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ノエルのお留守番
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瑠偉はお留守番をするノエルに、ひとつ約束させたことがあります。
それは夢幻堂の扉を、決してみだりに開けたりしないこと。
夢幻堂の扉はこの現世だけではなく、神域とされる幽世にだってつなげることが出来ます。
幽世には死者の集う黄泉の国もあれば、地獄の閻魔さまだっているのです。
うっかりそんなところに落っこちたくはありませんよね。
瑠偉だって学校に行く時には、庭の脇に設けられた裏口を使っているぐらいなのですから。
現世に繋がっていたとしても、安心出来る訳ではありません。
遠い異国の地に飛ばされたら、どうやって帰ってくればよいのでしょう。
だから瑠偉はノエルに絶対に夢幻堂の扉を開けないように言い付けたのでした。
夢幻堂の扉はを自在に操ることのできる者は夢幻堂の主か、それでなければ夢幻堂の扉に認められた者だけなのです。
瑠偉だって、まだ夢幻堂の扉を使うことは許されていません。
夢幻堂の次期主だと自負しているというのに。
瑠偉がそんなに心配しているというのに、ノエルは夢幻堂の扉にはちらりとも興味を示そうとしましませんでした。
なぜならノエルはこれっぽっちもお留守番なんてする気がなかったからです。
瑠偉が制服を着こんでカバンの準備を整えると、ノエルもするすると瑠偉の肩によじ登って、一緒に行こうと待ち構えています。
「なぁーう」
ノエルも学校にいくんだよねぇ?
学校に行く気満々のノエルを見て瑠偉はノエルの毛皮をわしゃわしゃとなでました。
途端にノエルの機嫌が悪くなります。
ノエルはお洒落に気を配る子ぎつねなので、毛皮を乱されるとさっそくお手入れに取り掛からないといけなくなるのでした。
ノエルがせっせと毛づくろいをするために、瑠偉の肩から降りるのを見計らって瑠偉は右手をノエルに差し出しました。
「ノエル、さぁご飯だよ」
瑠偉が霊気を手の平に集めると、それはふわふわとした綿菓子のように見えます。
おー。ふわふわだぁー
ノエルは嬉しいらしく、尻尾をひょんひょんと揺らしています。
はむはむ。うまぁー
はむはむ。うまぁー
ノエルはせっせと瑠偉の霊気を食べるのですが、時々いかにも美味しそうに口のまわりをぺろぺろとなめまわしています。
やがてノエルのお腹がポッコリとふくれました。
ふぁー
ねむねむ
ノエルは何とか起きていようと頑張っていますが、身体はこくりこくりと船をこぎだしました。
時々はっとしたように慌てて目を開けようとしますが、睡魔には抗えません、
ノエルはいつだってはお腹がいっぱいになると、たちまち眠ってしまうのです。
それは仕方がありません。
だってノエルは、まだ赤ちゃんの狐なのですから。
ノエルの目がとろんとして、やがてすやすやと寝息をたててしまったのを確認して、瑠偉は言い訳をはじめました。
「ごめんよー。学校にはノエルを連れていけないんだよ。よいこでお留守番しててね。玄関からは出ちゃだめだよノエル。帰れなくなっちゃうからね」
ノエルはすっかり夢の中で、そう言ったってわかる訳はないのですが、瑠偉としてはとりあえずそれで気がすむのです。
「父さん、ノエルをよろしくね」
名残惜しそうにする瑠偉に父は苦笑しています。
「いい加減にしろ。過保護になってどーすんだ。そいつは小さくても霊獣だぞ」
「わかってるって父さん。でもノエルは未だ何も知らないから……父さんは今日も仕事はないんだろ?」
瑠偉はただ、家にいるならノエルを頼むと言いたかっただけなのに、すっかり父親はしょげ返ったみたいです。
「もしかしたら今にも玄関から依頼人が入ってくるかもしれないんだからな」
毎度のことなので落ち込む父親を、瑠偉は簡単にスルーすると裏口からさっさと出ていってしまいました。
夢幻堂の扉は必要な人の前に現れるのですが、科学文明が発達した現代社会で、祓い屋を必要とする人はめったに現れません。
悪霊に取りつかれたほとんどの人は、病院の精神科やカウンセラーの元を訪ねます。
残った僅かの人は、有名な神社仏閣に行きますから、個人の祓い屋を必要とする人はめったにいないのです。
瑠偉は、自分が夢幻堂の主になるころには、もう祓い屋なんて誰も必要としなくなるかもしれないと思っているようでした。
それは瑠偉が夢幻堂の扉の意味することをなにも知らされていないから、そんな風に思い込んでいるだけなのです。
くーすぴぃー
鼻提灯を出しながら、お腹を丸出しで気持ちよく寝ている子ぎつねをみて、夢幻堂の主は薄く笑ってしまいました。
夢幻堂の扉はある事情があって、封印されているのです。
その事情とは、主の妻であり瑠偉の母親が出て行ってしまったこととも関係していました。
主は夢幻堂の扉が封印された出来事を思い出していました。
主はなんで今頃そんなことを思い出してしまったのか不思議に思いました。
瑠偉の母親が幼い瑠偉をおいて夢幻堂から出ていったのは、もう10年以上前になるというのに。
一体オレはなんであの女のことを鮮明に思い出したのだろう。
この幼い狐を見て、瑠偉の幼いころを思い出したのだろうか?
随分長い間妻のことなど忘れ去っていたというのに。
妻が出て行ってから、この夢幻堂は主と瑠偉のふたりきりしかいませんでした。
霊獣が2体になったとしても、夢幻堂にはその他には主が作った式神がいるだけなのです。
ゆるゆると頭を振ってそんなとりとめのない考えを打ち払うと、主はいつものように古文書の詰まった書庫にもぐりこんでしまいました。
そして本を読むうちにすっかり子狐のことは忘れてしまっていたのです。
ふぁーん。
大きなあくびと共に伸びをしてノエルは目を覚ましました。
瑠偉は?
瑠偉は学校にいったんだ。
ノエルが眠ってしまったから。
それでノエルはお留守番。
お約束は玄関から出ないこと。
ノエルはしっかり現状把握ができたので、とってもご機嫌です。
探検。
ふっとそんな単語がノエルの頭に浮かびあがりました。
ノエルのお家を探検しましょう。
尻尾をピンと上に立てて、胸を張って夢幻堂の中を進みます。
最初に玄関。
真言が描かれた夢幻堂の扉は両開きの引き戸になっていて、もしもこの扉が開いたらカランカランと大きな音が鳴るようになってます。
からんからん
ね、こんな風に
玄関から入ってきたのは、すっかりくたびれきった女の人でした。
玄関は土間になっていて、そこのたたきで靴をぬぎます。
そうしたら広い板の間に受けつけがあって、ホテルみたいなベルがおいてあるんです。
もしかして玄関扉を開ける音に気がつかないと大変ですからね。
お客様がベルをおすと、奥の居間に音がなります。
りりん、りりん
ね、こんな風に
ノエルは大いに慌てました。
おとうさん
おとうさん
ずっと待っていたお客さまですよ!
お父さん
お父さん
お父さんどこ?
あいにくベルが鳴っても、夢幻堂の主は書庫から出てはきませんでした。
おおかた本に夢中になって、物音など聞こえなくなっているのでしょう。
それに主殿は、夢幻堂の扉がまだ封印されていると思い込んでいたのです。
「あら、誰もいないのかしら? 困ったわねぇ」
夢幻堂にやってきたお客様は、そう独り言を言いました。
たいへん
たいへん
お客さまが帰っちゃいます。
ノエルはあわててお客さんの前に飛び出しました。
尻尾をゆらゆら
瞳きらきら
口元は半開きでにっこり笑顔。
お客様は大事です。
ノエルは思いっきり、猫を被ってお客様をおもてなししようとしました。
「まぁ、可愛らしい子狐さん。あなたもお祓いできるの?」
女の人が半信半疑で聞いてきます。
「わふぅ」
ノエルは自信を持って返事をしました。
何しろノエルは聖獣なんですからね。
お祓いなんてやったことはありませんが、きっとできるに決まっています。
「そーなの? でもまだ赤ちゃんみたいだけれどねぇ」
女の人は少し考えていましたが、さらさらとお手紙を書きました、
夢幻堂の主さまへ
お留守なので、子狐さまをお借りします。
一週間後にお返しにあがります。
一週間分のレンタル代金を入れておきます。
妖がいなくなったら、別途お支払いいたします。
西山荘 鈴木元子
封筒に手紙とお金を入れてすっかり納得した鈴木さんは、ノエルを連れて夢幻堂の扉を開けて帰ってしまったのでした。
それは夢幻堂の扉を、決してみだりに開けたりしないこと。
夢幻堂の扉はこの現世だけではなく、神域とされる幽世にだってつなげることが出来ます。
幽世には死者の集う黄泉の国もあれば、地獄の閻魔さまだっているのです。
うっかりそんなところに落っこちたくはありませんよね。
瑠偉だって学校に行く時には、庭の脇に設けられた裏口を使っているぐらいなのですから。
現世に繋がっていたとしても、安心出来る訳ではありません。
遠い異国の地に飛ばされたら、どうやって帰ってくればよいのでしょう。
だから瑠偉はノエルに絶対に夢幻堂の扉を開けないように言い付けたのでした。
夢幻堂の扉はを自在に操ることのできる者は夢幻堂の主か、それでなければ夢幻堂の扉に認められた者だけなのです。
瑠偉だって、まだ夢幻堂の扉を使うことは許されていません。
夢幻堂の次期主だと自負しているというのに。
瑠偉がそんなに心配しているというのに、ノエルは夢幻堂の扉にはちらりとも興味を示そうとしましませんでした。
なぜならノエルはこれっぽっちもお留守番なんてする気がなかったからです。
瑠偉が制服を着こんでカバンの準備を整えると、ノエルもするすると瑠偉の肩によじ登って、一緒に行こうと待ち構えています。
「なぁーう」
ノエルも学校にいくんだよねぇ?
学校に行く気満々のノエルを見て瑠偉はノエルの毛皮をわしゃわしゃとなでました。
途端にノエルの機嫌が悪くなります。
ノエルはお洒落に気を配る子ぎつねなので、毛皮を乱されるとさっそくお手入れに取り掛からないといけなくなるのでした。
ノエルがせっせと毛づくろいをするために、瑠偉の肩から降りるのを見計らって瑠偉は右手をノエルに差し出しました。
「ノエル、さぁご飯だよ」
瑠偉が霊気を手の平に集めると、それはふわふわとした綿菓子のように見えます。
おー。ふわふわだぁー
ノエルは嬉しいらしく、尻尾をひょんひょんと揺らしています。
はむはむ。うまぁー
はむはむ。うまぁー
ノエルはせっせと瑠偉の霊気を食べるのですが、時々いかにも美味しそうに口のまわりをぺろぺろとなめまわしています。
やがてノエルのお腹がポッコリとふくれました。
ふぁー
ねむねむ
ノエルは何とか起きていようと頑張っていますが、身体はこくりこくりと船をこぎだしました。
時々はっとしたように慌てて目を開けようとしますが、睡魔には抗えません、
ノエルはいつだってはお腹がいっぱいになると、たちまち眠ってしまうのです。
それは仕方がありません。
だってノエルは、まだ赤ちゃんの狐なのですから。
ノエルの目がとろんとして、やがてすやすやと寝息をたててしまったのを確認して、瑠偉は言い訳をはじめました。
「ごめんよー。学校にはノエルを連れていけないんだよ。よいこでお留守番しててね。玄関からは出ちゃだめだよノエル。帰れなくなっちゃうからね」
ノエルはすっかり夢の中で、そう言ったってわかる訳はないのですが、瑠偉としてはとりあえずそれで気がすむのです。
「父さん、ノエルをよろしくね」
名残惜しそうにする瑠偉に父は苦笑しています。
「いい加減にしろ。過保護になってどーすんだ。そいつは小さくても霊獣だぞ」
「わかってるって父さん。でもノエルは未だ何も知らないから……父さんは今日も仕事はないんだろ?」
瑠偉はただ、家にいるならノエルを頼むと言いたかっただけなのに、すっかり父親はしょげ返ったみたいです。
「もしかしたら今にも玄関から依頼人が入ってくるかもしれないんだからな」
毎度のことなので落ち込む父親を、瑠偉は簡単にスルーすると裏口からさっさと出ていってしまいました。
夢幻堂の扉は必要な人の前に現れるのですが、科学文明が発達した現代社会で、祓い屋を必要とする人はめったに現れません。
悪霊に取りつかれたほとんどの人は、病院の精神科やカウンセラーの元を訪ねます。
残った僅かの人は、有名な神社仏閣に行きますから、個人の祓い屋を必要とする人はめったにいないのです。
瑠偉は、自分が夢幻堂の主になるころには、もう祓い屋なんて誰も必要としなくなるかもしれないと思っているようでした。
それは瑠偉が夢幻堂の扉の意味することをなにも知らされていないから、そんな風に思い込んでいるだけなのです。
くーすぴぃー
鼻提灯を出しながら、お腹を丸出しで気持ちよく寝ている子ぎつねをみて、夢幻堂の主は薄く笑ってしまいました。
夢幻堂の扉はある事情があって、封印されているのです。
その事情とは、主の妻であり瑠偉の母親が出て行ってしまったこととも関係していました。
主は夢幻堂の扉が封印された出来事を思い出していました。
主はなんで今頃そんなことを思い出してしまったのか不思議に思いました。
瑠偉の母親が幼い瑠偉をおいて夢幻堂から出ていったのは、もう10年以上前になるというのに。
一体オレはなんであの女のことを鮮明に思い出したのだろう。
この幼い狐を見て、瑠偉の幼いころを思い出したのだろうか?
随分長い間妻のことなど忘れ去っていたというのに。
妻が出て行ってから、この夢幻堂は主と瑠偉のふたりきりしかいませんでした。
霊獣が2体になったとしても、夢幻堂にはその他には主が作った式神がいるだけなのです。
ゆるゆると頭を振ってそんなとりとめのない考えを打ち払うと、主はいつものように古文書の詰まった書庫にもぐりこんでしまいました。
そして本を読むうちにすっかり子狐のことは忘れてしまっていたのです。
ふぁーん。
大きなあくびと共に伸びをしてノエルは目を覚ましました。
瑠偉は?
瑠偉は学校にいったんだ。
ノエルが眠ってしまったから。
それでノエルはお留守番。
お約束は玄関から出ないこと。
ノエルはしっかり現状把握ができたので、とってもご機嫌です。
探検。
ふっとそんな単語がノエルの頭に浮かびあがりました。
ノエルのお家を探検しましょう。
尻尾をピンと上に立てて、胸を張って夢幻堂の中を進みます。
最初に玄関。
真言が描かれた夢幻堂の扉は両開きの引き戸になっていて、もしもこの扉が開いたらカランカランと大きな音が鳴るようになってます。
からんからん
ね、こんな風に
玄関から入ってきたのは、すっかりくたびれきった女の人でした。
玄関は土間になっていて、そこのたたきで靴をぬぎます。
そうしたら広い板の間に受けつけがあって、ホテルみたいなベルがおいてあるんです。
もしかして玄関扉を開ける音に気がつかないと大変ですからね。
お客様がベルをおすと、奥の居間に音がなります。
りりん、りりん
ね、こんな風に
ノエルは大いに慌てました。
おとうさん
おとうさん
ずっと待っていたお客さまですよ!
お父さん
お父さん
お父さんどこ?
あいにくベルが鳴っても、夢幻堂の主は書庫から出てはきませんでした。
おおかた本に夢中になって、物音など聞こえなくなっているのでしょう。
それに主殿は、夢幻堂の扉がまだ封印されていると思い込んでいたのです。
「あら、誰もいないのかしら? 困ったわねぇ」
夢幻堂にやってきたお客様は、そう独り言を言いました。
たいへん
たいへん
お客さまが帰っちゃいます。
ノエルはあわててお客さんの前に飛び出しました。
尻尾をゆらゆら
瞳きらきら
口元は半開きでにっこり笑顔。
お客様は大事です。
ノエルは思いっきり、猫を被ってお客様をおもてなししようとしました。
「まぁ、可愛らしい子狐さん。あなたもお祓いできるの?」
女の人が半信半疑で聞いてきます。
「わふぅ」
ノエルは自信を持って返事をしました。
何しろノエルは聖獣なんですからね。
お祓いなんてやったことはありませんが、きっとできるに決まっています。
「そーなの? でもまだ赤ちゃんみたいだけれどねぇ」
女の人は少し考えていましたが、さらさらとお手紙を書きました、
夢幻堂の主さまへ
お留守なので、子狐さまをお借りします。
一週間後にお返しにあがります。
一週間分のレンタル代金を入れておきます。
妖がいなくなったら、別途お支払いいたします。
西山荘 鈴木元子
封筒に手紙とお金を入れてすっかり納得した鈴木さんは、ノエルを連れて夢幻堂の扉を開けて帰ってしまったのでした。
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