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繰り返す変化のない俺の日常 5
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「うこー!ただいまー!!!」
「こけーっ!!!」
なんて叫びながら大慌てで逃げて行く烏骨鶏のプリッケツを見ながら所詮鳥頭だよなと悲しみに暮れる俺に圭斗や大和さん同様ちょくちょくこの家の様子を見に来てくれていたらしい幸田さんは烏骨鶏にフラれて悲しむ俺を笑いながら
「綾人君仕方がないよ。幾ら可愛がっても結局の所ただの鳥なんだから」
「そうっすね、ちょっと期待した俺が馬鹿でした」
妙に懐っこい一羽も同じように草陰に隠れ俺を警戒する様子に幸田さんは楽しそうな笑い声とまた餌付けして仲良くなるんだなと言うアドバイスを残して山を下りて行った。ありがたい事に家の前までタクシーを横付けしてくれたので荷物を移動させるのは楽だったけど、久しぶりに鍵を開けて入ったどこか薄暗い家の中は懐かしさでこみ上げる物があった。
空気の入れ替えはしていてくれたようで黴臭さや土臭さも最低限のレベル。そして車の音で帰宅に気付いてくれたのか次第に賑やかになって行く音は裏山からやってきて
「綾っちだー!お帰りー!」
「植田、綾っち言うな」
「綾っちフランスどうだった?!イギリスとかイタリアにも行ったんでしょ?」
「水野も綾っち言うな」
「ああ、このやり取りも懐かしいな綾っち」
「颯太まで綾っち言うなって言ってるだろ!」
ウザイくらいにわざと綾っちと言う三バカは鉈や鋸を持って埃まるけになっていた。その姿を見て
「枝打ちしててくれたのか?」
「おう、先生がマークしてくれてたからそれを切り落としただけ。
後はいつものように薪のサイズにして積んであるよ」
「ありがとうな、助かる」
言いながらも土間でトランクを開けて少ない洗濯物を洗濯機に入れてスイッチオン。その横でいくつもの包み紙に包まれた箱に三人は期待するような目で俺を眺めるから仕方がないと言う様に
「ずいぶん頑張ってくれたみたいだからな」
無難で悪いが財布を三人に用意した。馬の蹄で有名なヤツ。
何が良いか悩んだけど、何で俺がこいつらの為に悩まないといけないのかと開き直れば謎な物より実用的な物の方がよかろうと言ったチョイス。
案の定年頃のガキには期待通りだったらしくテンション高く喜んで、早速手を洗って大きな体で何故か正座して早速財布の中身を入れ替える姿が妙に微笑ましく、それを眺めながら俺は仏壇にフランス土産のワインやらオリオールの焼菓子を並べるのだった。
「あー、それって神・飯田氏の師匠のお菓子っすか?」
「ああ、オリオールがみんなで食べる様にって作ってくれた奴。
晩ご飯の後に食べるから今は仏さんの番だぞ」
「りょ!」
どの家でもそうだがさすがに田舎の家の子供なので勝手に仏さんのお供え物に手を出す事はない。だけどその前に
「颯太、悪いけど今夜チーム高校生が来ることになったから晩ご飯多めに頼むわ」
「となると圭斗さんもっすね」
判りきってるセットに先生を合わせてとお米の分量を考えている間に
「あと追加で一人分頼むわ」
「あー、誰か来るの?」
これだけ大人数だと簡単な物でボリュームがある奴にしようとメニューを考え直していた颯太に
「おまいらの後輩で陸斗二号を捕獲して来た」
「相変わらず陰湿な奴ら要るんですね。俺らの後輩と言うのに」
ご陽気な植田は顔を顰めれば
「住職の所の子供だよ。お前らも会った事あるだろ?」
「あー……」
みんな同じお寺の檀家なのでうろ覚えだけどいたな、なんて言う程度では認知しているらしい。
「じゃあなんだ?都会から来たからいじめられたって、綾っちみたいにやり返すタイプじゃないのか?」
「綾っち言うな。水野よ、お前は俺をどういう目で見ている。
俺は少なくとも高校時代は大人しく過ごしてたぞ」
「確かに大人しかったけど、やってる事は大人しくないから。
それに先生の綾っちの話しだと全く大人しくもなかったじゃないっすか」
「先生殴る。そして綾っち言うな」
ここはぶれずに突っ込んでおく。
「まぁ、陸斗みたいに無抵抗なガキじゃないけど、それでも心は疲れてるからな。
とりあえず日曜までここで普通に暮らすぞ」
「まあ手が増えたのは大歓迎ですからね」
労力にしか数えない颯太に水野は綾っちに似てきたなーとぼやくのを聞いて俺はそこまで人使い荒くないと言い返す。何言ってるんですか、俺達がこうなったのも綾っちのせいなのにと植田はしくしく泣き真似をしながらも颯太が持って来たジャガイモをお喋りの合間に剥かされていた。
何かごめんなさいと言いたかったけど言えばこいつらが調子づくからいわないけど。
「圭斗が何か買ってくるから今晩のメニュー連絡しておけ。
後俺も到着の連絡とか後片付けしたりするから台所は頼むな」
「イエッサー!五右衛門風呂は水を変えて洗って新たに沸かしておきました!」
「よし!先生が入る前に先に入ってくる!」
さっき言った事を撤回して俺は真っ先に風呂の準備をして久しぶりの五右衛門風呂につかり、七年間見続けた景色を今では故郷の景色と言う様に口元まで使ってゆっくりと堪能するのだった。
「こけーっ!!!」
なんて叫びながら大慌てで逃げて行く烏骨鶏のプリッケツを見ながら所詮鳥頭だよなと悲しみに暮れる俺に圭斗や大和さん同様ちょくちょくこの家の様子を見に来てくれていたらしい幸田さんは烏骨鶏にフラれて悲しむ俺を笑いながら
「綾人君仕方がないよ。幾ら可愛がっても結局の所ただの鳥なんだから」
「そうっすね、ちょっと期待した俺が馬鹿でした」
妙に懐っこい一羽も同じように草陰に隠れ俺を警戒する様子に幸田さんは楽しそうな笑い声とまた餌付けして仲良くなるんだなと言うアドバイスを残して山を下りて行った。ありがたい事に家の前までタクシーを横付けしてくれたので荷物を移動させるのは楽だったけど、久しぶりに鍵を開けて入ったどこか薄暗い家の中は懐かしさでこみ上げる物があった。
空気の入れ替えはしていてくれたようで黴臭さや土臭さも最低限のレベル。そして車の音で帰宅に気付いてくれたのか次第に賑やかになって行く音は裏山からやってきて
「綾っちだー!お帰りー!」
「植田、綾っち言うな」
「綾っちフランスどうだった?!イギリスとかイタリアにも行ったんでしょ?」
「水野も綾っち言うな」
「ああ、このやり取りも懐かしいな綾っち」
「颯太まで綾っち言うなって言ってるだろ!」
ウザイくらいにわざと綾っちと言う三バカは鉈や鋸を持って埃まるけになっていた。その姿を見て
「枝打ちしててくれたのか?」
「おう、先生がマークしてくれてたからそれを切り落としただけ。
後はいつものように薪のサイズにして積んであるよ」
「ありがとうな、助かる」
言いながらも土間でトランクを開けて少ない洗濯物を洗濯機に入れてスイッチオン。その横でいくつもの包み紙に包まれた箱に三人は期待するような目で俺を眺めるから仕方がないと言う様に
「ずいぶん頑張ってくれたみたいだからな」
無難で悪いが財布を三人に用意した。馬の蹄で有名なヤツ。
何が良いか悩んだけど、何で俺がこいつらの為に悩まないといけないのかと開き直れば謎な物より実用的な物の方がよかろうと言ったチョイス。
案の定年頃のガキには期待通りだったらしくテンション高く喜んで、早速手を洗って大きな体で何故か正座して早速財布の中身を入れ替える姿が妙に微笑ましく、それを眺めながら俺は仏壇にフランス土産のワインやらオリオールの焼菓子を並べるのだった。
「あー、それって神・飯田氏の師匠のお菓子っすか?」
「ああ、オリオールがみんなで食べる様にって作ってくれた奴。
晩ご飯の後に食べるから今は仏さんの番だぞ」
「りょ!」
どの家でもそうだがさすがに田舎の家の子供なので勝手に仏さんのお供え物に手を出す事はない。だけどその前に
「颯太、悪いけど今夜チーム高校生が来ることになったから晩ご飯多めに頼むわ」
「となると圭斗さんもっすね」
判りきってるセットに先生を合わせてとお米の分量を考えている間に
「あと追加で一人分頼むわ」
「あー、誰か来るの?」
これだけ大人数だと簡単な物でボリュームがある奴にしようとメニューを考え直していた颯太に
「おまいらの後輩で陸斗二号を捕獲して来た」
「相変わらず陰湿な奴ら要るんですね。俺らの後輩と言うのに」
ご陽気な植田は顔を顰めれば
「住職の所の子供だよ。お前らも会った事あるだろ?」
「あー……」
みんな同じお寺の檀家なのでうろ覚えだけどいたな、なんて言う程度では認知しているらしい。
「じゃあなんだ?都会から来たからいじめられたって、綾っちみたいにやり返すタイプじゃないのか?」
「綾っち言うな。水野よ、お前は俺をどういう目で見ている。
俺は少なくとも高校時代は大人しく過ごしてたぞ」
「確かに大人しかったけど、やってる事は大人しくないから。
それに先生の綾っちの話しだと全く大人しくもなかったじゃないっすか」
「先生殴る。そして綾っち言うな」
ここはぶれずに突っ込んでおく。
「まぁ、陸斗みたいに無抵抗なガキじゃないけど、それでも心は疲れてるからな。
とりあえず日曜までここで普通に暮らすぞ」
「まあ手が増えたのは大歓迎ですからね」
労力にしか数えない颯太に水野は綾っちに似てきたなーとぼやくのを聞いて俺はそこまで人使い荒くないと言い返す。何言ってるんですか、俺達がこうなったのも綾っちのせいなのにと植田はしくしく泣き真似をしながらも颯太が持って来たジャガイモをお喋りの合間に剥かされていた。
何かごめんなさいと言いたかったけど言えばこいつらが調子づくからいわないけど。
「圭斗が何か買ってくるから今晩のメニュー連絡しておけ。
後俺も到着の連絡とか後片付けしたりするから台所は頼むな」
「イエッサー!五右衛門風呂は水を変えて洗って新たに沸かしておきました!」
「よし!先生が入る前に先に入ってくる!」
さっき言った事を撤回して俺は真っ先に風呂の準備をして久しぶりの五右衛門風呂につかり、七年間見続けた景色を今では故郷の景色と言う様に口元まで使ってゆっくりと堪能するのだった。
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