132 / 976
焦って急いでも着地地点は結局同じ、と思ったら大間違いだ 9
しおりを挟む
お昼は台所とすぐ横の座敷に分かれて食べるのはいつもの事。囲炉裏を出して魚を焼いて食べたいと喚く植田に暑いだろうと言って夜外でバーベキューをする事を約束させられた。さて、持ち寄った材料で何が作れるか。いろいろ作れるが簡単に焼いて食べる。その一択なのは先生が始業式の準備やらテストの準備やらで不在なのが一番大きい。そして何時も手伝ってくれている宮下が明後日には向こうに行くと言っていろいろ準備をしている。主に就職とは疑問を抱いてる宮下夫妻だが、ちゃんとした職に就く。随分と安心して張り切っているらしい。
お兄さんの所にあれから元嫁の突撃はないと言う。さすがに檻の中に入っているので来る事はないと言う。俺の産みの親と同じところではないが、檻付きの病院。退院したらちゃんとした檻生活が待っていると言うらしい。なんでも両親はその兄弟の元に引き取られたとか。元嫁も同様にそちらの方の病院に行ったと言う。その間に親族によって家は売り払われ、更地にする徹底ぶり。勿論リフォームも家を売った事でお支払いをする徹底ぶり。いろいろ思う所があったのだろう。とりあえず兄弟の家は自営業らしく無償の労働力が手に入ったと喜んでいたと言うのを弁護士さんから聞いている。もう帰っては来れないだろうとどこか苦笑する内容には俺も笑うしかない。さすがに海を渡ってまで来る事はそうそうできないなと、はるか北の大地に旅立った親子を思うのだった。
そんな中でのお蕎麦の差し入れはハイテンションになった宮下のおふくろさんのパワーの矛先の結果だと言う。本日最終日のバイトに向かう前に立ち寄ってくれたが、また帰りに烏骨鶏に会いに来ると言う。せめて俺に会いに来ると言えばいい物をと思うも少しばかりセンチメンタルになってる宮下にこの夜動画の事について話しをする約束も取りつけて置いた。
そんなこんなで出来たお昼は名物宮下おふくろの蕎麦と我が家の野菜の天ぷら。前回宮下がさっと作ってくれた天ぷらを見た高校生達が親が台所が油まみれになるからなかなか作ってくれない天ぷらがこんなにも簡単に作れる物かと感動して今回挑戦すると言う。勿論そろそろ寂しくなった畑の野菜達がフル稼働して、一部上島ブラザーズが山菜も取って来た。さすがの山菜がどれかは判る奴は少なく、そして水野には植田が付き添って畑から怪しいのを取らないように監視をしてくれていた。
蕎麦を湯がくのは一年生担当で、陸斗は大根おろしや山芋をすりおろしてとろろを作っている。相変わらず渋いなと感心しながら火事だけは気を付けるように注意は何度も促す。と言うか二年生達の勉強に区切りがついて様子を見に行けば延長コードで庭先で天ぷらを揚げると言う、その発想はさすがになかったよとかんしんした。
「ほら、掃除が大変って言うなら掃除しなくても良い様に?」
「万が一があってもここなら火がつく物ないでしょ」
「いや、そうだけど……」
台所と風呂を繋ぐ通路から少しはみ出した所に机を置いて揚げている様子に通りすがりの浩太さんも二度見していた。
オイルフォンデュなる物があるのでありか?と思うも火の扱いだけは気を付けてと言って大騒動の蕎麦組の様子を覗き見る。二年もその大騒動振りに手を貸すが、その合間に陸斗がそばつゆを用意したり盛り付け用のザルを用意したり、お茶やお箸やコップも準備万端にしていた。陸斗の怪我が良くなればどれだけ有能だろうと、その優しさを独占する圭斗に嫉妬してしまうのは仕方がないだろう。
それはさて置きなんだかんだの大騒ぎのなかやっとお昼の時間になった。内田さん達も一緒にお昼の時間となるのだった。
少し焦げた茄子の天ぷら。衣だらけの野菜のかき揚げ。達人(?)がとってきた灰汁の出る前の少しほろ苦さを覚える山菜。そして宮下家自慢のいわくつき蕎麦。相変わらず大量なのでおつゆ替わりではないが内田さん達にも食べてもらう。何より陸斗の絶妙な出汁加減のとろろが大変宜しく、お椀にそばをよそってそこにとろろを投入。とろろ嫌いな奴もいるが、納豆同様好き嫌いの多い食材なのでそこは細かくは言わない。
「これはいいな」
内田さんがとろろそばに舌包みを打ち、お弁当は食べ終わっているのにお替り用の蕎麦からまたとろろそばを食べる。そして親子なので好物も似てるのか浩太さんもしっかりとおかわりを始める。
「こうなるとマグロが欲しいですね」
「陸斗、とろろはまだある?」
「ええと、山芋が大分傷んでたので全部すりおろしたので結構な量が」
消費一択にしたらしい。なんでも凍らせれば数日なら保存も効くので別の日にでも食べてもらおうとチャック付きの保存袋に入れて冷凍してあると言う。
「よかったらもってきます?」
「いいのかい?」
そこは田舎の人間同士。おすそわけはありがたく頂くのがマナーな事を知っているのでややこしい対応などせずありがたく頂いてもらえた。
あ、山掛け食べ損ねた。
と思ったけどチャックは二つに分けられていたのでとりあえず合宿終わったら食べればいいやと思うのは……陸斗の視線がじっととろろに向いているのを見て諦めた。内田さんが帰る時に圭斗の家に持って行ってもらおうと一緒に纏めて置く事でお願いをして置いた。
お兄さんの所にあれから元嫁の突撃はないと言う。さすがに檻の中に入っているので来る事はないと言う。俺の産みの親と同じところではないが、檻付きの病院。退院したらちゃんとした檻生活が待っていると言うらしい。なんでも両親はその兄弟の元に引き取られたとか。元嫁も同様にそちらの方の病院に行ったと言う。その間に親族によって家は売り払われ、更地にする徹底ぶり。勿論リフォームも家を売った事でお支払いをする徹底ぶり。いろいろ思う所があったのだろう。とりあえず兄弟の家は自営業らしく無償の労働力が手に入ったと喜んでいたと言うのを弁護士さんから聞いている。もう帰っては来れないだろうとどこか苦笑する内容には俺も笑うしかない。さすがに海を渡ってまで来る事はそうそうできないなと、はるか北の大地に旅立った親子を思うのだった。
そんな中でのお蕎麦の差し入れはハイテンションになった宮下のおふくろさんのパワーの矛先の結果だと言う。本日最終日のバイトに向かう前に立ち寄ってくれたが、また帰りに烏骨鶏に会いに来ると言う。せめて俺に会いに来ると言えばいい物をと思うも少しばかりセンチメンタルになってる宮下にこの夜動画の事について話しをする約束も取りつけて置いた。
そんなこんなで出来たお昼は名物宮下おふくろの蕎麦と我が家の野菜の天ぷら。前回宮下がさっと作ってくれた天ぷらを見た高校生達が親が台所が油まみれになるからなかなか作ってくれない天ぷらがこんなにも簡単に作れる物かと感動して今回挑戦すると言う。勿論そろそろ寂しくなった畑の野菜達がフル稼働して、一部上島ブラザーズが山菜も取って来た。さすがの山菜がどれかは判る奴は少なく、そして水野には植田が付き添って畑から怪しいのを取らないように監視をしてくれていた。
蕎麦を湯がくのは一年生担当で、陸斗は大根おろしや山芋をすりおろしてとろろを作っている。相変わらず渋いなと感心しながら火事だけは気を付けるように注意は何度も促す。と言うか二年生達の勉強に区切りがついて様子を見に行けば延長コードで庭先で天ぷらを揚げると言う、その発想はさすがになかったよとかんしんした。
「ほら、掃除が大変って言うなら掃除しなくても良い様に?」
「万が一があってもここなら火がつく物ないでしょ」
「いや、そうだけど……」
台所と風呂を繋ぐ通路から少しはみ出した所に机を置いて揚げている様子に通りすがりの浩太さんも二度見していた。
オイルフォンデュなる物があるのでありか?と思うも火の扱いだけは気を付けてと言って大騒動の蕎麦組の様子を覗き見る。二年もその大騒動振りに手を貸すが、その合間に陸斗がそばつゆを用意したり盛り付け用のザルを用意したり、お茶やお箸やコップも準備万端にしていた。陸斗の怪我が良くなればどれだけ有能だろうと、その優しさを独占する圭斗に嫉妬してしまうのは仕方がないだろう。
それはさて置きなんだかんだの大騒ぎのなかやっとお昼の時間になった。内田さん達も一緒にお昼の時間となるのだった。
少し焦げた茄子の天ぷら。衣だらけの野菜のかき揚げ。達人(?)がとってきた灰汁の出る前の少しほろ苦さを覚える山菜。そして宮下家自慢のいわくつき蕎麦。相変わらず大量なのでおつゆ替わりではないが内田さん達にも食べてもらう。何より陸斗の絶妙な出汁加減のとろろが大変宜しく、お椀にそばをよそってそこにとろろを投入。とろろ嫌いな奴もいるが、納豆同様好き嫌いの多い食材なのでそこは細かくは言わない。
「これはいいな」
内田さんがとろろそばに舌包みを打ち、お弁当は食べ終わっているのにお替り用の蕎麦からまたとろろそばを食べる。そして親子なので好物も似てるのか浩太さんもしっかりとおかわりを始める。
「こうなるとマグロが欲しいですね」
「陸斗、とろろはまだある?」
「ええと、山芋が大分傷んでたので全部すりおろしたので結構な量が」
消費一択にしたらしい。なんでも凍らせれば数日なら保存も効くので別の日にでも食べてもらおうとチャック付きの保存袋に入れて冷凍してあると言う。
「よかったらもってきます?」
「いいのかい?」
そこは田舎の人間同士。おすそわけはありがたく頂くのがマナーな事を知っているのでややこしい対応などせずありがたく頂いてもらえた。
あ、山掛け食べ損ねた。
と思ったけどチャックは二つに分けられていたのでとりあえず合宿終わったら食べればいいやと思うのは……陸斗の視線がじっととろろに向いているのを見て諦めた。内田さんが帰る時に圭斗の家に持って行ってもらおうと一緒に纏めて置く事でお願いをして置いた。
264
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる