幽霊祓い

弥生 啓

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第1章 日本旋廻 明通トンネル編

第38話 足りない

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丁術・奥義・爆死回帰廻流。普通の攻撃型の奥義とは違い、バフ型の奥義であるこの術は、使用者及び、使用者が指定した対象者の術の威力を3分間500%にする効果を持つ。例えば、赤坂の術の威力を500とした時、奥義を使っていない場合は、ハズレの場合、威力はそのままで、当たりの場合は500%倍増され2500になる。これが奥義を使用した時、ハズレの場合で2500、当たりの場合で12500となる。さらに当たり時の時は500%倍増されるので威力は62500となるのだ。2分の1の確率でこれほどの威力が高い技が打てるのだから、丁術は強いのだ。

「チッ、バフ型の奥義か。さっきよりも術の威力が格段と上がっていやがる。そっちがその気ならこっちもやってやるよ。雷術・奥義・・・くッ!!」

私の百華術と赤坂さんの丁術を避けながら、何かをしようとした佐神だったが、突然、フラついた。恐らく、この戦いでかなりの霊気を使用したのだろう。

「佐神  雷翔、あなたの負けよ。潔く、回収した主霊を呼び出しなさい。私たちが祓うから」

「まさか、霊気が足りず、奥義を使えないまま、負けてしまうとはな・・・」

「雷翔、まだ、諦めたらダメだよ。その主霊を吸収して、霊気を蓄えるんだ。君はまだまだ戦える」

トンネルの中に黒い渦が現れ、そこから凪澤が出てきた。

「お前が凪澤  戒か?ここに何をしに来た?」

「君が四帝・赤坂七佐か。僕がここに来たのは計画のためさ」

「計画?なんだそれは?」

「君たちには話してあげよう。まず、僕はここで佐神を見捨てる。そして、ぶつかり合うのさ」

「ど、どういうことですか、凪澤様」

「雷翔、いいことを教えてあげよう。君の姉さんを殺したのは僕だ。厳密に言えば、僕が生み出した改造霊が殺した」

凪澤はニヤニヤしながらそう語った。佐神は唖然としていた。思い空気が辺りを漂った。
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