241 / 255
《裏技》マスター、記憶を失う
ヴィヴィスさんとこのお店へゴー!
しおりを挟む
「「「「「グビッ、グビッ、プッハ~!」」」」」
温泉から出た後、私達は牛乳を片手に近くのベンチに座って一気飲みしていた。
「やっぱりコーヒー牛乳が一番よね!」
「確かに美味いとは思うが、やはり普通こそ至高。そのままの味の方が美味いよ」
「いやいや、分かってないわねイネ。一番良いのはフルーツ牛乳よ!」
「何言ってるのよ。最高峰の味はシンプルな味付けのいちごミルクよいちごミルク!」
「ニル達はどう思う!?」
「私は……猫人族だからか……イネと同じく普通のミルクが好きかな……」
「ぬっ、レ、レカちゃんは!?」
「私わねー……全部混ぜたやつー!」
((((全部混ぜたやつ……!?))))
「そ、それは美味しそうだな……」
「うん!」
そんな軽快な返事を聞きながら、私達は瓶を片付けて服を着る。
「さてと、ここからどうするの? 温泉じゃあ記憶は戻らなかった訳だけど」
「そうねぇ……」
やっぱり聞き込みとか……いやでもそうするともしこの国にあのイイジマの記憶を奪った奴の手下がいるとしたら情報が筒抜けになっちゃう……。
うーん……どうしましょ。
「そうだ、折角だし先程のリレオなる者が言っていたヴィヴィス殿の店に行ってみないか?」
「あっ、良いわねそれ!」
ヴィヴィスさんは機械をよく作ってるらしいし、もしかしたら……。
「じゃあ行きましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
そうして、私達は地図を見たりしてヴィヴィスさんのお店の元へと向かった。
あっ、因みにだけれど、ちゃんと道中でイイジマの体を女から男に戻しておいたわ。
じゃないとヴィヴィスさんと会う時色々面倒な事になっちゃいそうだし。
「ん? おおお!? イイジマァー! お前っ! そんなに女を連れてくるとは何だぁー!? 俺への当てつけかー!?」
「え、ええと……」
あっ、ヴィヴィスさんはイイジマが記憶を失ってる事を知らないからグイグイ行っちゃってるけど、イイジマはまずヴィヴィスさんの事を名前でしか知らないから困惑しちゃってる……!
「あの、ヴィヴィスさん」
「おっ、何だい!?」
「イイジマは今、記憶を失っていまして……」
「は!? き、記憶を失っている!?」
「はい」
「マ、マジかよ……」
ヴィヴィスさんはカウンターから出て来るとイイジマの肩をガッシリと掴む。
「本当に、俺の事覚えてないのか!?」
「す、すみません……」
「おぉうマジか……」
ヴィヴィスさんがふらふらっとした足取りで後ろ歩きをし、近くにあった椅子に腰掛ける。
「それでヴィヴィスさん、その――」
記憶を取り戻せる道具があったら貸して欲しい、そう言おうとしたその時、ヴィヴィスさんが右手をスッと上げて制止した。
「あんたらが言いたい事は分かってる! だがな……んな機械や装置は申し訳ねぇがねぇ!」
「っ……そ、そうですか……」
まあ、ぶっちゃけ察していたところはある。
まず、普通記憶を取り戻すための装置なんかを作ろうとする訳が無い。
更にヴィヴィスさんは聞くところによると主に体のパーツなどの製作をしているらしいし……余計作る機会が無いわね……。
「だがな!」
そのとき、ヴィヴィスさんが声を張り上げてそう言った。
「五日! いや四日! うーん……三日! 四日か三日あれば作れる!」
「ほっ、本当ですか!?」
私達の顔に笑顔が宿る。
「本当だとも! 俺の親友が記憶失くして困ってるってんだ! 手伝わない訳ねぇぜ!」
「ありがとうございます!」
「おうよ! んじゃあ四日後あたりにまた来てくれ!」
そんな会話をして、私達はニコニコとした笑みを浮かべながら店を出る。
「まさか、作って貰えるなんて事になるとはね」
「そうね! 今の展開は無いから無理! って感じだったものね!」
「いやーほんと、ありがたい限りです」
「それで、期限の四日まではどうする予定なの?」
皆んながそれぞれ「うーん」と唸り始める。
「それじゃあ、宿の場所だけ決めて、以降は各自自由行動で良いんじゃない?」
「それ……良いね……!」
「私さんせーい!」
「私も!」
「私もです!」
「私もだ!」
「わ、私も……!」
「それじゃあ、まずは宿屋に行こっかー!」
そうして私達は、非常にワクワクして、そしてソワソワしながら、宿屋へと向かうのであった。
温泉から出た後、私達は牛乳を片手に近くのベンチに座って一気飲みしていた。
「やっぱりコーヒー牛乳が一番よね!」
「確かに美味いとは思うが、やはり普通こそ至高。そのままの味の方が美味いよ」
「いやいや、分かってないわねイネ。一番良いのはフルーツ牛乳よ!」
「何言ってるのよ。最高峰の味はシンプルな味付けのいちごミルクよいちごミルク!」
「ニル達はどう思う!?」
「私は……猫人族だからか……イネと同じく普通のミルクが好きかな……」
「ぬっ、レ、レカちゃんは!?」
「私わねー……全部混ぜたやつー!」
((((全部混ぜたやつ……!?))))
「そ、それは美味しそうだな……」
「うん!」
そんな軽快な返事を聞きながら、私達は瓶を片付けて服を着る。
「さてと、ここからどうするの? 温泉じゃあ記憶は戻らなかった訳だけど」
「そうねぇ……」
やっぱり聞き込みとか……いやでもそうするともしこの国にあのイイジマの記憶を奪った奴の手下がいるとしたら情報が筒抜けになっちゃう……。
うーん……どうしましょ。
「そうだ、折角だし先程のリレオなる者が言っていたヴィヴィス殿の店に行ってみないか?」
「あっ、良いわねそれ!」
ヴィヴィスさんは機械をよく作ってるらしいし、もしかしたら……。
「じゃあ行きましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
そうして、私達は地図を見たりしてヴィヴィスさんのお店の元へと向かった。
あっ、因みにだけれど、ちゃんと道中でイイジマの体を女から男に戻しておいたわ。
じゃないとヴィヴィスさんと会う時色々面倒な事になっちゃいそうだし。
「ん? おおお!? イイジマァー! お前っ! そんなに女を連れてくるとは何だぁー!? 俺への当てつけかー!?」
「え、ええと……」
あっ、ヴィヴィスさんはイイジマが記憶を失ってる事を知らないからグイグイ行っちゃってるけど、イイジマはまずヴィヴィスさんの事を名前でしか知らないから困惑しちゃってる……!
「あの、ヴィヴィスさん」
「おっ、何だい!?」
「イイジマは今、記憶を失っていまして……」
「は!? き、記憶を失っている!?」
「はい」
「マ、マジかよ……」
ヴィヴィスさんはカウンターから出て来るとイイジマの肩をガッシリと掴む。
「本当に、俺の事覚えてないのか!?」
「す、すみません……」
「おぉうマジか……」
ヴィヴィスさんがふらふらっとした足取りで後ろ歩きをし、近くにあった椅子に腰掛ける。
「それでヴィヴィスさん、その――」
記憶を取り戻せる道具があったら貸して欲しい、そう言おうとしたその時、ヴィヴィスさんが右手をスッと上げて制止した。
「あんたらが言いたい事は分かってる! だがな……んな機械や装置は申し訳ねぇがねぇ!」
「っ……そ、そうですか……」
まあ、ぶっちゃけ察していたところはある。
まず、普通記憶を取り戻すための装置なんかを作ろうとする訳が無い。
更にヴィヴィスさんは聞くところによると主に体のパーツなどの製作をしているらしいし……余計作る機会が無いわね……。
「だがな!」
そのとき、ヴィヴィスさんが声を張り上げてそう言った。
「五日! いや四日! うーん……三日! 四日か三日あれば作れる!」
「ほっ、本当ですか!?」
私達の顔に笑顔が宿る。
「本当だとも! 俺の親友が記憶失くして困ってるってんだ! 手伝わない訳ねぇぜ!」
「ありがとうございます!」
「おうよ! んじゃあ四日後あたりにまた来てくれ!」
そんな会話をして、私達はニコニコとした笑みを浮かべながら店を出る。
「まさか、作って貰えるなんて事になるとはね」
「そうね! 今の展開は無いから無理! って感じだったものね!」
「いやーほんと、ありがたい限りです」
「それで、期限の四日まではどうする予定なの?」
皆んながそれぞれ「うーん」と唸り始める。
「それじゃあ、宿の場所だけ決めて、以降は各自自由行動で良いんじゃない?」
「それ……良いね……!」
「私さんせーい!」
「私も!」
「私もです!」
「私もだ!」
「わ、私も……!」
「それじゃあ、まずは宿屋に行こっかー!」
そうして私達は、非常にワクワクして、そしてソワソワしながら、宿屋へと向かうのであった。
20
お気に入りに追加
1,039
あなたにおすすめの小説
この世界はバグで溢れているのでパーティに捨石にされた俺はそのバグを利用して成り上がります
かにくくり
ファンタジー
冒険者マール・デ・バーグは、同期の仲間がレベル30まで上昇する中、未だにレベルが10までしか上がっていない落ちこぼれ冒険者だった。
ある日強敵を前に仲間達に捨石にされ、モンスターに殺されかける。
その時マールは走馬灯と共に前世の記憶を思い出す。
その前世はゲーム好きの日本の高校生で、自分は当時プレイしていたバグまみれで有名なRPG、ファンタシー・オブ・ザ・ウィンドの世界に転生してしまった事に気付く。
この世界では原作で発生するバグも完璧に再現されているようだ。
絶体絶命というところを女勇者ユフィーアに助けられるが、何故かそのまま勇者に惚れられてしまう。
これもバグか?
どうせ自分は真っ当に経験を積んでもこれ以上レベルが上がらないバグったキャラクターだ。
仕方ないので勇者と一緒にバグ技を駆使して成り上がります。
※作中で使用したバグ技の元ネタとか当ててみて下さい(@'-')b
※時間差で小説家になろうにも掲載しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる