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第8話 仲間たち

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翌朝、指定された場所へ行くと、昨日の男が待っていた。

「おっ、来たな。ちゃんと童貞のまま来たか? もうすぐ揃うから、少し待っててくれ」

男の近くには、他に3人いた。全員男だ。
彼らにも軽く会釈をして、その近くに座る。

「!?」

また知っている顔だ。
3人のうち2人は同級生にそっくりだ。


このゲームがMMOのようになっていて、彼らも同じゲームをプレイしているのだろうか?
だが、それなら、綾子先生やクラス委員の秋元、そして昨日の白戸麻衣もこのゲームをやっているということになる。

あるいは、他のクラスメイトが彼らに似せたアバターを使ってゲームに参加しているのかもしれない。

もう一つ考えられるのは、このゲームがプレイヤーの記憶を利用して、知り合いの顔をキャラクターに利用しているということだ。実際にそういった技術があるのかは分からないが、そう考えるのが一番自然な気がする。

そんなことを考えながら待っていると、昨日入った店のドアが開いて、中から人が出てきた。

ユキと……、白戸麻衣だ……。


「よし、これで全員揃ったぞ」
男は座ったまま、みんなに声をかける。

「はじめての参加者が多いから、簡単に紹介しておく。まず、俺はビガロ。一応、勇者の資格は持っている。協会からは追い出されたも同然だがな」と豪快に笑う。

「それから、こいつは俺の相棒のアーチャー。戦士だ。見かけは怖そうだが、とても優しい男だぞ」
ビガロと同じくらいに体格のいい男が、無表情のまま右手を軽く挙げる。
あまり優しそうには見えない……。

「そこの二人がトマスとミック。前回の戦いから一緒だが、まだどっちがトマスでどっちがミックだか、俺は区別がつかない。どちらも戦士だ」
金髪の方がトマスと名乗り、少し髪の長い方がミックと名乗った。

どちらもクラスではチャラい遊び人グループのメンバーだ。
1年の時から同じクラスなので、普通に話しはするし、仲が悪いわけではないが、オタクの自分とは遊びのパターンが全く違うので、接点は少ない。

「それから、今回初めての参加の……、あれ、名前なんだっけ?」
自分が紹介される番だった。

「ソウタです」と答える。
「ソウタ、童貞だ」
本名の「今井颯太」から、そのまま「ソウタ」を使っている。

同級生二人は名前を聞いても無反応だったので、やはりゲーム側が勝手に記憶を利用しているのか。

「そして、こっちの色っぽいのが、ユキちゃん。魔法使いだ」
昨日会ったユキだが、今日はアニメに出てくるような格好をしている。コスプレをしているようにしか見えない。

「最後は、マイちゃん。今回特別参加の巫女で、処女だ」
ユキの背後に隠れるようにして立っていたマイが、前に出ておどおどしながら、軽くお辞儀をする。

男達3人も初めて会ったらしく、口をポカンと開けて見とれている。

「おいおい、よだれを垂らしてる場合じゃないぞ。これが、今回のメンバーだ」
ビガロが立ち上がる。

「今紹介した通り、戦士ばかり4人に勇者、巫女、魔法使いがそれぞれ1人ずつ。という非常にバランスの悪いパーティだ」
「いつものことだろう」とアーチャーがぼやいて、みんなが笑う。

「もちろん、回復薬やアイテムはたっぷりと用意した」
足下に大きな荷物が並んでいる。どれも重そうだ。

「そして、処女の巫女と童貞男がメンバーに加わったので分かると思うが、今回の標的はヴァラスだ」

(ヴァラス?)
怪訝な顔をしていると、ビガロがこっちを見て言う。

「ヴァラスと言っても、まだ分からないよな。協会やチュートリアルでは教えてくれないからな」
と言ってまた笑った。

「まあ、そのことは行きながら教えてやる。まずは、荷物を持って出発だ」

「オーッ」みんなが威勢のいい声を上げて立ち上がる。

近くにつながれていたラクダのような動物に荷物を載せ、残った荷物を分担して背負い、出発した。
残念ながら、人が乗る用の移動手段はないらしい。


はじめてのミッションに少し緊張する。

ちらりと横を見ると、マイの整った横顔が見えた。
見とれていると、向こうも気づいたのかこっちを見てきて、目が合ってしまった。
ドギマギしたが、ニコッと笑ってくれた。

この子と、初体験……。
そう思っただけで、鼓動が高まり、股間も一気に膨張した。

「痛ッ!」

下を向いて小さくなっていた股間のものが、一気に大きくなったので、ズボンの中で身動きが取れなくなって激痛が走る。
前屈みになって転びそうになった。

「ちゃんと我慢してないと、昨日みたいに爆発しちゃうよ」
とユキがからかって声をかけてくる。

他のメンバーも何が起こったのか察知して、笑っている。

慌ててズボンの中に手を入れて直し、恥ずかしさに一番後ろに移動して、下を向いてついていった。

前途多難な旅になりそうだ……。
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