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たまには色々と仕掛けをしておこうと思います 4
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やっと穏やかな時間になったと言う通り室内にまで響く凛の笑い声になんとなくささくれ立った心を癒して貰いながら
「そう言う事情さすがに実桜さんだってそれなりに理解してたからの転職だろ?
守るべきものが何か、実桜さんは誰に守られるべきかそこを間違えなければ正しく選択できるはずだ」
口ごもってしまうのは
「たとえ親が来て戻って来いって言ってもそれを拒絶できる理由は十分あるはず。
親だって掛け替えのない存在かもしれないけど、今守るべきものはまだ自分で何もできない凛ちゃんのはずだ。もし親元に帰ると言うのなら凛ちゃんは蒼さんに預けるその覚悟を持って帰ればいい。
なに、俺がちゃんと凛ちゃんの教育費位払うからそこは安心しておけばいい」
お腹を痛めて生んだ愛しい存在を置いて行けと言われてそれだけはありえないと言う様に涙をポロポロと流す実桜さんに言いすぎだと言う様に宮下がお茶を持って来てこのテーブルに着いてくれた。
「実桜さん」
改めて淹れ直した熱いお茶を差し出してにっこりと笑う。
「多分こんな言い方すると綾人に怒られるから言おうかどうか悩んでたけどやっぱり言っておくね」
って言うか俺に怒られるの前提で言うのかと黙って聞いていれば
「実桜さんはご実家の親の話しをずっとしてたけど」
悩む様に言葉を選ぶと言うかどう言えばいいのか言葉を探す宮下にはよ言えと心の中で突っ込む俺とお前は一体何を言い出すんだと不安げな圭斗の視線に見守られる中
「なにも今はもうご実家の親だけが親じゃないんだから」
一体何を言い出したのかと思えば
「蒼さんのお母さんだって今じゃ実桜さんのお義母さんなんだから。
将来的に凛ちゃんにお婆ちゃんは?なんて聞かれたら蒼さんのお義母さんを教えればいいし、お爺さんは……この近辺にたくさんいるから誤魔化そう?」
宮下のくせに何か良い話になった?!なんて驚いていたらちゃんとオチまで付いていて安定の宮下だと納得のクオリティに圭斗と一緒にホッとするのだった。
「蒼さんのお義母さんと仲が悪い分けじゃないんだよね?」
「ええと、大変良くしてもらってます。家も遠からずの所に借りて良く行き来させていただきましたから」
きっとそれも実桜さんのご両親には怒れる話だったのだろう。
自分達を最優先しない娘への嫌がらせとしてはどれもこれもみみっちくて小物っぷりが半端ないが、それでもまるで天啓を受けたと言う様に泣きはらした顔で何で蒼さんのお義母さんの事を忘れてたのだろうと言う様に目覚めた顔をしていた。
「血は繋がっても心の在り方の問題だから。
住む所も出来たんだしよかったら一度こっちにお招きしても良いと思うよ?」
宮下よ、いつの間に出来る子になった。いや、その気使いはきっと俺達から離れた一年の間で学んだのだろう。穏やかな西野さんの奥様の教育のたまものかと思えばほんと良い人達の所で修行が出来たんだなとその横顔をじっと見てしまう。
「そうですね。一度オフクロこちらに呼ばせて頂きます」
何て間借りしている家主の圭斗に
「その時は会ってやって下さい。急な引っ越しだったのですごく心配させたので。
本当はこちらに呼んで一緒に生活が出来ればいいのですが、オフクロも今じゃそれなりに仕事先で責任ある立場らしくって。まだまだ先の話しだけど仕事を引退して、俺達も社長と綾人さんに何から何までおんぶにだっこじゃなくってせめて近くで中古の家を買って住めるようになった時はこっちに誘おうと考えてまして。
ええと、実桜。そう言う事考えているの今まで言った事なかったけどそれは俺が考えているだけで、オフクロに話したら絶対殴られて蹴られて踏みつぶされる話だからまだ言わないでね。三十年後、四十年後の話し位に思って貰えると少し助かるんだけど……」
そう言う話は二人きりの時に言ってくれよと思うも実桜さんは笑顔になって
「もし何かあった時はそこまで待たずにその時すぐに呼べるように頑張ろうね!」
なんて。
何だか独身三人組にはなかなか辛い光景だなぁと眺めながら
「そろそろ帰っていい?」
「俺も帰る」
「それより陸と凛ちゃん呼んでこいよ」
そう言って逃げる様に岡野家を後にするのだった。
「そう言う事情さすがに実桜さんだってそれなりに理解してたからの転職だろ?
守るべきものが何か、実桜さんは誰に守られるべきかそこを間違えなければ正しく選択できるはずだ」
口ごもってしまうのは
「たとえ親が来て戻って来いって言ってもそれを拒絶できる理由は十分あるはず。
親だって掛け替えのない存在かもしれないけど、今守るべきものはまだ自分で何もできない凛ちゃんのはずだ。もし親元に帰ると言うのなら凛ちゃんは蒼さんに預けるその覚悟を持って帰ればいい。
なに、俺がちゃんと凛ちゃんの教育費位払うからそこは安心しておけばいい」
お腹を痛めて生んだ愛しい存在を置いて行けと言われてそれだけはありえないと言う様に涙をポロポロと流す実桜さんに言いすぎだと言う様に宮下がお茶を持って来てこのテーブルに着いてくれた。
「実桜さん」
改めて淹れ直した熱いお茶を差し出してにっこりと笑う。
「多分こんな言い方すると綾人に怒られるから言おうかどうか悩んでたけどやっぱり言っておくね」
って言うか俺に怒られるの前提で言うのかと黙って聞いていれば
「実桜さんはご実家の親の話しをずっとしてたけど」
悩む様に言葉を選ぶと言うかどう言えばいいのか言葉を探す宮下にはよ言えと心の中で突っ込む俺とお前は一体何を言い出すんだと不安げな圭斗の視線に見守られる中
「なにも今はもうご実家の親だけが親じゃないんだから」
一体何を言い出したのかと思えば
「蒼さんのお母さんだって今じゃ実桜さんのお義母さんなんだから。
将来的に凛ちゃんにお婆ちゃんは?なんて聞かれたら蒼さんのお義母さんを教えればいいし、お爺さんは……この近辺にたくさんいるから誤魔化そう?」
宮下のくせに何か良い話になった?!なんて驚いていたらちゃんとオチまで付いていて安定の宮下だと納得のクオリティに圭斗と一緒にホッとするのだった。
「蒼さんのお義母さんと仲が悪い分けじゃないんだよね?」
「ええと、大変良くしてもらってます。家も遠からずの所に借りて良く行き来させていただきましたから」
きっとそれも実桜さんのご両親には怒れる話だったのだろう。
自分達を最優先しない娘への嫌がらせとしてはどれもこれもみみっちくて小物っぷりが半端ないが、それでもまるで天啓を受けたと言う様に泣きはらした顔で何で蒼さんのお義母さんの事を忘れてたのだろうと言う様に目覚めた顔をしていた。
「血は繋がっても心の在り方の問題だから。
住む所も出来たんだしよかったら一度こっちにお招きしても良いと思うよ?」
宮下よ、いつの間に出来る子になった。いや、その気使いはきっと俺達から離れた一年の間で学んだのだろう。穏やかな西野さんの奥様の教育のたまものかと思えばほんと良い人達の所で修行が出来たんだなとその横顔をじっと見てしまう。
「そうですね。一度オフクロこちらに呼ばせて頂きます」
何て間借りしている家主の圭斗に
「その時は会ってやって下さい。急な引っ越しだったのですごく心配させたので。
本当はこちらに呼んで一緒に生活が出来ればいいのですが、オフクロも今じゃそれなりに仕事先で責任ある立場らしくって。まだまだ先の話しだけど仕事を引退して、俺達も社長と綾人さんに何から何までおんぶにだっこじゃなくってせめて近くで中古の家を買って住めるようになった時はこっちに誘おうと考えてまして。
ええと、実桜。そう言う事考えているの今まで言った事なかったけどそれは俺が考えているだけで、オフクロに話したら絶対殴られて蹴られて踏みつぶされる話だからまだ言わないでね。三十年後、四十年後の話し位に思って貰えると少し助かるんだけど……」
そう言う話は二人きりの時に言ってくれよと思うも実桜さんは笑顔になって
「もし何かあった時はそこまで待たずにその時すぐに呼べるように頑張ろうね!」
なんて。
何だか独身三人組にはなかなか辛い光景だなぁと眺めながら
「そろそろ帰っていい?」
「俺も帰る」
「それより陸と凛ちゃん呼んでこいよ」
そう言って逃げる様に岡野家を後にするのだった。
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