幽霊祓い

第1章 日本旋廻 恐山決戦 前編

第67話 殺戮者

たった、10秒前まで、私の目の前には10人程の祓い師がいた。が、今、その人らは私の前で血を流して倒れている。

「女ァ、お前はまだ生きたいかい？今、殺したやつよりは強そうだから殺さなかったが、どうだ、俺と腕試ししてみるか？」

弟の仇を打つために私は祓い師になった。弟の仇を打ち終わったら、辞めようと思っていた。でも、凪澤という敵を倒すために奮闘している人たちを見ていると辞められなくなった。この前、凪澤の改造霊と戦った時、恐怖というものは感じなかった。でも、今回は違う。同じ改造霊のはずなのに、目の前にいるやつが怖くて怖くて仕方がない。逃げ出せるなら今すぐ逃げたい。でも、私は決めたんだ。私と同じような人が増えないようにするって。だから、私は逃げないッ!!

「・・・えぇ、この私、篠崎  真奈があなたの相手をしてあげる。覚悟しなさい、改造霊、百華術・亜麻ひゃっかじゅつ  あま」

「なんだァ？種を飛ばして攻撃か？そんなしょぼい攻撃しかできないのか？期待はずれにも程があるぜ。その攻撃って当たらなければ意味が無いよなァ？もう少し、最初からド派手にやろうぜ、雲術・奥義・巻層剣うじゅつ  おうぎ  けんそうけんッ!!」

目の前にいる殺戮者は白い剣を具現化し、それを振り回しながらこちらに向かってきた。なら、

「百華術・奥義・百華双蘭の舞ひゃっかじゅつ  おうぎ  ひゃっかそうらんのまい」

剣には剣で対抗する。暗い山の中に響く、ぶつかりあう剣の高い金属音。私は必死に対抗した。しかし、殺戮者の剣が私の胴体に浅い傷を入れた。

「くッ!!」

浅いとは言えど、痛みが酷い。ダメだ、膝から崩れ落ちて、立つことすらできない。

「あーぁ、奥義を使うから期待したが、所詮はモブと一緒か。よぉーし、苦しまないようにトドメを刺してやる。」

そう言って、殺戮者は再び、こちらに向かってきた。ダメだ、終わった・・・。