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雲の中でかくれんぼ 1
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やっと雪の降らない春が来たのは五月中旬過ぎでまだまだストーブが恋しいと思うのは断熱材何て素敵な発想がなかった時代の建築物だから。だから代わりに竹を格子状に組んだものに土と藁を混ぜた物を塗り、その上に砂を混ぜた土を塗って更に漆喰などで化粧するように仕上げると言う物理的な壁が寒さを断ち切るすべだった時代、ただの板の壁よりは温かい事は理解が出来た。
今の時代の断熱材って本当にありがたいなと後付けで作られた俺の部屋がオイルヒーターだけで十分温かいのは嬉しい位に便利だ。ただエアコンほどの電力を使うのですぐにブレーカーが飛ぶのが欠点だったが、先生のおかげで第二種電気工事士の免許を取れたので分電盤を弄って電気の配分を見直して問題はクリアーしている。
俺の部屋だけでブレーカーのスイッチ二つってどうよwww
な作りだけど暖房付けてパソコン六台稼働、更に電気ポッドやタブレットなどの電源もじゃかじゃか使うからそうなるのは仕方がない。灯油買うより電気代の方が安く済むのだから上手く付き合うのは当然だ。
そんな暖房もそろそろ要らないかなとパソコンの放射熱で温まる部屋から脱出してそろそろやってくるだろうお客様を迎える為に部屋を乾燥させるために焚いていた薪を五右衛門風呂の竈へと移し替えるのだった。
だけど家の外に出てふとおもう。
温度計を見ればまだまだ寒い気温。
俺にとっては慣れた気温とは言え遠くに見えるまだ雪をすっぽりとかぶる山々を眺めて竈に置いてきた薪を回収して再度離れの竈へ入れて薪も投入。
飯田さんの料理用竈オーブンなのに居ない間はすっかりストーブと化する。
イイじゃん。
せっかく作ったんだし活用して何が悪い。しっかり乾かした薪を使って煤もあまりつかないように注意してるしと言い訳しながら今時の断熱効果の高い家の暖かさにホッとしつつ、ストーブの暖かさに眠気までf誘われてしまう。
ちなみに本日の工事はお休み。お食事会はご破算となってしまった。
昨日から夜更けまで降り続いた雨に工事現場当たりの地面はぬかるんで危険の為に飛び地の草刈りに励むと言ってくれた。
山の事ならきっと俺より詳しいだろう与市さんに俺は余計な事は言わない。たかだかここに住み込んで七年。山の歩き方を覚えた程度では山の怖さを総ては理解しきれてない。知識では知っているとは言え天候一つとっても体験以上の経験はないと言ったのはジイちゃんで。
猟友会の人も今日はやめておいた方が良いと一致した意見には従うしかない。
とは言え途端に静かになった家でいきなりチョリチョリさんから電話がかかって来た。
「綾人君、悪いけど暫く君の家に厄介になってもいいかな?」
酷く慎重な声に何があったのかと思い
「全然問題ないですけど、いろいろ不便な所なので良ければ……」
ふと思い出したのは年末いきなり連れてこられた蓮司の時のような緊張感。
「むしろそれぐらいがちょうどいいよ。
悪いけど俺と知り合いの子を一人連れてきたいんだけどいいかな?」
「じゃあ、離れの方に住めるように準備しておくけど、いつごろ来る予定?」
「今空港で、車をレンタルしたらこのまま直で向うから」
「ええ……遠いですよ」
「うん。関東じゃなくて中部から乗り込むからまだ近いかな?」
カーナビ任せになるけどと不安な事を言うチョリチョリさんに
「電車で来て下さい。名古屋で乗り換えてください。
詳しくは今メールの方に送ったから。乗り換えたら連絡ください。駅まで迎えに行きます」
「いや、そこまではさすがに悪いから……」
「じゃあ、友人が麓に住んでいるので迎えに行かせます。
疲れている所で山道の運転舐めないでください」
少し強く言えばチョリチョリさんは苦笑して
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」
言う声の向こう側では駅のアナウンスが響いていて、無駄がないなとさすが世界をまたにかける人だと関心をするのだった。
それから二時間前ほど。
電車に無事乗ったと連絡が入り、俺も時刻表から到着時間を思い出して先に圭斗に連絡しておいたから改めて時間を約束して……
耳慣れた圭斗の車の音が聞こえてきた。
今の時代の断熱材って本当にありがたいなと後付けで作られた俺の部屋がオイルヒーターだけで十分温かいのは嬉しい位に便利だ。ただエアコンほどの電力を使うのですぐにブレーカーが飛ぶのが欠点だったが、先生のおかげで第二種電気工事士の免許を取れたので分電盤を弄って電気の配分を見直して問題はクリアーしている。
俺の部屋だけでブレーカーのスイッチ二つってどうよwww
な作りだけど暖房付けてパソコン六台稼働、更に電気ポッドやタブレットなどの電源もじゃかじゃか使うからそうなるのは仕方がない。灯油買うより電気代の方が安く済むのだから上手く付き合うのは当然だ。
そんな暖房もそろそろ要らないかなとパソコンの放射熱で温まる部屋から脱出してそろそろやってくるだろうお客様を迎える為に部屋を乾燥させるために焚いていた薪を五右衛門風呂の竈へと移し替えるのだった。
だけど家の外に出てふとおもう。
温度計を見ればまだまだ寒い気温。
俺にとっては慣れた気温とは言え遠くに見えるまだ雪をすっぽりとかぶる山々を眺めて竈に置いてきた薪を回収して再度離れの竈へ入れて薪も投入。
飯田さんの料理用竈オーブンなのに居ない間はすっかりストーブと化する。
イイじゃん。
せっかく作ったんだし活用して何が悪い。しっかり乾かした薪を使って煤もあまりつかないように注意してるしと言い訳しながら今時の断熱効果の高い家の暖かさにホッとしつつ、ストーブの暖かさに眠気までf誘われてしまう。
ちなみに本日の工事はお休み。お食事会はご破算となってしまった。
昨日から夜更けまで降り続いた雨に工事現場当たりの地面はぬかるんで危険の為に飛び地の草刈りに励むと言ってくれた。
山の事ならきっと俺より詳しいだろう与市さんに俺は余計な事は言わない。たかだかここに住み込んで七年。山の歩き方を覚えた程度では山の怖さを総ては理解しきれてない。知識では知っているとは言え天候一つとっても体験以上の経験はないと言ったのはジイちゃんで。
猟友会の人も今日はやめておいた方が良いと一致した意見には従うしかない。
とは言え途端に静かになった家でいきなりチョリチョリさんから電話がかかって来た。
「綾人君、悪いけど暫く君の家に厄介になってもいいかな?」
酷く慎重な声に何があったのかと思い
「全然問題ないですけど、いろいろ不便な所なので良ければ……」
ふと思い出したのは年末いきなり連れてこられた蓮司の時のような緊張感。
「むしろそれぐらいがちょうどいいよ。
悪いけど俺と知り合いの子を一人連れてきたいんだけどいいかな?」
「じゃあ、離れの方に住めるように準備しておくけど、いつごろ来る予定?」
「今空港で、車をレンタルしたらこのまま直で向うから」
「ええ……遠いですよ」
「うん。関東じゃなくて中部から乗り込むからまだ近いかな?」
カーナビ任せになるけどと不安な事を言うチョリチョリさんに
「電車で来て下さい。名古屋で乗り換えてください。
詳しくは今メールの方に送ったから。乗り換えたら連絡ください。駅まで迎えに行きます」
「いや、そこまではさすがに悪いから……」
「じゃあ、友人が麓に住んでいるので迎えに行かせます。
疲れている所で山道の運転舐めないでください」
少し強く言えばチョリチョリさんは苦笑して
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」
言う声の向こう側では駅のアナウンスが響いていて、無駄がないなとさすが世界をまたにかける人だと関心をするのだった。
それから二時間前ほど。
電車に無事乗ったと連絡が入り、俺も時刻表から到着時間を思い出して先に圭斗に連絡しておいたから改めて時間を約束して……
耳慣れた圭斗の車の音が聞こえてきた。
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