幽霊祓い

弥生 啓

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第4章 白と鬼・決着編

第273話 亜們填彗

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バシュラ(金剛杵)はインドラ神の武器であり、仏具である。現在、原物は日本のどこかの神社に封印されているとの噂で、鬼魅宮はその原物を書物などでしか見たことがなかった。それを「亜們填彗」という名で限りなく本物に近い状態で作り上げたのが、現在、鬼魅宮が手にしている物である。

「なっ、術が使えないッ!?」

その能力は術の強制解除。バシュラが顕現している2分間は、相手はどんなに術を使用しても強制解除させられる。

鳩術・右宗鳩鳩はとじゅつ  うしゅうはとばと

右から大量に飛んでくる鳩たち。その攻撃が白井をさらに劣勢へと追い詰める。

「クソッ」

鬼魅宮の猛攻に対して、避け続ける白井。

「避けてばっかりじゃ、私は倒せないぞッ」

死神術しにがみじゅつッ!!」

「術を使用しようとしても発動しないんだろ?」

ニヤニヤしながらそう問う鬼魅宮。

「クソッ、何も出来ない」

様々な術を使用しながら、距離を詰めてくる鬼魅宮。それらを避け続ける白井。先程のぬらりひょんのように再び、泥沼の戦いが始まった。しかし、白井はあることに気がついた。

死神術しにがみじゅつッ」

白井は術を使用するために構えた。

「無駄なんだよッ、鳩術ッ!?」

この時、鬼魅宮は白井の異変を感じ取った。術に一定の霊気が乗っていないのだ。普通、術を使用するには一定の量の霊気を消費する。しかし、今、白井が発動しようとしているものには霊気がほぼほぼ乗っていない。「気づかれたか?」そんな思考が鬼魅宮の脳内を駆け巡る。

奥義・死王最朽喪霊おうぎ  しおうさいきゅうそうれいッ」

先程から鬼魅宮の攻撃を避け続けた事で、白井は気づいた。霊気の総量を抑えた奥義の使用で亜們填彗を突破できる可能性があるということに。
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