1 / 3
1話 前世の記憶
しおりを挟む
「……お前は、確かに見目は誰より美しいかもしれない。だが、心は誰より醜い」
これは……夢?
あやふやな意識の中、真っ赤な髪の男が、銀髪の男、、?を責め立てている。真っ赤な髪の男の横には、はくすんだ茶髪の女性が震えて立ちすくんでいて……
「こんな卑怯な嫌がらせを行うなんて……見目も心も美しいクレアに嫉妬したんだろう。フルーリ……お前、虚しくないのか?」
「……だから、ボクじゃないって言ってるじゃないか。言いがかりだ……!」
銀髪の男はわなわなと肩を震わせ、涙を浮かべている。……なんだ?この顔、見覚えが……
夢の中の、はっきりしない視界のせいでよく認識出来ない。一体なんなんだ?この夢は……
「……お前の心は、からっぽだ。何も無い」
「お前ごときがボクを否定できると思わないで。なんにも知らないクセに……!」
そうして遂には銀髪の男は、真っ赤な瞳から大粒の涙を流し始めた。その後、またボクの意識は薄くなって……
光が差し込んでくる。ゆっくりと重い瞼を開くと、見慣れた天井があった。
なんだ、やっぱり夢だったのか……
そうしてボクはベットから起き上がり、いつもの様に使用人に指示をして身支度を行う。鏡が用意され、髪の手入れを……
いつもの、見慣れた美しいボクの顔。肩ほどまである柔らかな銀髪、大きな赤い瞳の……
そこまで考えて、気づいた。いつも見ているから見覚えがあるのではなく、なんだか既視感がある。
「……昨日の夢だ……!」
じゃあ、昨日の銀髪の男は未来のボク?
真っ赤な髪の男、くすんだ茶髪の女、責め立てられるボク……
この構図にも、見覚えがある。そう、漫画で読んだんだ。確かあれは王道成り上がりもので、庶民の出の主人公が努力を重ね魔法学園に入学し、王女の心までも射止め、悪役令息を断罪し国の王に……
……?なんでこんな記憶が……?
――――――――――
……ボクは所詮……前世の記憶のようなものを思い出したらしい。
前世のボクはこの世界とは全く違う世界で生きていて、この世界は前世のボクが読んでいた物語の中、みたい。
なんだか、前世の記憶と現世のボクの記憶が混じりあって曖昧になっているんだけど……
その物語によるとボクは、夢の中のように物語の主人公とヒーローに断罪されて、処刑されてしまう……らしい。
……え、嫌だよ、そんなの。
これは……夢?
あやふやな意識の中、真っ赤な髪の男が、銀髪の男、、?を責め立てている。真っ赤な髪の男の横には、はくすんだ茶髪の女性が震えて立ちすくんでいて……
「こんな卑怯な嫌がらせを行うなんて……見目も心も美しいクレアに嫉妬したんだろう。フルーリ……お前、虚しくないのか?」
「……だから、ボクじゃないって言ってるじゃないか。言いがかりだ……!」
銀髪の男はわなわなと肩を震わせ、涙を浮かべている。……なんだ?この顔、見覚えが……
夢の中の、はっきりしない視界のせいでよく認識出来ない。一体なんなんだ?この夢は……
「……お前の心は、からっぽだ。何も無い」
「お前ごときがボクを否定できると思わないで。なんにも知らないクセに……!」
そうして遂には銀髪の男は、真っ赤な瞳から大粒の涙を流し始めた。その後、またボクの意識は薄くなって……
光が差し込んでくる。ゆっくりと重い瞼を開くと、見慣れた天井があった。
なんだ、やっぱり夢だったのか……
そうしてボクはベットから起き上がり、いつもの様に使用人に指示をして身支度を行う。鏡が用意され、髪の手入れを……
いつもの、見慣れた美しいボクの顔。肩ほどまである柔らかな銀髪、大きな赤い瞳の……
そこまで考えて、気づいた。いつも見ているから見覚えがあるのではなく、なんだか既視感がある。
「……昨日の夢だ……!」
じゃあ、昨日の銀髪の男は未来のボク?
真っ赤な髪の男、くすんだ茶髪の女、責め立てられるボク……
この構図にも、見覚えがある。そう、漫画で読んだんだ。確かあれは王道成り上がりもので、庶民の出の主人公が努力を重ね魔法学園に入学し、王女の心までも射止め、悪役令息を断罪し国の王に……
……?なんでこんな記憶が……?
――――――――――
……ボクは所詮……前世の記憶のようなものを思い出したらしい。
前世のボクはこの世界とは全く違う世界で生きていて、この世界は前世のボクが読んでいた物語の中、みたい。
なんだか、前世の記憶と現世のボクの記憶が混じりあって曖昧になっているんだけど……
その物語によるとボクは、夢の中のように物語の主人公とヒーローに断罪されて、処刑されてしまう……らしい。
……え、嫌だよ、そんなの。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

悪役令嬢に転生したので、剣を執って戦い抜く
秋鷺 照
ファンタジー
断罪イベント(?)のあった夜、シャルロッテは前世の記憶を取り戻し、自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと知った。
ゲームシナリオは絶賛進行中。自分の死まで残り約1か月。
シャルロッテは1つの結論を出す。それすなわち、「私が強くなれば良い」。
目指すのは、誰も死なないハッピーエンド。そのために、剣を執って戦い抜く。
※なろうにも投稿しています

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる