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10. キスの残り香

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もっと強く、というように楓は星野の指にクリトリスを押し付ける。
星野にはきちんと意図は伝わった。
嬉しいな、と呟いた星野は、楓の下着を脱がした。
星野自身もカチャカチャという音を立てて、ベルトを外し、スラックスを脱ぎ捨てる。
「俺のも、ほら」
ボクサーパンツ越しに自身の屹立したモノを触らせる。
「この上からでいいから、触って」
星野の声が再び熱を帯びる。
かすかに頷いた楓がおずおずと星野のモノに触れる。
「……おおきぃ」
下着越しでもわかる。元カレのよりも大きい。
こんなの、入らない。
でももし入ったら……?
ドロドロになった下のお口をこじ開けてねじ込まれて。
咥えるのもやっとの大きさの肉棒でナカをかき混ぜられて。
どんな風になってしまうのか。
楓は想像だけで達してしまいそうになり、ごまかすように星野の肉棒を握った。
上下に擦り上げるゆるい刺激。下着越しでうまく刺激を与えられないのに星野は気持ちよさそうに眉間にシワを寄せる。
直接触ってないのにエロい顔を見せる星野をもっと乱れさせたい。
ボクサーパンツの中に指を入れて、星野の屹立に指を這わせた。
「んっ……ちょっ……。ヤバいって」
眉間のシワが深くなる。やっぱり大きい。握ったら指と指がくっつかない。
「もっと……触って……」
下着を脱ぎ捨てた星野が楓の手の上から自分の手を重ねた。

星野の手に誘導されて上下にしごく。
元々大きいのに、更に硬く反り返る。
こんな大きなモノ、入ったらどんなに……。
「あっ……」
想像だけで奥がキュンと反応する。
楓の声に我に返った星野はお礼とばかりに指をクリトリスに這わせる。
「あっ……んっ!あっ!!」
急所を撫でられると、もう駄目だ。
楓は星野の肉棒に触れるのを忘れて、与えられる快感を追いかける。
たっぷり溢れている愛液が潤滑油になって淫豆が欲しい刺激を与える。
強すぎず弱すぎず、一定のスピードで動く指の腹。
パンパンに膨らんだ豆が、限界に近づいていく。
「あっ!だめぇ……っ!んっ!止めっ」
「止めない」
「やっ……。んっふぁ。……もっ……」
「こっちみて」
星野が楓の顔を覗き込む。
「楓のイくとこ、見せて」
「っ!!んっ!!……っく!……イくぅ!!」
星野の声がトリガーになる。動きを止めた楓は、次の瞬間、クリトリスを指に押し付け、全身を震わせながら達した。
星野は指についた楓の愛液をぺろりと舐めると微笑んだ。
「もっと見せてね」



「あっ……んっ!!イっ……っ!!」
何度目かわからないくらいの絶頂に楓は身を震わせる。
クリトリスを舐めながら二本の指でナカをかき混ぜられる。
達しても達してもまだまだ、というように暴れる指と舌に、楓の奥がうずく。

クリトリスもナカのザラザラしているところを指でいたぶられるのも気持ちいい。
自分でするよりも元カレとしていたセックスよりも圧倒的な快楽なのに、指じゃ届かないところが切ないのだ。
「指……っだけじゃ……。んっ……ふぁ……」
「ん?」
次の絶頂を楓に味わせようとしていた星野の動きが止まる。
襲ってくる快感が止まるとより切なさが募る。膣内に入りっぱなしの星野の指を締め付けながら楓は一息に話した。
「指……じゃやだ。……届かないっ」
「届かないってどこに?」
星野は無表情だ。わかってるくせに、という言葉は飲み込んだ。それよりもこの疼きをどうにかしたい。
「奥っ、一番奥」
「このへん?」
「っふ!……んっ!!あっ……ちがっ」
星野の指がねじ込まれて、奥の性感帯に触れようとする。かろうじて爪の先っぽが僅かに触れるだけで余計に楓の熱は収まらない。
「あぁ、ちょっと指じゃ届かないね。でも挿れない」
感情が抜け落ちたような星野の声だ。こんなに興奮させているのに、なんで?と楓が問いかける前に星野からの答えが来た。
「ゴム無いの。……楓のナカに挿れたくて堪んないけど」

「あるよ」
楓の返事に星野は動きを止めた。
「前の人の残り……そこ……の抽斗」
ふうん、と呟き星野はゴムを取り出した。
「山下はこれ、使ってほしいの?」
あれ、今まで名前呼びだったのに。急にそっけなく言い放つ星野に戸惑いつつも、楓は頷いた。
「そっか。山下はコレを使ってほしいんだ」
何か怒っている?混乱する楓に星野は笑顔を見せる。笑っているのに、ゾッとするような笑み。
楓は、少し後ずさりをする。実際のところはトロトロに溶けていて力が入らないから動けなかったけど。

「山下は、コレを使ってほしいんだね。使を」
「え?あっ!」
言われてとんでもない失言だったことに気づいたが、後の祭りだ。
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