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休みなんて所詮社会に縛られてる人のものであり、年中無休の引きこもりにはここで働かずにいつ働くと言われるように働かせていただきます 7

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 宮下も手早く食べ終えて台所の年季の入った机に料理を並べる横でせめて自分達が使った食器はと洗っている間にティーンズのお子様達はお腹すいたとやって来た。中々正直で宜しいと、都会の子供は田舎の子供の朝からの食欲にあっけにとられながらも山盛りに作られたサラダチキンの温野菜サラダがあっという間に減っていく現象を俺も何かおかしいと言う様に眺めている。
「宮下さんのサラダチキンサイコー!」
「味付けの秘訣は何ですかー!」
 一人暮らし組の食生活の侘しさを垣間見た瞬間。
「これ、スーパーで買うには高いんですよねー。しかも悔しい位に食べきりサイズだし、山ほど食べたいし?」
「チャックの付いた袋あるだろ?あの中に酒とクレージーソルトとだしを適当に入れて鳥ももを入れて沸騰したお湯で二分後は冷えるまで放置で出来るよ」
「分量は……」
「さあ?飯田さんを見て適当に真似して試行錯誤で見つけたお味です。
 ちなみに飯田さんの方がもっと美味い」
「神ですから」
 今度試してみようと言う水野の取り皿にはこんもりとチキンサラダが山盛りで
「宮、水野のお皿に是非ともサラダもプレゼントしてあげてください」
「了解」
「うおー?!気付かれた!ばれた!」
 当然だとみんなで笑う。
「それと水野、飯田さんのサラダチキン動画に在るから後で探しておけ」
 間違っても作り方教えてなんていちいち連絡するなよと綾人がつっこんでおく。
「えー?いつごろですか?」
 サラダチキンなんて作ってたっけと言う物の
「かなり初期だな。烏骨鶏の肉で作ったはずだ」
「あー、あった。料理の方は全然見てなかったから気付かなかったー」
 とは植田の言葉。
「なんか一人暮らしにお役立ちメニューばっかりだね?」
「元々綾人に料理を教えるのが目的だったからね。
 と言っても綾人は勝手に略して飯田さんの料理からの味からだいぶ外れるけど」
「でも悪くない味なんだよ。家庭の味って感じで」
「うん。高級感が一気になくなった感じって言うのが正しいイメージだね」
 なんて懸命に見始める動画を新入りも見て
「うわ、綾っちチューバーでしたか」
「綾っち言うな、チューバー言うな。あと人にも言いふらすな、そしてこの家の住所を大体でもばらすな。興味本位で来てもらって遭難でも起きたら自腹だから破産するぞ」
 新入りに何を教えていると植田達を睨むのはどうせこいつが主犯だろうというのは大体あっている。
「遭難ってあるんですか?」
 なんか妙に植田とキャラの被る羽田の疑問に
「前に一回あったよ。
 ここがどこだか特定しよう。ほんとにこんな古民家の一軒家に住んでいるのかって。
 共同企画を持ちかけられたけど丁寧にお断りしたし、それを期にコラボ企画は基本お断りしてる事を概要欄でもかかげてるんだけどね、迷惑な事に突撃してどっきり企画にしようって流れに変わって。
 向こうは三人組のトリオで突撃して来たんだけど途中普通の道から行ったら見つかってドッキリ企画にならないじゃないかと下の草叢から方位磁石持ってやってくる事になって。だけどスマホの電波が入らない所だし、磁石もスマホのアプリだからあっという間に遭難してさ。
 トリオの親から予定になっても帰ってこないって警察に連絡が入って捜査が入ったけど時間もかかってるから足取りも判らなくて。そんでちょうど俺その時東京に行って二週間ほど留守してたし帰ったら警察が来てたって宮下から聞いて驚いてさー、道理でヘリがぶんぶん飛んでるって思ったよ。
 知ってるか?民間ヘリを飛ばすのに一分一万円が相場で天候によって変動するんだって」
「高いって聞いてたけどそんなにもするんですか?」
「他にも操作する人達の諸経費は別だしな。
 警察とかの段階なら税金だけど、それ以降の民間委託になると保険に入ってないとポンポン上がっていくぞー。
 しかも見つからなかったケースになると行方不明扱いだから七年間は死亡と見なされないから死亡保険受け取れないんだぞー。
 ただあの時は奇跡的にも十二日目にして生きて発見されたんだよな?」
「うん。都会的なプレゼントをって持って来たお菓子とかで飢えをしのいだんだって。たまたま季節が夏だったから良かったけど、三人とも夜の寒さに熱を出して救急車で運ばれて行ったりテレビにも流れたりして大変だったんだよ?」
「しかもすごいのがそれでも綾人のこの家の位置がばれなかったって言う秘境っぷり」
「入口に私有地に付き立ち入り禁止の柵を先生がんばって動かしただけあったな」
 ケラケラと笑う俺と宮下と先生と。
「俺その時見に来たんですよ?なのにまさかその家にこうやって寝泊りする事になるなんて感慨深いでーす」
「葉山マジかwww」
「バスに乗って友達とテレビに出れるかもって?」
 馬鹿がここに居るwww
 植田でなくても馬鹿笑いしたくなる内容に 
「でも留守にしていた綾人も事情徴収されてさ。
 『知り合いでもないのに来てもらっても困るだけ』『交流もないのに興味本位に来てもらっても迷惑だから』『その日は元々出かける約束をしてあった』『それでも俺に落ち度があるなら弁護士を立てましょう』って、そこで下がってくれたよ。これ以上費用払えないからね」
「あー、なんかそんなニュースで見た覚えがあるような」
「ほんの一、二年前だしな。
 だからお前らもここでの生活が嫌になったからって脱出だけはするなよ」
 ただでさえ高校の先生が生徒を連れて宿泊だなんて世間体が悪いんだからとボヤいている間に高校生は朝から山盛りの朝食を見事平らげ
「腹八分目と言った所か……」
 水野がおかしなことを言っていた。勘弁してくれ。
 後片付けは今回下僕を買って出た山田達に任せて
「じゃあ、もう少ししたら来客があるからそれまでに今日の予定を決めておこう。
 部屋は隣の囲炉裏の部屋使う様に。小さい子供がいるから一応ドアは閉めておくけど囲炉裏の番と二階に上がらないように注意してあげて。園田は囲炉裏の火の管理頼むな」
「うす」
「三人にはここでのルールで一応小学生のレベルから回答無理な所まであるからどれだけできるか俺が確認する程度のテスト受けてもらう。判る所だけでいいから食べたらすぐ取り掛かる様に」
「「「はい」」」
 いい返事にこんな所でも出来が違う事を身を持って感じてしまう。
「とりあえず先生と宮下を置いておくから喉が渇いたらあそこのウォーターサーバーでお茶でもコーヒーでも好きなもの飲んでくれ」
 こんな所で文明と言う目で見る三人に
「なんかこう言う所だと山水とか沢の水とかのイメージがありんだけど……」
 柚木だったか期待通りの言葉に誰もが鼻で笑い
「そう言った物には何が含まれてるか判らないから口にするなよ?
 綺麗で安心な水に変えられる物はないから、もし飲むような事があったらそのうちピロリ菌検査できるチャンスがあるとき必ずうけろよ」
 何てケラケラと笑う植田は見事ピロリ菌検査に引っかかったんだとか。
 今は抗生物質で駆除できるけど、未知の何かがいつの間にか体に巣食ってたと言うのはそれなりに心理的にダメージがあったとか。
「まぁ、薬で何とでもできるから。
 先生もピロリ菌とはお友達だぞ?それぐらい街中の土壌にも居るくらいありふれてる物だから。ビビるもんでもないし、植田も言った通り病院で薬貰えばいいだけだ。気付いてないだけで日本人大体持ってるくらいポピュラーな奴だから何かの機会があった時ついでで調べてもらう程度でいいぞ」
 もしゃもしゃと野沢菜づけを手で食べる先生から宮下が取り上げて先生を台所へと連れて行く。素直についていくなと言いたいが宮下よ、先生の扱いひどいなと植田と共に笑ってしまうのは当然だが周囲の視線を感じてこほんと咳払いして仕切り直し
「まぁ、それぐらいどうでもよくって、だけど何れ胃潰瘍とか胃がんのリスクになる存在って言う程度の物。
 それでも山水飲みたかったらこの家から上に行けば家なんてないから綺麗だぞ?自分の体で実験がわりに飲んでみるといいぞ?」
「そこまで言われたら飲みませんよ」
 それでいいと綾人は頷き
「じゃあ勉強を始めよう。
 お前らは予定通り先に草刈り始めておけ。水野頼んだぞ」
「うぃーっす」
 そんな気の抜けた声を合図に解散するのだった。


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