幽霊祓い

第2章 再臨編

第143話 2つの弓

「君、僕と同じ術の匂いがするねぇ、名前は？」

「本郷  柴三だ。あんたは？」

「俺は霊帝会No.6・モンデス・アルバイドだ。本郷、君は何のために戦っている？」

「俺はもう二度と、目の前で将来を失う子供たちが出ないように戦っているんだ。霊帝会が何をしようとしているのかは知らんが、お前らが人を傷つけるのなら、同じ人間でもそれなりの罰は受けてもらうぞ」

「罰ねぇ・・・。君が言ってることは正しいかもしれない。でも、一方的で自分の世界だけしか見えていないんじゃないかい？」

「自分の世界？」

「お前は他人の世界を見た事、考えた事があるか？子供の時に実の親に路上で捨てられ、俺を拾って助けてくれた人は、実は俺を売るために育てた。毎日、毎日、『教育だッ!!』って言って、ボコボコに殴られる。目の前で将来を失う子供たちが出ないようにする？甘ったれたこと言ってんじゃねぇよッ!!俺にはそもそも将来ってもんがなかったんだぞッ!!世の中には、俺のような奴が沢山いる。そんな奴らが人を殺せば、お前らは何も知らないのに悪者扱いをする。霊帝会はそんな辛い過去を抱えた奴も何人かいる。そんな居場所すらなかった俺らを救済してくれたのが影山様なんだよッ」

「それはお前の思い込みかもしれないぞ、モンデス。影山は、お前らを利用しようとしているだけで、本当は必要とされていない可能性だってあるんだぞ？」

「お前、影山様を侮辱するつもりか？」

「侮辱でも、否定でも何でもしてやるよ。お前らが人を傷つけるのなら、全力でそれを止める。そして、お前らがこの社会で生きていけるように色々と教えてやる」

「俺の言ったことが伝わってねぇのか？弱者が叩き潰されるこの世で生きる意味なんてねぇ。弱者が強者の上に立つ、それを霊帝会が実現してやるよッ」

モンデスは弓を構えた。

「モンデス、お前の予想は正解だ。俺も弓術使いなんだよ」

俺も弓を構えた。