148 / 255
《裏技》マスター、忍者の里へ行く
脱走
しおりを挟む
「……ん?」
「……ん……」
修行中、ニルとイネが耳をピクピクとやって同じ方向を見る。
「何だ? どうしたんだ?」
「シッ」
イネが人差し指を口に立てて目を閉じて音を聞く。
ニルもそうしている。
「……これは……」
「何か……あったね……騒ぎが……起きてる……」
「マジ?」
忍びの里の騒ぎって……相当じゃないか!?
「行った方が良くないか!?」
「そうだな、行こう!」
イネが駆け出したので、俺はレカを背負って走った。
ルリカは……よし、走れてるな。
ニルはまあ、うん。知ってた。
普通にイネと並走してる。
中々なバケモンだな……。
村が見えて来ると、煙が上がっているのが見えた。
「火事!?」
「いや、火事程度ならばこの騒ぎにはならない。何かきっと……」
そう発言したイネがピタッと止まる。
おいおい、あの速度で走ってたのにピタッて止まれるの凄いな。
で、何で止まったんだ?
「あ、あのぅ……」
どこからか声がする。
チッ、何かの道具で声を変えてやがるなこれ。
機械音声に近い声になってる。
ていうかまず……
「どこだ?」
「いや、あのぅ……ここですぅ……」
いつの間にか、白いフードを深く被った人が目の前にいた。
「うぉっ!?」
「いっ、いつからそこに!?」
「何者だ?」
イネがすぐにそう聞く。
「えっとぉ……あ、怪しい者じゃぁ……ないんですぅ……はいぃ……」
「怪しくない者はそんなに深くフードを被らないし、変声もしないだろ」
「えぇ……あぁ……うぅ……」
これが本当のぐうの音も出ないってやつか。
「でぇ……でもぉ……ただ僕ぅ……ま、迷っちゃっただけぇでぇ……へ、変な事ぉ……するつもりじゃないんですぅ……」
めっっちゃ怪しいなぁ!
チラッとイネを見る。
コクリとイネは頷いたので、どうやら捕まえる方向でいくらしい。
相手に気づかれないように、俺らはすぐに走れる体勢になる。
「あぁああぁあ! お、襲おうとぉ……し、してますね!? ほ、本当にぃ……違うのにぃ……うぅっ……」
バレた!? どんな観察眼してやがるんだコイツ!
俺らは急いで捕まえようとしたが……
「なっ!?」
水が俺らの四肢を掴んできた。
水……って事は……!
「今朝方ぶりだな」
水の大司教じゃねぇか!
「やっぱお前か……【火出――」
水で口を閉ざされる。
「二度も同じ手は喰らわぬ」
「あ、ありがとぉ……」
「貴様も貴様で、何をそんなに弱気になっている?」
「だ、だってぇ……この人達ぃ……絶対強いしぃ……」
「ぬかせ、貴様の方が強いに決まっているだろう」
何かちょっとイラッとくるなぁそれ。
「えぇ……そんなわけぇ……無いじゃぁん……」
「強くなければ、貴様が私を助ける事など出来ないはずだ。ふっ、よって貴様は強い」
コイツが助けたのか!
「では、さっさと行くぞ」
「わぁ、分かったぁ……! えいぃ!」
フードを被った奴が何かを地面に投げた。
『ブフォン!』
「煙幕か!」
俺らを掴んでいた水がただの水となり、地面に消えた。
そして煙幕が晴れれば……当たり前だが、そこに彼らの姿は無かった。
「くそ……逃げられた……」
「すまない、油断してしまった」
「あんただけのせいじゃねぇ。俺らも油断しちまった。あんな弱気な喋り方だったからな……」
「それに、あいつは気配を消すのが上手かった……」
「気配を消す?」
「ああ、そこにいるのに、そこにいない。影が薄いと言うのだろうか。それがとんでもなく薄いんだ」
「スキルとかじゃないのか?」
「スキルや魔法を使った感覚はなかった。あれは完全に、そのままの状態でやってる」
マジかよ。あの目の前にいきなり現れたあれも、全部素の状態で?
「凄いな……それは……」
「恐らく、何らかの大司教だろうが……何の大司教までかは分からんな……」
「推測しすぎるのも良くないぞ。取り敢えず、あの火事になってる所に行こう」
「そうだな」
俺らは急いでその火事の火元まで走るのだった。
「……ん……」
修行中、ニルとイネが耳をピクピクとやって同じ方向を見る。
「何だ? どうしたんだ?」
「シッ」
イネが人差し指を口に立てて目を閉じて音を聞く。
ニルもそうしている。
「……これは……」
「何か……あったね……騒ぎが……起きてる……」
「マジ?」
忍びの里の騒ぎって……相当じゃないか!?
「行った方が良くないか!?」
「そうだな、行こう!」
イネが駆け出したので、俺はレカを背負って走った。
ルリカは……よし、走れてるな。
ニルはまあ、うん。知ってた。
普通にイネと並走してる。
中々なバケモンだな……。
村が見えて来ると、煙が上がっているのが見えた。
「火事!?」
「いや、火事程度ならばこの騒ぎにはならない。何かきっと……」
そう発言したイネがピタッと止まる。
おいおい、あの速度で走ってたのにピタッて止まれるの凄いな。
で、何で止まったんだ?
「あ、あのぅ……」
どこからか声がする。
チッ、何かの道具で声を変えてやがるなこれ。
機械音声に近い声になってる。
ていうかまず……
「どこだ?」
「いや、あのぅ……ここですぅ……」
いつの間にか、白いフードを深く被った人が目の前にいた。
「うぉっ!?」
「いっ、いつからそこに!?」
「何者だ?」
イネがすぐにそう聞く。
「えっとぉ……あ、怪しい者じゃぁ……ないんですぅ……はいぃ……」
「怪しくない者はそんなに深くフードを被らないし、変声もしないだろ」
「えぇ……あぁ……うぅ……」
これが本当のぐうの音も出ないってやつか。
「でぇ……でもぉ……ただ僕ぅ……ま、迷っちゃっただけぇでぇ……へ、変な事ぉ……するつもりじゃないんですぅ……」
めっっちゃ怪しいなぁ!
チラッとイネを見る。
コクリとイネは頷いたので、どうやら捕まえる方向でいくらしい。
相手に気づかれないように、俺らはすぐに走れる体勢になる。
「あぁああぁあ! お、襲おうとぉ……し、してますね!? ほ、本当にぃ……違うのにぃ……うぅっ……」
バレた!? どんな観察眼してやがるんだコイツ!
俺らは急いで捕まえようとしたが……
「なっ!?」
水が俺らの四肢を掴んできた。
水……って事は……!
「今朝方ぶりだな」
水の大司教じゃねぇか!
「やっぱお前か……【火出――」
水で口を閉ざされる。
「二度も同じ手は喰らわぬ」
「あ、ありがとぉ……」
「貴様も貴様で、何をそんなに弱気になっている?」
「だ、だってぇ……この人達ぃ……絶対強いしぃ……」
「ぬかせ、貴様の方が強いに決まっているだろう」
何かちょっとイラッとくるなぁそれ。
「えぇ……そんなわけぇ……無いじゃぁん……」
「強くなければ、貴様が私を助ける事など出来ないはずだ。ふっ、よって貴様は強い」
コイツが助けたのか!
「では、さっさと行くぞ」
「わぁ、分かったぁ……! えいぃ!」
フードを被った奴が何かを地面に投げた。
『ブフォン!』
「煙幕か!」
俺らを掴んでいた水がただの水となり、地面に消えた。
そして煙幕が晴れれば……当たり前だが、そこに彼らの姿は無かった。
「くそ……逃げられた……」
「すまない、油断してしまった」
「あんただけのせいじゃねぇ。俺らも油断しちまった。あんな弱気な喋り方だったからな……」
「それに、あいつは気配を消すのが上手かった……」
「気配を消す?」
「ああ、そこにいるのに、そこにいない。影が薄いと言うのだろうか。それがとんでもなく薄いんだ」
「スキルとかじゃないのか?」
「スキルや魔法を使った感覚はなかった。あれは完全に、そのままの状態でやってる」
マジかよ。あの目の前にいきなり現れたあれも、全部素の状態で?
「凄いな……それは……」
「恐らく、何らかの大司教だろうが……何の大司教までかは分からんな……」
「推測しすぎるのも良くないぞ。取り敢えず、あの火事になってる所に行こう」
「そうだな」
俺らは急いでその火事の火元まで走るのだった。
1
お気に入りに追加
1,039
あなたにおすすめの小説
この世界はバグで溢れているのでパーティに捨石にされた俺はそのバグを利用して成り上がります
かにくくり
ファンタジー
冒険者マール・デ・バーグは、同期の仲間がレベル30まで上昇する中、未だにレベルが10までしか上がっていない落ちこぼれ冒険者だった。
ある日強敵を前に仲間達に捨石にされ、モンスターに殺されかける。
その時マールは走馬灯と共に前世の記憶を思い出す。
その前世はゲーム好きの日本の高校生で、自分は当時プレイしていたバグまみれで有名なRPG、ファンタシー・オブ・ザ・ウィンドの世界に転生してしまった事に気付く。
この世界では原作で発生するバグも完璧に再現されているようだ。
絶体絶命というところを女勇者ユフィーアに助けられるが、何故かそのまま勇者に惚れられてしまう。
これもバグか?
どうせ自分は真っ当に経験を積んでもこれ以上レベルが上がらないバグったキャラクターだ。
仕方ないので勇者と一緒にバグ技を駆使して成り上がります。
※作中で使用したバグ技の元ネタとか当ててみて下さい(@'-')b
※時間差で小説家になろうにも掲載しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる