ある夜の出来事

雪本 風香

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後編

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「子ども出来た気がする」
夜明け前に共に部屋の露天風呂に浸かっていた時に晴人が言い出した。
ここからの日の出が絶景と聞いていたため、晴人はまだぐっすり眠っている加奈子を起こしたのだった。
「そんなことないでしょ?」
「いや、絶対昨日の夜で子ども出来た。そんな予感がするんだ」
加奈子を後ろから抱きしめながら珍しく晴人が強情に言い張った。
「妊娠していたら海外出張は控えてほしい」
「多分していないよ。今排卵日じゃないし、今まで何度か怪しいときあったから検査薬使ったけど一度も陽性になったことないし」

ピクリと晴人の腕に力が入る。次の晴人のセリフで加奈子は自分の口が滑ったことに気付いた。
「検査薬使っていたこと知らないんだけど」
「えっ……?あっ……。そうだっけ?」
間違いなく怒っている晴人の顔を加奈子は見れなかった。
呆れたように長い長いため息をついた晴人はそのまま黙り込む。
無言に耐えきれなくなった加奈子は気持ちを伝える。
「検査薬使って、結果出たときの顔見られたくなかったから」
加奈子が言っている意味がわからなかった。更に付け加えられた言葉で余計に混乱する。
「検査薬使ったときに、陰性だったのにホッとしたの!」

「なんで?加奈子、子ども欲しいって言ってたじゃん」
避妊しないのは合意の上だと思っていた晴人は、ショックを受けた。
そんな様子が伝わったのだろう。腕から逃れると加奈子は正面から晴人見つめる。
ちょうど日の出を迎えた太陽を背中に背負っている加奈子の顔は逆光でよく見えない。
「もう少し岩田くんを独占したい。絶対子どもに夢中になって私に構ってくれない」
恥ずかしさだろうか、敢えて晴人を旧姓で呼ぶと加奈子はそっぽを向く。

顔が赤いのは朝日に照らされているだけでないだろう。


晴人の顔に笑みが広がる。嬉しさで顔がニヤけるのが抑えきれなかった。
だからノボセた、と言い先に浴槽を出た加奈子を追いかけるのが一瞬遅れた。
こういう時だけ素早い加奈子は、バスタオルを手に取ると部屋に戻ろうとする。
部屋の扉を開け、自分の体を入れた後、ドアを閉めようとする加奈子の腕を寸でのところで掴んだ。

「逃さない」
そのまま自分の胸の中に引き寄せると顔を上向かせ唇を奪う。
加奈子の弱い上顎を舌で刺激するだけで、晴人の支えなしでは立てなくなる。
「んっ……。ふっん……」
ドアを後手で閉めた晴人は、加奈子を近くの壁に押し付ける。
壁と晴人に挟まれた加奈子は逃げ場がなくなる。
右腿に晴人の左手が添えられた。と、思った瞬間、足が宙に浮いた。

「ひっ……あっ!!んっ!!イっ!!」
唇を解放された直後、腰を落とした晴人は容赦なく加奈子の膣内に肉棒を捩じ込む。
下からの突き上げと重力の影響で一瞬で達した加奈子は、思わず晴人に抱きつく。
その時を待っていたのだろう。晴人は加奈子をそのまま抱きかかえた。
「だっめぇ!!っつ……あっ!!これっ!!むりぃっ!!イくぅ……ふかっ……いっ!!」
立て続けに達したのに、イけばイくほど奥へ奥へと晴人のペニスが入っていく。
「すっご……。やっぱり一番深く入るな、この体位」
イキっぱなしになっている加奈子は、背中の壁と晴人のペニスに全体重を支えられている。

深すぎる挿入に加奈子の目から涙が出てくる。
「苦しい?」
「うっ……はぁっ!んっ……。くるしっ……イッ!!でもっ……いわたくんのっ!ぜんぶぅ……!あっ!!」
晴人のモノは加奈子の膣内に比べて長めだ。根本までズッポリ挿れると、加奈子のナカは晴人のモノでいっぱいになる。
膣内が余すことなく圧迫される。だが、散々晴人のモノを咥え開発されている膣内は、苦しい中でも快感を得ていた。
「おくっ……!おくで!っつ!イっちゃうの!!……ふあっ」
「俺が動いていないのに、ポルチオでイってるもんな。チンコの付け根まできゅうきゅう締め付けている」
「ちがっ!……ひぁっ!あっ……んふぁ!!」
「違わないだろ?事実だよ」


からかうように笑うと、晴人は加奈子を抱える。小さい子が親に抱っこされているのと同じようにお尻の下に手を入れ支える。
「首に手回して。じゃないと落ちるよ」
声に誘導されるように晴人の首の後ろに手を回した加奈子。それを確認すると、晴人は移動する。
「ひっ……んふぁ!!イっ!!イッてるぅ!……うごっか。んっくっ!!」
繋がったまま歩く晴人。動くたびに肉棒が予想もつかないところに当たり、加奈子は達し続ける。
「潮まで噴いて……。滑るよ、そんなにびちょびちょににしてたら。あと少しだから耐えて」
「むりぃっ!!……もっ!イっ!……こわれっ!!」
布団までそこまで距離もないのに加奈子は何度も何度も絶頂する。いや、頂から降りてこられないままだ。
ゆっくりと加奈子を布団に寝かしながら肉棒を抜く。
ヌプっという音と共に、大量の愛液も溢れ出す。
愛液が白いのは、移動の最中晴人の肉棒で混ぜられたからだろう。
トロッと白い液体が流れてくるのは、精液が溢れているようで晴人を興奮させた。


布団に仰向けになっている加奈子の腰を掴むと一気に奥まで挿入する。
「ひっ……!くぅ!あっ!!んっ」
「もっとポルチオ責めさせて」
加奈子の様子から先程までの圧迫感はなく、快楽のみ得ているのを感じ取った晴人はペニスの抽挿のスピードを早める。
散々開発した体だ。どんな風に突けば感じるかは晴人の体に染み付いていた。
案の定、快感で蕩けきった顔をしている加奈子にますます昂る。
「やっぱ……正常位が一番いいな。……加奈子のヤラシイ顔見れるし」
晴人の声が興奮で掠れる。獲物を前にした肉食獣のような目で加奈子を見つめる。
この目をしている時の晴人は容赦がない。だが……


「晴人の……その目、好き。……晴人の精液、ぜんぶ飲ませて」
「……煽るなよ。焦らそうと思っていたのにできない」
言うやいなや、強く奥に肉棒を叩きつけた。
「ひっ……あんっ!!んっふあっ!!イっくぅの!!……おくっ……きもちっ!!イっ!!」
「ちゃんとカラッポになるまで搾り取れよ。全部飲むまで止めないから」
ポルチオに亀頭を押し付け、グリグリと回す。かと思ったら、肉棒を激しく抽挿する。
ポルチオでイかせたら、次はGスポットを責め、根本まで挿入したかと思うと、恥骨の辺りをぶつけ膨らんでいるクリトリスを刺激する。


次々に感じるところをランダムに犯され、加奈子はイきっぱなしだ。
「はるっ!イっ……あっ!!んっ……イっくっ。こわれっ!!……もっとっ。……おくっも!てまえも……ぜんぶ!イっ!!」
「イキっぱなしなのにまだ欲しいんだ?」
激しく頷く加奈子に笑いかける。自分の欲望を伝えてくる加奈子に愛おしさが募る。
素直に自分の気持ちを言ってくるこの瞬間が、一番加奈子に愛されていると感じる時だった。


「いいよ。愛している奥さんの性感帯全部、満足させるまで射精しないから。好きなだけイって」
浅く挿入し直すと、亀頭でGスポットを突きながらクリトリスに指を滑らす。
「ひっん!……だめぇ!!どうじっ……んっく!!ふぁん!!」
「クリトリス、中と外同時に責められるの好きでしよ、結城さん」
最初はクリイキしか出来なかった加奈子。その時のことを思い出させるように、ワザと昔の呼び名で呼ぶ。
「……んっふぁ!……っき。すっきぃ……ん!いわたっくんに……。……あっ!イっちゃう!!イくのっ!!」
クリトリスの中と外同時に責められて、加奈子は晴人の肉棒を締め付けながら達した。


晴人はクリトリスの指を外してGスポットをペニスで強く押す。
「最初はクリトリス触られながらじゃないとイケなかったのに、すぐにGスポットだけでもイけるようになったよね」
「言わっな!んっ!!……イッてるぅ!もっ……イってるの!」
先程の快感から降りてこないのに晴人の責めは続く。
ぎゅうぎゅうと締め付ける膣内は、今ではすっかり晴人の肉棒の形にフィットする。
ヒダがペニスに絡みつき、射精を促そうとする。
初めて加奈子のナカに入れた時も同じようにヒダは絡みついて来たが、反応は全く違ったことを思い出し笑う。
「めっちゃ締まるし、ヒダが絡んでくる。……俺が教えたナカイキ、そんなに気持ちいいんだ?」
「ちがっ!……んっ!!ふぁん!!っつ!んっ……」
「あれ?急に素直じゃなくなったね。さっきまではあんなに正直だったのに」


嬉しそうに笑う晴人に答える余裕はなかった。
絶頂を重ねるのに、体の奥底は満足していない。
もうクリトリスやGスポットだけでは、加奈子の性欲は満たせなかった。
晴人は加奈子の望みを分かっているのに、それを与えてはくれない。
加奈子の口から言わそうとしている。
「イっ……。んっ!……ずるいっ!ふあっん!……たりなっ!ふっん……。あぁっ!!」
「そうです、俺はずるいの。加奈子の口から聞きたい。……欲しいものすぐにあげるから、おねだりしてよ」
こういう時の晴人は、加奈子が言うまで絶対欲しいものをくれない。だが、お願いすれば加奈子の想像よりも遥かにすごいものをくれることも分かっていた。


加奈子が口を開きやすいように、動きを止めた晴人は目を合わせてくる。
この後与えられる快楽への期待で、加奈子の膣内は勝手に締まり、腰は動く。
「ダメだよ、まだ。ちゃんと言えたら、期待以上のものをあげるよ」
甘い言葉に、キュンとした。


「岩田くんに教えられた……ポルチオ、いっぱい突かれてめちゃくちゃにされたいっ!
……いっぱいイきたいっ。っつ!晴人の精液全部搾り取って……。晴人が私以外でイけないっ……ようにするのっ!」
ドスンと強い突き上げと同時に待ち望んでいた快感がやってきた。
「……ああっ!!!イっちゃってる!!……一回でっ!きもちっ!!……イってるぅ!!」
「とっくになってるよ、加奈子でしか射精出来ない体だよ」
慣れてなければ痛みしか感じない激しい動きだが、加奈子は潮を噴きながら達し続ける。
一番奥の閉じていた性感帯をこじ開け、自分好みに調教した。
今では晴人のどんな責め方にも悦び蕩ける、晴人専用のチンポケースだ。


「っつ……。やっぱポルチオ責めるとそんな保たないな……。一番奥に注ぐから、飲み干す準備して」
ポルチオで晴人が射精するときは、深い快楽を味わうため、何時からかタイミングを合わせてイくようになった。
加奈子が絶頂を我慢すると、ポルチオが欲しがるように晴人のペニスに刺激を与えるらしい。
加奈子も我慢するのは苦しいが、晴人とタイミングを合わせて一緒に達すると、弾けるような深い快楽と心まで満たされるので必死に耐える。
「っつ!あっ!!んっ……飲むぅ!!……イくのっがまんするからっ!!早く……ちょうだいっ!!」
膣内の動きが精液を搾り取る動きに変わる。ぎゅうぎゅうと締め付けながらヒダを絡ませる。そして亀頭にはプルンとしたポルチオが当たる。


最初はプルプルの感触だが、だんだんと硬さが増してくる。
加奈子のポルチオはクリトリスと同じように感じると硬くコリコリとした感触に変わる。
「……っあ!コリって……それしたらっ!!イっちゃ!!……もっ!がまんっ……むりぃ!!」
「……いいよっ。俺も、もう限界」
思いっきりポルチオを突き上げ、コリコリしたところを亀頭で潰すように押し付けると、加奈子は喘ぎ声を上げながら達する。
「イっちゃ!!出るぅ……全部!!……きもちっ!!……いいっ!!っくぅ!!」
「っつ!!……くっ。あっ」
釣り上げた魚のように加奈子のナカで射精しながら暴れるペニス。
ピチピチと跳ねるペニスから、一滴も精液を残さないように膣内のヒダがからみつく。
加奈子の膣内は美味しそうに晴人の精液を搾り取った。





「マジか……」
加奈子は検査薬片手に頭を抱えた。
後ろから晴人が覗き込むと、嬉しそうな顔をする。
「やっぱりあの時出来たんだ」
生理周期から考えると2ヶ月前の旅館での繋がりで出来た可能性が高い。
複雑な顔をしている加奈子に、晴人は後ろから抱き締めると囁いた。
「子どもよりも加奈子に夢中だから。制約できるけど俺との子ども産んでくれる?」
加奈子は頷いた。
「子ども出来てもたまには私とふたりきりで過ごしてね」
晴人は笑った。
「もちろん。って言うか、そうじゃないと俺の方が保たない。俺、加奈子に関してはびっくりするほど独占欲強いから」
情けなく言う晴人の返事に、加奈子の顔にも笑みが広がった。


(完)

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