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流星雨と共に 4
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東京からの電車での移動と気圧の変化に香奈は早々に布団で寝てしまい、少しだけ陸斗が寂しそうに、でも側に居たいと言う様に隣の本部屋で籠ってしまう。気になるのだろうと言うのが分れば喉が渇いた時の為にとお茶のポットを用意はしてある。
真夏とは言え温かいお茶はここでは欠かせない。
お盆の季節でも夜になれば気温は二十度前後まで下がってしまう。夜に外で遊ぶと確実に上着が欲しいと思うのは贅沢だろうか。下界で言う所の十月中旬の気温なのでそれなりの対策をしないと風邪をひくのは確実だ。
覗きに行けば毛布にくるりと包まって静かな寝息を零しながら眠っていた。寒くはなさそうだが、ニュースで熱帯夜の記録を聞いた所なので気温差で風邪をひかなければと心配は尽きないが、とりあえず陸斗に寒そうなら毛布があるからとお願いする事にした。
俺達もそのまま香奈の眠りを邪魔しないように眠ってからの朝。
二年も東京暮らしをしていた香奈はすっかりお寝坊さんになっていた。
旅の疲れ、環境の変化の疲れもあるのだろうが
「香奈ちゃんおはよう。ご飯の準備出来てるよ」
「陸おはよう。綾人さんは?」
「畑で仕事してるよ」
ぼんやりとしたまま洗面所で顔を洗い寝癖を直して二階に上がる。せめて見せれる顔にしなくてはとここでは浮かないラフな服に着替えて化粧を施し鏡の前でチェックをする。
「よし」
「よしじゃねーよ。お邪魔しておいていつまで寝てるつもりだ」
「圭ちゃん!だって仕方ないじゃない」
朝からご飯作ったり洗濯しなくてもよくなたんだからとの言い訳はせずに
「長旅で長時間待ちぼうけして疲れたんだから」
「それは悪かったって」
圧倒的自分が悪いと反省する圭斗の頬は少し青痣になっている。
「で、そんなに早く起きて何か予定あったの?」
それならそれでアラームセットして起きるのにと言えば
「うちの家の家具買いに行くんだよ」
「まだ住んでないの?」
「壁紙も床も貼ってないからな。ただいくつか使えるようになってるからいつまでも綾人に迷惑かけるわけにもいかないし」
「綾人さんだったらそんな事言わないんじゃない?」
「そう言うわけにもいかないだろ。
ただでさえ家の工事代出して貰ったり家具の購入費だって一部出してもらう事になったんだ。陸斗の学校のお金だって出してもらう事になったし……」
「なに圭ちゃん、うちってそんなにヤバいの?陸の学費位だったわ私が出すよ?」
「いや、いろいろ補助貰ったり、銀行からもお金借りたりしてるからお前はお前の将来の為にとちゃんと蓄えておけばいい。それに綾人から借りてる理由は綾人の奴が利子を払うなんてもったいないってな」
「やだ、綾人さんに惚れちゃいそう」
「そういやお前綾ちゃんって前は呼んでたのにどういう変化だ?」
「私だって大人になったんだよ。ちゃんと恩ある人にはちゃんと呼ぶようにしているだけ」
「ふーん?」
何を隠していると言う視線から逃れるように背中を向けてしばしの沈黙。
庭を横切る烏骨鶏達の小さな囀りが妙に耳に響く中ついに観念して
「東京出た時に就職のお祝いってお祝いの限度を超えた金額を頂きました」
「幾らだ」
「六ケタから七ケタの間程」
「……」
「だってこれぐらい最低限必要だって!足りないぐらいだって綾ちゃんが絶対言うなって!
会社から住居手当出るけどアパート借りるのにだってお金いるし、それで圭ちゃんからのお金なくなっちゃったし……」
「十分なお金を用意してやれなかったふがいない兄貴かもしれんが、もうお前綾人の嫁になって尽せ。それぐらいの恩があるぞ」
「速攻で断られたわよ!」
「やっぱりか?!」
「何その当然みたいな言い方?!」
「当然だろ?!平気で人の顔殴ったり金だけ借りてちゃんと返してるか?ちゃんと正月だったり誕生日だったり連絡入れてるか?!」
「お正月とかお盆は連絡入れてるけど、お金はまだ……」
「月に一万でもいいからお祝いとは言えお前が過剰だと思う金額はちゃんと返せ。
大人なら恩をあだで返すような真似はするな」
「そんなのわかってるわよ……」
「香奈がまだそんな余裕ないのは判ってるし、綾人がそんなの求めてない事ぐらい俺も知ってるがそれはそれ、これはこれ。恩には恩で返すお前のケジメだ」
「うん……」
「与えられない優しさも間違ってるが、与えられる優しさも間違っている。俺達はそれを誰よりもよく理解しているはずだ。だからちゃんとしろ」
「そうだね」
しゅんと萎れるかのように小さくなった香奈こそあの家で一番苦労したと言っても良い。女の子だから、女の子の癖に、女の子なんだから。毎日のように家族から言われた挙句に長兄からも友達が遊びに来るからやれジュース買って来い、酒のつまみを作れ、酌をしろ。同じ兄弟なのに長男以外は奴隷だったけど香奈に対してはさらにひどかった。兄貴の友達もまた同様なクズで香奈が何度泣かされたか、そして逞しくなったか……
あいつが友達連れて来る時は絶対一人にさせなかったから問題なかったけどそれでも黙らす事の出来ない口に子供だった心は酷く傷ついて、その音源をもってあいつの友人の会社に乗り込んで以来家には来なくなったが代わりに俺がぼこられたけど今思い返せばいい思い出だ。それからは俺は家を出て香奈と陸斗を家から出す為にがむしゃらに働いて、やっと迎えにきてやれたと思ったら
「綾人みたいなおせっかいになれとは言わん。ただ薄情な人間にだけはなるな」
「はい」
ぺたりと縁側に座って二人そろって烏骨鶏を眺めていれる。
喉かな田舎の景色で、遠くの正面には変わらない景色が広がっていて、ぼんやりと綺麗な所だね、何もない所だね、なんて話している間に畑からやっと綾人が陸斗を連れて上がって来た。
「香奈ちゃんおはよう!」
嬉しそうな声で収穫したばかりの野菜をかごに入れたまま小走りで見せに来る陸斗に慌てて迎えに行けば
「こんなにも沢山!食べるの大変だよ?」
「大丈夫だよ。これぐらいあっという間だよ」
笑う陸斗に周囲も笑い
「香奈もおはよう。少しは休めた?」
「休み過ぎだって圭ちゃんに怒られた所」
正直に話せば綾人は声を立てて笑い
「陸斗が早く起きないかな?ってずっとそわそわしてたからなだめるのに大変だったんだぞ?」
「えー?だったら今夜は一緒に寝ようね?」
言えば恥かしそうな顔をして「野菜を洗って片づけてくる」と言ってこの場を逃げ出すのだった。
「所でこれから圭斗の家の家具を買いに行くんだけど一緒に来る?それとも休んでる?」
「圭ちゃんの事だから変な物ばっかりかって必要な物買い忘れそうだからついて行くに決まってるじゃないの!それに私専用の布団も買わないといけないから絶対ついて行くからね!」
「さすが香奈。圭斗の事を良くご存知で」
「今となったら親子だからね!抜けてる所をしっかりフォローするよ」
「頼もしいなぁ」
「それでいつ行くの?」
「もちろん今から。今出れば店もちょうど開くだろうしね」
「だったらお財布取ってくる!戸締りして待ってて!」
言う間にも綾人さんはドアと言うドアをしっかりと閉ざす。納屋に潜り込まないように閉める物の烏骨鶏は庭でコッココッコとうろついている。
平和だなぁ……
決して平和ではなかった事は話で聞いているものの勝ち取った平和は確かにそこに在って
「香奈ちゃん、電気屋とかもよりたいから欲しい物とかある程度決めといてね?」
「うん。一度部屋見てきたからイメージが固まってるんだ」
フローリングの床なのでベットは必須。圭ちゃんが作ってくれるって言ったけど、お盆とお正月に変えるだけの部屋だから折り畳みのベットでコンパクトに、邪魔にならないように過ごそうと決めている。
って言うか、就職して初めて夏休みと正月休みに寄生するって言葉使ってる。
それがなんだかすごく嬉しくて、帰る場所が在って待っててくれる家族がいるのってものすごく温かくて。
「ミニマムに過ごすって言うのは決めてあるんだ。だけど質の良い生活をする。これは譲らないよ」
「香奈ちゃん、具体的にはどんなの?」
そうねぇ、具体的になどんなの何て決めてないから
「私の好きな物をちゃんと一つずつ選ぶ事から始めるからまだ決まってない!」
「それぞ香奈だな」
失礼ながらも爆笑する男共に私のセンスに驚けと言う様に店に入るのだった。
真夏とは言え温かいお茶はここでは欠かせない。
お盆の季節でも夜になれば気温は二十度前後まで下がってしまう。夜に外で遊ぶと確実に上着が欲しいと思うのは贅沢だろうか。下界で言う所の十月中旬の気温なのでそれなりの対策をしないと風邪をひくのは確実だ。
覗きに行けば毛布にくるりと包まって静かな寝息を零しながら眠っていた。寒くはなさそうだが、ニュースで熱帯夜の記録を聞いた所なので気温差で風邪をひかなければと心配は尽きないが、とりあえず陸斗に寒そうなら毛布があるからとお願いする事にした。
俺達もそのまま香奈の眠りを邪魔しないように眠ってからの朝。
二年も東京暮らしをしていた香奈はすっかりお寝坊さんになっていた。
旅の疲れ、環境の変化の疲れもあるのだろうが
「香奈ちゃんおはよう。ご飯の準備出来てるよ」
「陸おはよう。綾人さんは?」
「畑で仕事してるよ」
ぼんやりとしたまま洗面所で顔を洗い寝癖を直して二階に上がる。せめて見せれる顔にしなくてはとここでは浮かないラフな服に着替えて化粧を施し鏡の前でチェックをする。
「よし」
「よしじゃねーよ。お邪魔しておいていつまで寝てるつもりだ」
「圭ちゃん!だって仕方ないじゃない」
朝からご飯作ったり洗濯しなくてもよくなたんだからとの言い訳はせずに
「長旅で長時間待ちぼうけして疲れたんだから」
「それは悪かったって」
圧倒的自分が悪いと反省する圭斗の頬は少し青痣になっている。
「で、そんなに早く起きて何か予定あったの?」
それならそれでアラームセットして起きるのにと言えば
「うちの家の家具買いに行くんだよ」
「まだ住んでないの?」
「壁紙も床も貼ってないからな。ただいくつか使えるようになってるからいつまでも綾人に迷惑かけるわけにもいかないし」
「綾人さんだったらそんな事言わないんじゃない?」
「そう言うわけにもいかないだろ。
ただでさえ家の工事代出して貰ったり家具の購入費だって一部出してもらう事になったんだ。陸斗の学校のお金だって出してもらう事になったし……」
「なに圭ちゃん、うちってそんなにヤバいの?陸の学費位だったわ私が出すよ?」
「いや、いろいろ補助貰ったり、銀行からもお金借りたりしてるからお前はお前の将来の為にとちゃんと蓄えておけばいい。それに綾人から借りてる理由は綾人の奴が利子を払うなんてもったいないってな」
「やだ、綾人さんに惚れちゃいそう」
「そういやお前綾ちゃんって前は呼んでたのにどういう変化だ?」
「私だって大人になったんだよ。ちゃんと恩ある人にはちゃんと呼ぶようにしているだけ」
「ふーん?」
何を隠していると言う視線から逃れるように背中を向けてしばしの沈黙。
庭を横切る烏骨鶏達の小さな囀りが妙に耳に響く中ついに観念して
「東京出た時に就職のお祝いってお祝いの限度を超えた金額を頂きました」
「幾らだ」
「六ケタから七ケタの間程」
「……」
「だってこれぐらい最低限必要だって!足りないぐらいだって綾ちゃんが絶対言うなって!
会社から住居手当出るけどアパート借りるのにだってお金いるし、それで圭ちゃんからのお金なくなっちゃったし……」
「十分なお金を用意してやれなかったふがいない兄貴かもしれんが、もうお前綾人の嫁になって尽せ。それぐらいの恩があるぞ」
「速攻で断られたわよ!」
「やっぱりか?!」
「何その当然みたいな言い方?!」
「当然だろ?!平気で人の顔殴ったり金だけ借りてちゃんと返してるか?ちゃんと正月だったり誕生日だったり連絡入れてるか?!」
「お正月とかお盆は連絡入れてるけど、お金はまだ……」
「月に一万でもいいからお祝いとは言えお前が過剰だと思う金額はちゃんと返せ。
大人なら恩をあだで返すような真似はするな」
「そんなのわかってるわよ……」
「香奈がまだそんな余裕ないのは判ってるし、綾人がそんなの求めてない事ぐらい俺も知ってるがそれはそれ、これはこれ。恩には恩で返すお前のケジメだ」
「うん……」
「与えられない優しさも間違ってるが、与えられる優しさも間違っている。俺達はそれを誰よりもよく理解しているはずだ。だからちゃんとしろ」
「そうだね」
しゅんと萎れるかのように小さくなった香奈こそあの家で一番苦労したと言っても良い。女の子だから、女の子の癖に、女の子なんだから。毎日のように家族から言われた挙句に長兄からも友達が遊びに来るからやれジュース買って来い、酒のつまみを作れ、酌をしろ。同じ兄弟なのに長男以外は奴隷だったけど香奈に対してはさらにひどかった。兄貴の友達もまた同様なクズで香奈が何度泣かされたか、そして逞しくなったか……
あいつが友達連れて来る時は絶対一人にさせなかったから問題なかったけどそれでも黙らす事の出来ない口に子供だった心は酷く傷ついて、その音源をもってあいつの友人の会社に乗り込んで以来家には来なくなったが代わりに俺がぼこられたけど今思い返せばいい思い出だ。それからは俺は家を出て香奈と陸斗を家から出す為にがむしゃらに働いて、やっと迎えにきてやれたと思ったら
「綾人みたいなおせっかいになれとは言わん。ただ薄情な人間にだけはなるな」
「はい」
ぺたりと縁側に座って二人そろって烏骨鶏を眺めていれる。
喉かな田舎の景色で、遠くの正面には変わらない景色が広がっていて、ぼんやりと綺麗な所だね、何もない所だね、なんて話している間に畑からやっと綾人が陸斗を連れて上がって来た。
「香奈ちゃんおはよう!」
嬉しそうな声で収穫したばかりの野菜をかごに入れたまま小走りで見せに来る陸斗に慌てて迎えに行けば
「こんなにも沢山!食べるの大変だよ?」
「大丈夫だよ。これぐらいあっという間だよ」
笑う陸斗に周囲も笑い
「香奈もおはよう。少しは休めた?」
「休み過ぎだって圭ちゃんに怒られた所」
正直に話せば綾人は声を立てて笑い
「陸斗が早く起きないかな?ってずっとそわそわしてたからなだめるのに大変だったんだぞ?」
「えー?だったら今夜は一緒に寝ようね?」
言えば恥かしそうな顔をして「野菜を洗って片づけてくる」と言ってこの場を逃げ出すのだった。
「所でこれから圭斗の家の家具を買いに行くんだけど一緒に来る?それとも休んでる?」
「圭ちゃんの事だから変な物ばっかりかって必要な物買い忘れそうだからついて行くに決まってるじゃないの!それに私専用の布団も買わないといけないから絶対ついて行くからね!」
「さすが香奈。圭斗の事を良くご存知で」
「今となったら親子だからね!抜けてる所をしっかりフォローするよ」
「頼もしいなぁ」
「それでいつ行くの?」
「もちろん今から。今出れば店もちょうど開くだろうしね」
「だったらお財布取ってくる!戸締りして待ってて!」
言う間にも綾人さんはドアと言うドアをしっかりと閉ざす。納屋に潜り込まないように閉める物の烏骨鶏は庭でコッココッコとうろついている。
平和だなぁ……
決して平和ではなかった事は話で聞いているものの勝ち取った平和は確かにそこに在って
「香奈ちゃん、電気屋とかもよりたいから欲しい物とかある程度決めといてね?」
「うん。一度部屋見てきたからイメージが固まってるんだ」
フローリングの床なのでベットは必須。圭ちゃんが作ってくれるって言ったけど、お盆とお正月に変えるだけの部屋だから折り畳みのベットでコンパクトに、邪魔にならないように過ごそうと決めている。
って言うか、就職して初めて夏休みと正月休みに寄生するって言葉使ってる。
それがなんだかすごく嬉しくて、帰る場所が在って待っててくれる家族がいるのってものすごく温かくて。
「ミニマムに過ごすって言うのは決めてあるんだ。だけど質の良い生活をする。これは譲らないよ」
「香奈ちゃん、具体的にはどんなの?」
そうねぇ、具体的になどんなの何て決めてないから
「私の好きな物をちゃんと一つずつ選ぶ事から始めるからまだ決まってない!」
「それぞ香奈だな」
失礼ながらも爆笑する男共に私のセンスに驚けと言う様に店に入るのだった。
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