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10/31の0時。
天使かサキュバスのコスプレをしながら絶頂に達すると淫魔(インキュバス)を召喚できる。



10/30 23:55。

「う……んっ。ふぅ……」
ベッドの上のエリカは気力を総動員して動かしていた指を止めた。
アダルトサイトで買ったサキュバスのコスチュームは露出が激しく、脱がさなくても大事なところが触れるように穴が空いている。
衣装というよりも下着、いや下着よりもイヤらしい布に身を包み、エリカはその時を待っていた。


ハロウィンの日の0時、天使かサキュバスのコスプレをしながら達するとインキュバスが来る。
ネットで見た都市伝説のような話。
普通の人間なら目に止めない書き込み。
だが、エリカはダメ元でも試してみたかった。

早くからエッチなことに興味があったエリカ。
少女マンガでは美しく、気持ちよさそうに表現されているそれは、実際に試してみると大したことなかった。


これなら、オナニーの方がよっぽど気持ちいい。


快楽を得る方法が、セックスからエロマンガを見ながらのオナニーに変わるのはそう時間はかからなかった。
実家にいる時は布団に隠れて、一人暮らしを初めてからは色々な道具と共に。

オナニーのお供は、エロマンガや小説。そして自らの妄想。
もっぱら妄想するのは、人間ではない、天使や鬼、幽霊など。
とりわけ悪魔ーインキュバスに犯される話は、エリカにとって最高のオカズだった。

淫魔のエロい匂いに酔い、触られるだけで達し、狂ったようにイキ続ける。
妄想通りならどんな快感が待っているのだろう。

「んっ……。はぁっん!」
想像するだけでエリカの股からエロい汁が流れる。
指が伸びないように必死に両手を握りしめる。
だが、股を擦り合わせ、ゆるゆるとした快楽を得るのは、止められなかった。

23:59。

再びエリカは指を伸ばした。
アダルトサイトで買ったからか、衣装を脱がなくても大事なところに直に触れられる。
右手で乳首を、左手でクリトリスを触る。
それだけで軽く達してしまいそうな快感が走る。
「あとっ……少し……っ!!」
0時まであと1分。
なのに、指が止まらない。
「やっ!だめっ!!っつ。……んっ!!んんっ!!

散々我慢していたエリカ。あと少しで達してもいいと思った途端、激しく動かしてしまう。
「あっ!んっ……。んっふぅ!!」
ビクッと体を反らせながらエリカは呆気なく達した。
それでもエリカは指を止めない。
いや、止められない。
2度目の絶頂はすぐに訪れた。

2度、3度。

エリカは本来の目的を忘れ、ただ快楽を得ることに夢中だった。

後ろに立っている人物に気づくこともなく。




「今年はハロウィンの呼び出しあるのかしら?」
インキュバスのアレクセイは、腕の中にいるサキュバスの言葉に苦笑いをした。
10年前に退屈しのぎでインターネットに流したお遊び。
最初の1年は呼び出されもしたが、2年目以降は性的欲求が高い人間にしか見えない仕掛けを施したためか、平和な31日を過ごしている。
人間の限界とインキュバスの限界に差が有り過ぎ、つまらなかったからだ。

「今年もないだろうな。だからお前とここにいる」
アレクセイにとっても人間を犯すよりも、同族であるサキュバスと交わる方が気楽だ。
サキュバスは妖しく笑い、口づけをせがむ。
アレクセイは彼女の顎を持ち、唇に触れようとした瞬間。





半裸でベッドの側に立つアレクセイに気付かないエリカは、自らの指で快感を貪り続けていた。
ナカはあまり気持ちよくなれないエリカは、両方の乳首とクリトリスという3つの豆を指先で捏ねくり回し、撫で上げながらつねる。
頭の中から悪魔インキュバスを召喚することは、とっくに抜け落ちていた。

アレクセイに気づいたのは、彼のモノがエリカの空いている蜜壺に挿入はいったからだ。


「ふぇっ!?んっふぉ…ん!!イっくぅ!!」
誰?と思うより先に挿入された衝撃に腟内が震える。かと思うと、呆気なく達した。
エリカはそのことに驚いた。
ナカで感じたことなど今までないばかりか、挿れられただけで達する。
クリトリスで絶頂するのとは違う、腰辺りからズーンと重く、後を引く快楽。
女の歓びとはこういうものだ、と実感するかのように自然と体が小刻みに震える。
ビクッビクッと余韻で数回軽い絶頂を味わった後、やっとエリカはアレクセイに気付いた。

この世の者とは思えない程、整った顔立ち。
新緑を彷彿させる柔らかい色の髪。対照的に血の色とそっくりな切れ長の瞳。
人間ではないことは、一目瞭然だった。

「もしかして……」
氷のように冷たい表情の彼は、エリカが待ち望んでいた方だ。
ゴクリと唾を飲み込むエリカに、アレクセイは億劫そうに答えた。
「お前のせいでサキュバスとヤリそこねた。人間には期待はしていないが……責任はとってもらうぞ」

唇を塞ぎながら、アレクセイは緩やかに腰を動かし始めた。




「やぁっ!……もっ!だめっ!!……イくのっ!!イきますぅ!!んっふぁぁぁぁ!!」
エリカは十数回目の絶頂を迎えた。
だが、後ろからエリカを膝に抱き挿入しているアレクセイの動きは止まらない。
それだけではない。
両乳首を弄ぶ手のひらも、クリトリスをローターのように振動させる尻尾も先程までと変わらずエリカの性感帯を刺激し続ける。
そんなことをされるエリカの体は、すぐに次の快楽に向け走り出した。

「あっん!!あぁっ!!はぁんっ!!……んっくぅ!!」
「締め付けが弱くなってるぞ。……ほらっ」
達すると同時にアレクセイの肉棒の先からエリカの蜜壺内に何か注がれる。
一番敏感な処で受け止めたエリカの体は、傍目からもわかるくらい跳ねた。

既に何度か注入されているそれは、子種なんかではない。
気持ち良すぎてボーッとしている頭と体が、注がれた液体に反応する。
「あぁぁん!!んっあぁぁ!!ふぁぁぁぁん!!」
鈍くなった感度が元に、いや、本来よりも何倍も鋭くなる。
鋭敏になったエリカの体をアレクセイが更に蹂躙していく。

インキュバスの体液はあらゆる苦痛や疲労を性欲、快楽に変換する。
肉体的には疲れ果ててるのに、欲を、性を求めてしまう。

「もっと!お願いっ」
気絶することもできない。畳み掛けるように襲いかかってくる絶頂の海にエリカは溺れる。

「気持ちいいっ!!っふぁぁんん!!無理っ!!むりなのにっ!!もっとしてっ!!っあぁんん!!」
「うるさい。まだ準備運動だ」
アレクセイはエリカの言葉が聞こえないかのように、自分勝手に動く。
乳首を弾き、クリトリスをこねくり回し、蜜壺に入れた肉棒でGスポットもポルチオも、子宮内も擦り上げる。
ピストンするたびに締まりがよくなったヒダが男根をしゃぶる。

物のように乱暴に出し入れをされているようで、的確にエリカの急所を責め立てるアレクセイ。
と、不意にアレクセイの動きが止まった。かと思うと、繋がったままグルリと体を180度回転させられる。
「ひゃあん!!あっ!っくう!!」
強引に回されたからか、それとも肉棒と蜜壺が密着していたからか。
勢いよく刺激されたそこは、エリカ自身も知らないポイントだった。
そして、まだ淫魔インキュバスにも触れられていない箇所。
向かい合う形になったアレクセイがニヤリと笑う。
その笑みを美しいな、と思えたのは僅かな時間だった。

ドンッと骨盤が折れるのではないかと思うくらい力強く叩きつけられる肉棒にエリカは悶えるしかなかった。
「あ゛あ゛っ!!んふぉぉんん!!」
先程の繋がりは加減されていたのがわかるくらい激しくぶつかる体。
動きとは反対に的確に感じるポイントを抉られる。
既に一生分かそれ以上の絶頂を味合わされている。為す術もなくエリカはただ潮を吹きながら感じ続けるしか出来ない。

「人間にしては、中々良い。だから……俺の精液を注いでやろう」
ビクリとエリカの体が跳ねる。
インキュバスの精液には催淫作用がある。それを知らない訳はない。
今ですら限界をとっくに超えているのに。

「きもちいいっ!!もっと!!もっとちょうだっい!!っくぅ!!もっと!!イくぅの!!」
エリカの言葉を聞いて、アレクセイは嗤う。
脳の感覚を麻痺させているのもあるが、普通の人間ならイき狂い死んでもおかしくない。

忘れていた感覚が蘇る。
そうだ、人間はよっぽど我々より欲深いのだ。
自身を満足させるためなら、悪魔にでも魂を売る。
古来から繰り返される人間の業にアレクセイは久しぶりに愉しみを覚えた。
そしてエリカの期待に答えるべく、腰の動きを早めた。
人間にしては欲深いエリカを満足させるために。

「俺に魂を売るか?なら生涯満足させてやろう」
エリカの返事は決まっていた。
「売るっ!売るから!!ずっと気持ちよくしてっ!!っくぅ!!来るのっイくの!!イきたいっのっ!!!」

アレクセイの紅い瞳が輝いた。
バチュッバチュッと、肉がぶつかる音がする。
「……ナカで受け止めろ。それで契約成立だ」
もうエリカの耳には届いていない。
だが、蜜壺は返事をするように蠢いた。

アレクセイが低く嗤うのと同時に精を放つ。
そして、その瞬間、2人の姿は部屋から消えた。





10/31の0時。
天使かサキュバスのコスプレをしながら絶頂に達すると淫魔(インキュバス)を召喚できる。

ただし、召喚する際は必ずアラームをつけておくこと。
でないと、インキュバスの世界に連れ去られ、永遠にいたずらされちゃうぞ。

Trick or Treat。
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