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休みなんて所詮社会に縛られてる人のものであり、年中無休の引きこもりにはここで働かずにいつ働くと言われるように働かせていただきます 6
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朝の五時、それまでには起きる綾人は今日も絶好調に目を覚まし、その物音を待っていたかのように先生がやってきて風呂へと入りに行く。
「少しぬるいから温めようか?」
「頼むな」
髭剃りと着替えを持ってのんびり朝ぶろをする頃には薄っすらと明るくなりだし、今回連れてきた三人の事の話しを聞きながら薪を焚けばやがて薄闇の中から向かいの山脈の姿がはっきりと現す至福の時間。
その邪魔をしないように烏骨鶏を小屋から出しに烏骨鶏ハウスへと向かい、待ってましたと言わんばかりに小屋から飛び出して行く一団と、卵を産みたいのかまだ藁で作った巣に鎮座する一団に分かれる朝が始まるのだった。
勢いよく飛び出した烏骨鶏達は、近くの低木の垣根の下をくぐる様に水辺の雑草地帯へと足を向ける。途中砂場で砂浴びをする何匹かを見て鍬を持って掘り返してあげれば他の烏骨鶏も地中の虫を探しに集まって賑やかになる。それでも喉が渇いたと言うように朝露を含んだ雑草をついばむ烏骨鶏もいてほんと暢気だなと微笑ましく見守り、そして癒しを貰い、そして卵産みました、もうすぐ産まれますと言う子達にくーっ、くーっと近寄るんじゃないと文句を言われながらも高たんぱくのミルワームを側に置いて突かれる前に退散する。鶏とは言えおっかさんは怖いと言うのは哺乳類も鳥類も関係ない。
「あとで美味しく頂くからな?」
人間やっぱり容赦ないと言う様に笑顔で産んで気分が落ち着けば散歩に出れるようにと隙間を開けておく。
周囲の柵の防御レベルはほぼゼロに近いのでこっそり居ついてもらっても困るが、今日は陸斗に人の手があるから烏骨鶏の小屋全入れ替えしようなと約束をしてある。烏骨鶏のお世話大好きと言わんばかりに目を輝かせ、そのうちまた雛を孵したら育てる様にプレゼントしたいと思うも、大学に行くんだから烏骨鶏は要らねえと当然ながら圭斗に邪魔されてしまったのだ。
烏骨鶏のご飯代より自分達のご飯代でさえきっつきつなのに週一の卵じゃあ割に合わないと言う計算もどうかと思うが
「陸斗が大学行って修行に出掛けて帰って来た時まだ育てる気があればそれからにしような?」
一応目指す大学に進学して卒業した後は世間を知る意味でも、ちゃんと社会を学ぶためにもどこかの会社で働く事を陸斗は圭斗と約束している。大学卒業してすぐに戻って来ても現場を何も知らないんじゃ役に立たないから、流儀などはすり合わせて行けばいいけど、社会の常識や非常識を学ぶためにも一度どこかに就職する事を先生からも説得してもらった。
「じゃないと綾人の様になるぞ?」
何を思ってかじーっと俺の顔を見た陸斗はしばらくしてしょぼんと項垂れ
「かんばります」
「ちょっと待って?!何その間は?!そのがっくり感は?!
住む場所と資産があるからって社会に貢献する事もせずに引きこもる俺の何が悪い?!税金はしっかり村に納めてるんだよ!」
「あはは、ちゃんと自分の事理解してるんだ」
宮下にも何かバカにされてふてくされてしまったがとりあえず俺の人生は他人にはお勧めではないらしい。まぁ、当然かと思うが。
それはともかく母屋でガタガタ言っていたと思ったら宮下が朝ごはんを作り始めてくれていた。さすがに昨日帰省してきた奴らや初めてお邪魔する三人組もぐっすり寝ているのを起こすのは可愛そうだし、その奥で寝ている奴らまで他を起こさずに起こしに行くのもばかばかしい話。布団を敷きつめて雑魚寝と言う様に寝ていた一団の寝相の酷い事。
思い出にちゃんと写真を撮ってあげた。
先生が風呂から出てくるまで暫く宮下とだべりながら下りてくるのを待てば週末ここで暮す園田が一番に降りてきて、水野達も寝ぼけながら下りてきた。さすがにこれだけ人が動けば新入りも目が覚めたようで
「夜寝れたか?寒くはなかったか?」
聞けばガタイの良い石岡が
「ちょうどよかったです」
はふーとあくび、寒くはなかったが寝たりなかったようだ。
「お前ら遠方から来た人に気遣えよ」
「すんません!今年も後輩が出来たのが嬉しくってはしゃいでました!」
「植田、朝からテンションウザ過ぎだろ」
「俺のチャームポイントですので」
植田を他所に宮下が顔洗っておいでと送り出す。宮下のスルー機能優秀すぎだろと机の狭さに先にご飯を食べるように言われて先生と卒業生組と先に食べる。高校生組は布団を片付けて来い、今夜は外にもお客さんが来るから今のうちに仏間の方に荷物を移せと、こうなったら二階に行けと追い立てた。言えばちゃんと嬉しそうな悲鳴と共に本棚にまっすぐ向かう足音に呆れるも
「あいつら何しに来たんだっけ?」
荷物をどんどんと置く音を最後にピクリともしない足音を不審に思えば
「かわいそうに、陸斗の聖域が犯されてしまった」
クレソンの胡麻和えを食べながら言うセリフじゃねーなと聞く俺もソーセージを食べているのでいい勝負だろう。
「少しぬるいから温めようか?」
「頼むな」
髭剃りと着替えを持ってのんびり朝ぶろをする頃には薄っすらと明るくなりだし、今回連れてきた三人の事の話しを聞きながら薪を焚けばやがて薄闇の中から向かいの山脈の姿がはっきりと現す至福の時間。
その邪魔をしないように烏骨鶏を小屋から出しに烏骨鶏ハウスへと向かい、待ってましたと言わんばかりに小屋から飛び出して行く一団と、卵を産みたいのかまだ藁で作った巣に鎮座する一団に分かれる朝が始まるのだった。
勢いよく飛び出した烏骨鶏達は、近くの低木の垣根の下をくぐる様に水辺の雑草地帯へと足を向ける。途中砂場で砂浴びをする何匹かを見て鍬を持って掘り返してあげれば他の烏骨鶏も地中の虫を探しに集まって賑やかになる。それでも喉が渇いたと言うように朝露を含んだ雑草をついばむ烏骨鶏もいてほんと暢気だなと微笑ましく見守り、そして癒しを貰い、そして卵産みました、もうすぐ産まれますと言う子達にくーっ、くーっと近寄るんじゃないと文句を言われながらも高たんぱくのミルワームを側に置いて突かれる前に退散する。鶏とは言えおっかさんは怖いと言うのは哺乳類も鳥類も関係ない。
「あとで美味しく頂くからな?」
人間やっぱり容赦ないと言う様に笑顔で産んで気分が落ち着けば散歩に出れるようにと隙間を開けておく。
周囲の柵の防御レベルはほぼゼロに近いのでこっそり居ついてもらっても困るが、今日は陸斗に人の手があるから烏骨鶏の小屋全入れ替えしようなと約束をしてある。烏骨鶏のお世話大好きと言わんばかりに目を輝かせ、そのうちまた雛を孵したら育てる様にプレゼントしたいと思うも、大学に行くんだから烏骨鶏は要らねえと当然ながら圭斗に邪魔されてしまったのだ。
烏骨鶏のご飯代より自分達のご飯代でさえきっつきつなのに週一の卵じゃあ割に合わないと言う計算もどうかと思うが
「陸斗が大学行って修行に出掛けて帰って来た時まだ育てる気があればそれからにしような?」
一応目指す大学に進学して卒業した後は世間を知る意味でも、ちゃんと社会を学ぶためにもどこかの会社で働く事を陸斗は圭斗と約束している。大学卒業してすぐに戻って来ても現場を何も知らないんじゃ役に立たないから、流儀などはすり合わせて行けばいいけど、社会の常識や非常識を学ぶためにも一度どこかに就職する事を先生からも説得してもらった。
「じゃないと綾人の様になるぞ?」
何を思ってかじーっと俺の顔を見た陸斗はしばらくしてしょぼんと項垂れ
「かんばります」
「ちょっと待って?!何その間は?!そのがっくり感は?!
住む場所と資産があるからって社会に貢献する事もせずに引きこもる俺の何が悪い?!税金はしっかり村に納めてるんだよ!」
「あはは、ちゃんと自分の事理解してるんだ」
宮下にも何かバカにされてふてくされてしまったがとりあえず俺の人生は他人にはお勧めではないらしい。まぁ、当然かと思うが。
それはともかく母屋でガタガタ言っていたと思ったら宮下が朝ごはんを作り始めてくれていた。さすがに昨日帰省してきた奴らや初めてお邪魔する三人組もぐっすり寝ているのを起こすのは可愛そうだし、その奥で寝ている奴らまで他を起こさずに起こしに行くのもばかばかしい話。布団を敷きつめて雑魚寝と言う様に寝ていた一団の寝相の酷い事。
思い出にちゃんと写真を撮ってあげた。
先生が風呂から出てくるまで暫く宮下とだべりながら下りてくるのを待てば週末ここで暮す園田が一番に降りてきて、水野達も寝ぼけながら下りてきた。さすがにこれだけ人が動けば新入りも目が覚めたようで
「夜寝れたか?寒くはなかったか?」
聞けばガタイの良い石岡が
「ちょうどよかったです」
はふーとあくび、寒くはなかったが寝たりなかったようだ。
「お前ら遠方から来た人に気遣えよ」
「すんません!今年も後輩が出来たのが嬉しくってはしゃいでました!」
「植田、朝からテンションウザ過ぎだろ」
「俺のチャームポイントですので」
植田を他所に宮下が顔洗っておいでと送り出す。宮下のスルー機能優秀すぎだろと机の狭さに先にご飯を食べるように言われて先生と卒業生組と先に食べる。高校生組は布団を片付けて来い、今夜は外にもお客さんが来るから今のうちに仏間の方に荷物を移せと、こうなったら二階に行けと追い立てた。言えばちゃんと嬉しそうな悲鳴と共に本棚にまっすぐ向かう足音に呆れるも
「あいつら何しに来たんだっけ?」
荷物をどんどんと置く音を最後にピクリともしない足音を不審に思えば
「かわいそうに、陸斗の聖域が犯されてしまった」
クレソンの胡麻和えを食べながら言うセリフじゃねーなと聞く俺もソーセージを食べているのでいい勝負だろう。
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