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顔をあげれば古民家カフェ三日月 7
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カウンターを挟んでこの店の話しを投資者様は聞きたがった。
二階の改装後の様子も一度見に行き、本日俺の実家に遊びに行ってる理沙がいない事に屋根裏まで案内する。
宮下が玄関横にあった部屋の曇りガラスで新たに扉を作ってくれた事を自慢しながら新たな建具となった扉を開け閉めしたり、動画にも上げてもらった一枚板からのテーブル作りで出来たテーブルもお披露目した。
「このモヤモヤな木目が良いのにじー様方は理解してくれないんだよ。
ちなみにうちの婆ちゃんにもこんな木を使いおってって怒られた」
「あー、うん。まあ、目が肥えてる人達ならそう言うかもな。
だけどとーかの言いたい事も判る。何か真っ直ぐ迷いなく育った木って言うより人生迷って躓いて、そんな成長段階の足跡って言うかさ」
「だろ?葛藤とか躊躇いとか。
それでもこんな立派な大木になってさ、何か人の生き様に似てるっていうかさ」
その話を飯田は横ですみません。木の年輪でそんな人生論語れませんと言う様に眉間にしわを寄せた笑顔で誤魔化していた。
からん、からん……
とまた長閑な音が聞こえた。
「あ、お客様だ。悪い先に下りてる」
すっかり慣れたと言う様に、でも気を使ってか緩やかな角度の歩きやすい階段を下りた所で見えた顔は
「あ、篠田、宮下。今上にいるぞ?」
きっと目的の人物を探しに来たのだろう。
「全く、あいつはここまで来て道草を食って……」
「あ、実桜さんと凛ちゃんもここだったんだ」
「こんばんはー、お散歩の途中で休憩してます」
その横では凛ちゃんがオレンジジュースを一生懸命飲んでいるのを微笑ましく見守っている間に
「おー、ただいまー」
綾人が飯田と共に下りてきた。
そして広いフロアでの再会をした所で二人とお帰り、ただいまとハイタッチ。
なんかもっと感動はないのかと思うも、篠田がハイタッチした手を握り
「お前は。家に帰るまでが遠足だろ?何でうちに来る前に寄り道してる……」
きっとずっと待っていたのだろう。
というか篠田の家も家じゃないだろうと誰かつっこんでほしい。
まさか家の裏の喫茶店で一息ついてるとは思わなかっただろう顔は少々怒り気味。だけどそんな顔なんて全く怖くないぞーと言う様に笑う綾人は
「えー、だって圭斗の家に行ったら横になって寝たくなるじゃん。
あいつら家に追い払ってくれてるだろうから煩くない圭斗の所に居着きたくなるじゃん」
そんな主張。
「あいつら楽しみにしてずっと張り切ってたって言うのに、うちってそんな居心地良いのかよ……」
オコの顔が急にデレた。
いや、こいつこんなキャラだっけ。
ちらりと宮下を見れば何とも言えない無表情。こえーよ。
きっと俺の知らない間にこいつらの間で何かあったって言う事だろう。
親友を取られたなんて思わないんだからね!
心の中で泣き叫びながらもカウンターに着こうとした所で
「あ、飯田さんトランク開けて。先に凛ちゃんにお土産渡すから」
「はい。キーをどうぞ」
何てキーを取り出して渡せば一分ほど離れてすぐ戻ってきた。
「凛ちゅわーん、おみやげでちゅよー!」
キモッ!ではなく。
差し出したのは真っ白のくまのぬいぐるみ。テディベアって奴ですね。
っていうか『でちゅよー!』はないだろう。『でちゅよー!』は!
こいつってこんなキモかったっけと思いながらもその手で抱えるぐらいの大きさのテディベアが白とはまたチャレンジカラーだなあと思うも凛ちゃんは名前を呼ばれて顔を上げたものの、その視線は全く知らない人に向けるそれ。
この頃なら少し顔を合わさなかっただけで知らない人になるそんな時期。俺も理沙にやられてほんと悲しかった……
でもお土産の白くまさんに目はきらきらとして、そんな葛藤に実桜さんに張り付くと言う人見知りが発動!
ジュースを置いて実桜さんをギューギューと抱きしめてあのくまさん欲しいと言う様にちらちらと見るそんな天使!
綾人もいじわるするつもりはないようで隣の席に座ってテディベアの手を振りながらお話をする。
「私ルナ!よろしくね!」
渾身の裏声でのお人形遊びは抱っこしてと言う様に両手を差し出した形。
何気に子供と遊ぶの上手いなと感心していればテディベアと実桜さんを何度か見比べている間に凛ちゃんの腕にテディベアが飛び込んでいた。
「くまたーん!きゃーっ!」
子供独特の甲高い歓喜の悲鳴。こんなにも喜ばれるならいじわるする意味もなく渡すのは当然だ。
二階の改装後の様子も一度見に行き、本日俺の実家に遊びに行ってる理沙がいない事に屋根裏まで案内する。
宮下が玄関横にあった部屋の曇りガラスで新たに扉を作ってくれた事を自慢しながら新たな建具となった扉を開け閉めしたり、動画にも上げてもらった一枚板からのテーブル作りで出来たテーブルもお披露目した。
「このモヤモヤな木目が良いのにじー様方は理解してくれないんだよ。
ちなみにうちの婆ちゃんにもこんな木を使いおってって怒られた」
「あー、うん。まあ、目が肥えてる人達ならそう言うかもな。
だけどとーかの言いたい事も判る。何か真っ直ぐ迷いなく育った木って言うより人生迷って躓いて、そんな成長段階の足跡って言うかさ」
「だろ?葛藤とか躊躇いとか。
それでもこんな立派な大木になってさ、何か人の生き様に似てるっていうかさ」
その話を飯田は横ですみません。木の年輪でそんな人生論語れませんと言う様に眉間にしわを寄せた笑顔で誤魔化していた。
からん、からん……
とまた長閑な音が聞こえた。
「あ、お客様だ。悪い先に下りてる」
すっかり慣れたと言う様に、でも気を使ってか緩やかな角度の歩きやすい階段を下りた所で見えた顔は
「あ、篠田、宮下。今上にいるぞ?」
きっと目的の人物を探しに来たのだろう。
「全く、あいつはここまで来て道草を食って……」
「あ、実桜さんと凛ちゃんもここだったんだ」
「こんばんはー、お散歩の途中で休憩してます」
その横では凛ちゃんがオレンジジュースを一生懸命飲んでいるのを微笑ましく見守っている間に
「おー、ただいまー」
綾人が飯田と共に下りてきた。
そして広いフロアでの再会をした所で二人とお帰り、ただいまとハイタッチ。
なんかもっと感動はないのかと思うも、篠田がハイタッチした手を握り
「お前は。家に帰るまでが遠足だろ?何でうちに来る前に寄り道してる……」
きっとずっと待っていたのだろう。
というか篠田の家も家じゃないだろうと誰かつっこんでほしい。
まさか家の裏の喫茶店で一息ついてるとは思わなかっただろう顔は少々怒り気味。だけどそんな顔なんて全く怖くないぞーと言う様に笑う綾人は
「えー、だって圭斗の家に行ったら横になって寝たくなるじゃん。
あいつら家に追い払ってくれてるだろうから煩くない圭斗の所に居着きたくなるじゃん」
そんな主張。
「あいつら楽しみにしてずっと張り切ってたって言うのに、うちってそんな居心地良いのかよ……」
オコの顔が急にデレた。
いや、こいつこんなキャラだっけ。
ちらりと宮下を見れば何とも言えない無表情。こえーよ。
きっと俺の知らない間にこいつらの間で何かあったって言う事だろう。
親友を取られたなんて思わないんだからね!
心の中で泣き叫びながらもカウンターに着こうとした所で
「あ、飯田さんトランク開けて。先に凛ちゃんにお土産渡すから」
「はい。キーをどうぞ」
何てキーを取り出して渡せば一分ほど離れてすぐ戻ってきた。
「凛ちゅわーん、おみやげでちゅよー!」
キモッ!ではなく。
差し出したのは真っ白のくまのぬいぐるみ。テディベアって奴ですね。
っていうか『でちゅよー!』はないだろう。『でちゅよー!』は!
こいつってこんなキモかったっけと思いながらもその手で抱えるぐらいの大きさのテディベアが白とはまたチャレンジカラーだなあと思うも凛ちゃんは名前を呼ばれて顔を上げたものの、その視線は全く知らない人に向けるそれ。
この頃なら少し顔を合わさなかっただけで知らない人になるそんな時期。俺も理沙にやられてほんと悲しかった……
でもお土産の白くまさんに目はきらきらとして、そんな葛藤に実桜さんに張り付くと言う人見知りが発動!
ジュースを置いて実桜さんをギューギューと抱きしめてあのくまさん欲しいと言う様にちらちらと見るそんな天使!
綾人もいじわるするつもりはないようで隣の席に座ってテディベアの手を振りながらお話をする。
「私ルナ!よろしくね!」
渾身の裏声でのお人形遊びは抱っこしてと言う様に両手を差し出した形。
何気に子供と遊ぶの上手いなと感心していればテディベアと実桜さんを何度か見比べている間に凛ちゃんの腕にテディベアが飛び込んでいた。
「くまたーん!きゃーっ!」
子供独特の甲高い歓喜の悲鳴。こんなにも喜ばれるならいじわるする意味もなく渡すのは当然だ。
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