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《裏技》マスター、森人族の森に行く

神様降臨! ……いや待て待て待て待て

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 ポーションを飲みまくった翌日、俺は今日も早起きした。

「おぉイイジマ」

「ベクト爺か。あいつに対するお勉強は終わったのか?」

「ああ、今はもう樹神様の事しか考えられぬよ」

「良い奴だっ――いや良い奴ではなかったな」

「ふぉっふぉっふぉっ」

「で、用は何だ?」

「む? たまたま通りかかっただけじゃよ」

「嘘こけ、あんたがここに来るなんて俺に用がある以外ないだろ。

「流石イイジマじゃな。あー、今日教会で、共に祈らんかね?」

「やだ」

「即答じゃのぉう。何故じゃ?」

「俺無神教だし」

「ならばどんな神に対しても祈れるじゃないか。樹神様に祈ってみてはどうじゃ?」

「祈ったところで何があんだよ?」

「心が満たされ、生きる目的を見出せるのじゃ……」

「疲れるだけじゃね?」

「やめるんじゃ、その発言は敵が多すぎるわい」

「あぁ、そうだな。すまん」

「取り敢えず、暇なんじゃったら来なさい」

 そう言ってベクト爺は教会に入って行った。

「祈りねぇ……」

 暇だし行ってみても良いんだが……暇潰しに暇な事をしてもな……。

 まあ皆んなに聞いてみるか。

 という訳で皆んなが起きるまでの間銃弾を増殖裏技バグで増やした。

「んっ、ん~」

「お、起きたか」

「うわぁ!?」

 そんな驚かんでも……。

「何で私のベットに座ってるのよ!」

「いやまあ……用があったからだな」

「な、何よ」

「さっきベクト爺に会ってな、暇なら一緒に樹神様に祈らないかって」

「何でそんな事しなきゃいけないのよ」

「それな」

「いや、なら断りなさいよ」

「でもどうせ今日暇だしさ」

「まあ確かにそうだけど……」

「ニル達にも聞くから安心しろ」

「分かったわ、じゃあ私は少し散歩でもしてくるわね」

「おう、行ってらー」

 その後、ニル達が起きるのを待ち、ルリカにした質問と同じ事を言った。

「祈り……うーん……まあ……暇だし良いよ……」

「お祈りぃー? よく分かんないけど良いよー!」

 という事で、多数決的に行く事になった。

「おおお! 共に祈る気になってくれたか!」

「まあな」

「ほれほれそこに座れ」

 一番前の席か……なんだろう、視線が凄い痛くなりそうだ。

「それではこれより祈りを捧げる!」

 ベクト爺がどこからか分厚い本を取り出してペラペラとめくり、そこに書かれているであろう内容を読む。

「ああ主よ! 我らが主よ! これより我らは祈りを捧げます! どうか我々をお導き下さい!」

 そう言うとそこにいた森人族達全員がお辞儀をした。

 そしてパイプオルガンのような物から音楽が流れ始め、聖歌隊の人達が出て来て歌い始めた。

 へぇ、結構上手いじゃないか。

 そしてベクト爺が講壇こうだんに立ち、話し始めた。

「皆も知っているじゃろうが、昔、樹神様は我々森人族にご加護をお与えになられた。
それが我々が今も使っている魔法と、先程言った通りの、樹神様のご加護じゃ」

 このベクト爺が言っている樹神様のご加護というのは裏技の事である。

 そしてその後、何か禁断の果実を食べた二人の森人族の話をしたり、洪水が起きると樹神様から言われた一人の森人族が、大きな方舟はこぶねを作って、その中に今いる生き物を雄と雌一匹ずつ入れて洪水を免れた話なんかを聞いた。

「それでは! 最後に一節!」

 ベクト爺がそう言った瞬間、教会が揺れた。

「な、なんじゃ!?」

 揺れはどんどん強くなり、おそらく震度6強くらいになった。

「皆の者! 防御魔法で壁が崩れないようにするんじゃ!」

 その一言で森人族は壁に向かって防御魔法をやり、壁を崩れないようにした。

「一体……何が起こっとるんじゃ!?」

 少し天井が崩れる。

「ぼ、防御魔法をしても崩れるのか!?」

 森人族の防御魔法を凌ぐのか……!

 何なんだこれ!?

「うっ!」

 崩れた天井から強力な光が差し込んで来た。

 そして光が消えると……

「…………」

 人が、立っていた。

 意外とスラッとしている。

 そして彼……いや、彼女か?

 まあ良い、そいつはゆっくりと口を開いて

「私は樹神。貴方方の願いにより、この世に降り立ちました」

 と言った。

 ……知らない、俺あんな樹神知らねぇぞ!
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