幽霊祓い

第4章 アルタール・オルタール編

第282話 報い

「ハァァァァァ」

アルタールが深いため息をつくと、アルタールの手元に黒々しい剣が顕現した。その剣は見るからに禍々しく、アルタールのオルタールに対する思い、俺に対する怨念が込められているようにも見て取れた。

「安心しろ、痛くはしない。一撃で終わらせてやろう」

そう言い、アルタールは黒々しい剣を構えた。剣には剣だよな。

「赤水術・赤炎剣せきすいじゅつ  せっかけん」

俺は手元に赤い剣を顕現させた。

「抵抗するつもりか」

お互いが剣を構え、向かっていった。そして、互いの剣がぶつかり合い、高い金属音が辺りに響いた。

「クッ、重てぇッ」

黒々しい剣を赤炎剣で受け止めたが、その振りはあまりにも重かった。

「死ねッ、赤石  柊ッ!!」

アルタールは黒々しい剣を振り切った。ギリギリのところでかわしたが、俺の頬をかする刃先。ツーっと俺の頬を血が伝った。と、次の瞬間、

「解放・天廻フォルボース  クロイター」

そう唱えながら自らの胸に剣を刺すアルタール。刺した剣はゆっくりとアルタールに吸収された。そして、アルタールの姿が少しづつ変化した。

「制限はなくなった。これで俺の本気を見せることが出来る。天廻術・一角の天廻てんかいじゅつ  ワンクロイター」

さっきは術として使っていなかったが、ここに来て術に変化させて使い始めたか。しかも、アルタールの発言から考えるに、解放フォルボース前はあくまでも第1形態ってわけか。オルタールを倒せておけてよかったな。

「ボーッとしていると、死ぬぞ？」

アルタールにそう言われ、我に返った。俺の目の前に1本の光の柱が立ったと思ったの束の間、巨大な爆発が発生し、吹っ飛ばされた。

「クッ、」

「今の俺にはどう足掻いても勝てないよ」

そう言いながら、アルタールはゆっくりとこちらに迫ってきた。