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休みなんて所詮社会に縛られてる人のものであり、年中無休の引きこもりにはここで働かずにいつ働くと言われるように働かせていただきます 8

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 やがて集合の予定時間より気持ち早く来た朝八時。麓の町に降りれば既に職人さん達も集まっていた。
 作業用の最低限の車しか見当たらなく、圭斗の家に止めさせてもらっているようで、今日中に向こう三軒両隣、引っ越しではないがお騒がせしましたと用意したお菓子を持って行かせなくてはと家に帰るまでにする事の一つと決めさせておく。
 ふと見れば長沢さんも奥さんを連れてあいさつ回りと去年の秋以来の再会に話は弾んでいるようだった。そこで一緒に話を弾ませている内田夫婦と浩太さん、そして二番目の子供の幸治くんもつれてきていた。気にはなったけどとりあえずと言う様にこの一団を率いてもらう内田さんにご挨拶をして
「お待たせしてすみません!」
 主役は最後に登場、ではなく雇い主が一番最後に現れるってこれは何かのフラグだろうか?いやいや、これでも三十分前に来たつもりなんですけど、皆さんどれだけ楽しみにしてらっしゃる?となんとなくげっそりとしている圭斗におはよーと挨拶に行けばちゃんと隣には陸斗が居た。一番安全な場所を判ってるけどみんな待ってると言うようにそわそわと早く山に行きたい様子が微笑ましすぎてちゃっちゃと進行する事に決めた。
 奥の庭の方が広いので、道路にはみ出さないようにと移動すればはみ出さないようについて来てくれて、こんな広い庭があったのかと見ていなかった人は驚きの様子だった。うちより狭いけどねと口には出さず心の中でちゃんとつっこんでおく。
「今日は辛うじて天気も良く先日雪が降ったのが嘘のような温かさです」
「麓じゃ降ってないぞー!」
 浩太さんのヤジにさすが山だとざわざわとする中
「前回同様今回俺の老後に向けて手に入れた家、ニコイチハウスの改築に手伝いに来てありがとうございます!詳しい事は森下さんと浩太さんから聞いていると思うので省略しますが」
 あまりの気持ち良い省略ぶりになぜか大笑いされる中めげずにまだまだ声を張り上げる。
「いつものように動画にしますので前回引き続きの設定でいきます。初めての人、顔見せいいよと変更がある人は陸斗!」
 手招きしてノートを一冊、ビデオを一つ渡し
「後で変更しますので申告お願いします!
 あと山の上の草刈りに来て下さる方もありがとうございます。上では高校生達が既に仕事を始めてますのでよろしくお願いします」
 いいわよー!と薹が立ってるけど華やかな声によろしくお願いしますともう一度頭を下げ
「既に連絡済だと思ってますが、前回の様に今回飯田さんは繁忙期の為支配人に仕事をしろと命じられてますのでこちらには来れませんでした!」
 どっと沸き上がる笑いごえに
「一応食材は森下さんの奥さんと相談してメニューを考えて用意させていただきました。みんな大好きカレーライスです。分量なんかは飯田さんとも相談させていただいたので足りなくなる事はないでしょうが、麓の方には長沢さんの奥さん、内田さんの奥さん、今回山の家の方の柵の張替をお願いしている長谷川工務店の奥さんが協力して下さるのでお昼は圭斗の家の方へとお願いします。
 なんと開かずの間のプレハブ小屋を開けたら竈を見つけました!」
 なぜか拍手と歓声を浴びて圭斗は両手を上げてお宝発見しました!という様にガッツポーズをしていた。
「元の持ち主さんももう何十年と使ってないとおっしゃったのですが、どんなものか手入れをして内田さんにも使える事と試し炊きもしてみました」
 納屋の部屋の改造をする為にいろいろ見ていた時に一角に在った謎のプレハブ小屋には鍵がかかっていて、いろいろ慌ただしくてずっと見ないふりをしていた場所をこの家を購入してもうすぐ一年になるからと思い切って扉を壊して小屋の中を覗いてみれば竈が発見された。ただしうちとは違い一つしかないので使い勝手は悪そうだが、今回のような大人数のご飯を炊くにはぴったりだと思う。
「使い方は皆さんプロなのでお任せします」
 任せてーとは長谷川さんの奥さん。こう言ったお祭り騒ぎが好きそうな人で良かったと思う。
「それでは一応予定では皆さん既にスマホで送った画像を想定してます。
 また俺の気が向いて変わる事もあるかもしれませんが、臨機応変に付き合ってください!」
「因みにすでに変更点は発生してます!そちらは各部屋に変更点後の設計図とメールも送っておいたので各自確認お願いします!」
 浩太さんの張り上げる声に気付いてない人は慌ててスマホを確認していた。
「吉野の、お前さんは移り気が早いのう」
「いい物見ると真似したくなるので」
 苦笑する長沢さんは今回は奥の家の玄関の扉を直しに来てくれた。付け替えた方が早いと言われたが、曾祖父がぼったくっただけに立派な物だからと長沢さんが手を入れてくれると言ってくれた。幸いにも今家の中が作業しやすいようになっているのと若手の手数があるのでそこでちょいちょいと済ませるつもりだと言ってくれた。既にとりつぶす予定だった奥の家のトイレを風呂場の復活と共にトイレも新しく作るという変更点も加えられた時点でこれ以上はちょいちょいですめばいいなと願いながらも仕事の手は抜かない長沢さんなので一番のベスト状態を作り上げてくれるのだろうと、俺は心臓をドキドキさせながら財布を持って待機するだけだ。簡単な見積もりはしてくれるけどそもそも適正価格を知らないので長沢さんの作業を信じるしかないし、母屋の手入れにも一切不満はない、それどころか不満がすべて解消されたのでそれが適正価格だと信じるのだった。
「何かあれば内田さんへとお願いします。
 俺は今から皆さんと一緒に山の上に行くので、夜うちに泊まりに来る方は?」
 ぱらぱらと手を挙げる人と
「では残りは圭斗の家で?」
 降ろされた手と代わりにあげられた手はほぼ独身の人が多く、前回同様そうなったと言う感じだ。ぱっと目視で人数を確認していれば子供達が山水を引き込んだ水場で遊び始めてびしょびしょになる前に解散する事にする。
「では、なんか背後が大変な事になりかけているので、怪我がない様によろしくお願いします!怪我をした時は麓の病院も休日受け付けてくれるのでご利用ください!散々厄介になったやぶ医者が居るけど安心して任せられますので何かあった時は是非体験してください!」
 何故か失笑が響けば解散というようにばらついた中を潜って内田さんの奥さん達に挨拶に行こうとした所で浩太さん森下さん、そして圭斗がやって来た。


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