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短期滞在の過ごしかた 2
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渡仏一日目は仁王立ちの飯田に掴まって城でまったりと凄し、二日目はジョルジュとの昼食会。そして滞在の半ばとなる三日目は
「高速鉄道でイギリスに来れる気楽さ最高!」
「ええ、まさかちょっと遠出って誘われたつもりが海を渡るとは思いませんでした」
そして電車を乗り継いで目指すのは一件のホテル。
交通の便も悪く、最寄り駅からタクシーに揺られて約二か月ぶりの
「昼間からのビール最高!」
「パブめぐりとは案外楽しい物ですね」
観光地にもなっている街中を見て歩くだけでもおなか一杯になれるのにそこに種類豊富なビールと簡単なおつまみ。気楽に立ち飲みで色々なお店を楽しめる気安さと美しい街並みのコッツウォルズ。目的地が見えていてもなかなか辿り着かないのは仕方がないと飲み終えた所で美味しそうな手作りソーセージの匂いに誘われてまた別のパブへと潜り込むのだった。
おかげで早朝と言う時間の高速鉄道に乗ったはずなのにいつの間にかお昼の時間になり、その頃には立派にお昼御飯が入らないお腹具合となっていた。もともと食べ歩きでお昼を済ますつもりだったので問題なかったが
「前に来た時ロードのお城で食べたランチとディナーは優雅だったはずなのに」
「ディナーは予約したのですよね?」
「もちろん。部屋も飯田さんの分も予約したから安心して城のパブを楽しめるよ」
「はい、楽しみにしてました!
青山からもこの城の話は聞いていたし、パブの話しももちろん聞いていたので!
十年近くフランスに居てオリオール達にあちこち連れ回されましたが青山みたいにふらりと目的地もなくただ美味しい物を求めての度なんてした事はさすがにないのでこう言った食い倒れは憧れですね!」
そこに俺の財布からの支払いだしと言う副音声が聞こえてきたが、別に旅は道連れなのでわざわざ先生が出張料金を支払ってまで送り込んだ飯田さんを振り回してもいい許可は十分あるのでとことん吸収できる物は吸収するつもりでいる。
何せ、昨日のランチはあまりにヘビーなランチだったから。
遺言を聞き入れる時にランチなんてムリゲーだった事は俺の未熟さが原因だろう。
川沿いのベンチでせせらぎに耳を傾けながら酔いが回った頭でパン屋で買ったパンを水辺故に集まる鳥達に強請られ奪われ周囲の人達を楽しませて時間を過ごす。
パンくずをついばみに来たハトを追いかける小さな子供が微笑ましく、そして丁度座ったベンチに落とす緑の木陰は心地よく。
「綾人さん寝てはいけませんよ」
「気持ちよすぎてむーりー」
「だったらホテルに行きましょう!」
「むーりー。眠くて歩けなーいー」
「だったら抱っこしてお運びしましょうか?」
「今目がすっきりと覚めました!」
「よろしい」
なんて言ってる間にも綾人は逃げるようにぴゅーっとは知ってるかのようなスピードで歩いて逃げて行く。
全くと言う様に視界から消えないように追いかける様について行けば一件の大きな家の前に辿り着いた。
コッツウォルズストーンの塀に囲まれた、飯田の身長では十分に庭の草花が楽しむ事が出来る家だった。
綾人はその家の門の前に立ち、きょろきょろと中を伺っていた。
「まあ!まあ!まあ!まあ!
アヤト!遊びに来てくれたのね!」
ジョウロとハサミを持って帽子をかぶって庭仕事でもしようかと言う出で立ちの白髪が美しい女性はてにした荷物を置いたかと思えば綾人を全力で抱きしめていた。
「アビーのケーキの味が忘れられなくて来たんだ!」
何とか気道の確保をしてハグを返す綾人だが、その細い体を感動と言う名の感情のまま抱きしめられては意味をなさずに顔を青くしていた。
さすがに危ないと言う様に飯田は手を伸ばす物の
「アビー、今日は友達を連れてきたんだ。
アビーのレモンのケーキを食べさせたくて」
そこでようやく綾人を開放して飯田を見る。
何度か目をぱちくりと瞬きを繰り返して
「まあ!まあ!まあ!
学校のお友達?今回は一人旅じゃないから安心するわぁ」
日本人年齢不詳説ここに極まり。
綾人はそっと視線をそらして肩を震わすも三十を超えて学生扱いの飯田はさすがに思考を止めて
「学生……ではないのですが……」
呆然自失と抗議してみるも
「さあさあ入って!
美味しいケーキを召し上がれ!」
人の話しなんて聞きはしない妙齢のアビーに当然飯田の呟き何て届きもしなかった。
「高速鉄道でイギリスに来れる気楽さ最高!」
「ええ、まさかちょっと遠出って誘われたつもりが海を渡るとは思いませんでした」
そして電車を乗り継いで目指すのは一件のホテル。
交通の便も悪く、最寄り駅からタクシーに揺られて約二か月ぶりの
「昼間からのビール最高!」
「パブめぐりとは案外楽しい物ですね」
観光地にもなっている街中を見て歩くだけでもおなか一杯になれるのにそこに種類豊富なビールと簡単なおつまみ。気楽に立ち飲みで色々なお店を楽しめる気安さと美しい街並みのコッツウォルズ。目的地が見えていてもなかなか辿り着かないのは仕方がないと飲み終えた所で美味しそうな手作りソーセージの匂いに誘われてまた別のパブへと潜り込むのだった。
おかげで早朝と言う時間の高速鉄道に乗ったはずなのにいつの間にかお昼の時間になり、その頃には立派にお昼御飯が入らないお腹具合となっていた。もともと食べ歩きでお昼を済ますつもりだったので問題なかったが
「前に来た時ロードのお城で食べたランチとディナーは優雅だったはずなのに」
「ディナーは予約したのですよね?」
「もちろん。部屋も飯田さんの分も予約したから安心して城のパブを楽しめるよ」
「はい、楽しみにしてました!
青山からもこの城の話は聞いていたし、パブの話しももちろん聞いていたので!
十年近くフランスに居てオリオール達にあちこち連れ回されましたが青山みたいにふらりと目的地もなくただ美味しい物を求めての度なんてした事はさすがにないのでこう言った食い倒れは憧れですね!」
そこに俺の財布からの支払いだしと言う副音声が聞こえてきたが、別に旅は道連れなのでわざわざ先生が出張料金を支払ってまで送り込んだ飯田さんを振り回してもいい許可は十分あるのでとことん吸収できる物は吸収するつもりでいる。
何せ、昨日のランチはあまりにヘビーなランチだったから。
遺言を聞き入れる時にランチなんてムリゲーだった事は俺の未熟さが原因だろう。
川沿いのベンチでせせらぎに耳を傾けながら酔いが回った頭でパン屋で買ったパンを水辺故に集まる鳥達に強請られ奪われ周囲の人達を楽しませて時間を過ごす。
パンくずをついばみに来たハトを追いかける小さな子供が微笑ましく、そして丁度座ったベンチに落とす緑の木陰は心地よく。
「綾人さん寝てはいけませんよ」
「気持ちよすぎてむーりー」
「だったらホテルに行きましょう!」
「むーりー。眠くて歩けなーいー」
「だったら抱っこしてお運びしましょうか?」
「今目がすっきりと覚めました!」
「よろしい」
なんて言ってる間にも綾人は逃げるようにぴゅーっとは知ってるかのようなスピードで歩いて逃げて行く。
全くと言う様に視界から消えないように追いかける様について行けば一件の大きな家の前に辿り着いた。
コッツウォルズストーンの塀に囲まれた、飯田の身長では十分に庭の草花が楽しむ事が出来る家だった。
綾人はその家の門の前に立ち、きょろきょろと中を伺っていた。
「まあ!まあ!まあ!まあ!
アヤト!遊びに来てくれたのね!」
ジョウロとハサミを持って帽子をかぶって庭仕事でもしようかと言う出で立ちの白髪が美しい女性はてにした荷物を置いたかと思えば綾人を全力で抱きしめていた。
「アビーのケーキの味が忘れられなくて来たんだ!」
何とか気道の確保をしてハグを返す綾人だが、その細い体を感動と言う名の感情のまま抱きしめられては意味をなさずに顔を青くしていた。
さすがに危ないと言う様に飯田は手を伸ばす物の
「アビー、今日は友達を連れてきたんだ。
アビーのレモンのケーキを食べさせたくて」
そこでようやく綾人を開放して飯田を見る。
何度か目をぱちくりと瞬きを繰り返して
「まあ!まあ!まあ!
学校のお友達?今回は一人旅じゃないから安心するわぁ」
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綾人はそっと視線をそらして肩を震わすも三十を超えて学生扱いの飯田はさすがに思考を止めて
「学生……ではないのですが……」
呆然自失と抗議してみるも
「さあさあ入って!
美味しいケーキを召し上がれ!」
人の話しなんて聞きはしない妙齢のアビーに当然飯田の呟き何て届きもしなかった。
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