幽霊祓い

弥生 啓

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第3章 白と鬼編

第238話 白と鬼②

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「懐かしいんだな」

「そりゃそうさ。その術はもともと、私のものだ。あの日、君の中にその術を渡した。だから、君はその術が使えるんだよ」

「じゃあ、この鎌は?」

「副産物と言ったところかな。君の体内に死神術を渡した時、同時にその鎌が生まれたんだよ。だから、おまけとして君に預けておいたのさ」

「そうか。なら、それを後悔するといいッ!!死神術・龍朧の祭しにがみじゅつ  りゅうろうのさいッ」

死神鎌の刃が赤色に変化した。その鎌を振ると、赤色の斬撃が鬼魅宮に向かって飛んでいった。

呪術・砕花の裂じゅじゅつ  さいかのれつ

鬼魅宮は術で斬撃を吹き消した。そして、鬼魅宮が俺との距離を詰めようとした。

蜘蛛術・奥義・眼体固紗の蜘蛛糸くもじゅつ  おうぎ  がんていこしゃのくもいとッ」

「そういえば、そんなものも持っていたな」

鬼魅宮の動きがピタリと止まった。今だッ!!

死神術・奥義・死王最朽喪霊しにがみじゅつ  おうぎ  しおうさいきゅうそうれいッ!!」

鬼魅宮を襲う無数の斬撃。しかし、鬼魅宮はそれらを受けているにも関わらず、無傷だった。

「ッ!?」

「気になるよね、なぜ、私に斬撃が効かないのか。知りたいよねぇ」

ニヤニヤしながらそう言う鬼魅宮。

「鬱陶しいんだよッ、ウリャァァァァァッ」

俺は、鬼魅宮の首目掛けて死神鎌を振った。

妖怪術ようかいじゅつ・ぬりかべ」

目の前に顕現する巨大な壁の妖怪。死神鎌の刃はソイツに当たった。

「おっと、もうこんな時間か。すまないが帰らせてもらうよ」

「逃げるのか?」

「まぁ、そう言われても仕方がないね。でもね、もうすぐ始まるから準備のために行かないといけないんだ。戦いは次回にお預けだよ」

「何が始まるんだよ」

「西国戦だよ」

そう言い残して、鬼魅宮は姿を消した。
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