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哀しき闇の子
揺らぐ憎悪の炎
しおりを挟むリルモ……リルモなのか? 俺……無事で助かったのか?
……何よ。あれだけ勝手な事ばかり言っておいてよくしゃあしゃあと戻って来れるわね。あんたなんかもう私達の仲間じゃないわよ。
なっ……! 待ってくれよ! 俺が悪かったよ! お前の言う通り、俺は自分の事ばかり考えてて……
あんたがどうなろうと、知った事じゃないわ。そのまま一人で魔物に殺されてしまえばいいのよ!
そ、そんな……リルモ……あ……あぁ……
暗闇の中、クレバルが見たものは冷たい目を向けるリルモの姿。そして、辛辣な言葉をぶつけては去っていくリルモ。クレバルは自分本位な言動のせいで仲間から嫌われてしまい、愛想を尽かされたという事を思い知らされていた。
「……リルモおぉぉぉ!」
絶叫と共に夢から覚めるとそこは、洞窟の中であった。洞窟には数々の生活用品があり、絨毯と質素な布団が敷かれている。クレバルは誰かが助けてくれたのかと思いつつも、辺りを見回し始める。
「目が覚めたようじゃの」
奥の竈で火を灯していた見知らぬ老婆がやって来る。
「婆さん、あんたが助けてくれたのかい?」
クレバルが問う。
「わし以外に誰がいるというのじゃ? 野草を取りに行ってたらお前さんが毒で倒れておったからの。ついでにここまで引っ張ってきてやったんじゃよ」
老婆によって命拾いした事を知り、そうかと呟いては溜息を付くクレバル。身体の毒は浄化されていた。
「助けてくれたのはありがてぇけど……俺、これからどうしたらいいんだろうな」
クレバルの口から漏れる本音。ベリロ高地へ続く洞窟に生息する魔物ロウロボスに太刀打ちできず、無様な形で行き倒れになってしまった。ロウロボスを倒すには仲間の力がないといけないという事を思い知らされると同時に、身勝手な言動で仲間から愛想を尽かされてしまい、助力を得ようにも合わせる顔がない現状である。
「お前さん、何かワケがありそうじゃの。ずっと一人旅してきたんかの?」
老婆が問うと、クレバルは少し戸惑いつつも事の全てを話し始める。レイニーラ王国に帰る途中、突然後輩となる仲間が幼馴染の事情でアバルの村へ行くという別の目的を優先したが故に自分本位な言動で仲間と衝突してしまい、一人でレイニーラへ向かっていたという経緯を話すと、老婆は表情を強張らせる。
「……バカみてぇだよな。後輩には散々威張り散らしておいて、仲違いしてまでレイニーラへ帰ろうとしたら魔物にあっさりやられちまってこのザマだなんて。これじゃあ笑われても仕方がねえよな。本当に俺は最低のクズだよ」
自虐的に言いつつも苦笑いするクレバル。
「……全く愚かな事じゃ」
老婆からの一言。
「は、はは……婆さんもそう思うのか? まあ否定はしねぇからよ」
「いや、アバルの村の奴らの事じゃよ。お前さんの仲間の幼馴染は、醜いバケモノになっておったのじゃろ?」
ダリムの事情について言及する老婆にクレバルは頷く。
「そうなってしまったのは村の奴らのせいかもしれんのう……」
老婆の呟きにクレバルが驚きの表情を浮かべる。
「なあ婆さん、何か知ってるのかよ?」
思わず問い掛けるクレバル。
「……わしの名はベーテン。かつてアバルの村に住んでいた占い師じゃよ」
老婆――ベーテンはアバルの村での出来事を語る。かつて村長に『村に魔法の力を持つ者が訪れる』という占いをした事があり、その占いはダリムが住むようになった事で的中していた。そしてその魔法の力は闇の力であり、闇は災厄を呼ぶという言い伝えを知る村人達は『全てを滅ぼす災厄の力』と認識し、ダリムに迫害を加えていた。村人達がダリムを迫害する中、ベーテンは村人の凶行に恐怖を抱き、逃げるように村を去っていた。そして誰も寄り付かない洞窟の中で余生を過ごす事を選んだのだ。
「あの子を殺そうとする村の奴らはまるで悪魔に取り付かれたかのようじゃった。村に魔法を操る者が来るという事は読めておったが、まさか闇の力の持ち主だったとはのう……」
ベーテンからアバルの村の事情を聞かされたクレバルは言葉を失っていた。
「仮に言い伝えが本当だとしても、あの子は本当に害ある存在じゃったのか? わしからすると、まだ幼い子供でしかないあの子をバケモノ呼ばわりしてよってたかって殺そうとする村の奴らの方が悪魔に見えたわい」
ベーテンは竈へ向かい、熱い飲み物をクレバルに差し出す。薬草茶であった。
「おお、ありがてぇ。喜んで頂くぜ」
クレバルは薬草茶を啜り始める。
「お前さんに一つ聞くが、もし闇の力を持つ人間が現れたらどうするつもりじゃ?」
ベーテンからの問いに、クレバルは少し考えつつも湯呑を置く。
「……正直に言うと、怖ぇと思う事はあるかもな。闇の力は全てを滅ぼすとかいう言い伝えが本当かどうかわかんねぇけどよ。けど……だからといって殺したりはしたくねぇな。できる限りだけどさ」
クレバルが正直な気持ちで言う。
「俺は自分勝手な大バカ野郎だけど、勝手な理由で酷い事まではしたくねぇんだ。ましてやわけのわからねぇ言い伝えを鵜呑みにして人を殺すなんてあり得ねえ。そこまで性根が腐った奴に落ちぶれるくらいなら、死んだ方がマシだって思う気持ちはあるからな」
ベーテンがクレバルの返答を聞きながら薬草茶を啜ると、軽く咳をする。
「……なるほどのう。それがお前さんの考えか。ま、今となっては最早どうでもいい事じゃがのう」
再び薬草茶を啜るベーテン。暫しの間沈黙が支配する。
「ところで、お前さんはこれからどうするつもりじゃ? いっそのところ此処でわしと暮らす事を選ぶか? とは言っても、わしの命は長くないのは見えておるがのう」
クレバルは思わず考える。このまま戻ったとしても仲間達に合わせる顔がない。しかし、一人では到底レイニーラへ帰る事ができないという状況。だが、全ては俺の自分本位な言動から始まった事なんだ。このまま腐っちまったら、俺は何の為に生きているのかわからなくなっちまう。
「お前さんがまだ腐っていなければ、仲間のところへ戻れるかもしれんぞい。少なくともわしには、お前さんは心の底まで腐ってるようには見えんがのう。一生懸命頭下げれば許してくれるかもしれんぞ?」
ベーテンの一言にクレバルは思わず仲間達の顔を思い浮かべた。リルモの顔。後輩であるグラインの顔。そしてティムの顔。まだあいつらのところへ戻れるなら……。
「婆さん。あんた占い師なんだよな。俺の仲間が今どうなってるか、占う事はできるか?」
ふとグライン達の状況が気になったクレバルはベーテンの占いで探ろうとする。
「ふむ、少し待っておれ」
ベーテンは物置から振り子を取り出し、念じ始める。クレバルは興味津々で振り子をジッと見つめると、振り子が揺れ始める。
「……見えたぞ。アバルの村の付近で何かと戦っている姿が」
振り子による占いで見えたものは、グライン達を前に次々と激しい火柱を巻き起こしている魔物――つまりダリムの姿であった。
「そうか……ありがとよ」
クレバルは深呼吸しつつも、引っ叩いて愛想尽かしたリルモ、自分に冷ややかな視線を向けるグライン、ティムとの出来事を振り返りつつも、自分のこれまでの身勝手さを省みる。
「気になるなら今すぐ行ったらどうじゃ? まだ間に合うかもしれんぞ」
ベーテンが言うと、クレバルは立ち上がる。
「……すまねぇな婆さん。俺なんかの為に。俺は行くよ。仲間達のところへ」
クレバルが決意を込めると、ベーテンはクレバルの武器である戟と大量の薬草が入った袋を差し出す。
「わしの事など気にせず行くがええ。どの道わしは故郷を捨ててひっそりと余生を過ごす身じゃ。お前さんのような若造と話をするのも悪くなかったわい」
「婆さん……」
クレバルはベーテンに感謝しつつも、快く戟と薬草袋を受け取る。
「……ありがとうな、婆さん。あんたの事は忘れねえぜ」
礼を言いつつも、クレバルはベーテンの隠れ家となる洞窟を後にした。
「わしとて、人の役に立てる事もあるんじゃのう……人生何があるかわからんわい」
ベーテンはしみじみと呟きつつ、布団を整理し始めた。
俺は本物の大バカ野郎だよ。みんなの気持ちを考えないで、いつも自分の事ばかり考えて勝手な事を言ったりして。
みんなはもう俺の事、嫌いになったかもしれねぇけど……せめて、せめてみんなの役に立てる事をしたい。
例えどんな小さい事でも、どんな敵が待ち受けていようと……俺はみんなの力になる。
大体、俺なんて最初からちっとも偉くねえ。今まで後輩相手に先輩サマだとか威張ってる自分は本当にバカだった。
俺は、みんなの力になれる仲間でありたい。今思う事は、ただそれだけだ。
「リルモ……グライン……どうか無事でいてくれ!」
グライン達の元へ向かうクレバルは想いと共に足を進める。途中、魔物が襲い掛かるものの、クレバルは武器を手に蹴散らしていく。数十分掛けて急ぎ足で進んでいるうちにセレバールの町が見え始める。
「うっ……!」
不意にクレバルは足を止める。恐竜を思わせる姿をした大型の爬虫類の魔物、グランドリザードが小さな少年を捕えているのだ。
「たすけてえええぇぇ! うわあぁぁん……」
グランドリザードの手に捕まえられた状態で泣き喚く少年。
「クッ……見捨てるわけにもいかねぇ! 待ってろ、今すぐ助けてやるからな!」
クレバルは戟を両手で持ち、グランドリザードの足に一撃を叩き込む。しかし大したダメージにならず、踏みつけによる足の攻撃が襲い掛かる。間髪で避けるクレバルは少年を気遣いつつも魔法で反撃しようとするが、思わず巻き添えを懸念し、断念してしまう。グランドリザードは捕まえている少年の姿をジッと見つめ、舌なめずりをする。
「やめろ、このトカゲ野郎! やるなら俺をやれ!」
クレバルは足元の石を投げつけて気を引かせようとする。グランドリザードはクレバルの姿を見てはけたたましい鳴き声を轟かせ、少年の身体を放り投げた。クレバルは即座に投げられた少年の身体を受け止め、その場から逃げようとするが、シッポの一撃で吹っ飛ばされてしまう。
「ぐあああ!」
少年を抱きかかえたまま数メートル程転がるクレバル。
「うぐっ……い、今のうちに逃げろ……」
クレバルが言うと、少年はすすり泣きながらも全速力で逃げて行く。頭から湯気を出したグランドリザードがクレバルに向かって突撃し、爪を振り下ろす。腕を切り裂かれ、鮮血が舞う中、クレバルは必死で身体を動かしつつも魔力を高める。
「そう簡単にやられねぇぞ……!」
グランドリザードの手がクレバルを掴んだ瞬間、地面から鋭く尖った岩盤がせり上がる。次々と地中から現れた岩盤はグランドリザードの身体を貫いていく。地魔法ライジングロックであった。串刺し状態で動かなくなったグランドリザードを背に、傷付いた身体を引き摺りながらも足を動かすクレバル。
「何とかあの子を助けられた……か?」
少年は無事で帰る場所まで逃げられたのか気になりつつ、クレバルは足を進める。だが、岩山地帯に生息する魔物が絶え間なく牙を剥けて襲い掛かろうとしていた。
その頃、グライン達は闇の魔力を放出させるダリムを前に身構えていた。赤く光るダリムの目は殺意に満ちている。
「コロス……ニンゲン、なんて……みんな、ミンナ大ッ嫌いだ……!」
ダリムが次々と灰色に燃え盛る炎の玉を投げつけてくる。
「やめろ! やめるんだダリム!」
グラインが飛び出した瞬間、炎の玉が襲い掛かる。直撃を受けたグラインは炎に包まれ、倒れる。
「ぐ……うっ」
その攻撃はかなりのダメージとなり、身動きが取れない程である。炎によって倒れたグラインの姿を見たダリムは身震いさせる。
「……グライン……ニンゲンの味方するなんて……ぼくはユルサナイ……」
凶悪な表情に変えたダリムが口から灰色の火炎ブレスを吐き出す。次の瞬間、リルモが即座にグラインの前に飛び出す。
「アクアスラッシュ!」
水圧の刃が火炎ブレスを切り裂いていく。炎が消えると同時に水の刃も消滅するという相殺となり、リルモが槍を手にダリムに鋭い視線を向ける。
「これ以上暴れさせないわよ」
ダリムは歯軋りをする。
「……邪魔だ……失せろ」
ダリムが怒り任せに炎の玉を放つ。
「サブメージドラウン!」
リルモの水魔法によって生まれた球体の水は炎の玉を覆い尽くし、散っていく。怯むダリムにリルモの槍の一撃が決まる。
「グウッ……」
手傷を負ったダリムがよろめく。流れる血は黒く染まっていた。
「リルモ……やめてくれ」
グラインがリルモの手を掴む。
「ダリムも苦しんでるんだ。悪い奴らのせいでこんな事に……」
「グライン……」
リルモは戸惑いつつも、殺気に溢れた闇のオーラを纏うダリムの姿を見る。
「僕が……僕が止めてみるよ。あいつは、僕まで殺そうとはしないはず。だから……」
グラインがダリムに鋭い視線を向ける。
「グライン!」
「無茶はダメヨ!」
リルモとティムが止めようとするものの、グラインはダリムに近付こうとする。
「……グラ……イン……」
ダリムが再び身震いを始める。
「ダリム、お願いだからもうやめてくれ。僕の頼みも聞けないというのか?」
目を潤ませながらもダリムを説得するグライン。
「例えもし君の望みが叶ったところで、君は幸せになれない。君に力を与えた奴が、本当に君の母さんを生き返らせてくれると思ってるのか?」
グラインが両手を広げて説得を続けると、ダリムは歯軋りをしながらも両手を震わせる。
「僕は君とは戦いたくないんだよ。お願いだから……人間全てを殺すなんて言わないでくれよ! 僕だって、また君と一緒に遊びたい気持ちがあるんだ!」
涙を流しながらも訴えるようにグラインが言う。
「……ウ……うるさい……うるさい! この裏切り者!」
ダリムが殺意のままに灰色の火炎ブレスを吐き出す。
「あああああっ!」
火炎ブレスは一瞬でグラインの全身を焼き尽くした。
「グライン!」
リルモとティムが倒れたグラインの元に駆け寄る。
「……もう誰も信じナイ……誰とも遊びたくナイ……みんな、みんな消えてしまえ!」
ダリムが闇の魔力を暴走させると、次々と灰色の火柱が発生する。一瞬で辺りが灰色の火の海と化していった。
「クッ……このままでは」
リルモは水魔法で辺りの炎を消そうとするが、グラインが立ち上がる。
「……どうして……どうして君は解ってくれないんだ」
グラインの目が赤く染まり、魔力のオーラが燃え上がる。
「これは……まさかあの時の?」
リルモとティムはイゼクとの戦いでの出来事を思い出していた。秘められた力が覚醒したと思わせる出来事であり、イゼクと魔蟲ベルゼブを倒した圧倒的な魔力による魔法が再び発動しようとしているのだ。
「ヴォーテクスブロー!」
グラインの風魔法による真空の刃の渦がダリムを襲う。
「グ……アアアアアアッ!」
全身を切り裂かれたダリムは醜悪な顔を浮かべつつも、巨大な火球となった灰色の炎を放つ。グラインは両手を差し出し、炎の魔力を集中させる。
「我が炎よ……魔を打ち砕く爆発となれ……エクスプロード!」
爆発力となって凝縮された炎の力が灰色の大火球とぶつかり合うと、大爆発を起こした。爆発の余波で吹っ飛ばされるリルモとティム。
「ガアアアアアアアア!」
炎に包まれながらも倒れるダリム。グラインが倒れたダリムに近付くと、目の色が元に戻っていく。
「……ダリム!」
我に返ったグラインは、炎で身を焦がしてボロボロになったダリムが目の前にいる事に気付いて驚く。
「……ウ……グウ……」
ダリムは立ち上がろうとするものの、半身を起こすのがやっとな程の満身創痍であった。目が赤く染まってからの記憶がない故に何があったのか解らないグラインの元に、リルモとティムがやって来る。
「まさか……僕がダリムを?」
今置かれている状況を把握しようとリルモに問い掛けるグライン。だが、リルモは無言で応えるだけだった。
「ほう……まさかそれ程の力を持つとはな」
突然響き渡るように聞こえる謎の声に、思わず辺りを見回すグライン達。次の瞬間、ダリムの背後に空間を裂く形で次元の穴が出現し、穴から現れたのはダグだった。
「誰だ!」
新たな敵かとグライン達は思わず身構える。
「……我が名はダグ。奈落の魔闘将と呼ばれし者」
ダグの全身から放たれる威圧感にたじろぐグライン達。
「……グ……ググ……助けテ……」
ダリムはダグの存在に気付き、助けを求めようとする。ダグはダリムの姿を見た瞬間、手元に巨大な槍を出現させる。
「……敗れし者は必要ない。去ね」
ダグは一瞬で槍を大きく振り翳し、ダリムの身体を容易く貫く。
「……ゴア……ガアアアアァァァァッ!」
黒い血を吐き散らしながらも絶叫するダリムは、溶けるように消滅する形で息絶えた。
「ダリム……ダリムッ! うああああああぁぁぁあ……っ!」
グラインが悲痛な叫び声を轟かせる。
「なんて酷い事を……!」
リルモが槍を構えると、ダグはリルモに視線を移す。
「今はお前達に用は無い。無用者の処分に来ただけだ」
ダグが冷徹に言い放つ。
「……ダグといったな。お前もジョーカーズなのか?」
グラインは涙を流しながらも、怒りに満ちた声でダグに問い掛ける。だが、ダグは何故かリルモに視線を向けるばかりであった。
「な、何なの……? 何でずっと私を見ているの?」
視線を感じたリルモは得体の知れない恐怖を感じ取り、寒気を覚える。
「……もしお前達が生きていたら、いずれ再び相まみえる時が来るであろう。だが……我々を止める事は出来ぬ」
そう言い残し、ダグは姿を消した。
「あいつは一体……ティム、あいつが何者なのか解る?」
リルモが問うものの、ティムは難しそうな顔をしている。
「アノ男……何も読メなかったワ。アンデッドなのカわからないケド」
ティムはメモリードでダグの記憶を読もうとしたものの、全く読み取れなかったというのだ。
「……いいよ」
グラインからの一言。
「あいつの事よりも、今はここから出なきゃ」
一先ず塔から出る事を考える一行。その途中、グラインは思う。
ダリム……君を救いたかったけど、僕には何も出来なかった。
どうして、闇の力が備わっているというだけでこんな事にならなくてはいけない? 何故ダリムがそんな運命を背負わなくてはならなかったんだ?
それに、僕に備わっている力は一体……。
もし僕に備わっている力も災厄の源となるのなら、いずれ僕も……。
涙を浮かべながらも足を進めるグライン。そんなグラインを、ティムは真剣な眼差しで見つめていた。
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