51 / 84
ブラック?ミルク?基本のコーヒー牛乳 10
しおりを挟む
急勾配の階段のヘリに手を添えながら下りて母屋へと向かう。
いつの間にか一階はまだ新しいキッチンが来てないけどシックな色合いにしてくれた床と真っ白の漆喰が輝く壁。太い梁を見上げながら遊び心にあふれた穴みたいな半個室とその上の高い天井を生かした開放感あふれる室内テラスみたいな場所を見上げる。プライベートにもつながる扉で区切られた室内から入る事の出来る扉を潜る。勿論外からも入れるのだが、そこはしっかりと玄関として仕上がっていて、大容量のシューズクロークも設置されている。壁際に階段があり、明かり窓から外の自然光を取り入れる事の出来る明るい階段を靴を持って上がれば
「こんにちは……」
目の前には知らない家が仕上がりかけていた。
「あ、ようやく見に来たか。まだ床を張ってないから靴を履くといいよ。木屑だらけになる」
浩太さんが笑いながら手招きをしてくれた。
「夜月いらっしゃい。どう?だいぶ仕上がって来たけど」
何やらキッチンを仕上げていた宮下が振り向くも手は離せないと言う様に視線だけの挨拶をしてくれた。
「なんか流しがすごく変わっててかっこいいんだけど。ほんとコレ前使ってた奴?」
「うん。錆を落とそうとしたけど思ったより酷かったから穴が開くといけないからタイル張る事にしたんだ。
男のキッチンじゃないけどシックに紺色をメインにクラッシックなイメージでさ、でも古めかしさは感じないように、汚れも目立たないようにってね」
余分な目地を洗い落としながら磨いてくれたシンクは洗い場こそステンレスのままだけど火の回りの壁と統一されたタイルが貼られていて、所々アクセントに同じ青系統のタイルが入っている。ぼろぼろだった扉の化粧板も綺麗に張り替えてくれたし、錆びだらけの取っ手は浮き出ないように真鍮製の新しい物に変えてくれたようだ。
「すごい。想像以上にカッコイイ。婆ちゃんが使ってた奴だとは思えない」
「ふふふ、そこはたくさん資料があったから折角だし見よう見まねで頑張っていたんだ」
「むしろどんな資料だよ。俺も後で見たい。むしろ選ばせてもらいたかった」
全部お任せにした付けだと思って残念と思うも
「出来る出来ないの限界もあるからね。あと基本資料は女性向け過ぎて可愛いすぎるからこれが無難な所だし掃除もしやすそうだよ?」
「むしろ掃除しにくいキッチンって致命的だろ」
「それ。ステンレスだけじゃ味気ないからってタイルいっぱい買ってきて貼り付けてみたんだ」
「それは、大変だな」
「ちょっと遠かったけど陶器の産地があってそこでタイルも大量に焼いててね。時々激安セールやっててさ、この紺色のタイルとか玄関の所のタイル何てイタリア製で普通に買うととてもじゃないけど激安で手に入れれたから使いまくってみたんだ」
「なるほど。土間仕上げかと思ったのにタイル張りだったのはそれもあったのか」
「まともに買うと何万もするけど1ケース千円だったら絶対買いだよね!」
「買い物上手だな!」
あまりお金を掛けれないと言うかそんな情報よく知ってたなと褒め称えてしまえば苦笑する浩太さんの笑い声。
「因みに二階のトイレも色々細工してたから見ておいで」
言われたら見に行くしかない。
前は二階にトイレがなかったのでトイレ渋滞をしていた不便を思い出した所で二階にトイレを増設してもらったのだがトイレのスペースはあまり取れなかった。店舗の吹き抜けに二階の部分が思ったより削られたのが理由だが、それでも人一人暮らすには十分な広さはある。田舎の無駄に広いお家事情万歳と言う奴だ。
そんな新品のトイレの扉を開ける。狭いながらもちゃんと綺麗なウォシュレット付きトイレが鎮座していた。だけど本体がやたらとおしゃれな木枠の中に埋め込まれ、上から出る手洗い場がちょんと姿を現していた。
「本当は一階の店のトイレみたいにタンクレスにしたかったんだけど、そうなると手洗い場を作らないといけなくなるだろ?そうすると税金が増えるからここはささやかながらも節税対策してみたんだ。ちなみにその木枠も簡単にばらせれるから上の板を外して手前の所を持ち上げればすぐに分解できるよ。トイレ買い替える時邪魔にならいし掃除する時も楽になるから覚えておいて」
「ちゃんとトイレットペーパー入れる戸棚まである!至れり尽せりだな!」
前住んでいたアパートには戸棚が無かったので小さな押入れにストックを置いていた事を思い出せば何て便利だと感動する。そんな事で感動するなと言われそうだけど。
「水を流すのはタッチパネルで操作してもらうつもりだから本体の所は隠しちゃったけど問題ないよね?センサーの部分が窓枠になってるけど」
「全然問題ない。やっぱり綺麗なトイレってサイコーだよな」
「ついでにお風呂も綺麗にして置いたから。さすがに劣化が酷くて使いまわせれなかったから新品だよ。シャワーも使えるから便利になるよ」
「それ!爺ちゃんの家シャワー無いから不便だったんだ。盥にお湯が溜まるのを待ってる間にシャンプーが目に染みてさあ」
子供の頃の懐かしい話を思い出す。目尻に涙が堪りそうになって思わず無言になってしまうも宮下は気づかないと言う様に俺から少し距離を取って庭を見下ろすカウンターテーブルの話しをはじめた。
いつの間にか一階はまだ新しいキッチンが来てないけどシックな色合いにしてくれた床と真っ白の漆喰が輝く壁。太い梁を見上げながら遊び心にあふれた穴みたいな半個室とその上の高い天井を生かした開放感あふれる室内テラスみたいな場所を見上げる。プライベートにもつながる扉で区切られた室内から入る事の出来る扉を潜る。勿論外からも入れるのだが、そこはしっかりと玄関として仕上がっていて、大容量のシューズクロークも設置されている。壁際に階段があり、明かり窓から外の自然光を取り入れる事の出来る明るい階段を靴を持って上がれば
「こんにちは……」
目の前には知らない家が仕上がりかけていた。
「あ、ようやく見に来たか。まだ床を張ってないから靴を履くといいよ。木屑だらけになる」
浩太さんが笑いながら手招きをしてくれた。
「夜月いらっしゃい。どう?だいぶ仕上がって来たけど」
何やらキッチンを仕上げていた宮下が振り向くも手は離せないと言う様に視線だけの挨拶をしてくれた。
「なんか流しがすごく変わっててかっこいいんだけど。ほんとコレ前使ってた奴?」
「うん。錆を落とそうとしたけど思ったより酷かったから穴が開くといけないからタイル張る事にしたんだ。
男のキッチンじゃないけどシックに紺色をメインにクラッシックなイメージでさ、でも古めかしさは感じないように、汚れも目立たないようにってね」
余分な目地を洗い落としながら磨いてくれたシンクは洗い場こそステンレスのままだけど火の回りの壁と統一されたタイルが貼られていて、所々アクセントに同じ青系統のタイルが入っている。ぼろぼろだった扉の化粧板も綺麗に張り替えてくれたし、錆びだらけの取っ手は浮き出ないように真鍮製の新しい物に変えてくれたようだ。
「すごい。想像以上にカッコイイ。婆ちゃんが使ってた奴だとは思えない」
「ふふふ、そこはたくさん資料があったから折角だし見よう見まねで頑張っていたんだ」
「むしろどんな資料だよ。俺も後で見たい。むしろ選ばせてもらいたかった」
全部お任せにした付けだと思って残念と思うも
「出来る出来ないの限界もあるからね。あと基本資料は女性向け過ぎて可愛いすぎるからこれが無難な所だし掃除もしやすそうだよ?」
「むしろ掃除しにくいキッチンって致命的だろ」
「それ。ステンレスだけじゃ味気ないからってタイルいっぱい買ってきて貼り付けてみたんだ」
「それは、大変だな」
「ちょっと遠かったけど陶器の産地があってそこでタイルも大量に焼いててね。時々激安セールやっててさ、この紺色のタイルとか玄関の所のタイル何てイタリア製で普通に買うととてもじゃないけど激安で手に入れれたから使いまくってみたんだ」
「なるほど。土間仕上げかと思ったのにタイル張りだったのはそれもあったのか」
「まともに買うと何万もするけど1ケース千円だったら絶対買いだよね!」
「買い物上手だな!」
あまりお金を掛けれないと言うかそんな情報よく知ってたなと褒め称えてしまえば苦笑する浩太さんの笑い声。
「因みに二階のトイレも色々細工してたから見ておいで」
言われたら見に行くしかない。
前は二階にトイレがなかったのでトイレ渋滞をしていた不便を思い出した所で二階にトイレを増設してもらったのだがトイレのスペースはあまり取れなかった。店舗の吹き抜けに二階の部分が思ったより削られたのが理由だが、それでも人一人暮らすには十分な広さはある。田舎の無駄に広いお家事情万歳と言う奴だ。
そんな新品のトイレの扉を開ける。狭いながらもちゃんと綺麗なウォシュレット付きトイレが鎮座していた。だけど本体がやたらとおしゃれな木枠の中に埋め込まれ、上から出る手洗い場がちょんと姿を現していた。
「本当は一階の店のトイレみたいにタンクレスにしたかったんだけど、そうなると手洗い場を作らないといけなくなるだろ?そうすると税金が増えるからここはささやかながらも節税対策してみたんだ。ちなみにその木枠も簡単にばらせれるから上の板を外して手前の所を持ち上げればすぐに分解できるよ。トイレ買い替える時邪魔にならいし掃除する時も楽になるから覚えておいて」
「ちゃんとトイレットペーパー入れる戸棚まである!至れり尽せりだな!」
前住んでいたアパートには戸棚が無かったので小さな押入れにストックを置いていた事を思い出せば何て便利だと感動する。そんな事で感動するなと言われそうだけど。
「水を流すのはタッチパネルで操作してもらうつもりだから本体の所は隠しちゃったけど問題ないよね?センサーの部分が窓枠になってるけど」
「全然問題ない。やっぱり綺麗なトイレってサイコーだよな」
「ついでにお風呂も綺麗にして置いたから。さすがに劣化が酷くて使いまわせれなかったから新品だよ。シャワーも使えるから便利になるよ」
「それ!爺ちゃんの家シャワー無いから不便だったんだ。盥にお湯が溜まるのを待ってる間にシャンプーが目に染みてさあ」
子供の頃の懐かしい話を思い出す。目尻に涙が堪りそうになって思わず無言になってしまうも宮下は気づかないと言う様に俺から少し距離を取って庭を見下ろすカウンターテーブルの話しをはじめた。
61
お気に入りに追加
402
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる