃんおひさしぶりでしゅね!」
「やー!!!」
人見知りをしてか真っ先に実桜さんへと突進する凛ちゃんは多分すっきりと綾人の事を忘れてしまったのだろう。
良いもん。
くじけないもん。
ぐすんと涙をぬぐいながらも荷物を持って居間へとお邪魔すればすでにご飯を用意してくれていた後だった。
「陸斗は飯田さんに借りてる部屋を掃除してから来るからって明日帰って来る。勿論と言う様に園田もだ」
「下田達も明日帰って来るって言ってたから今日は泊まってくだろ?」
宮下もそう進めてくれるものの
「あー、そうだね。外は真っ暗だから明日の朝一番で一度帰る」
あの山道をスノーモービルで電気の明かりもない中突進していく勇気は綾人でもさすがにない。
言いながら綾人はトランクの中からお土産を取り出して行く。
部屋の片隅にいつぞや買ったクリスマスツリーの下にクリスマスプレゼントと言う名のお土産を並べてそれっぽく演出してみせるも
「凛ちゃん駄目だよ!」
蒼さんは慌てて並べられたクリスマスプレゼントに好奇心旺盛にリボンを引っ張ったりして遊びだそうとした所で慌ててトランクへと回収するのだった。
「やばー、さすがにまずった」
蒼さんは凛ちゃんを抱き上げてだめでしゅよーなんて言い聞かせるも、お子様にはまだ難しい話。だから
「じゃあ、これは先に渡しちゃいますねー。
凛ちゃんクリスマスプレゼントですよー」
紙の包み紙を渡されればやっぱり女の子だからか恥かしそうに、だけど嬉しそうに両手で受け取り、バリバリとがんばって自力で開けた先には
「くまさん!」
「かわいい!テディベアのぬいぐるみですね!」
なぜか実桜さんまでテンションが上がっていた。
「やっぱりこの時期テディベアがたくさん売られてるから一つは買わないとなって思って。圭斗達のは後で渡しても良いよな?」
「ああ、この様子なら凛ちゃんが寝てからの方が良いだろうし」
一目ぼれと言う様に凛ちゃんはクマのぬいぐるみを抱きしめてお気に召してくれたようだった。
「凛ちゃん良かったね。
じゃあ、俺達もそろそろご飯にしようか」
言いながら宮下が豚汁をよそってくれて、刺身や煮物の並ぶごく普通の和食な食卓を用意してくれた。もちろんみんな大好き実桜さん特製から揚げもテーブルの中央で山盛りとなっていた。
「クリスマスとかはみんな帰って来るから明日ね?」
「いえ!これは嬉しいご馳走です!」
圭斗もご飯をお茶碗一杯に盛って行く横で実桜さんもお茶を淹れてくれる。
蒼さんは凛ちゃんとくまさんのお相手で精一杯で、俺はお客様と言う様に何もせず並べられていくご飯に釘づけだった。
「懐かしいだろ?」
「向こうでも自炊してるけどやっぱりお米が美味しくないんだよ。
煮物とかもね、醤油とかはあるんだけどやっぱりなんか違うんだよ」
食べ慣れた味とと言えばそれは仕方がないと誰もが笑う。
「俺だって京都行った時いつも使い慣れてる味噌が売って無くってショックだったし」
「判る!同じ県内でもスーパーが違うだけで取り扱ってくれる商品がないとか、結構ストレスなんだよね!」
実桜さんもうんうんと唸る中
「こんばんはー!遅くなりました!」
「遠藤早く来ないと先に食べるぞ!」
「まってください!そこはよいっちゃんに文句言ってください!
これでも綾人さんが帰って来るからって一足先に帰してもらったんだから」
言いながら洗面所で手を洗ってやって来た遠藤を見て
「え?誰?」
遠藤と聞いてるのに素で聞いてしまった。
「綾人さん酷いっす!園芸部です!お久しぶりでっす!」
「ああー、園芸部って、うわ、なんかすごい変りざまwww」
現われた実桜さんの下僕の園芸部を久しぶりに見て妙にマッチョになって良く日に焼けてこんな時期だと言うのにこんがりと黒くなっていて笑うしかないと言うように腹を抱えて笑えば
「なかなかかっこよくなったでしょ!
実桜さんのしごきのおかげで肉体改造できました!」
「ふふふ、さっさと資格を取らないからアナログで仕事をしないといけない羽目になるからだよ」
何があったか聞きたいけどその内容だけで想像できる範疇だし、何があったか逆に聞いてはいけない気もするのでスルーしておく。
「綾人さんお帰りなさい!あ、これ長谷川の親分さんから久し振りだろうから持って行けって。奥さんの手作り漬物野沢菜です!」
「よし、圭斗頼む!」
「おう、とりあえず遠藤の飯の分頼むわ」
「そこは自力でできますから皆さん座っててください」
ちょっと見ない間にしっかり自立した人間になっていて感心をするも、こんもりと誰よりもお米を盛るお茶碗に確かに自力でやってもらいたい物だと納得をした。
僅か数か月なのに懐かしいと思う景色、そして空気。
既に雪は降っていたようで道端に寄せられた雪が寒さを思い出させる中、路面はぬれてないので今日は天気が良かったのだろうと、逆に吹き抜けて行く突き刺すような風の冷たさに温かい電車から降りた体が寒さに震える。
込み合う改札口を人の流れに従う様に出れば
「綾人お帰り」
「お帰り、待ってたよ」
圭斗と宮下が改札口の正面で待っていた。
すぐ側には幸田さんもお帰りと客待ちのタクシーの中から手を振ってくれていた。
「ただいま。迎えに来てくれてありがとう」
幸田さんに手を振りながらどうせ駅前で待っているのだろうと思ってイギリス土産のお菓子を奥さんと一緒にどうぞと渡す間に宮下が重いトランクを車に乗せてくれた。
「とりあえず俺の家でいいか?」
「うん。先生にもお土産あるし、この季節に山の上までみんなに来いって言えないからね」
なんて言いながら車に乗った所で直ぐに圭斗の家へとやって来た。
ガラリと引き戸を開ければ待ち構えたかのような岡野夫妻。
「お帰りなさい!」
「綾人さんお帰りなさいッす!」
「ただいまー!
凛ちゃんおひさしぶりでしゅね!」
「やー!!!」
人見知りをしてか真っ先に実桜さんへと突進する凛ちゃんは多分すっきりと綾人の事を忘れてしまったのだろう。
良いもん。
くじけないもん。
ぐすんと涙をぬぐいながらも荷物を持って居間へとお邪魔すればすでにご飯を用意してくれていた後だった。
「陸斗は飯田さんに借りてる部屋を掃除してから来るからって明日帰って来る。勿論と言う様に園田もだ」
「下田達も明日帰って来るって言ってたから今日は泊まってくだろ?」
宮下もそう進めてくれるものの
「あー、そうだね。外は真っ暗だから明日の朝一番で一度帰る」
あの山道をスノーモービルで電気の明かりもない中突進していく勇気は綾人でもさすがにない。
言いながら綾人はトランクの中からお土産を取り出して行く。
部屋の片隅にいつぞや買ったクリスマスツリーの下にクリスマスプレゼントと言う名のお土産を並べてそれっぽく演出してみせるも
「凛ちゃん駄目だよ!」
蒼さんは慌てて並べられたクリスマスプレゼントに好奇心旺盛にリボンを引っ張ったりして遊びだそうとした所で慌ててトランクへと回収するのだった。
「やばー、さすがにまずった」
蒼さんは凛ちゃんを抱き上げてだめでしゅよーなんて言い聞かせるも、お子様にはまだ難しい話。だから
「じゃあ、これは先に渡しちゃいますねー。
凛ちゃんクリスマスプレゼントですよー」
紙の包み紙を渡されればやっぱり女の子だからか恥かしそうに、だけど嬉しそうに両手で受け取り、バリバリとがんばって自力で開けた先には
「くまさん!」
「かわいい!テディベアのぬいぐるみですね!」
なぜか実桜さんまでテンションが上がっていた。
「やっぱりこの時期テディベアがたくさん売られてるから一つは買わないとなって思って。圭斗達のは後で渡しても良いよな?」
「ああ、この様子なら凛ちゃんが寝てからの方が良いだろうし」
一目ぼれと言う様に凛ちゃんはクマのぬいぐるみを抱きしめてお気に召してくれたようだった。
「凛ちゃん良かったね。
じゃあ、俺達もそろそろご飯にしようか」
言いながら宮下が豚汁をよそってくれて、刺身や煮物の並ぶごく普通の和食な食卓を用意してくれた。もちろんみんな大好き実桜さん特製から揚げもテーブルの中央で山盛りとなっていた。
「クリスマスとかはみんな帰って来るから明日ね?」
「いえ!これは嬉しいご馳走です!」
圭斗もご飯をお茶碗一杯に盛って行く横で実桜さんもお茶を淹れてくれる。
蒼さんは凛ちゃんとくまさんのお相手で精一杯で、俺はお客様と言う様に何もせず並べられていくご飯に釘づけだった。
「懐かしいだろ?」
「向こうでも自炊してるけどやっぱりお米が美味しくないんだよ。
煮物とかもね、醤油とかはあるんだけどやっぱりなんか違うんだよ」
食べ慣れた味とと言えばそれは仕方がないと誰もが笑う。
「俺だって京都行った時いつも使い慣れてる味噌が売って無くってショックだったし」
「判る!同じ県内でもスーパーが違うだけで取り扱ってくれる商品がないとか、結構ストレスなんだよね!」
実桜さんもうんうんと唸る中
「こんばんはー!遅くなりました!」
「遠藤早く来ないと先に食べるぞ!」
「まってください!そこはよいっちゃんに文句言ってください!
これでも綾人さんが帰って来るからって一足先に帰してもらったんだから」
言いながら洗面所で手を洗ってやって来た遠藤を見て
「え?誰?」
遠藤と聞いてるのに素で聞いてしまった。
「綾人さん酷いっす!園芸部です!お久しぶりでっす!」
「ああー、園芸部って、うわ、なんかすごい変りざまwww」
現われた実桜さんの下僕の園芸部を久しぶりに見て妙にマッチョになって良く日に焼けてこんな時期だと言うのにこんがりと黒くなっていて笑うしかないと言うように腹を抱えて笑えば
「なかなかかっこよくなったでしょ!
実桜さんのしごきのおかげで肉体改造できました!」
「ふふふ、さっさと資格を取らないからアナログで仕事をしないといけない羽目になるからだよ」
何があったか聞きたいけどその内容だけで想像できる範疇だし、何があったか逆に聞いてはいけない気もするのでスルーしておく。
「綾人さんお帰りなさい!あ、これ長谷川の親分さんから久し振りだろうから持って行けって。奥さんの手作り漬物野沢菜です!」
「よし、圭斗頼む!」
「おう、とりあえず遠藤の飯の分頼むわ」
「そこは自力でできますから皆さん座っててください」
ちょっと見ない間にしっかり自立した人間になっていて感心をするも、こんもりと誰よりもお米を盛るお茶碗に確かに自力でやってもらいたい物だと納得をした。
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