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メラニーの結婚式etc
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アンバー・フレドリック・シンノット侯爵と、メラニー・ロレイン・ソン伯爵令嬢との結婚式は、慣例にないスピードで決まりました。
マクギネス公爵家としては、メラニーのような血筋の良い令嬢を次期公爵夫人として迎え入れられる好機を逃すつもりはなかったのでしょう。
マクギネス公爵夫人としても『お話の学び舎』ソサエティーの子飼いの令嬢であるメラニーなので、安心感も大きかったみたいです
アナベルお姉さまの結婚より早く、メラニーの結婚式に出席することになるとは思いませんでしたね。
マクギネス公爵家の跡取りの結婚ということで、国内の有力貴族は軒並みアンバー公子の結婚式に参列しました。
ですから当然ロビン・テディ・デュ・プレシュス辺境伯と、その初々しい奥様であるアイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人も参加しています。
そしてナオにとってはこれが社交界デビューとなるわけです。
「セディ、ロッテ。久しぶりだな。結婚祝いを届けてくれてありがとう。さすがに魔道具はセディのが一番だからなぁ。ありがたいよ」
ロビン先生がその優しそうな瞳を、嬉し気に瞬かせています。
良かった!
ロビン先生の大らかな佇まいは、結婚前となんら変わっていません。
セディの心配は杞憂だったようです。
ロビン先生は今でも、王家の信頼できる守り手のようです。
ある意味、ロビン先生は気の毒な方です。
その高貴な血筋とありあまる才能のせいで、常に危険分子として王家から警戒され続けています。
その孤独が、もしかするとナオの孤独と共鳴したのかもしれません。
佇まいが変わったのはナオのほうです。
ロビン先生の豊かな包容力は、ナオのかたくなな心を溶かし、その才能を開花させたようです。
ナオの髪はロビン先生と同じ淡い水色に、そして瞳もロビン先生と同じ紫色です。
セディの青銀色の瞳や菫色の髪でもわかるように、王家の人々には青色や紫色を持つ人が現れやすいようですね。
天性の明るさはそのままに、ナオは大人としての品位と落ち着きを身に着けたようです。
今も静かにロビンとセディのやり取りを見守っています。
「ロッテ、ナオは社交界は初めてで少し疲れているようでな。 マクギネス家の美しい庭園ですこし休息させてやってくれないか?」
「はい、ロビン先生」
私は素直に頷きました。
ロビン先生は私とナオを二人っきりにしてくれるようです。
私はナオを、つるバラに囲われた綺麗な東屋に案内しました。
ここにも、給仕の人が控えていましたから、私はコーヒーをお願いしてナオとテーブルに着きました。
「ロッテ、私、あなたに意地悪をしたわ。ごめんなさい。てっきりロッテが私を排除しようとしていると思い込んでしまったの」
「いいのよ。ナオを見ていると、今とても満ち足りているのがわかるわ。あの頃のナオは、見知らぬ場所に落とされて、その犯人がセディみたいな能天気な奴で、恨むのも理解できるわ。私たち、ちゃんと本音で話すべきだった。正直に言うわね。私、ナオに嫉妬していたのよ」
「ロッテが私に嫉妬? なんの冗談よ。あの頃ロッテは全部持っていたわ。恋人も地位も友人も。私には何もなかった。私の側にいるのは、私を利用してうまい汁を吸おうとする人たちだけ。私こそあなたに嫉妬して、あなたの評判をズタズタにしてやりたかったわ」
「そうねぇ。そうかもしれないけれどねナオ。ナオには天性の明るさと、一目で人を魅了する魅力があったわ。私は平凡で地味で、だからあなたに憧れたし嫉妬したのよ」
「おかしなものねぇ。ロッテ。二人ともない物ねだりをしていたのね」
「そうね、ナオ。ロビン先生が私たちのことで面白い表現をしていたわ。陰陽の姫ってね。私たちってお互いに全然似ていないけれど、共に異界から呼ばれたのよ。きっと2人は似ているのよ」
「似ているとわ思えないけれどもね。ロッテはお人よしで、私は猜疑心が強い。私がロッテを信じなかったのは、無償で人を援助する訳ないと思ったからよ」
「でも、ナオは今、私を信頼してくれているのでしょう。ナオはロビン先生を信頼しているから、ロビン先生が信用している私のことも信じてくれるつもり」
「ロッテ、人の気持ちを読むのはやめてよ。そういうところはやっぱりおばさんだわ」
「はぁー。しかたないよ。ナオに比べれば私はおばさんだもんね。でもそれを言ったらミリーをみたらびっくりするわよ」
私たちは、すっかり打ち解けて話し込んでしまっていました。
ですから、そんな私たちを忌々し気に見詰める目があったことに全く気がつかなかったのです。
「ナオ、いいえ、アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。そろそろパーティ会場に戻りましょう。ディやリリーに紹介するわ」
「ええ、シャルロット・ローゼ・シンクレイヤ侯爵令嬢。よろしくお願いします」
「まぁ、ナオ。今ではあなたの方がずっと身分が上なのよ。何といってもプレシュス家と言えば王家に匹敵する名家なんですからね」
「はぁーん。いいことロッテ。私はずっと底辺を這いずっていたナオさまなのよ。身分なんてくそくらえよ」
「はい、はい。今の発言はロビンには内緒にしておいてあげるわよ」
「まったく。なんで私はロッテに対抗できる思ったんだろうなぁ。昔に戻れたら自分の頭を殴ってでも止めたのに」
パーティ会場に戻ってみると、人々にもみくちゃにされるのに疲れ切ったらしいメラニーは、とうとう休憩室に逃げ込んでしまったようです。
休憩室に行ってみると、『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーが勢ぞろいしていました。
メラニーは結婚衣装のベールを外してしまって、その代わりのティアラが赤毛をより美しく見せています
「メラニー。結婚おめでとう! うっとりするぐらいきれいだわ。こちらアイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人よ。同じ高位貴族同士。仲良くして差し上げてね」
「ナオ。こちらが今回の主役、メラニー・ロレイン・シンノット侯爵夫人。次代のマクギネス公爵夫人よ」
「はじめまして! ロッテの友達なら私にも友達よ。メラニーと呼んでね」
「結婚おめでとう。メラニー。私のことはナオと呼んで下さい」
「私はディよ」
「エンジェルよ」
「シャナと呼んでください」
『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーとナオはすぐに打ち解けました。
特にメラニーとナオは、お互いに気があうらしく、意気投合していましたが、高位貴族の奥方が2人揃って元気系というのも面白いものです。
どうやらロビン先生の策略は、ここでも狙い通りにうまく成功したようです。
『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーを取り込んだナオは、社交界デビューに成功しました。
「私、リリーに挨拶してくるけれどナオはどうする?」
「義妹への紹介なら私がするわ。ロッテは先に挨拶してらっしゃいな」
すっかりナオが気に入ったらしいので、私はメラニーにナオを預けることにしました。
「じゃぁ、私もロッテと一緒に挨拶に行ってくるわね」
ディと私はリリーのサロンメンバーなので、こういう場所では本来リリーの側で控えていなくてはなりません。
ですから名残惜しいけれど『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーとは別れて、リリーの元に急ぎました。
リリーは沢山の取り巻きにかしずかれていましたから、私とディはさりげなくその取り巻きに混ざりこんでしまいます。
「まぁ、ロッテ、ディ。遅かったのね。こちらにいらっしゃいな」
目ざとく私たちを見つけたリリーは、私たちを近くに呼びよせました。
そこで私たちも椅子にありつくことができました。
こうやって椅子を賜るっていうのも、王族からの寵愛の証なんです。
ほとんどの人は、足を棒みたいにしながらも、近くで微笑みながら突っ立っていなければならないんですもの。
貴族って言っても、社交界で生き抜いていくのは大変なんですよ。
「それで、新しいプレシュス辺境伯夫人はどうだったの?」
やはりリリーはナオが気になっていたようです。
準王族としては当然の質問なのでしょうが、やはりロビンは気の毒ですね。
いつもこういう風に警戒されるなんて、気分のいいものではないでしょうに。
「はい、プレシュス辺境伯の色を纏ってすっかり落ち着かれていましたわ。今は義妹のメラニーさまと一緒に『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーと同席しています。メラニーさまが後ほどお姉さまの元に挨拶に連れていかれるとのことでしたわ」
私が公式の場所なので、丁寧に説明するとディも補足しました。
「義妹のメラニーさまとプレシュス辺境伯夫人は、どうやら気が合うようですね。仲良くしていましたから、後でこちらにいらっしゃるでしょう」
それを聞いてリリーは安心半分、頭痛半分といった感じでした。
「そうなの。確かにメラニーとナオは似ていますよね。お兄さまのお好みって……。まぁ仲が良いのはいいことですわ」
そんなことを話している間にメラニーたちがやってきました。
私たちはそれを見つけるとすぐに、椅子をメラニーとナオに譲って、リリーの後ろに立ちました。
ここでジェシカ嬢などの、他の派閥の席を取ってしまうと、後々もめるもとになります。
派閥のバランスをとるのも重要なことです。
それに私たちがメラニーたちに席を譲ったことで、メラニーとナオは私たちの派閥なのよ! というけん制にもなります。
その証拠に私たちが席を譲ったのを、忌々しそうに見ている人たちがいますもの。
セディには結婚して子供が出来れば王宮勤めを辞めると言っているのに、いつの間にか私はすっかりリリーを取り巻く派閥の一端を担ってしまっています。
まぁいずれディがディマと結婚してシンクレイヤ侯爵夫人になったら、ディが派閥の長になるはずですもの。
大体、私をライバル視しているのって、ジェシカ嬢ぐらいですしね。
でもこうして後ろから見ていてもメラニーやナオは、幸せオーラ全開ですね。
私も早くセディと結婚したいものです。
来月にはアナベルお姉さまの結婚式で、私たちの結婚はアナベルお姉さまの結婚式から2ヶ月後ってことになりました。
いくらなんでも毎月のように娘の結婚式をする訳にはいきませんからね。
あと3ヶ月で、私もセディのお嫁さんです。
待ち遠しいですね。
マクギネス公爵家としては、メラニーのような血筋の良い令嬢を次期公爵夫人として迎え入れられる好機を逃すつもりはなかったのでしょう。
マクギネス公爵夫人としても『お話の学び舎』ソサエティーの子飼いの令嬢であるメラニーなので、安心感も大きかったみたいです
アナベルお姉さまの結婚より早く、メラニーの結婚式に出席することになるとは思いませんでしたね。
マクギネス公爵家の跡取りの結婚ということで、国内の有力貴族は軒並みアンバー公子の結婚式に参列しました。
ですから当然ロビン・テディ・デュ・プレシュス辺境伯と、その初々しい奥様であるアイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人も参加しています。
そしてナオにとってはこれが社交界デビューとなるわけです。
「セディ、ロッテ。久しぶりだな。結婚祝いを届けてくれてありがとう。さすがに魔道具はセディのが一番だからなぁ。ありがたいよ」
ロビン先生がその優しそうな瞳を、嬉し気に瞬かせています。
良かった!
ロビン先生の大らかな佇まいは、結婚前となんら変わっていません。
セディの心配は杞憂だったようです。
ロビン先生は今でも、王家の信頼できる守り手のようです。
ある意味、ロビン先生は気の毒な方です。
その高貴な血筋とありあまる才能のせいで、常に危険分子として王家から警戒され続けています。
その孤独が、もしかするとナオの孤独と共鳴したのかもしれません。
佇まいが変わったのはナオのほうです。
ロビン先生の豊かな包容力は、ナオのかたくなな心を溶かし、その才能を開花させたようです。
ナオの髪はロビン先生と同じ淡い水色に、そして瞳もロビン先生と同じ紫色です。
セディの青銀色の瞳や菫色の髪でもわかるように、王家の人々には青色や紫色を持つ人が現れやすいようですね。
天性の明るさはそのままに、ナオは大人としての品位と落ち着きを身に着けたようです。
今も静かにロビンとセディのやり取りを見守っています。
「ロッテ、ナオは社交界は初めてで少し疲れているようでな。 マクギネス家の美しい庭園ですこし休息させてやってくれないか?」
「はい、ロビン先生」
私は素直に頷きました。
ロビン先生は私とナオを二人っきりにしてくれるようです。
私はナオを、つるバラに囲われた綺麗な東屋に案内しました。
ここにも、給仕の人が控えていましたから、私はコーヒーをお願いしてナオとテーブルに着きました。
「ロッテ、私、あなたに意地悪をしたわ。ごめんなさい。てっきりロッテが私を排除しようとしていると思い込んでしまったの」
「いいのよ。ナオを見ていると、今とても満ち足りているのがわかるわ。あの頃のナオは、見知らぬ場所に落とされて、その犯人がセディみたいな能天気な奴で、恨むのも理解できるわ。私たち、ちゃんと本音で話すべきだった。正直に言うわね。私、ナオに嫉妬していたのよ」
「ロッテが私に嫉妬? なんの冗談よ。あの頃ロッテは全部持っていたわ。恋人も地位も友人も。私には何もなかった。私の側にいるのは、私を利用してうまい汁を吸おうとする人たちだけ。私こそあなたに嫉妬して、あなたの評判をズタズタにしてやりたかったわ」
「そうねぇ。そうかもしれないけれどねナオ。ナオには天性の明るさと、一目で人を魅了する魅力があったわ。私は平凡で地味で、だからあなたに憧れたし嫉妬したのよ」
「おかしなものねぇ。ロッテ。二人ともない物ねだりをしていたのね」
「そうね、ナオ。ロビン先生が私たちのことで面白い表現をしていたわ。陰陽の姫ってね。私たちってお互いに全然似ていないけれど、共に異界から呼ばれたのよ。きっと2人は似ているのよ」
「似ているとわ思えないけれどもね。ロッテはお人よしで、私は猜疑心が強い。私がロッテを信じなかったのは、無償で人を援助する訳ないと思ったからよ」
「でも、ナオは今、私を信頼してくれているのでしょう。ナオはロビン先生を信頼しているから、ロビン先生が信用している私のことも信じてくれるつもり」
「ロッテ、人の気持ちを読むのはやめてよ。そういうところはやっぱりおばさんだわ」
「はぁー。しかたないよ。ナオに比べれば私はおばさんだもんね。でもそれを言ったらミリーをみたらびっくりするわよ」
私たちは、すっかり打ち解けて話し込んでしまっていました。
ですから、そんな私たちを忌々し気に見詰める目があったことに全く気がつかなかったのです。
「ナオ、いいえ、アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。そろそろパーティ会場に戻りましょう。ディやリリーに紹介するわ」
「ええ、シャルロット・ローゼ・シンクレイヤ侯爵令嬢。よろしくお願いします」
「まぁ、ナオ。今ではあなたの方がずっと身分が上なのよ。何といってもプレシュス家と言えば王家に匹敵する名家なんですからね」
「はぁーん。いいことロッテ。私はずっと底辺を這いずっていたナオさまなのよ。身分なんてくそくらえよ」
「はい、はい。今の発言はロビンには内緒にしておいてあげるわよ」
「まったく。なんで私はロッテに対抗できる思ったんだろうなぁ。昔に戻れたら自分の頭を殴ってでも止めたのに」
パーティ会場に戻ってみると、人々にもみくちゃにされるのに疲れ切ったらしいメラニーは、とうとう休憩室に逃げ込んでしまったようです。
休憩室に行ってみると、『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーが勢ぞろいしていました。
メラニーは結婚衣装のベールを外してしまって、その代わりのティアラが赤毛をより美しく見せています
「メラニー。結婚おめでとう! うっとりするぐらいきれいだわ。こちらアイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人よ。同じ高位貴族同士。仲良くして差し上げてね」
「ナオ。こちらが今回の主役、メラニー・ロレイン・シンノット侯爵夫人。次代のマクギネス公爵夫人よ」
「はじめまして! ロッテの友達なら私にも友達よ。メラニーと呼んでね」
「結婚おめでとう。メラニー。私のことはナオと呼んで下さい」
「私はディよ」
「エンジェルよ」
「シャナと呼んでください」
『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーとナオはすぐに打ち解けました。
特にメラニーとナオは、お互いに気があうらしく、意気投合していましたが、高位貴族の奥方が2人揃って元気系というのも面白いものです。
どうやらロビン先生の策略は、ここでも狙い通りにうまく成功したようです。
『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーを取り込んだナオは、社交界デビューに成功しました。
「私、リリーに挨拶してくるけれどナオはどうする?」
「義妹への紹介なら私がするわ。ロッテは先に挨拶してらっしゃいな」
すっかりナオが気に入ったらしいので、私はメラニーにナオを預けることにしました。
「じゃぁ、私もロッテと一緒に挨拶に行ってくるわね」
ディと私はリリーのサロンメンバーなので、こういう場所では本来リリーの側で控えていなくてはなりません。
ですから名残惜しいけれど『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーとは別れて、リリーの元に急ぎました。
リリーは沢山の取り巻きにかしずかれていましたから、私とディはさりげなくその取り巻きに混ざりこんでしまいます。
「まぁ、ロッテ、ディ。遅かったのね。こちらにいらっしゃいな」
目ざとく私たちを見つけたリリーは、私たちを近くに呼びよせました。
そこで私たちも椅子にありつくことができました。
こうやって椅子を賜るっていうのも、王族からの寵愛の証なんです。
ほとんどの人は、足を棒みたいにしながらも、近くで微笑みながら突っ立っていなければならないんですもの。
貴族って言っても、社交界で生き抜いていくのは大変なんですよ。
「それで、新しいプレシュス辺境伯夫人はどうだったの?」
やはりリリーはナオが気になっていたようです。
準王族としては当然の質問なのでしょうが、やはりロビンは気の毒ですね。
いつもこういう風に警戒されるなんて、気分のいいものではないでしょうに。
「はい、プレシュス辺境伯の色を纏ってすっかり落ち着かれていましたわ。今は義妹のメラニーさまと一緒に『お話の学び舎』ソサエティーのメンバーと同席しています。メラニーさまが後ほどお姉さまの元に挨拶に連れていかれるとのことでしたわ」
私が公式の場所なので、丁寧に説明するとディも補足しました。
「義妹のメラニーさまとプレシュス辺境伯夫人は、どうやら気が合うようですね。仲良くしていましたから、後でこちらにいらっしゃるでしょう」
それを聞いてリリーは安心半分、頭痛半分といった感じでした。
「そうなの。確かにメラニーとナオは似ていますよね。お兄さまのお好みって……。まぁ仲が良いのはいいことですわ」
そんなことを話している間にメラニーたちがやってきました。
私たちはそれを見つけるとすぐに、椅子をメラニーとナオに譲って、リリーの後ろに立ちました。
ここでジェシカ嬢などの、他の派閥の席を取ってしまうと、後々もめるもとになります。
派閥のバランスをとるのも重要なことです。
それに私たちがメラニーたちに席を譲ったことで、メラニーとナオは私たちの派閥なのよ! というけん制にもなります。
その証拠に私たちが席を譲ったのを、忌々しそうに見ている人たちがいますもの。
セディには結婚して子供が出来れば王宮勤めを辞めると言っているのに、いつの間にか私はすっかりリリーを取り巻く派閥の一端を担ってしまっています。
まぁいずれディがディマと結婚してシンクレイヤ侯爵夫人になったら、ディが派閥の長になるはずですもの。
大体、私をライバル視しているのって、ジェシカ嬢ぐらいですしね。
でもこうして後ろから見ていてもメラニーやナオは、幸せオーラ全開ですね。
私も早くセディと結婚したいものです。
来月にはアナベルお姉さまの結婚式で、私たちの結婚はアナベルお姉さまの結婚式から2ヶ月後ってことになりました。
いくらなんでも毎月のように娘の結婚式をする訳にはいきませんからね。
あと3ヶ月で、私もセディのお嫁さんです。
待ち遠しいですね。
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