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停戦②
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勇んで臨んだ決戦の朝に響き渡ったのは、レオナルドの怒気をはらんだ声だった。
「はっ?何要領得ないことを言っているんだ。報告はきちんと簡潔に行え」
「も、申し訳ありませんっ!で、ですからっ……」
怒っていた訳では無いが、フラストレーションが溜まっていたからか、レオナルドの声はやけに厳しかった。
グウェンからの報告を伝えに来た伝令は震え上がり、言葉を伝えられないくらいには。
イライラの原因は、伝令のしどろもどろの説明だけではない。
いつも先陣を切って戦うのを美としていたレオナルドだが、今日は後方にいる。
今までの牽制がてらの攻めならまだしも、さすがに今日の戦では前線にいたら命を落とす可能性が高い。
「指揮官が真っ先に死んでどうするんだ!」というアランの言葉に、レオナルドは納得せざるを得なかった。
圧倒的な戦力を持ってるアタナス帝国にしても、立派な要塞に守られているマルーンを落とすのは容易ではない。
だからこそ、10年も長い間戦いが続いているのだから。
アランの言葉に従い後方で指揮を執るのは、正しいとわかっていてもレオナルドにとって苦痛でしかなかった。
戦いは始まったばかりでまだ死者は出ていないのは幸いだが、怪我人の報告は上がってきている。
こちらには聖女はいない。怪我一つとっても人生を狂わされることすらある。
(よっぽど自分が戦っている方が気が楽だ……)
レオナルドは何かしら報告が来るたびにヤキモキしてしまう。
それでなくとも状況は刻一刻と変わるのだ。数は有利だが長引けば、治療するものがいないアタナスは一気に不利になる。一瞬の判断が兵士の命を奪うと思うと気が抜けない。
大量の報告を受けて瞬時に指示を出している中でヘタクソな説明をする伝令への物言いが厳しくなってしまったのだ。
15歳から戦場に出ているレオナルドだが、まだ20歳になったばかりの若輩者なのだ。
初陣から自身が先陣を切ることで戦果は多数上げているが、指揮官としての経験は浅い。
そんな上司をフォローするのも部下の役目。
だから今日はいつもそばにいて友人のようにレオナルドを支えている年の近いグウェンではなく、彼を厳しく諌めることも出来る一回り年上のアランが控えているのだ。
アランはまぁまぁとレオナルドを宥め、まともに喋れていない伝令から話を聞き出す。
「停戦旗を掲げている者が北の森辺りにいたらしいぞ。どうやら馬で南門に走ってきているらしい」
普段よりゆっくり、言い聞かすように話すアランの言葉にレオナルドの頭は冷える。
フッと息を吐くと、顎に手を当てて考える。
勇んで臨んだ決戦の朝に響き渡ったのは、レオナルドの怒気をはらんだ声だった。
「はっ?何要領得ないことを言っているんだ。報告はきちんと簡潔に行え」
「も、申し訳ありませんっ!で、ですからっ……」
怒っていた訳では無いが、フラストレーションが溜まっていたからか、レオナルドの声はやけに厳しかった。
グウェンからの報告を伝えに来た伝令は震え上がり、言葉を伝えられないくらいには。
イライラの原因は、伝令のしどろもどろの説明だけではない。
いつも先陣を切って戦うのを美としていたレオナルドだが、今日は後方にいる。
今までの牽制がてらの攻めならまだしも、さすがに今日の戦では前線にいたら命を落とす可能性が高い。
「指揮官が真っ先に死んでどうするんだ!」というアランの言葉に、レオナルドは納得せざるを得なかった。
圧倒的な戦力を持ってるアタナス帝国にしても、立派な要塞に守られているマルーンを落とすのは容易ではない。
だからこそ、10年も長い間戦いが続いているのだから。
アランの言葉に従い後方で指揮を執るのは、正しいとわかっていてもレオナルドにとって苦痛でしかなかった。
戦いは始まったばかりでまだ死者は出ていないのは幸いだが、怪我人の報告は上がってきている。
こちらには聖女はいない。怪我一つとっても人生を狂わされることすらある。
(よっぽど自分が戦っている方が気が楽だ……)
レオナルドは何かしら報告が来るたびにヤキモキしてしまう。
それでなくとも状況は刻一刻と変わるのだ。数は有利だが長引けば、治療するものがいないアタナスは一気に不利になる。一瞬の判断が兵士の命を奪うと思うと気が抜けない。
大量の報告を受けて瞬時に指示を出している中でヘタクソな説明をする伝令への物言いが厳しくなってしまったのだ。
15歳から戦場に出ているレオナルドだが、まだ20歳になったばかりの若輩者なのだ。
初陣から自身が先陣を切ることで戦果は多数上げているが、指揮官としての経験は浅い。
そんな上司をフォローするのも部下の役目。
だから今日はいつもそばにいて友人のようにレオナルドを支えている年の近いグウェンではなく、彼を厳しく諌めることも出来る一回り年上のアランが控えているのだ。
アランはまぁまぁとレオナルドを宥め、まともに喋れていない伝令から話を聞き出す。
「停戦旗を掲げている者が北の森辺りにいたらしいぞ。どうやら馬で南門に走ってきているらしい」
普段よりゆっくり、言い聞かすように話すアランの言葉にレオナルドの頭は冷える。
フッと息を吐くと、顎に手を当てて考える。
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