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~高校生編~
第2章 太陽と氷の女王
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ホームルームのあとで、各委員会の集まりがあると言われました。この先一年間、藤原くんと一緒なんて、どうすればいいの……私は硬直したままうつむいていました。
「山城。」
「は、はい!」
名前を呼ばれて顔を上げたら、不機嫌そうな藤原くんが私をジッと見つめていました。
「行こうよ。」
「ど、どこに!?」
「行事委員会にきまってるだろ!」
ひゃー!怒鳴られてしまいました。思わず泣きそうになったけど、ぐっと堪えて鞄に荷物を詰めました。
藤原くんは自分の鞄を掴むと私を待つことなくさっさと教室を出て行きました。いけない、急がなきゃ、すかさず私も教室を飛び出しました。
すると、出てすぐの所で藤原くんが待っていたのです。
「な、なんですか?」
「同じ委員会なんだから、一緒に行こう。」
「は?」
「四階の第二準備室だ。」
藤原くんはまたクイっとあごをしゃくって私を促しました。
「あの……」
「なに?」
「私の名前、なんで知っていたんですか?」
「だからアンタ、去年も行事委員だったろ?覚えてて当たり前だ。」
確かに、去年の文化祭の時、お手伝いしたのです。正式な委員じゃなくてあくまでもお手伝い。「部活の方が忙しくて委員活動が出来ないの。」と、同じクラスの行事委員だった中村さんから、委員を代わってくれと頼まれたのです。ぶっちゃけて言えば押し付けられた訳ですが……暇を持て余していた私には、うってつけの役割でした。
その時に、藤原くんとは二度三度関わることもありました。まあ、「あれをやれ」「これをやれ」と命令されるばかりだった記憶しか残っていないんですよ。
藤原くんは無言のまま、スタスタと長い脚で先を歩いて行きます。私は彼の広い背中を見ながら後をついて行きました。
中に入るともうすでに他のクラスの委員が集まっていました。入口で戸惑っている私に気付き、横にいた藤原くんがまたムッとしました。
「中に、入れば?」
「う……」
困りました。委員は男の子ばかり……女子はいないのかな。
「一佳が女の子を連れてる……」
おっとりとした声がして、驚いて振り向きました。そこには同級生の中でも有名な、清藤薫さんが居たのです。藤原くんと並んで称されるくらい美貌の持ち主で、同じくらい冷ややかな性格だと言われ、『氷の女王』とも呼ばれているんですよ。
「女の子じゃない。同じ委員だから。」
「別にイイけど……」
清藤さんはそれ以上は聞かず、ゆっくりと教室に入っていきました。
「一佳!今年もよろしくな!」
「おー、まずは体育祭だな。」
「去年より、派手に決めよーぜ!」
高二の学年章を付けた華やかな男の子が藤原くんに声を掛けました。この人も知ってます!木谷瀬潤くん、優しい顔立ちのイケメンで、顔ばかりじゃなくて性格も穏やかで、成績も上位、運動神経抜群、行動的で、普段は生徒会の執行部で活動していたはずです。太陽みたいに明るい木谷瀬くんが藤原くんと仲良しだなんて……不思議な光景を見るようでした。
藤原くんと同じくらい背の高い木谷瀬くんは、私を見おろしニコリとしました。
「君、一佳と同じクラスの行事委員?よろしくね。俺、2年1組の木谷瀬潤。」
「山城七海です。よろしくお願いします。」
「よかったら、潤って呼んでよ。つーか、一佳に無理やり委員にさせられたんだって?」
ぺこりと下げた頭の上から、可笑しそうな笑い声が降って来ました。
「無理やりっつーか、去年みたいに潤目当てで委員になっておいて、お前と絡めないからって委員会に出て来ねー女どもに委員になられたら、困るからな。」
「確かに去年は大変だった……潤が眞子チャンにつられて執行部に行ってしまうからだ。」
「眞子は関係無いし!」
藤原くんと清藤さんが二人揃って木谷瀬くんを責め、木谷瀬くんも応戦して仲良さそうに言い合いをしています。藤原くん、友達、いるんだ。だけど、類は友を呼ぶのですね。三人揃うとゴージャスなオーラに圧倒されます。
しばらくして、委員全員が揃いました。委員長に木谷瀬くん、副委員長に清藤さんと藤原くんが就任し、なぜか私は会計を2年2組の飯島くんと受け持つことになったのです。その後、年間の活動計画が発表され、来月の体育祭に向けての活動内容が話し合われました。
「頼んだよ、七海ちゃん。」
会議が終わると、木谷瀬くんは親しげに私に話しかけて来ました。物怖じしない人だなぁ、愛され慣れているのですね。て言うか、いきなり名前で呼ばれるなんて……照れくさくてモジモジしてしまいました。
「山城は頼りになる奴だから。」
藤原くんがぼそりとそう呟きました。え?頼りになる?何かの聞き間違い?
聞き直してみたかったけど、藤原くんはもうムスっとしていたので出来ません。何故だろう……私のどこが頼りになるのかな?
藤原くんに誉められたことに気を良くして、最初に委員になった時より少しリラックスして彼の凛とした横顔を眺めることが出来ました。
「山城。」
「は、はい!」
名前を呼ばれて顔を上げたら、不機嫌そうな藤原くんが私をジッと見つめていました。
「行こうよ。」
「ど、どこに!?」
「行事委員会にきまってるだろ!」
ひゃー!怒鳴られてしまいました。思わず泣きそうになったけど、ぐっと堪えて鞄に荷物を詰めました。
藤原くんは自分の鞄を掴むと私を待つことなくさっさと教室を出て行きました。いけない、急がなきゃ、すかさず私も教室を飛び出しました。
すると、出てすぐの所で藤原くんが待っていたのです。
「な、なんですか?」
「同じ委員会なんだから、一緒に行こう。」
「は?」
「四階の第二準備室だ。」
藤原くんはまたクイっとあごをしゃくって私を促しました。
「あの……」
「なに?」
「私の名前、なんで知っていたんですか?」
「だからアンタ、去年も行事委員だったろ?覚えてて当たり前だ。」
確かに、去年の文化祭の時、お手伝いしたのです。正式な委員じゃなくてあくまでもお手伝い。「部活の方が忙しくて委員活動が出来ないの。」と、同じクラスの行事委員だった中村さんから、委員を代わってくれと頼まれたのです。ぶっちゃけて言えば押し付けられた訳ですが……暇を持て余していた私には、うってつけの役割でした。
その時に、藤原くんとは二度三度関わることもありました。まあ、「あれをやれ」「これをやれ」と命令されるばかりだった記憶しか残っていないんですよ。
藤原くんは無言のまま、スタスタと長い脚で先を歩いて行きます。私は彼の広い背中を見ながら後をついて行きました。
中に入るともうすでに他のクラスの委員が集まっていました。入口で戸惑っている私に気付き、横にいた藤原くんがまたムッとしました。
「中に、入れば?」
「う……」
困りました。委員は男の子ばかり……女子はいないのかな。
「一佳が女の子を連れてる……」
おっとりとした声がして、驚いて振り向きました。そこには同級生の中でも有名な、清藤薫さんが居たのです。藤原くんと並んで称されるくらい美貌の持ち主で、同じくらい冷ややかな性格だと言われ、『氷の女王』とも呼ばれているんですよ。
「女の子じゃない。同じ委員だから。」
「別にイイけど……」
清藤さんはそれ以上は聞かず、ゆっくりと教室に入っていきました。
「一佳!今年もよろしくな!」
「おー、まずは体育祭だな。」
「去年より、派手に決めよーぜ!」
高二の学年章を付けた華やかな男の子が藤原くんに声を掛けました。この人も知ってます!木谷瀬潤くん、優しい顔立ちのイケメンで、顔ばかりじゃなくて性格も穏やかで、成績も上位、運動神経抜群、行動的で、普段は生徒会の執行部で活動していたはずです。太陽みたいに明るい木谷瀬くんが藤原くんと仲良しだなんて……不思議な光景を見るようでした。
藤原くんと同じくらい背の高い木谷瀬くんは、私を見おろしニコリとしました。
「君、一佳と同じクラスの行事委員?よろしくね。俺、2年1組の木谷瀬潤。」
「山城七海です。よろしくお願いします。」
「よかったら、潤って呼んでよ。つーか、一佳に無理やり委員にさせられたんだって?」
ぺこりと下げた頭の上から、可笑しそうな笑い声が降って来ました。
「無理やりっつーか、去年みたいに潤目当てで委員になっておいて、お前と絡めないからって委員会に出て来ねー女どもに委員になられたら、困るからな。」
「確かに去年は大変だった……潤が眞子チャンにつられて執行部に行ってしまうからだ。」
「眞子は関係無いし!」
藤原くんと清藤さんが二人揃って木谷瀬くんを責め、木谷瀬くんも応戦して仲良さそうに言い合いをしています。藤原くん、友達、いるんだ。だけど、類は友を呼ぶのですね。三人揃うとゴージャスなオーラに圧倒されます。
しばらくして、委員全員が揃いました。委員長に木谷瀬くん、副委員長に清藤さんと藤原くんが就任し、なぜか私は会計を2年2組の飯島くんと受け持つことになったのです。その後、年間の活動計画が発表され、来月の体育祭に向けての活動内容が話し合われました。
「頼んだよ、七海ちゃん。」
会議が終わると、木谷瀬くんは親しげに私に話しかけて来ました。物怖じしない人だなぁ、愛され慣れているのですね。て言うか、いきなり名前で呼ばれるなんて……照れくさくてモジモジしてしまいました。
「山城は頼りになる奴だから。」
藤原くんがぼそりとそう呟きました。え?頼りになる?何かの聞き間違い?
聞き直してみたかったけど、藤原くんはもうムスっとしていたので出来ません。何故だろう……私のどこが頼りになるのかな?
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