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裏庭に潜む罠には飛び込むのが礼儀 5

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 上座がどうとかは関係なく食事中は広大な草原しかまだない庭を眺める様にエドガーとディーリーを座らせれば直ぐにミネラルウォーターが運ばれてきた。皆さん車なのでアルコールはダメ、それはわざわざ口にしなくても了承してもらう。もともとこの城に残されたグラスだが傷も少なく数もあるので遠慮なく使わせてもらっている。以外にも使いやすくてこれ良いなぁと言えばオラスがこれはどこぞのブランドで、底に刻印されたマークを見せてそのマークの特徴からこれが使われた時代を特定すると言う紹介にさすがソムリエ、ワインだけではなくグラスの事もよく知っておいででと感心をする。後でカールに連絡をして数をそろえれるか聞いてみようと何度目かの無茶ぶりをお願いする事にする。
 全員にグラスが渡るのを待って
「ディーリーには長い間留守をしたために無駄足となってしまって申し訳ない。
 少し街から離れた不便な所だがこれからもオリヴィエの為に足を運んでもらわないといけないからこの城の紹介、俺の紹介も兼ねてお昼を食べながら親睦を深めたいと思ってます」
 仕事にそんな事必要あるのかと問われたら疑問だが
「俺は今月末には国に帰り年に一度か二度、それぐらいしかこちらに来れない。オリヴィエのマネージメントをお願いする傍らオリヴィエの兄として仕事とはどういう物か教えてもらいたいし、今まで世界を見る機会がなかったオリヴィエの感性を鍛える為に沢山の世界を見てもらいたいとお願いしたい。まぁ、難しく考えず色んな所に行ったら観光に連れまわして五感総てを使って楽しんでもらえればいい、その程度から始めればいいと思う」
「はい、所長からもコンサートがある先々には同行する様に指示が出ています。他の演奏者達とも交流を持つようにとも言われてますので」
 オリヴィエに向かって伝えた言葉に背筋を伸ばす仕種に俺も飯田さんもエドガーまで笑っていた。
 その合間にも料理が並び、そこにオリオールがやって来た。
「今日のランチは何れ開店する私の店の為の練習に付き合ってくれてありがとう」
 いやいや、ただのランチだってと綾人は笑いながら言うも、さすが秘書をしていただけにオリオールがフランスの有名レストランのシェフだった事を知っていて目を白黒させながら俺とオリヴィエを見比べていた。
「本日のランチはアラカルト、と言う事で全員がメインを違う物にさせてもらいました。是非とも次に食べたい、もう一度食べたい、量はどうだとか厳しい感想をお願いします」
「まぁ、美味しいはもう食べる前からわかってるからね」
 綾人が辛口な意見を言って
「ランチをどうぞと言った手前ですが、年内にオープンするオリオールのランチのボリューム価格設定、満足度などの意見を聞きたい。
 さっきも言った通り美味しいのは判ってる。それ以外のあらを是非とも探して欲しい。あらではなくとももっとこうなればこう言った物がと言う意見も十分待っている」
 そんな俺の言葉に早速ディーリーが手を上げる。
 何だと言う様にオリオールは顔をこわばらせるが
「これは全種類食べると言うのはないのか?一種類だけ何て、何て酷い話だ!」
 早々に食べれないオリオールの料理をまさかこんな所で口にできるなんてと言う驚きよりも全員が違うメインなのに食べれるのは一つだけ、どこまでひどい話だなんて嘆く様子にオリオールは笑いながら
「これからオリヴィエの面倒を見るのなら朝食やランチを食べる機会は何度だってある。レストランには出さない賄を食べる機会もあるだろうから、そっちの方が魅力的だと私は思いますが?」
 さすが一日の長と言うべきか。店には出せれない賄いと言う裏メニューを口にできるとかくも魅惑な言葉を使う。
「是非とも一度こちらに元上司を連れてきたいのですが?」
「家庭訪問は大切だな。俺の帰国後に是非」
「元上司はそこまで待ちきれないと思いますが?」
 そんな上司ネタで笑いながらの少し早いランチはオリオールに文句と言うより注文と言うリクエストを山のように叩き付ける結果は大成功と言う所だろう。

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