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裏庭に潜む罠には飛び込むのが礼儀 1
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十二時間のフライト旅行の後に出会ったのは腐った魚のような目をしたシェフだった。
迎えに来てくれると連絡が入ったから綾人も来たのかと思ったらシェフ一人きりだがしっかりと振り回されたと言わんばかりにやつれた顔をしていて苦労させられてたんだなあと同情はすれど気遣いはしない。
「いらっしゃい。綾人さんにお迎えを頼まれました」
「どーも、せんせーフランス語全く未知の分野だから通訳が来てくれて助かったわー」
ありがた気もない力のない声でどうでもよさ気に言えば普段のこいつなら神経質に目元をひくつかせるが、今回はそんなこと一切スルーと言わんばかりに
「とりあえず綾人さんの城に案内します」
と足を運ぼうとするから
「悪い、先に土産買っておく。俺の経験から言えばギリギリまで綾人につき合わされる事になるから帰りに土産を買う時間なんてないはずなんだ」
言えばシェフは足を止めて「確かに」と呟いた後土産コーナーへと案内してくれた後近くのコーヒーショップを指さし
「じゃあ、俺はあそこで待って……」
「シェフよー、さっきも言っただろ?俺様フランス語は未知の分野だって。
通訳が居なくてどうする」
逃げようとする背中を掴んで強引に引っ張っぱるも抵抗しようとするので
「高校生達が土産楽しみにしてるんだ。付き合えよ」
みんな大好きご飯のお兄さんなシェフはその言葉に渋々と言うように着いて来て、フランス菓子らしいお菓子とアートなポストカードを大量に買った。要らなくなったら捨てればいいし、捨てれなかったら誰かに送ればいいし、フランスらしい芸術のポストカードなららしくていいだろうと言えばかわいそうな子を見る目で俺を見ていた。
俺お前より年上なんだぞ?
何が悪いとレジを済ませれば意地でもコーヒーが飲みたいのかコーヒーショップに乗り込んでテイクアウトをしてやっと車へと向かった。
しばらく無言で車を走らせていたが、都心を抜けた所で無言の居心地の悪さに話しかける事にする。決してシェフの長身の圧迫感が原因ではないと言っておく。
「所であの馬鹿は何を考えて城なんて買ったんだ」
まっすぐ進む道へと視線を向けたまま聞けば
「街の喧騒が煩くて寝れなかったところにちょうど弁護士さんが話題のネタにってみせてもらったファイルの中に城が売りに出されていたようで、最初は一週間ぐらい借りる予定だったらしいのですがあまりの眠たさに考えるのがめんどくさくなってもう買っちゃえって言う事になったらしいです」
「あいつは……
体一つしかないのに家三軒もあってどうする」
「何言ってるんです。
離れも烏骨鶏の小屋も水道が通ってるので家認定ですよ」
そんなにもあってどうすると思うも器用な事にそれなりにちゃんと活用してるが
「わざわざ外国に、ましてやしょっちゅう遊びに行ける距離にあるわけじゃない所に買ってどうする。俺だってあの山奥から一日がかりで飛行機に乗ったって言うのに、馬鹿じゃないのか?!」
「否定はできませんが、まぁ、城の方もうまく活用するつもりなので良いんじゃないですか?」
なぜか口元をほころばせて穏やかな顔を隠せずにいるシェフに
「で、その城はどうするつもりだ?」
聞けば
「俺の師匠が店を閉めましてね、綾人さんのお城で週末にランチの提供位の店を開く事になりました」
「あー、上手く他人を使って城の管理をさせようとしてるな」
言えばいつの間にか畑も作ってました。まったく人使い荒いですよねとその点ははシェフも相槌を打ってくれた。
「あとオリヴィエ君も住む事になりました」
「はあ?オリヴィエはジョルジュ何とかって言う師の家の養子だから……」
「綾人さんが言うには先は本当に短いそうです。
入退院を繰り返していたり、俺が知るジョルジュよりも一回り所か二回りも小さくなっている気がして……」
普通の病気ではないと不安げな声を零す。
「なので、綾人さんはオリヴィエがジョルジュ一家にとってやっかいな存在な事を見ぬいて城に住まわせる事を決めました。オリオール達も住んでいるので大人になるまでは十分に保護下に置くつもりなので俺達が居なくなっても安心していられます。
本来なら家族に受け継がせていく価値あるバイオリンを養子とは言えオリヴィエに与えたと言うか綾人さんが買い取オリヴィエに持たせた時点であの家族とは仲良くできないでしょうから」
「ああ、オリヴィエの物だったら難癖付けて取り上げる事が出来たが、赤の他人のものになったらそれも難しいからな。賠償金とか考えたらぞっとする」
なんて言う強引な、喧嘩をしに来たのかと思うも
「で、その当の本人は今どうしている?」
言えばシェフは黙ってしまうも暫く麦畑を眺める道を走った先にある一軒の立派な石造りの家と言うより城を眺める道に入り、身長よりもはるかに高い柵と門で守られた敷地の中に入っていき車を降りる。
「イギリスで知り合った骨董商のご友人達に連れられてこの城に相応しい家具を求めてヨーロッパ中を飛び回ってます。オーストリアに行くと言って出て行ったはずでしたが先ほどスイスからそろそろ先生が来るはずだから迎えに行ってくださいと連絡がありました」
「なあ、、俺様いらなくね?」
綾人が居ない上に言葉も判らないのに俺に何をと思うもシェフの奴は大きな石を切りそろ敷き詰められたテラスに置いてあった鋸を持ってきてそんな事ありませんと言う。まぁ、そんな物騒な物を持って来たんだから俺の役割は聞くまでもないのだろうが、あえて無言を貫く。
「綾人さんからの伝言です。
庭木の手入れをお願いします、って……」
はいどうぞと差し出されて反射的に受け取ってしまった。
ちらりと視線を庭木に向ければこの古風な城にはに使わない前衛的な庭木の様子に顔を引きつらずにはいられなく、手にした鋸が何かの呪いのアイテムのようにも見えた。
「これで俺にどうしろと」
どうやってフォローするつもりだと鋸を持っていなければ頭をかきむしりたい衝動が湧くも
「裏はまだ手を出されてないのでやりたい放題です。改めて計画的にやろうと言ってますが、さすがにこれは木がかわいそうだと言われまして……」
「この木を切った奴連れて来い!」
思わず喚いてしまうも
「ヨーロッパどころか世界中で人気のあるクラッシックのアーティストの方々にケンカ売るような真似はやめた方が良いですよ」
芸術家であろうと畑違いとなると大事故が発生する良い例だなとこれ以上の衝動は何とか抑えこめば
「センセー!」
なぜにこんな所で日本語?なんて振り向けば金の髪と青い瞳のお人形ならぬ輝く瞳のオリヴィエが満開の笑顔で駆け寄ってきて
「ヒサシブリー!マタアエテウレシイヨー!」
誰が教えたのか片言の日本語でのお迎えに可愛いなと飛びついて来た体の慣性を活かしてそのまま根性で持ち上げてぐるりぐるりと目も少し回してから降ろした所できゅっと抱きしめる。
「オリヴィエ!俺の癒し!!!」
オリヴィエには難しい日本語のせいか理解は出来なかったが歓迎された事だけは伝わったようで二人して声を立てて笑う様子を飯田は頷かずにはいられない。
「綾人さんが悪魔的なだけにオリヴィエはほんと良い子ですよね。癒しですよね。
とりあえずオリヴィエ、一度荷物を持って寝る場所へと案内したあと城内の様子を先生に案内してください」
行ってくださいと送り出すのだった。
迎えに来てくれると連絡が入ったから綾人も来たのかと思ったらシェフ一人きりだがしっかりと振り回されたと言わんばかりにやつれた顔をしていて苦労させられてたんだなあと同情はすれど気遣いはしない。
「いらっしゃい。綾人さんにお迎えを頼まれました」
「どーも、せんせーフランス語全く未知の分野だから通訳が来てくれて助かったわー」
ありがた気もない力のない声でどうでもよさ気に言えば普段のこいつなら神経質に目元をひくつかせるが、今回はそんなこと一切スルーと言わんばかりに
「とりあえず綾人さんの城に案内します」
と足を運ぼうとするから
「悪い、先に土産買っておく。俺の経験から言えばギリギリまで綾人につき合わされる事になるから帰りに土産を買う時間なんてないはずなんだ」
言えばシェフは足を止めて「確かに」と呟いた後土産コーナーへと案内してくれた後近くのコーヒーショップを指さし
「じゃあ、俺はあそこで待って……」
「シェフよー、さっきも言っただろ?俺様フランス語は未知の分野だって。
通訳が居なくてどうする」
逃げようとする背中を掴んで強引に引っ張っぱるも抵抗しようとするので
「高校生達が土産楽しみにしてるんだ。付き合えよ」
みんな大好きご飯のお兄さんなシェフはその言葉に渋々と言うように着いて来て、フランス菓子らしいお菓子とアートなポストカードを大量に買った。要らなくなったら捨てればいいし、捨てれなかったら誰かに送ればいいし、フランスらしい芸術のポストカードなららしくていいだろうと言えばかわいそうな子を見る目で俺を見ていた。
俺お前より年上なんだぞ?
何が悪いとレジを済ませれば意地でもコーヒーが飲みたいのかコーヒーショップに乗り込んでテイクアウトをしてやっと車へと向かった。
しばらく無言で車を走らせていたが、都心を抜けた所で無言の居心地の悪さに話しかける事にする。決してシェフの長身の圧迫感が原因ではないと言っておく。
「所であの馬鹿は何を考えて城なんて買ったんだ」
まっすぐ進む道へと視線を向けたまま聞けば
「街の喧騒が煩くて寝れなかったところにちょうど弁護士さんが話題のネタにってみせてもらったファイルの中に城が売りに出されていたようで、最初は一週間ぐらい借りる予定だったらしいのですがあまりの眠たさに考えるのがめんどくさくなってもう買っちゃえって言う事になったらしいです」
「あいつは……
体一つしかないのに家三軒もあってどうする」
「何言ってるんです。
離れも烏骨鶏の小屋も水道が通ってるので家認定ですよ」
そんなにもあってどうすると思うも器用な事にそれなりにちゃんと活用してるが
「わざわざ外国に、ましてやしょっちゅう遊びに行ける距離にあるわけじゃない所に買ってどうする。俺だってあの山奥から一日がかりで飛行機に乗ったって言うのに、馬鹿じゃないのか?!」
「否定はできませんが、まぁ、城の方もうまく活用するつもりなので良いんじゃないですか?」
なぜか口元をほころばせて穏やかな顔を隠せずにいるシェフに
「で、その城はどうするつもりだ?」
聞けば
「俺の師匠が店を閉めましてね、綾人さんのお城で週末にランチの提供位の店を開く事になりました」
「あー、上手く他人を使って城の管理をさせようとしてるな」
言えばいつの間にか畑も作ってました。まったく人使い荒いですよねとその点ははシェフも相槌を打ってくれた。
「あとオリヴィエ君も住む事になりました」
「はあ?オリヴィエはジョルジュ何とかって言う師の家の養子だから……」
「綾人さんが言うには先は本当に短いそうです。
入退院を繰り返していたり、俺が知るジョルジュよりも一回り所か二回りも小さくなっている気がして……」
普通の病気ではないと不安げな声を零す。
「なので、綾人さんはオリヴィエがジョルジュ一家にとってやっかいな存在な事を見ぬいて城に住まわせる事を決めました。オリオール達も住んでいるので大人になるまでは十分に保護下に置くつもりなので俺達が居なくなっても安心していられます。
本来なら家族に受け継がせていく価値あるバイオリンを養子とは言えオリヴィエに与えたと言うか綾人さんが買い取オリヴィエに持たせた時点であの家族とは仲良くできないでしょうから」
「ああ、オリヴィエの物だったら難癖付けて取り上げる事が出来たが、赤の他人のものになったらそれも難しいからな。賠償金とか考えたらぞっとする」
なんて言う強引な、喧嘩をしに来たのかと思うも
「で、その当の本人は今どうしている?」
言えばシェフは黙ってしまうも暫く麦畑を眺める道を走った先にある一軒の立派な石造りの家と言うより城を眺める道に入り、身長よりもはるかに高い柵と門で守られた敷地の中に入っていき車を降りる。
「イギリスで知り合った骨董商のご友人達に連れられてこの城に相応しい家具を求めてヨーロッパ中を飛び回ってます。オーストリアに行くと言って出て行ったはずでしたが先ほどスイスからそろそろ先生が来るはずだから迎えに行ってくださいと連絡がありました」
「なあ、、俺様いらなくね?」
綾人が居ない上に言葉も判らないのに俺に何をと思うもシェフの奴は大きな石を切りそろ敷き詰められたテラスに置いてあった鋸を持ってきてそんな事ありませんと言う。まぁ、そんな物騒な物を持って来たんだから俺の役割は聞くまでもないのだろうが、あえて無言を貫く。
「綾人さんからの伝言です。
庭木の手入れをお願いします、って……」
はいどうぞと差し出されて反射的に受け取ってしまった。
ちらりと視線を庭木に向ければこの古風な城にはに使わない前衛的な庭木の様子に顔を引きつらずにはいられなく、手にした鋸が何かの呪いのアイテムのようにも見えた。
「これで俺にどうしろと」
どうやってフォローするつもりだと鋸を持っていなければ頭をかきむしりたい衝動が湧くも
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思わず喚いてしまうも
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芸術家であろうと畑違いとなると大事故が発生する良い例だなとこれ以上の衝動は何とか抑えこめば
「センセー!」
なぜにこんな所で日本語?なんて振り向けば金の髪と青い瞳のお人形ならぬ輝く瞳のオリヴィエが満開の笑顔で駆け寄ってきて
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誰が教えたのか片言の日本語でのお迎えに可愛いなと飛びついて来た体の慣性を活かしてそのまま根性で持ち上げてぐるりぐるりと目も少し回してから降ろした所できゅっと抱きしめる。
「オリヴィエ!俺の癒し!!!」
オリヴィエには難しい日本語のせいか理解は出来なかったが歓迎された事だけは伝わったようで二人して声を立てて笑う様子を飯田は頷かずにはいられない。
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