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繋ぐ縁は確かな財産 2
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「あの、そろそろ紹介させていただけるのでしょうか?」
居場所がないと言う様に申し訳なく声を上げたのは飯田さん。本当に捨てられた犬のような顔で俺達を見る顔の頭には半折れした耳がしょぼんとしているように見える。とても狂犬が潜んでいるようには見えない態度に俺は飯田さんを見上げ
「パリのパブの話しをしただろ?その時に知り合った方です。
そして彼がパブで話しをした時のシェフです」
そんな簡単な紹介に名乗るかどうかは当人次第。さてどうなるか……
「君がか!アヤトに教えてもらった動画で君の料理を見た!
古典的な料理からワショクか?沢山見たよ!あれを独り占めできる綾人が羨ましい!
ああ、私はバーナード・エルソンだ。しがない会社を経営している。年も年だから息子達に隅に追いやられてこうやってカールの商談に付きまとってるんだ」
そんな明るい挨拶にカールも仕方がないと言う様に肩をすくめて
「カール・フォレットだ。骨董商を営んでいて一年の大半が買いつけの仕事をしている。バーナードとは数十年の付き合いで、融資の勉強会でレックスと落ち合う約束をしていたらアヤトに絡んで居てな。中々に有意義な時間を過ごさせてもらった」
「カオル・イイダです。応援に来た店が閉店したのでこれから予定期間の間は綾人さんに着いて遊学の供になります予定でした」
「「でした?」」
言いながらチラリと俺を見る飯田さんの視線は自分から白状しろと言う所だろう。そのめんどくささに脳内で纏めて
「ええと、素敵な家を衝動買いしましたのでそちらの掃除などに時間を割く事に変更しまして」
「「……」」
よし、端的にまとめた説明に二人とも納得してくれた! なんて一人頷いていれば
「家を買ったのか?」
目を点にしているカールに
「知り合った弁護士事務所の債権だったらしく格安で買わせていただきました」
城の相場の値段なんて知らないけどね。まさかオリヴィエのバイオリンより安いとは思わなかった。しかもあの広大な土地付きなのだ。羊と牧羊犬がセットでほしいとねと密かに思うも住まない家で動物を育てるのは危険だけど。羊を追うボーダーコリーなんて言う組み合わせ何て癒しだと本職の苦労を考えずにニヤニヤとしてしまえば
「格安って、だが随分な値段だっただろう?支払いはどうなってる」
さすが骨董商だけあって城の価格の相場を知っていてか俺を心配してくれるようだが
「とりあえずカードで一括しましたので。書類関係も弁護士のエドガーに頼んで問題ないし、ああ、今の問題はその庭の離れでレストランを開こうと思ってテーブルなどを見に来たんだけど、他の生活にも使う家具が圧倒的に足りなくて慌てて買いに来たんだけど。希望は築年数と同じぐらいのもので揃えたくてまずは偵察に」
なぜかバーナードは近くのタンスに抱き着いていて、カールは頭を抱えている。
そして飯田さんは何故か目を手で覆ってうつむき加減になっていると言う、説明が悪かったか?改めて判りやすい言葉を探してしまえば
「アヤト、そう言う時は俺を頼ってくれればいいのに」
頭痛から復活したカールはなぜか胸を張り
「そう言った探し物はカールの得意分野だ。欲しい物をリストアップして、サイズなども判ればなおいい」
なんてバーナードが提案してくれて本当に頼っていいのかと伺えば
「任せてくれ。だったらまず家の大きさを知りたい。そうだな、一度アヤトの家を見て見たい。何が必要になるかアドバイスをしよう」
「うわぁ!何て天の声!
あ、でも二人とも仕事が……」
邪魔は出来ないとそれぐらいなら社会経験のない俺でも理解できるが
「なに、気に入って買ってもらえれば十分な営業になるだろ?」
それを含めての好意かと思えばパブでの出会いがこんなにも良き縁になるならと
「だったら一度家に来て下さい。いつごろにしましょう?」
さすがに時間がない事は二人も知っているからとアポイントだけでも取ろうとすれば
「なに、今から見に行けば良い。部下も着いて来るがそれでよければ今日中に必要な物とサイズを取ろう」
「話が早い!だったら飯田さん」
「はい?」
そこでなぜおれ?と言いたげな飯田さんに
「オリオールに連絡してお客様が来るので準備をお願いしてもらう様に連絡入れてもらえますか?」
「ああ、では人数は……」
バーナードよりカールの方が話しやすいと見えてお茶の用意をするのでと断って同行者の人数を聞きだしていた。
俺はその間に欲しい物をバーナードに話してどんな店が理想なのかと説明して聞いてもらう。店の主に帰る事を告げれば外に黒塗りの車が二台連なって待ち構えていた。
何コレ……
飯田さんと並んで俺でも知る名前の車に一瞬意識を飛ばしそうになったけど二人は車から出てきた人物と運転手に予定の変更を告げていた。
「ええと、二人は一体何なのですか?」
「いや、会社経営と骨董商と……」
そうやって綾人は無意識にググれば二人の情報はかなり早い段階でヒットして、見なかった事にしたい気持ちを押しとどめて飯田さんへ情報を見せる。
「うかつです」
「本当に。何でもっと早い段階でググらなかったのかと大反省中です」
旅のすれ違いな人だと思って深くかかわる事を避けていたらこんな人物だったとは……
「使いようによっては便利すぎて旨すぎる」
「ご老体に鞭打つ真似はやめてください」
今回も俺はストッパー役か、いや、綾人さんを止められるのかと頭を抱えてしまう。
「じゃあ、案内してもらおうか」
「先導します。ゆっくり走ります。もし逸れた時はカーナビにセットしてもらった住所で落ち合いましょう」
無理に一緒になって走るより現地集合の方が安心だろうから二人の運転手とそう言う事を取り決めていれば目的地でわからなくなった場合にと電話の番号も交換しておく。
「まぁ、目的地は周囲に家がないので目印になって目立ちますので」
そんな紹介の仕方に二人は首を傾げるも時間は有限。ホテルにチェックインするまでの時間は限られているので早速と言う様に移動をするのだった。
居場所がないと言う様に申し訳なく声を上げたのは飯田さん。本当に捨てられた犬のような顔で俺達を見る顔の頭には半折れした耳がしょぼんとしているように見える。とても狂犬が潜んでいるようには見えない態度に俺は飯田さんを見上げ
「パリのパブの話しをしただろ?その時に知り合った方です。
そして彼がパブで話しをした時のシェフです」
そんな簡単な紹介に名乗るかどうかは当人次第。さてどうなるか……
「君がか!アヤトに教えてもらった動画で君の料理を見た!
古典的な料理からワショクか?沢山見たよ!あれを独り占めできる綾人が羨ましい!
ああ、私はバーナード・エルソンだ。しがない会社を経営している。年も年だから息子達に隅に追いやられてこうやってカールの商談に付きまとってるんだ」
そんな明るい挨拶にカールも仕方がないと言う様に肩をすくめて
「カール・フォレットだ。骨董商を営んでいて一年の大半が買いつけの仕事をしている。バーナードとは数十年の付き合いで、融資の勉強会でレックスと落ち合う約束をしていたらアヤトに絡んで居てな。中々に有意義な時間を過ごさせてもらった」
「カオル・イイダです。応援に来た店が閉店したのでこれから予定期間の間は綾人さんに着いて遊学の供になります予定でした」
「「でした?」」
言いながらチラリと俺を見る飯田さんの視線は自分から白状しろと言う所だろう。そのめんどくささに脳内で纏めて
「ええと、素敵な家を衝動買いしましたのでそちらの掃除などに時間を割く事に変更しまして」
「「……」」
よし、端的にまとめた説明に二人とも納得してくれた! なんて一人頷いていれば
「家を買ったのか?」
目を点にしているカールに
「知り合った弁護士事務所の債権だったらしく格安で買わせていただきました」
城の相場の値段なんて知らないけどね。まさかオリヴィエのバイオリンより安いとは思わなかった。しかもあの広大な土地付きなのだ。羊と牧羊犬がセットでほしいとねと密かに思うも住まない家で動物を育てるのは危険だけど。羊を追うボーダーコリーなんて言う組み合わせ何て癒しだと本職の苦労を考えずにニヤニヤとしてしまえば
「格安って、だが随分な値段だっただろう?支払いはどうなってる」
さすが骨董商だけあって城の価格の相場を知っていてか俺を心配してくれるようだが
「とりあえずカードで一括しましたので。書類関係も弁護士のエドガーに頼んで問題ないし、ああ、今の問題はその庭の離れでレストランを開こうと思ってテーブルなどを見に来たんだけど、他の生活にも使う家具が圧倒的に足りなくて慌てて買いに来たんだけど。希望は築年数と同じぐらいのもので揃えたくてまずは偵察に」
なぜかバーナードは近くのタンスに抱き着いていて、カールは頭を抱えている。
そして飯田さんは何故か目を手で覆ってうつむき加減になっていると言う、説明が悪かったか?改めて判りやすい言葉を探してしまえば
「アヤト、そう言う時は俺を頼ってくれればいいのに」
頭痛から復活したカールはなぜか胸を張り
「そう言った探し物はカールの得意分野だ。欲しい物をリストアップして、サイズなども判ればなおいい」
なんてバーナードが提案してくれて本当に頼っていいのかと伺えば
「任せてくれ。だったらまず家の大きさを知りたい。そうだな、一度アヤトの家を見て見たい。何が必要になるかアドバイスをしよう」
「うわぁ!何て天の声!
あ、でも二人とも仕事が……」
邪魔は出来ないとそれぐらいなら社会経験のない俺でも理解できるが
「なに、気に入って買ってもらえれば十分な営業になるだろ?」
それを含めての好意かと思えばパブでの出会いがこんなにも良き縁になるならと
「だったら一度家に来て下さい。いつごろにしましょう?」
さすがに時間がない事は二人も知っているからとアポイントだけでも取ろうとすれば
「なに、今から見に行けば良い。部下も着いて来るがそれでよければ今日中に必要な物とサイズを取ろう」
「話が早い!だったら飯田さん」
「はい?」
そこでなぜおれ?と言いたげな飯田さんに
「オリオールに連絡してお客様が来るので準備をお願いしてもらう様に連絡入れてもらえますか?」
「ああ、では人数は……」
バーナードよりカールの方が話しやすいと見えてお茶の用意をするのでと断って同行者の人数を聞きだしていた。
俺はその間に欲しい物をバーナードに話してどんな店が理想なのかと説明して聞いてもらう。店の主に帰る事を告げれば外に黒塗りの車が二台連なって待ち構えていた。
何コレ……
飯田さんと並んで俺でも知る名前の車に一瞬意識を飛ばしそうになったけど二人は車から出てきた人物と運転手に予定の変更を告げていた。
「ええと、二人は一体何なのですか?」
「いや、会社経営と骨董商と……」
そうやって綾人は無意識にググれば二人の情報はかなり早い段階でヒットして、見なかった事にしたい気持ちを押しとどめて飯田さんへ情報を見せる。
「うかつです」
「本当に。何でもっと早い段階でググらなかったのかと大反省中です」
旅のすれ違いな人だと思って深くかかわる事を避けていたらこんな人物だったとは……
「使いようによっては便利すぎて旨すぎる」
「ご老体に鞭打つ真似はやめてください」
今回も俺はストッパー役か、いや、綾人さんを止められるのかと頭を抱えてしまう。
「じゃあ、案内してもらおうか」
「先導します。ゆっくり走ります。もし逸れた時はカーナビにセットしてもらった住所で落ち合いましょう」
無理に一緒になって走るより現地集合の方が安心だろうから二人の運転手とそう言う事を取り決めていれば目的地でわからなくなった場合にと電話の番号も交換しておく。
「まぁ、目的地は周囲に家がないので目印になって目立ちますので」
そんな紹介の仕方に二人は首を傾げるも時間は有限。ホテルにチェックインするまでの時間は限られているので早速と言う様に移動をするのだった。
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