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旅立つ君に 3
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なんだかんだ言って無限を誇る胃袋を持つ高校生の年齢でも綾人が大枚をはたいて用意した食材に満足という様に外縁で引っ越しの準備に何が必要か談義とかその話に憧れる二年ズが都会に引っ越す水野と植田に憧れるようにキラキラと輝く瞳にもうちょっと向上心持てとつっこむも、農業やってる家の子供達は農大進学したいと言う希望と獣医師になりたいと言う園田の進路に
「おま、今頃。そんなのんびりで間に合うのかよ」
呆れた様に綾人は言うが
「その為の綾人さんです。親には説得済みです。春休みの間雪かきをしますのでみっちり勉強見てください」
「お前そのネタ止めろ」
げらげらとみんなで笑い転げる理由は先週上げた動画で蓮司の回の最終回を迎えた所だった。ちなみに今週は総集編としてまとめた物や上げきれなかった物とかが上がるらしい。蓮司の成長ぶりをひとまとめで見れるなかなかの秀作な編集に宮下は自慢げに胸を張っている。ご飯の準備中にあげる前の映像を見てやっぱり最後の落ちに大爆笑した所なのだ。
「だけど人が悪いですよ綾人さん」
「仕方がないだろ。うちじゃガソリン代の方が人件費より高額になるんだよ。無償で済むなら最低限の労力は支払えってのは当然だ」
『鳥頭のバイト君』と言うハンドルネームで一応烏骨鶏のマスクで顔を隠しての期間限定のバイト君こと蓮司の回は雪かきから始まる日常のルーティンから始まる。
玄関を開ければ毎日雪かきをしても目の前には雪の壁。烏骨鶏の小屋までの雪かきと運動場作りの日々。そして烏骨鶏小屋の掃除を終えて雪をかき分けて畑に野菜を取りに行き、その他もろもろの動線の確保。魂の叫びと共にご飯の支度の譲り合い。あとはこの雪山でやれる事の少なさにネットで留学、つまり英会話の勉強。改めての英語の勉強にすっかりと忘れ去られた蓮司の英語力をあざ笑うかのような綾人の英語力に家の中は英語禁止ルールが出たり出なかったり。ちなみに飯田さんが来た時はフランス語だった。さすがに耳にも予備知識がないフランス語にはさっぱりの様子だった。
綾人の家を探索したり、外に出れる日はあの手作りカンジキで雪原歩き。運動不足でストレスになる事はなく、寧ろ高原地帯の空気の薄さにすぐにへばる様子は笑ってくれと言う物だった。
雪かきをしている合間合間には宮下が飯田さんの弟と職場の人を連れて日本海側に雪に吹雪かれながら釣りに行くと言う暴挙。釣った魚を捌いて行く本職二人と鮮魚コーナーでさばき続けた宮下の魚トークが止まらなかったりお土産で飯田さんのお父さん、お母さんに持ち帰ればぴちぴち動く活き作りを作ってくれたりと相変わらずお父さんはお元気そうで何よりです。
もちろん西野さん夫婦に煮魚を作ってあげたりする様子に飯田さんが来る時に煮魚食べたいとリクエストする結果。飯テロってほんと迷惑だと叫ぶも飯田さんが約束通り作ってくれたカレイの煮つけを食べる頃には俺はご機嫌そのものだ。
そんな感じで蓮司の回の最終話。
約二ヶ月にわたる滞在先から帰る様子と言う最大の感動シーンのはずなのに何故か圭斗が除雪機を持ち出してそこらじゅうを除雪しながら見送ると言う感動ぶち壊しをやってのけてくれたのだ。
まぁ、烏骨鶏ハウスの二階の出来事があった直後で俺が鬱陶しかったのは判るけどさ。
さらに圭斗の悪魔のようなキメ台詞。
「ここじゃ人件費よりガソリン代の方が高いんだ!
ガソリン買いに行く伝手がない奴は手で仕事をするに決まってるだろう!」
あまりの無常さに別れの寂しさよりも己の無力さと田舎の非情さに泣く蓮司。
「ありがとう。今年はおかげで除雪代がだいぶ安くすんだよ」
感動の別れのタイミングを逃して追い討ちをかけるかのような俺のセリフ。
「二度と冬には来てやらねえええ!!!」
エコーを付け泣き叫びながらも走り出した所でお約束のように転ぶ蓮司。撮り直しなしの一発撮影なので圭斗は容赦なく足を引っ張ってスノーモービルが置いてあるところまで引っ張って、俺とスノーモービルでタンデムして去りゆく姿に視聴者様もこれは酷いと大笑い。締めとしてのインパクトは最高でしたと俳優の演技力やっぱすげえと蓮司の未来が明るい事を確証した。
とは言え心から泣き叫ぶあまり、車に乗り込んでからも暫くぐずったり、徹夜明けだから爆睡したりと静かなうちに東京に着いて多紀さんに起こして貰ってあっさりと別れる事になった。寝ぼけていたので本当にあっさりとした別れになった。
俺はそれからまだ家に居る飯田さんの家に突撃して一泊させてもらうのだった。仕方がない。朝から一泊させてくれる親切なホテルなんてないのでどこぞの教師の家とは違い綺麗でなんかいい匂いのする飯田さんのマンションの客間と言う俺が東京に来た時に時々泊めさせてもらっている部屋にお邪魔させてもらうのだった。
「そうですか。蓮司君帰って来たのですか」
「さっき多紀さんに引き渡した所。事務所とか蓮司のマンションとかマスコミにマークされてるからって多紀さんの家に来るようにって波瑠さんから連絡があった」
「波瑠さん相変わらずパワフルですね」
社長と段取りをして連絡係をするのは今蓮司にマネージャーが付いてないかららしい。なんでも私物をネットで売っていたとか言う犯罪をしてたとかなんとか。
うん、犯罪だね。
前に俺が渡したリストを参照にビデオを隠して設置したらしいけど、蓮司の家でやりたい放題してたらしい。それはもう風呂に入るのは勿論裸でベットで寝たり、下着込の私服を自分で着てみたりと……
蓮司はもうトラウマで東京に戻ってきたのを機に警察に行って被害届と接近禁止令を出してもらう事にすると言う。まぁ、仕事の関係上なので直ぐに出るか判らないが、被害総額もかなりあるし、ビデオの内容も俺には教えてくれなかったけど相当ひどいと言う。それで大体の想像はついたけどね。
社長は俺のリストから割り出した自社のタレント達の解雇だったり、契約の継続を切ったりそれなりに忙しかっただけに雇っていた社員のモラルにまで頭を抱える事になって波瑠さんが張り切ってくれたようだ。俺と連絡取れるの波瑠さんぐらいしかいないしね。とは言え蓮司を気に入っている多紀さんが手助けしてくれたので暫くは多紀さんの家に泊まり込むらしい。
最低限の躾はしたので思う存分こき使ってやってくださいと初めて会う多紀さんの奥様にご挨拶の代わりに野菜や猪の肉などのお土産を渡せば嬉しそうに微笑んでくれるのだった。
「おま、今頃。そんなのんびりで間に合うのかよ」
呆れた様に綾人は言うが
「その為の綾人さんです。親には説得済みです。春休みの間雪かきをしますのでみっちり勉強見てください」
「お前そのネタ止めろ」
げらげらとみんなで笑い転げる理由は先週上げた動画で蓮司の回の最終回を迎えた所だった。ちなみに今週は総集編としてまとめた物や上げきれなかった物とかが上がるらしい。蓮司の成長ぶりをひとまとめで見れるなかなかの秀作な編集に宮下は自慢げに胸を張っている。ご飯の準備中にあげる前の映像を見てやっぱり最後の落ちに大爆笑した所なのだ。
「だけど人が悪いですよ綾人さん」
「仕方がないだろ。うちじゃガソリン代の方が人件費より高額になるんだよ。無償で済むなら最低限の労力は支払えってのは当然だ」
『鳥頭のバイト君』と言うハンドルネームで一応烏骨鶏のマスクで顔を隠しての期間限定のバイト君こと蓮司の回は雪かきから始まる日常のルーティンから始まる。
玄関を開ければ毎日雪かきをしても目の前には雪の壁。烏骨鶏の小屋までの雪かきと運動場作りの日々。そして烏骨鶏小屋の掃除を終えて雪をかき分けて畑に野菜を取りに行き、その他もろもろの動線の確保。魂の叫びと共にご飯の支度の譲り合い。あとはこの雪山でやれる事の少なさにネットで留学、つまり英会話の勉強。改めての英語の勉強にすっかりと忘れ去られた蓮司の英語力をあざ笑うかのような綾人の英語力に家の中は英語禁止ルールが出たり出なかったり。ちなみに飯田さんが来た時はフランス語だった。さすがに耳にも予備知識がないフランス語にはさっぱりの様子だった。
綾人の家を探索したり、外に出れる日はあの手作りカンジキで雪原歩き。運動不足でストレスになる事はなく、寧ろ高原地帯の空気の薄さにすぐにへばる様子は笑ってくれと言う物だった。
雪かきをしている合間合間には宮下が飯田さんの弟と職場の人を連れて日本海側に雪に吹雪かれながら釣りに行くと言う暴挙。釣った魚を捌いて行く本職二人と鮮魚コーナーでさばき続けた宮下の魚トークが止まらなかったりお土産で飯田さんのお父さん、お母さんに持ち帰ればぴちぴち動く活き作りを作ってくれたりと相変わらずお父さんはお元気そうで何よりです。
もちろん西野さん夫婦に煮魚を作ってあげたりする様子に飯田さんが来る時に煮魚食べたいとリクエストする結果。飯テロってほんと迷惑だと叫ぶも飯田さんが約束通り作ってくれたカレイの煮つけを食べる頃には俺はご機嫌そのものだ。
そんな感じで蓮司の回の最終話。
約二ヶ月にわたる滞在先から帰る様子と言う最大の感動シーンのはずなのに何故か圭斗が除雪機を持ち出してそこらじゅうを除雪しながら見送ると言う感動ぶち壊しをやってのけてくれたのだ。
まぁ、烏骨鶏ハウスの二階の出来事があった直後で俺が鬱陶しかったのは判るけどさ。
さらに圭斗の悪魔のようなキメ台詞。
「ここじゃ人件費よりガソリン代の方が高いんだ!
ガソリン買いに行く伝手がない奴は手で仕事をするに決まってるだろう!」
あまりの無常さに別れの寂しさよりも己の無力さと田舎の非情さに泣く蓮司。
「ありがとう。今年はおかげで除雪代がだいぶ安くすんだよ」
感動の別れのタイミングを逃して追い討ちをかけるかのような俺のセリフ。
「二度と冬には来てやらねえええ!!!」
エコーを付け泣き叫びながらも走り出した所でお約束のように転ぶ蓮司。撮り直しなしの一発撮影なので圭斗は容赦なく足を引っ張ってスノーモービルが置いてあるところまで引っ張って、俺とスノーモービルでタンデムして去りゆく姿に視聴者様もこれは酷いと大笑い。締めとしてのインパクトは最高でしたと俳優の演技力やっぱすげえと蓮司の未来が明るい事を確証した。
とは言え心から泣き叫ぶあまり、車に乗り込んでからも暫くぐずったり、徹夜明けだから爆睡したりと静かなうちに東京に着いて多紀さんに起こして貰ってあっさりと別れる事になった。寝ぼけていたので本当にあっさりとした別れになった。
俺はそれからまだ家に居る飯田さんの家に突撃して一泊させてもらうのだった。仕方がない。朝から一泊させてくれる親切なホテルなんてないのでどこぞの教師の家とは違い綺麗でなんかいい匂いのする飯田さんのマンションの客間と言う俺が東京に来た時に時々泊めさせてもらっている部屋にお邪魔させてもらうのだった。
「そうですか。蓮司君帰って来たのですか」
「さっき多紀さんに引き渡した所。事務所とか蓮司のマンションとかマスコミにマークされてるからって多紀さんの家に来るようにって波瑠さんから連絡があった」
「波瑠さん相変わらずパワフルですね」
社長と段取りをして連絡係をするのは今蓮司にマネージャーが付いてないかららしい。なんでも私物をネットで売っていたとか言う犯罪をしてたとかなんとか。
うん、犯罪だね。
前に俺が渡したリストを参照にビデオを隠して設置したらしいけど、蓮司の家でやりたい放題してたらしい。それはもう風呂に入るのは勿論裸でベットで寝たり、下着込の私服を自分で着てみたりと……
蓮司はもうトラウマで東京に戻ってきたのを機に警察に行って被害届と接近禁止令を出してもらう事にすると言う。まぁ、仕事の関係上なので直ぐに出るか判らないが、被害総額もかなりあるし、ビデオの内容も俺には教えてくれなかったけど相当ひどいと言う。それで大体の想像はついたけどね。
社長は俺のリストから割り出した自社のタレント達の解雇だったり、契約の継続を切ったりそれなりに忙しかっただけに雇っていた社員のモラルにまで頭を抱える事になって波瑠さんが張り切ってくれたようだ。俺と連絡取れるの波瑠さんぐらいしかいないしね。とは言え蓮司を気に入っている多紀さんが手助けしてくれたので暫くは多紀さんの家に泊まり込むらしい。
最低限の躾はしたので思う存分こき使ってやってくださいと初めて会う多紀さんの奥様にご挨拶の代わりに野菜や猪の肉などのお土産を渡せば嬉しそうに微笑んでくれるのだった。
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